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建築資材高騰はいつまで続く? 高騰の要因8つを解説【2024年最新】

建築資材高騰はいつまで続く? 高騰の要因8つを解説【2024年最新】

建築資材の高騰に頭を悩ませている不動産投資家も多いでしょう。建築資材はさまざまな要因で高騰しており、解決もすぐには期待できないため、今後も高騰が続くと予想されます。今回の記事では建築資材高騰の要因や過去の推移、今後の見通しについて解説します。

購入検討チェックリスト

ポイント

  1. 建築資材の高騰は、円安やウッドショックなど主に8つの要因がある
  2. 高騰の要因がすぐに解消することは難しく、今後も高騰が続く見込み
  3. 不動産投資をする際には、補助金を活用した新築や中古物件購入が有効
目次

建築資材の高騰8つの要因

建築資材高騰1

ウッドショックやウクライナ情勢などの影響を受け、建築資材が高騰しています。建築資材が高騰している要因は、主に次の8つです。

  1. ウッドショック
  2. アイアンショック
  3. ウクライナ情勢
  4. 半導体不足
  5. 円安
  6. ガソリン代・電気代(光熱費)の高騰
  7. コンテナ料金上昇
  8. 労務費の高騰

それぞれの内容について、解説していきます。

ウッドショック

建築資材高騰の要因の1つが、ウッドショックです。ウッドショックとは木材が不足し、木材価格が高騰している現象をいいます。

新型コロナウイルスの蔓延による在宅勤務の増加と低金利政策の影響で、アメリカでは住宅建築の需要が高まりました。その後、中国でも、経済回復に伴い木材の需要が増加するなど、世界的に建築用木材の需要が増えたことにより、日本に木材が入らなくなり、木材価格が高騰しました。

参考:経済産業省 新型コロナがもたらす供給制約;ウッドショックの影響

アイアンショック

資材高騰の2つ目の理由が、アイアンショックです。新型コロナウイルスの影響で鉄の需要が減り価格は一時落ち込みましたが、ウッドショックと同じ理由で住宅需要の高まりや経済の回復傾向を受け、鉄の需要も急増しました。そのため鉄の供給が追いつかず、価格が急騰している現象がアイアンショックです。

建築における鉄の需要は幅広く、住宅だけではありません。ビルや工場などの多くの建築に利用されるため、建築資材の価格に与える影響は大きいといえます。

ウクライナ情勢

2022年2月に始まった、ロシアによるウクライナ侵攻も建築資材高騰に大きな影響を与えています。ロシアは木材や天然ガスなどの、世界有数の輸出国です。日本もロシアから資材を輸入しており、製材にしめるロシアからの輸入量は16.0%と少なくありません。

建築資材をロシアからの輸入に頼らざるを得ない状況の中で、ロシアは侵攻により各国から経済制裁を受けました。これに反発したロシアは、日本を含む非友好国への輸出の制限を行いました。ロシアからの輸入が減少するだけでなく、世界的な木材不足が発生し他の生産地の木材価格も上昇しています。

新型コロナウイルスによって起きたウッドショックも重なり、ロシアによるウクライナ侵攻が木材をはじめとした建築資材の急騰要因となっています。

参考:林野庁 木材貿易に関するお知らせ ロシアによる「非友好国」に対する一部木材輸出禁止

半導体不足

半導体が不足していることも、建築資材高騰の要因です。半導体と建築資材は一見関係ないように見えるかもしれませんが、半導体は多くの製品に使われています。エアコンや給湯器、床暖房など住宅設備にも半導体が必要であり、価格高騰の要因といえるでしょう。

半導体が不足している理由は、アメリカと中国の貿易摩擦です。2019年にアメリカは中国に対して経済制裁を行い、中国製の半導体の輸入量が大幅に減少しました。さらに新型コロナウイルスによる生活様式の変化により、ノートパソコンやテレビなどの重要が高まりました。

そのため日本に限らず世界的に半導体が不足しており、価格が上昇しています。コロナ禍で経済の見通しが立てにくく、半導体メーカーが増産に足踏みしたことも要因の1つといえるでしょう。

参考:METI Journal 半導体って何?~知っておきたい経済の基礎知識

円安

為替が歴史的な円安に推移していることも、建築資材高騰に影響しています。2024年3月には1ドル151円97銭という、34年ぶりの大幅な円安水準を記録したことも話題となりました。円安になれば輸入品の価格が上昇するため、建築資材の多くを輸入している日本への影響も大きいでしょう。

