所有しているアパートが老朽化してくると、さまざまなリスクに備えてリフォームや建て替えなどの対応が必要になってきます。この記事では、アパートのリフォームや建て替えについて解説します。
さまざまな老朽化リスクとその対策、費用の目安、リフォームと建て替えどちらが向いているか、その特徴を詳しく解説します。ぜひ参考にしてください。
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ポイント
- アパートが老朽化するとさまざまなリスクがある
- 老朽化リスクの対策にはリフォーム、建て替え、買い替えの3パターンがある
- リフォームか建て替えかを判断するポイントは「予算」と「目的」
アパートの老朽化により想定されるリスク
所有するアパートが老朽化してきたとき、リフォームや修繕などの対策を行うかそのままにするか迷うことがあるでしょう。入居者が入っているから大丈夫と、そのままにしている場合も少なくありません。
しかし、アパートの老朽化をそのままにしていると、「家賃収入低下」や「高額な維持管理費用の発生」、「耐震性や耐久性の不安」などのリスクが生じます。
このような状態では、いずれアパートを相続した子や孫などの相続人が経営に苦労してしまうかもしれません。これらのリスクについて、詳しくチェックしていきます。
入居者が減ることによる家賃収入の低下
老朽化したアパートは、築年数の浅いアパートと比べると魅力のない物件になりがちです。
賃貸物件を探す人たちも、他の築浅の物件を選ぶようになり、稼働率が下がるリスクが増加します。
老朽化した物件に入居者を増やすため、家賃を下げることを考えがちですが、値下げを続ければ、家賃収入が減ってしまうでしょう。
高額な維持管理費用と耐震性の不安
建て替えという、根本的な解決方法を選択しないとしても、アパートの老朽化が進めば設備を修繕する必要がでてきます。修繕を繰り返せば、維持管理のための費用が高くつくことになるうえ、修繕だけでは、建物の老朽化による耐震性や耐久性の不安は解消しません。
アパートの建築時期によっては、大規模な耐震補強工事の必要が生じる可能性もあります。物件の耐震性に不安がある状態のまま経営を続けていると、地震による被害が発生した際、法律上の管理責任(工作物責任)を問われる可能性があります。
アパート老朽化への対策
アパート老朽化への対策には、大規模なリフォーム、建て替え、買い替えなどがあります。それぞれの対策について詳しくチェックしていきましょう。また、リフォームと建て替えについては、メリットとデメリットも解説します。
リフォーム
リフォームとは、老朽化した建物を修繕して状態をよくし、新築の物件に近付けることです。壁紙を交換してきれいな見た目にしたり、古くなった水回りを交換したり、外壁塗装をしたりします。
また、建物を大規模に改装し、新しい機能をもたせたり、価値を上げたりすることを、リノベーションと呼びます。リノベーションでは、最新のニーズに合わせた間取りに変更することも可能です。建て替えよりも費用を抑えつつ新築同等の機能性をもたせることで、同じ築年数の物件の相場より賃料を高く設定できたり、空室が減るなどの価値を与えることができます。
アパートリフォームのメリット
アパートをリフォーム・リノベーションするメリットは、以下のとおりです。
- 物件がきれいになり魅力が増すことにより、入居希望者が増える
- 今までよりも家賃をアップできる
- 退去のタイミングでリフォームをすると、明け渡し費用を抑えられる
- 建て替えよりも費用が抑えられる
- 工期が短くてすむ
使い勝手がよく、ニーズに合った物件にリフォームすることで、入居希望者が増えたり家賃を上げられるようになり、リフォーム・リノベーションにかかった費用を回収できます。ただし、ニーズに合わないリフォームをしてしまうとそのメリットは薄れてしまいかねません。
また、費用回収のために相場よりも家賃を高くしなければならなくなると、入居者がなかなか決まらない可能性があるため、工事費用が高額になり過ぎないよう注意しましょう。
アパートリフォームのデメリット
一方、アパートのリフォームを選択するデメリットは以下のとおりです。
- 修繕が不十分に終わってしまう可能性がある
- 今回リフォームしなかった・できなかった部分について、再度まとまった修繕費が必要となる
- 新築とまったく同等の物件にすることは当然難しく、必ずしも新築並みの賃料にはできない
大規模なリフォームを行い、新しい機器に取り換えた部分があるとはいえ、昔のままの部分には老朽化のリスクが残っています。またしばらくしたら、建て替えやリフォームなどを検討する必要があることに注意しましょう。
アパート建て替えのメリット
アパートを建て替えるメリットは、以下のとおりです。
- 現在のニーズにあわせた物件に建て替えることができる
- 新築の家賃水準に設定できる
- 稼働率の向上を期待できる
- 耐震性や耐久性のリスクや不安を解消できる
- 今ある土地を活用したうえで、新築物件として資産運用できる
- 減価償却による節税効果がある
- 法改正によって床面積を増やすことができる場合がある
