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【2023年版】土地を売るときに知っておきたい税金の計算方法と節税対策

【2023年版】土地を売るときに知っておきたい税金の計算方法と節税対策

土地を高額で売却しても、売却にはさまざまな出費が発生します。そのため、売却価格の全額が手元に残ることはありません。具体的には、仲介する不動産会社への仲介手数料や司法書士への報酬などがかかります。それらの中でもとくに注意が必要なのは、各種の税金です。

ここでは売却の金額などによって税額が変わる3種類の税金について解説します。とくに金額が大きくなる譲渡所得税の計算方法や税率、納めるタイミングと節税のためのポイントを解説するため、参考にしてください。

ポイント

  1. 土地を売るときはさまざまな税金が発生することに注意が必要
  2. とくに税額が大きくなる譲渡所得税とは、所得税および住民税のことをいう
  3. 節税するために状況に応じて利用できる特別控除は積極的に利用しよう
目次

土地を売るときにかかる税金の種類と概要

土地売却の税金1.jpg

土地を売る時に発生する税金は、主に次の3種類です。

  1. 譲渡所得税
  2. 印紙税
  3. 登録免許税

売却後に手元に残る資金を正確に把握するには、これら税金の概要を正しく知っておくことが大切です。

ここでは、この3種類の税金の概要を解説します。

譲渡所得税

土地を買ったときにかかった費用(取得費用)と売却にかかった費用(譲渡費用)の合計よりも高い金額で売却するときに得られる差額を「譲渡所得」といいます。この譲渡所得にかかる税金が「譲渡所得税」です。譲渡所得税は、取得費と譲渡費用の合計が売却金額を上回る場合は発生しません。

譲渡所得税とは、譲渡所得にかかる「所得税」と「住民税」をまとめた呼称です。税額を計算するときの税率は、売却する土地の所有期間によって変わります。また給与所得など他の所得と合算せず、単独の金額だけで計算される分離課税として取り扱われるため、税額は比較的シンプルに計算できるのが譲渡所得税の特徴です。

印紙税

「印紙税」は、土地の売却にあたり売買契約書に記載する契約金額(土地の売却金額)に応じて発生する税金です。発生するのは原則として次の表の「本来の税額」ですが、契約締結日が平成26年4月1日から令和6年3月31日の売買契約については軽減税率が適用され、表の「軽減税率の税額」が発生します。

契約金額 本来の税額 軽減税率の税額
1万円未満 非課税 非課税
1万円超 10万円以下の場合 200円 200円(軽減税率の対象外)
10万円超 50万円以下の場合 400円 200円
50万円超 100万円以下の場合 1,000円 500円
100万円超 500万円以下の場合 2,000円 1,000円
500万円超 1,000万円以下の場合 10,000円 5,000円
1,000万円超 5,000万円以下の場合 20,000円 10,000円
5,000万円超 1億円以下の場合 60,000円 30,000円
1億円超 5億円以下の場合 100,000円 60,000円
5億超 10億円以下の場合 200,000円 160,000円
10億円超 50億円以下の場合 400,000円 320,000円
50億円を超えるもの 600,000円 480,000円

出展:国税庁 不動産売買契約書の印紙税の軽減措置 

登録免許税

「登録免許税」とは、売却する土地についている権利の登記や抹消登記にかかる税金のことです。

土地の売却には、土地の所有権を変更する「所有権移転登記」と「抵当権の抹消登記」が必要です。売り手はこのうち抵当権の抹消登記にかかる登録免許税のみを負担し、所有権移転登記にかかる登録免許税は買い手が負担します。

抵当権は、土地の購入に必要な資金を得るため、金融機関で契約した住宅ローンなどで発生する権利です。契約者が返済できなくなったとき抵当権を設定しておけば、金融機関は土地を差し押さえることができます。抵当権抹消登記にかかる税額は、土地1筆あたり1,000円です。

抵当権抹消の手続きは煩雑なため、司法書士に依頼するのが一般的です。依頼する場合、司法書士への報酬などが発生するため、税金とは別に目安として3万円程度が加わります。