林野庁の発表では、令和4年度の建築用材の自給率は49.5%とされています。つまり建築に使用する資材の約半分を輸入しており、輸入品がなければ建築ができないと言えるでしょう。大半を輸入しているため、円安による影響は大きく、建築資材高騰の要因となっています。

参考:林野庁 木材需給表(令和4年)

ガソリン代・電気代(光熱費)の高騰

原油価格の高騰によるガソリン代や電気代の値上がりも建築資材高騰の要因といえるでしょう。建物の建築には資材の製造や輸送、現場の重機など、さまざまな場面で多くのエネルギーが必要です。そのためガソリン代や電気代は、建築資材の価格に大きな影響を与える要因となります。

光熱費の上昇は、私たちの生活に影響を及ぼすのと同様に、企業運営にも影響します。こうした影響が資材単価にも転嫁され、さらに資材高騰につながっています。

コンテナ料金上昇

コンテナ料金が上昇していることも、建築資材高騰の要因といえるでしょう。新型コロナウイルスの蔓延により、多くの方がステイホームを行いました。その一方でネット通販などの取引が活性化し、物流の需要が高まりました。

物流需要の増加により物流に必要不可欠なコンテナ料金も上昇し、建築資材を輸入するための運輸費が上がっていることにより、資材そのものの価格も影響を受けています。

参考:経済産業省 コンテナ不足問題に関する連携の促進に向けて関係者による情報共有会合を開催しました

労務費の高騰

これらの世界情勢の影響に加えて、日本では、人材不足による労務費高騰の影響もあります。建築業界では職人不足がかねてから大きな課題となっており、労務単価は年々増えています。人材不足による労務費の上昇が、建築費高騰の要因の1つとなっています。

出典:国土交通省 令和6年3月から適用する公共工事設計労務単価について

建築費の推移

建築資材高騰2

建築資材の高騰は、1960年以降続いています。国土交通省が発表している、建築費の指標である、「建設工事費デフレーター」を見てみましょう。建設工事費デフレーターとは国内の工事費全般を基準年度の実質額に変換したものです。

建築資材高騰3

出典:国土交通省 建設工事費デフレーター

基準年度である2015年度を100とした場合の、木造住宅における建築価格の推移は上記の通りです。長期的な推移を見ると、建築価格は上昇が続いていることがわかります。しかし、1980年以降は上昇幅が小さくなり、毎年緩やかな上昇が続いていることがわかるでしょう

ではなぜ今建築資材の高騰が話題になっているのでしょうか。建築資材の短期的な推移を見てみましょう。

建築資材高騰4

出典:国土交通省 建築工事費デフレーター

上記は2000年以降の木造住宅と非木造(鉄骨など)の建設工事費デフレ―ターの推移です。上記のグラフを見るとコロナウイルスの蔓延が本格化した2020年以降から、急激に価格が上がっていることがわかります。

日本における建築費はこれまでも長く上昇を続けていますが、ここ数年の上昇幅は2000年以降で最大といえるでしょう。

いつまで続く?今後の動向

建築資材高騰5

建築費の高騰は、今後も続くことが予想されます。建築資材高騰の要因である、ウッドショックや半導体不足、円安やウクライナ情勢などは、すぐに解決できるわけではありません。また、多くの要因が複合的に絡んで建築資材が高騰しているため、1つの要因が解消しても価格へは影響しにくいでしょう。

仮にすべての問題が解消したとしても、すぐに木材などの市況に変化が現れるわけではありません。また円安や原油価格などは経済的な要因で常に価格が動くため、一時的に解消したとしても安心できません。このように多くの要因が原因で価格が高騰しているため、今後も高騰が続くでしょう。

建設業の2024年問題

建築費の高騰にさらに影響を与えるといわれているのが、建設業における2024年問題です。2024年問題とは、2024年4月1日から建設業に時間外労働の上限が適用されることをいいます。残業規制が適用されることで人手不足が深刻化し、人件費が上昇するでしょう。

建築費には資材価格だけでなく、人件費も含まれます。今後も建築資材の高騰に加えて、建設作業員の人件費高騰が予想されます。2024年問題も今後の建築費上昇の要因の1つです。

参考:厚生労働省 適用猶予業種の時間外労働の上限規制特設サイト「はたらきかたススメ」
日本経済新聞 建設業2024年問題

物流の2024年問題

2024年問題の影響は建設業だけではありません。

建設業と同様に、2024年4月からトラックドライバーに時間外労働の上限が適用されます。労働時間の短縮により輸送能力が不足し、ものが運べなくなる可能性が懸念されており、これは物流の2024年問題といわれています。

