
不動産投資の種類は主に9つあり、目的は「収入の増加」「相続税対策」「インフレ対策」「老後のための資産形成」の大きく4つに分けられ、目的によって選ぶべきものが異なります。
この記事では9種類内容とメリット・デメリットを解説します。
ポイント
- 不動産投資の主目的は「収入の増加」「相続税対策」「インフレ対策」「老後のための資産形成」である
- 不動産投資には主に9種類あり目的別に選ぶべきである
不動産投資とは
不動産投資とは、土地や建物などの不動産を用いた投資の総称です。おおまかには取得した費用と売却価格の差益(キャピタルゲイン)を見込む投資と、賃貸収入(インカムゲイン)を見込む投資があります。
近年、サラリーマンの副業として人気が高まっているのは後者の賃貸収入(インカムゲイン)を見込めるタイプの投資です。マンション・アパート経営や駐車場経営、トランクルームの経営など、分類すると9種類の投資方法があります。
不動産投資4つの目的
投資家には、それぞれ不動産投資に対する個別の目的があるはずです。もちろん目的は1つだけとは限りません。2つあるいはそれ以上あって、その中でその投資家にとっての優先順位があるケースも少なくないでしょう。
ここでは不動産投資を行う代表的な目的について見ていきましょう。
収入の増加
不動産投資のわかりやすい目的は、収入の増加です。月々に入ってくるお金を増やしたい人も多いことでしょう。本収入とは別に、数万円でもいいから副収入が欲しいという場合には、たとえば不動産投資によって賃貸収入を得ることで実現可能です。
もちろん、キャッシュフローをきちんとコントロールしなければ、逆にマイナスになる可能性もあるので、注意が必要です。
相続税対策
不動産は、相続税を算出する基準となる相続税評価額を抑えることが可能で、現金(預貯金)を相続する場合と比べ節税できる可能性があります。
そのため、資産を多く所有しているほど、不動産にシフトしておくことで、手元に残せる資産価値を多くできるでしょう。
加えて賃貸中の物件の相続は、空室物件を相続するよりも相続税評価額が圧縮できます。ただし、賃貸需要があるエリアでなければ、メリットが享受できないので注意が必要です。
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インフレ対策
モノの価格が上がってお金の価値が相対的に下がるインフレ局面では、現金の価値が徐々に目減りしてしまいます。
資産を現金(預貯金)で持っている場合、インフレにより資産価値が減価してしまうかもしれません。不動産のように物件を所有することは、インフレ対策にもなります。
インフレ対策の場合は「ロケーション」「賃貸料」「流動性」に注意して投資先を検討する必要があります。
建物は年々減価しますが、土地は物価によって価格変動します。そのため、需要が見込める地域で不動産を持つと、賃貸料や土地の価格の上昇も期待できるでしょう。
また、インフレ局面でも賃貸料がゆるやかに上昇する傾向にあります。客観的な材料があれば賃貸料の値上げはそれほど難しくないので、リターンを最大化しやすいでしょう。
老後のための資産形成
老後にもらえる年金に不安がある場合に、老後の資産形成の1つのかたちとして毎月賃貸料の収入が得られるようにすることができます。
個人年金のように捉えて不動産投資をする場合、長期的なスタンスで検討しましょう。不動産投資では利回りに目がいきがちですが、リターンが大きい物件はリスクも大きいからです。
長期的な資産形成を考える場合、長いスパンで見ても需要が見込めるエリアの物件を選べば、将来的な価値が下がりにくいでしょう。
また、月々の賃貸収入を得ながらできるだけ早く不動産ローンを完済しておけば、物件価格が大きく上がった際に売却することも可能です。
不動産投資の種類と目的の関係性
不動産投資の主な種類は以下の9つです。
- 区分マンション投資
- 一棟アパート・マンション投資
- REIT投資
- 不動産小口化商品投資
- 戸建て投資
- 一棟ビル投資
- シェアハウス・民泊投資
- 駐車場・駐輪場投資
- トランクルーム投資
これら9種類の不動産投資がどのような目的に対して特に効果があるのか表にまとめました。それぞれ目的に対して効果が大きい場合に「大」、小さい場合に「小」としています。
収入の増加 | 相続税対策 | インフレ対策 | 老後の 資産掲載 |
|
---|---|---|---|---|
区分マンション | 小 | 大 | 大 | 大 |
一棟アパート 一棟マンション |
大 | 大 | 小 | 小 |
REIT | 小 | 小 | 大 | 小 |
不動産小口化商品 | 小 | 大 | 大 | 小 |
戸建て | 大 | 大 | 大 | 小 |
一棟ビル | 大 | 小 | 大 | 大 |
シェアハウス・民泊 | 大 | 大 | 小 | 大 |
駐車場・駐輪場 | 小 | 大 | 大 | 大 |
トランクルーム | 大 | 小 | 小 | 大 |
おおまかな目安であり、実際は個々の物件によってさまざまなケースがあります。あくまで参考としてご覧ください。
区分マンション投資のメリット・デメリット
マンションの中の一戸ないし複数戸を購入し、賃貸物件として貸し出すことで、家賃収入として賃料を得ます。マンション投資は人気ですが、一棟マンション投資は高額な費用がかかりハードルが高いです。その点、区分マンションは比較的トライしやすい投資といえます。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
区分マンション | 少額の自己資金で始められる 管理の手間が少ない 修繕費が少なくて済む 売買の流動性が高い |
一棟マンションより利回りが小さい 経営の自由度が低い 空室リスクを分散できない |
なお、区分マンション投資については以下の記事で特集していますので、ぜひ参考にしてください。
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一棟アパート・マンション投資のメリット・デメリット
アパートやマンションを一棟単位で購入して、賃貸収入や売却収入を得る手法です。一棟まるごとの投資となるので、自己資金が多くかかりますが、その分リターンも大きく見込めます。もちろんリスクも大きいので、取り組む際は関連知識を学ぶ必要があるでしょう。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