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譲渡所得税の計算方法と特例

土地売却の税金2.jpg

土地の売却で発生する3種類の税金のうち、譲渡所得税は高額になることが多いです。譲渡所得税は、売却で得た収入に対してではなく、売却で得た収入から必要経費を差し引いた金額(譲渡所得)に税率をかけて求めます。そのため、正確に計算するには譲渡所得の計算方法も正しく把握することが大切です。

ここでは、譲渡所得税の計算に必要な譲渡所得の計算方法と譲渡所得税の特別控除、税率について解説します。

譲渡所得の計算方法

譲渡所得は、次のような式で表現できます。

譲渡所得
=土地の売却代金ー(土地の購入代金+土地の購入にかかった費用+売却にかかった費用)

土地の購入代金には、購入の際に締結した売買契約書の金額を用います。購入や売却にかかった費用として認められるのは、それぞれ主に次のとおりです。

土地の購入時 仲介手数料、登録免許税、不動産取得税 など
土地の売却時 仲介手数料、印紙税、測量費用、建物の取り壊し費用 など

土地の購入代金であれば、契約書を見ればわかるでしょう。しかしかかった費用は、あまりに以前の取引だとわからない場合もあります。

購入にかかった費用が明確な場合

売却する土地の購入にかかった費用が明確なときは、その事実に則って譲渡所得が計算できます。

たとえば土地の売却代金が3,000万円、購入代金が2,200万円、土地の購入にかかった費用が250万円、売却にかかった費用が350万円の場合の譲渡所得は、次の計算式の通り200万円です。

3,000万円ー(2,200万円+250万円+350万円)=200万円

購入にかかった費用が不明な場合

売却する土地の購入にかかった費用が不明な場合は、概算として売却代金の5%を取得費とみなすことが認められています。先の例でいうと概算の取得費は150万円となるため、譲渡所得の金額は次の計算の通り300万円です。

3,000万円ー(2,200万円+150万円+350万円)=300万円

概算の取得費は、実際にかかった費用に比べ低い金額になることが多いでしょう。そのため、譲渡所得税を低く抑えたいのであれば、できる限り取得費がわかる書類を探して金額を確認するのがオススメです。

特別控除の適用

譲渡所得は、一定の要件を満たすことで法的に金額を減らせる「特別控除」を受けられる場合があります。2023年5月現在、土地の売却に関して適用可能なケースは以下の通りです。

  1. 公共事業などのために土地や建物を売った場合
  2. マイホーム(居住用財産)を売った場合
  3. 被相続人の居住用財産(空き家)を売った場合
  4. 特定土地区画整理事業などのために土地を売った場合
  5. 2009年および2010年に取得した国内にある土地を譲渡した場合
  6. 農地保有の合理化などのために土地を売った場合
  7. 低未利用土地等を売った場合

どれも適用するには、それぞれに定められた条件を満たす必要があります。譲渡所得税を正確に計算するためにも、事前に適用できる特別控除をよく調べておきましょう

特例控除については後ほど「土地を売るときの節税ポイント」の章で詳しく解説します。

譲渡所得の税率

譲渡所得が分かれば、あとは税率をかけることで譲渡所得税が判明します。しかし譲渡所得税の税率は、土地の所有期間に応じて2種類(長期譲渡所得・短期譲渡所得)に分けられ、大きく異なることには注意が必要です。

  所有期間5年以下の場合(短期譲渡所得)の税率 所有期間5年超の場合(長期譲渡所得)の税率
所得税率 30.63% 15.315%
住民税率 9% 5%
合計 39.63% 20.315%

ここでいう所有期間とは、土地を取得した日から売却した年の1月1日までの年数です。取得した日からの満年数ではありません。たとえば2018年10月1日に購入した土地を2023年10月11日に売却する場合は、所有期間4年とみなされ、税率は合計で39.63%とされます。

長期譲渡所得とみなされるのは、売却が2024年1月1日以降の場合です。短期譲渡所得と長期譲渡所得では、税率が2倍近く変わります。できるだけ節税したいなら、売却のタイミングもよく見極める必要があるでしょう。