営業用トラックの輸送能力が2024年には14.2%不足するという試算もあり、配送費の上昇・日時指定ができない・再配送に時間がかかるなどの可能性が指摘されています。

出典:公益社団法人全日本トラック協会 知っていますか?物流の2024年問題

これにより、建設現場においても、原価上昇や工程遅延などの影響が懸念されています。

2050年カーボンニュートラル実現に向けた「温室効果ガス46%減」

2024年4月から、建築物の省エネ性能表示制度が始まります。これは、販売・賃貸事業者が建築物の省エネ性能を広告等に表示することで、消費者が建築物を購入・賃借する際に、省エネ性能の把握や比較ができるようにする制度で、住宅・建築物を販売・賃貸する事業者は省エネ性能ラベルの表示が努力義務となります。

日本は現在、2050年温室効果ガスの排出をゼロにするカーボンニュートラルの実現と2030年度温室効果ガス46%削減を目指すことを表明しています。住宅・建築物はCO2排出量全体の約3分の1を占めることから、住宅・建築物のエネルギー消費・CO2排出の削減が求められており、この制度は目標達成に向けた動きの1つです。

省エネ性能表示は努力義務ではあるものの、大手ハウスメーカーではZEHを標準化する動きがあるなど、今後省エネ性能の低い住宅は淘汰され、より省エネ性能の高い住宅が求められる流れが加速する可能性は十分にあります。今後、省エネ性能の高い住宅の建築に向け、省エネ基準を満たした断熱やエアコン、給湯器などの商材を採用するようになると、建物のグレードアップに伴い建築価格もあわせて上がることになるでしょう。

参考:国土交通省 建築物省エネ法に基づく建築物の販売・賃貸時の省エネ性能表示制度
環境省 脱炭素ポータル
全国賃貸住宅新聞 投資用ZEH物件の開発加速

鉄骨・木材の今後の動向

2024年に入り、鋼材大手3社が2024年4月からの鋼材値上げを発表しています。これにより、鉄骨造・RC造の建築物は特に高騰する見込みとなっています。アイアンショック以降、引き続き、右肩上がりの状況が続きます。

出典:インデックス株式会社 高騰する鋼材価格の動向|建設市場レポート 2022年11月版

一方で、木材はウッドショックにより急騰しましたが、2021年秋ごろから価格は落ち着いてきています。円安や原油価格高騰を受け、資材各社は値上げを希望するものの、戸建て住宅需要の急激な落ち込みにより木材が余っている状況から値上げができない状況といえます。また、マイナス金利解除から金利上昇を考慮すると、今後も戸建て住宅の需要は伸びにくいと予想され、鉄骨と比較すると価格高騰は少なくなる見込みです。

出典:林野庁 木材輸入に関する情報

これら状況を踏まえると、2024年は、鉄骨系よりも木造系の方が高騰の影響は少ないといえるでしょう。

参考:日本経済新聞 JFEスチール全鋼材を値上げ 4月から10%程度
日鉄鋼板、建設用鋼材を5〜10%値上げ資材高を反映
日本製鉄、薄鋼板5%値上げ 一般向けで1年9カ月ぶり

不動産投資物件への対応策

建築資材高騰6

建築資材の高騰は、不動産投資の効率を悪くします。対応策としては中古物件を購入したり、リフォームを活用したりする方法があります。また省エネなどの補助金を活用するのも、よい方法でしょう。それぞれの対応策について、紹介していきます。

中古物件を購入する

建築資材の高騰は、とくに新築物件に大きな影響があります。しかし、中古物件であれば、新築物件ほどは資材高騰の影響を受けない場合が多いでしょう。

中古物件は、未完成物件の新築と異なり、完成した物件を実際に見て選べます。また、すでに入居者が入っているため、これまでの稼働実績がわかる点もメリットでしょう。満室稼働している物件であれば、新築物件と比較して収入を受け取るタイミングも早いです。

しかし、中古物件は新築物件と比較して、修繕費用などが高くかかり、築年数によっては大規模な修繕工事が必要になる場合もあります。そのため中古物件の購入には、物件を見極めることができる経験が重要です。場合によっては、不動産会社などプロの意見も聞いて、慎重に検討する必要があるでしょう。

リフォーム・リノベーションする

すでに不動産投資を行っている場合、新たに物件を購入するのではなく、既存物件をリフォーム・リノベーションする方法もあります。リフォームして物件のデザインや性能などを高めることで、入居者の賃料を上げられれば投資の効率も高まるでしょう。