リフォームはもとの建物の改修のため、修繕の内容には制限があります。しかし、建て替えの場合は、その時代の需要に合わせて好きなように設計できることがメリットです。
建て替えのデメリット
アパートを建て替えるデメリットは、以下のとおりです。
- リフォームに比べてコストがかかる
- 明け渡し交渉が必要になる
建て替える場合には、新築費用だけでなく、解体費用や明け渡し費用などもかかります。また、現在の入居者全員から同意を得なければならないため、明け渡し交渉が必要なことにも注意しておきましょう。
買い替え
今までのアパートを売却して新たなアパートを購入する、アパートの買い替えも、老朽化対策の選択肢の1つです。
買い替えの際、今までのアパートの売却資金を新しいアパートの購入費用の元手にするケースが多いようです。ただし、老朽化したアパートは売却額が低い可能性があるため、今のアパートの立地が賃貸経営に不向きな場合に、買い替えを検討するとよいでしょう。
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リフォームが向いている場合
たとえば以下のような場合、リフォームが向いています。
- コストを抑えたい
- 所有するアパートの入居率が高い
- 相続の予定がないなど、当該アパートでの経営を長く続けるつもりがない
- 売却や買い替えで長く経営する予定がない
- 基礎部分がまだ劣化していない
- リフォーム・リノベーションにより賃料アップが見込める
リフォームはアパートを延命させるための処置といえます。リフォームを行ったとしても、結局はまたしばらくするとアパートの老朽化について対策しなければなりません。当該アパートでの経営を長く続けるつもりがなく、いずれは売却や買い替えなどを考えている場合には、リフォームが向いているでしょう。
リフォーム費用の目安
どの程度のコストが必要になるのかも、チェックしていきましょう。リフォームに必要となる費用の目安は、以下のとおりです。あくまでも目安ですので、アパートの規模や使用する素材等によって大きく変わります。
<水回りリフォーム>
- トイレの交換費用:10万~30万円
- システムキッチンへの交換費用:50万~100万円
- ミニキッチンの交換費用:28万〜50万円
- ユニットバスの交換費用:40万〜75万円
<内装リフォーム>
- 壁紙の張り替え費用:1,500円前後/平方メートル
- 和室から洋室への変更費用:40万~60万円
- 間取り変更費用:100万~300万円
- フローリング張り替え費用:2万〜6万円/畳
<外装リフォーム>
- 外壁塗装:120万~300万円
<補強工事>
- 耐震補強工事費用:100万~200万円
- 基礎補強工事費用:50万~500万円
リフォームの規模によって異なりますが、一般的に総額は1,000万〜2,500万円ほどの費用がかかるケースがほとんどです。
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建て替えが向いている場合
以下のような場合、建て替えが向いています。
- リフォームよりも高額な建て替えのコストに対応できる
- 買い替えや売却を考えておらず、当該アパートの経営を続けていく
- 基礎部分の劣化に心配がある
- 相続を考えている
ただし、都市計画法や建築基準法の施行以前に建築したアパートの場合、接道義務を満たせず、再建築ができないことがあります。建て替えが向いている場合でも、そもそも建て替えができないケースがあることに注意しましょう。
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建て替え費用の目安
建て替えに必要な費用は以下のとおりです。
<建て替えに必要な費用>
- 工事費用:1,000万~4,000万円
- 諸費用:100万~200万円
- 明け渡し(退去)費用:50万~100万円
このほかに、解体費用や付帯建築費用などがかかります。入居者の引っ越し費用や仮住まいの費用を支払うケースもあるため注意しましょう。
こちらの建て替え費用の項目についてや、費用を抑えるコツについては以下の記事で解説していますので、あわせてご覧ください。
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まとめ
所有するアパートの老朽化をそのままにしていると、入居者が減る(=空室になる)ことによる家賃収入低下リスクに始まり、高額な維持管理費用や耐震性に関するリスクが顕在化してきます。
アパートの老朽化対策としては、大規模なリフォーム、建て替え、買い替えなどがあげられます。それぞれメリットやデメリットが異なるため、しっかりと理解したうえで、どの対策を選択するか判断しましょう。
監修者
宅地建物取引士、第一種衛生管理者
松本 和洋
九州から上京、新卒から今日まで都内を拠点として不動産業界一筋、7年目。バックオフィスからフロントまでさまざまな業務を経験し、現在は既存物件のリニューアル事業に携わっている。
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