参考:国税庁「No.1440譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)」 

土地を売るときの節税ポイント

土地売却の税金3.jpg

印紙税や登録免許税は金額が定められているため、原則として節税することはできません。しかし譲渡所得税には、その計算の元となる譲渡所得を控除するしくみがあります。これが、特例控除です。

ここでは、土地を売却する状況ごとに適用できる特例控除について解説します。

自宅の売却で使える特例控除

自宅を含む土地を売却する際には、まず所有期間に注目します。売却した年の1月1日時点で所有期間が5年を超えていれば、所得の分類は長期譲渡所得です。譲渡所得税の税率は所得税と住民税を合わせて20.315%に軽減されます。

一方、5年未満であれば所得の分類は短期譲渡所得です。税率は合わせて39.63%であり、長期譲渡所得と比べると2倍近くになります。売却する時期は、どちらに分類されるかを見極めて決めることが重要です。

特例控除として、自分が住んでいる家もしくは土地(居住用財産)の売却の場合、長期・短期の所有期間に関わらず、譲渡所得から3,000万円が控除できる特例があります。ただしそのためには、取り壊しから1年以内に売買契約を締結する、空き家になってから3年目の年末までに売却するといった要件を満たさなくてはなりません。 また、親族間や内縁での売買契約、この特例を受けることだけを目的とした住居や仮住まい、別荘などは対象外となります。

自宅を売却するときは、必ず要件が当てはまるかどうか確認をしましょう。

参考:国税庁「No.3302 マイホームを売ったときの特例」

相続した土地の売却で使える特例控除

土地を相続して相続税を納めた場合は、その土地を3年以内に売却すると節税できます。これは、売却したときの譲渡所得の計算に、相続税を加算できる特例です。(相続財産を譲渡した場合の取得費の特例)

さらに土地に自宅が立っている場合は、2023年12月31日までにその土地の売却が完了すれば、譲渡所得から3,000万円の特例控除も適用できます。(被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例)

参考:国税庁「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」
国税庁「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」

事業目的などの売却で使える特例控除

土地の売却目的が公共事業や土地区画整理事業など特定の事業である場合には、目的に応じて次のような特別控除も適用できます。

  1. 公共事業:5,000万円の特別控除
  2. 特定土地区画整理事業等:2,000万円の特別控除
  3. 特定住宅地造成事業等:1,500万円の特別控除
  4. 農地保有の合理化等:800万円の特別控除
  5. 2009年に取得した土地を2015年以降に売却:1,000万円
  6. 2010年に取得した土地を2016年以降に売却:1,000万円

ただし、これらの特別控除を利用するには、確定申告が必要です。

参考:国税庁「No.3223 譲渡所得の特別控除の種類」 

土地を売るときの税金シミュレーション

土地売却の税金4.jpg

土地を売却するときの税金や控除のしくみがわかっても、いざ実際に計算しようとすると、これでいいのか、間違っていないか不安に感じるかもしれません。

ここでは、2023年5月31日に土地を400万円で売却した場合と6,000万円で売却した場合を例にあげます。それぞれ発生する税額について、確認してみましょう。

まずは、土地を400万円で売却したケースです。

【譲渡所得が320万円の場合】

  所有期間5年未満の場合の税額 所有期間5年以上の場合の税額
譲渡所得 126万8,160円(39.63%) 65万80円(20.315%)
印紙税 1,000円 1,000円
合計 126万9,160円 65万1,080円

【譲渡所得がゼロの場合】

  税額
譲渡所得 0円(320万円-3,000万円=▲2,680万円)
印紙税 1,000円
合計 1,000円

【譲渡所得が320万円で、特別控除3,000万円を適用した場合】

  税額
譲渡所得 0円(320万円-3,000万円=▲2,680円)
印紙税 1,000円
合計 1,000円

次に、土地を6,000万円で売却したケースです。こちらでは、印紙税がアップすることがわかります。

【譲渡所得が5,100万円の場合】

  所有期間5年未満の場合の税額 所有期間5年以上の場合の税額
譲渡所得 2,021万1,300円(39.63%) 1,036万650円(20.315%)
印紙税 3万円(軽減税率) 3万円(軽減税率)
合計 2,024万1,300円 1,039万650円