しかし、リフォーム・リノベーションが建築資材高騰の影響をまったく受けないわけではありません。リフォームの内容によっては建築資材も多く必要になるため、価格に影響が出る場合もあるでしょう。リフォームを行う場合は、費用対効果を意識することが大切です。

リフォームによってどれくらい賃料が上げられるか、空室を埋められるかをしっかりと検証することが重要です。

あわせて読みたい

省エネ対応物件の補助金を活用する

アパートなどの投資用不動産を新築する際には、補助金を活用することで費用を抑えられます。省エネ性能などの基準を満たすことで、国や自治体から補助金を受け取れる制度は多数あります。その中でも代表的な制度は下記のとおりです。

制度名称 概要 金額
地域型住宅グリーン化事業 認定長期優良住宅や、ゼロ・エネルギー型住宅などの対象となる木造住宅 最大140万円
長期優良住宅化リフォーム 既存住宅の長寿化や、省エネ性能を向上させるためのリフォーム、子育て世帯の改修などが対象 最大160万円/戸
子育て支援型共同住宅推進事業 子どもの安全や、子育て期の親同士の交流が生まれるような住宅の新築・改修 最大500万円/棟

参考:地域型住宅グリーン化事業(評価)補助事業の概要
国土交通省 長期優良住宅化リフォーム推進事業
子育て支援型共同住宅サポートセンター 子育て支援型共同住宅推進事業

このような補助金を活用することで、新築やリフォームに関するコストを削減できます。ここで紹介している補助金は一部であり、各自治体などが独自の制度を行っています。制度の内容を理解してうまく活用することで、建築資材高騰の影響を和らげられるでしょう。

東京ゼロエミ住宅

数ある補助金制度の中でも注目されているのが、東京ゼロエミ住宅助成事業です。ゼロエミとは「ゼロエミッション」の略です。エミッションは「排出物・放出物」という意味であり、二酸化炭素や温室効果ガスなどを指します。

具体的には高い断熱性能の断熱材や窓を用いたり、太陽光発電や蓄電池などを導入したりすることで、二酸化炭素などの排出を減らし、ゼロエミッションを目指すものです。東京ゼロエミ住宅に該当すれば、集合住宅であれば最大170~200万円の助成金のほか不動産取得税の減免を受けることができます。

参考:東京都環境局 「東京ゼロエミ住宅」とは?

ADIなら170万円/戸の助成金仕様で建築できます!

ADIでは、東京ゼロエミ住宅で水準3の建築助成金170万円/戸の仕様に対応しています。

東京都に土地をお持ちの方、土地の購入をお考えの方は、まずは無料シミュレーションからお気軽にお問い合わせください。

住宅省エネ2024キャンペーン

2024年に注目の補助金制度として「住宅省エネ2024キャンペーン」があります。このキャンペーンは、2050年カーボンニュートラルの実現に向け、家庭部門の省エネを強力に推進するため、住宅の断熱性の向上や高効率給湯器の導入等の住宅省エネ化を支援する4つの補助事業の総称です。2023年にも同様のキャンペーンはありましたが、2024年版ではさらに「賃貸集合給湯省エネ2024事業」が新たに追加され、予算と補助金の支給額が大幅に増額されました。

参考:子育てエコホーム支援事業事務局 住宅省エネ2024キャンペーン

まとめ

建築資材高騰7

建築価格の高騰は、ウッドショックや半導体不足、円安や原油価格の高騰などが影響しています。日本の建築費は長期的に見ると緩やかな上昇が続いていましたが、2020年のコロナウイルス以降急激に上昇しています。そして価格上昇は、今後も続くでしょう。

説明してきたように価格上昇の要因をすぐに解決するのは難しく、また解決しても価格に反映するには時間がかかることが予想されます。建築資材高騰の中で不動産投資を行うには、新築よりも利回りが高い中古物件を購入して各種補助金を活用したリフォームを検討したり、東京ゼロエミを最大限に活用した新築物件を検討したりするのがおすすめです。実際にこの東京ゼロエミ住宅で水準3の建築助成金170~200万円/戸の補助金を取得できれば、建築資材高騰分を差し引いても大きな利益を得ることが可能です。

中古物件にせよ、新築物件にせよ、まずは専門家へ相談することをおすすめします。

監修者icon

監修者

1級施工管理技士

釜塚 伸幸

建築業界に30年以上勤務し、現在は不動産会社で建築資材の仕入れを担当。今まで培ってきた工事経験と建築知識を活かし、品質・価格・納期を念頭において業務に携わっている。取引会社との連係強化を行い、昨今の社会情勢の激変による資材の欠品・遅延、高騰等のリスク管理を行っている。

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