一棟アパート 一棟マンション |
資産価値が高い 空室リスクが分散できる 経営の自由度が高い 利回りが大きい 収益額が大きい |
失敗した際のダメージが大きい 元手が大きくかかる 売買の流動性は低い |
一棟アパート・マンション投資に関しては以下の記事で詳しく取り上げています。ぜひそちらもご覧ください。
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REIT投資のメリット・デメリット
運営会社が投資家から資金を集め、マンションやオフィスビル、テナントなどの不動産を購入して運用し、収益を投資家に分配する手法です。法的には投資信託の1種となり、2001年から証券取引所で取引が行われるようになりました。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
REIT | 少額から始められる 分散投資ができる 証券市場で自由に取引できる 物件運用をプロに任せられる |
運営会社の倒産リスクがある(元本保証がない) 相場が激しく変動する |
不動産小口化商品のメリット・デメリット
特定の不動産を小口に分けたものを1口数万〜100万円程度で購入し、購入額に応じた賃料収入や売却益の配当を受ける商品です。形式としては、同じ不動産に共同出資するので「共同出資型不動産」とも呼ばれます。
単独では手が出せないような高額物件でも、小口化してあれば投資参加のハードルはかなり下がるでしょう。少額で始められ、REITと違って不動産オーナーになる商品もあり、相続対策にもなります。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
不動産小口化商品 | 現物不動産のオーナーになれる プロが選んだ物件に投資できる リスクを分散できる 管理の手間がかからない 相続対策になる |
ローンが使えず自己資金が必要 元本保証がない まだ普及途上で選択肢が少ない |
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戸建て投資のメリット・デメリット
戸建て住宅を賃貸することで、継続的に賃貸収入を得る手法です。一定期間賃貸経営をした後に売却する利益まで見込んで投資するケースが一般的といえるでしょう。
特に中古の戸建て物件は市場価格が低いので、初期投資を抑えることも可能です。築年数やエリア、面積にもよりますが、安い戸建てなら土地も含めて数百万円で投資を開始できるケースもあります。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
戸建て | 入居者に長期利用される傾向がある 修繕積立や管理組合費がない 駅近でなくともマイホーム需要がある 自由にリノベ・リフォームができる |
物件によってはローンが受けられない リスクが分散できない 修繕等が高い場合がある |
一棟ビル投資のメリット・デメリット
事務所や店舗などのテナントが入る商業系や事業系ビルを購入し、賃貸収入を得る投資です。一棟投資でもマンションやアパートに比べて、ハイリスク、ハイリターンな投資のため、その他の不動産投資と比較すると、不動産業者や専業の管理業者などプロが行っている印象があります。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
一棟ビル | 原状回復費はテナント負担 住居よりも高い賃貸料が得られる 住居よりも高い保証金・敷金が得られる |
景況に賃料変動が左右されやすい 融資審査が通りにくい 住居よりも空室リスクが高い バリューアップコストが多額になる |
シェアハウス・民泊投資
シェアハウスとは、一軒の家を複数の利用者に分け合って使ってもらい、賃貸収入を得る賃貸投資のことです。民泊とは、住居の一部または全部を旅行者の宿泊用に提供することです。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
シェアハウス 民泊 |
多様なニーズで集客できる空室リスクが少ない 他の賃貸手法より賃料を増やせる |
管理に手間がかかる 入居者同士や近隣とのトラブルが起こりがち 物件探しが難しい |
駐車場・駐輪場投資
使っていない土地を活用して駐車場や駐輪場にして、利用料の収入を得る方法です。ビジネスモデルができ上がっている専業の業者にある程度委託できるので、アパートやマンション経営に比較して格段と手軽に始められます。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
駐車場・駐輪場 | 土地面積が狭くてもできる初期費用が少ない 短期間で監視できる 安定収入が見込める |
場所によって収益が左右される 税金面での優遇が少ない |
トランクルーム投資
トランクルーム投資とは、建物の内部をパーテーションで仕切って簡易型の個室にし、トランクルームとして賃貸して収入を得る手法です。建物さえあれば、少々古くても小規模なリフォームでトランクルームとして賃貸可能です。ガレージにコンテナを並べるコンテナ・トランクルームもあります。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
トランクルーム | 利回りが高い ランニングコストが少ないトラブルが少ない さまざまな土地を有効活用できる |
大きな収益は望みにくい 集客が難しい 都市計画法で用途地域に制限がある |
まとめ
不動産投資には4つの目的があり、主に9つの種類があることを紹介しました。それぞれの投資のやり方で必要な自己資金の程度や利回り、空室リスクやリターンの大きさなど、さまざまに異なります。不動産投資を検討している皆さんは、使える自己資金額や目的などを明確にして、種類の選択を慎重に行いましょう。
監修者
魚角 幸正
- 資格
- 宅地建物取引士
- 略歴
- 大手ハウスメーカーにて従事した後、不動産会社で土地の仕入れに携わる。建築知識と経験を活かした不動産売買にまつわる問題解決を得意としている。

監修者
赤井 祐貴
- 略歴
- 大手通信会社にて経理、経営企画、事業会社投資を担当。2019年より不動産会社の経営企画部にて計数管理、アライアンス企画、事業開発、M&A等に携わっている。