【譲渡所得がゼロの場合】

  税額
譲渡所得 0円
印紙税 3万円
合計 3万円

【譲渡所得が5,100万円で、特別控除3,000万円を適用した場合】

  所有期間5年未満の場合の税額 所有期間5年以上の場合の税額
譲渡所得 832万2,300円
(5,100万円ー3,000万円=2,100万円の39.63%)
426万6,150円
(5,000万円ー3,000万円=2,100万円の20.315%)
印紙税 3万円 3万円
合計 835万2,300円 429万6,150円

土地の税金を払うタイミング

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土地を売却すると、売買契約で発生する印紙税、譲渡所得が発生すれば所得税や住民税といった譲渡所得税を支払わなくてはなりません。それぞれ納めるタイミングは、いつなのでしょうか。

ここではそれぞれの税金を納めるタイミングと、確定申告をしなかった場合について解説します。

印紙税の支払い

印紙税は、売買契約締結時に売買金額に応じて定められた税額分の収入印紙を買い、契約書に貼り付けて割り印を押すことで納めます。譲渡所得の金額は関係ありません。譲渡所得がゼロであっても発生します。

割り印がなければ納めたことにはならない点には、注意しましょう。

所得税の支払い

土地などの不動産を売却して譲渡所得が出たときは、確定申告によって税額を税務署に届け出ます。確定申告の会計期間は、毎年1月1日から12月31日までの1年間です。所得税は、その間の事業の結果を申告するのと同時に納めます。

納付場所は、管轄の税務署または金融機関です。

住民税の支払い

住民税は、確定申告の内容によって税額が決まります。そのため、とくに申告する必要はありません。確定申告した年の5月以降に管轄の市町村から届いた納付書を使えば、指定の金融機関やコンビニなどで納められます。

原則として現金で納めますが、自治体によってはクレジットカードや電子マネーなどで支払える場合もあるようです。また一括払いだけでなく、4期に分けて納付することもできます。

確定申告をしなかった場合

もし譲渡所得があったにもかかわらず、確定申告しなかった場合は、納付しなくてはならなかった税額に追加して、無申告加算税が課せられます。

無申告課税は、本来納めるはずだった税額によって税率が変わる税金です。税率は50万円までであれば15%、50万円を超える場合は20%となります。

税額が高いほど高額になるため、適切な確定申告を行い、譲渡所得税を納めることまで予定に含めて売却計画を立てる必要があるでしょう。 詳しくは以下の記事で解説していますので、あわせてお読みください。

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まとめ

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土地を売ると売却した代金が手に入り、仲介手数料を含めたさまざまな支出が発生します。その1つが税金です。土地の売却によって発生する税金には、譲渡所得税や印紙税、登録免許税などがあります。なかでも譲渡所得税は金額が大きく、状況によって変わることがあるので注意が必要です。

また譲渡所得税には、計算の元になる譲渡所得を控除するしくみもあります。控除できる金額は土地の所有期間や入手した状況、売却目的などによって変わるため、事前によく調べておくことが大切です。

土地売却にまつわる税金のしくみは複雑で、正しく把握するのは容易ではありません。関連する情報を集めて調べ、不動産業者や税理士、司法書士といった専門家へ相談するなどして、少しでも納得のいく売却を目指しましょう。

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監修者

杉田 裕蔵

東京を中心に、20年以上アパート・マンション建築賃貸業界に従事。
現場に密着した営業経験と建築知識、不動産知識を活かして業務に携わっている。

不動産投資家Kでは無料相談を承っております!

不動産投資家Kとその仲間たちでは、「アパート経営の事業規模を拡大させたい」「管理が大変なので、土地を売却したいと思っている」「アパートの管理が大変なので、管理委託を検討したい」など、土地・建物のさまざまなご相談を承っております。

大切なあなたやあなたの家族の資産を有効に活用出来るよう、お気軽にご相談ください!

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