不動産所有者が海外移住する際に必要な準備とは?不動産投資の課題と解決策
海外移住を予定していたり、海外赴任の可能性のある賃貸不動産のオーナーにとって、日本国内の賃貸経営や税務対応は大きな課題となります。入居者対応や家賃管理、家賃収入の確定申告などは現地から直接行うことができないため、管理会社への委託や納税管理人の選任が不可欠です。 本記事では、海外に移住・赴任するオーナーが直面するリスクや対応策を解説し、安心して賃貸経営を続けるためのポイントを紹介します。 ポイント ...
不動産投資家K
空地のまま利用されていない土地を「遊休地」といいます。相続した土地の活用方法に悩んで遊休地にしている方もいるのではないでしょうか? しかし、使い道がないからと放置しておくと、リスクになる場合があります。
そこで、今回は遊休地の概要と、土地を放置するリスク、遊休地を活用することで得られるメリット、活用のポイントと手順、について解説します。
遊休地とは、何にも使われず放置されている(遊んでいる)土地のことです。遊休地のなかでも、取得後2年を経過した一定規模の土地は、国土利用計画法で「遊休土地」と指定され、都道府県知事から活用を促され、6週間以内に土地の利用処分計画を提出する必要があります。
土地が放置され「遊休地」となる背景はさまざまです。分割協議で共有名義となっていたり、接道制限で活用が難しかったりと課題を抱えている土地、売りたいときにすぐに売れるように更地にしている土地、何に利用すれば良いか分からず放置されている土地、遠方に住む親族が相続して管理できていない土地、特別な理由はなく放置されている土地などです。
いずれの場合でも、所有者がきちんと管理していない放置された遊休地は、利益を生み出さないだけではなく、さまざまなリスクが発生します。リスクを避けるためにも、遊休地はしっかりと管理することはもちろん、有効活用することをおすすめします。
参考:国土交通省 遊休土地制度
土地には固定資産税や都市計画税が発生します。
固定資産税の標準税率は土地評価額の1.4%、市街化計画区域内の土地に課税される都市計画税は0.3%(上限)です。仮に、2,000万円の評価額の遊休地であれば、固定資産税が28万円、都市計画税が6万円です。これらの税金は、「遊休地」を所有しているだけで発生します。
また、更地には、宅地のように税金の優遇措置がありません。建物を建てたまま放置していたとしても、空き家条件がある地域もあり、更地にしないといけない場合もあります。
土地評価額によっては、必ずしも大きな負担になる金額とは限りませんが、活用していない「遊休地」のためのコストを払い続けることになります。
参考:東京都主税局 「固定資産税・都市計画税(土地・家屋)」
遊休地を管理しないまま放置すると、雑草が生い茂ったり害虫が発生したり、次第に土地が荒れることになります。放置されていることがわかると、ごみの不法投棄や不審者が住み着くなどの問題も起こりやすくなります。
こうした状況になると、近隣住民や関係者に迷惑がかかり、直接苦情が入ったり、行政にクレームが届いたりする可能性もあるでしょう。また、これらのトラブルを解決するための費用が発生する場合もあります。
トラブルを防ぐためには、遊休地の定期的な管理が必要です。雑草の処分や清掃、見回りなど、自身で行うとしても手間がかかりますし、遠方の場合に管理会社に委託するのであれば費用がかかります。
所有者が高齢になれば、さらに管理は負担になるでしょう。遊休地は所有し続けるだけで手間も費用もかかる可能性があります。
何も活用せずに放置し荒れている状況では、その地域や土地に対する印象が悪く、土地の価格が低くなる可能性があります。
将来、計画地となれば有効的な活用ができる可能性はありますが、確約されていない以上遊休地は、税金が発生する資産でしかありません。
ただ放置するのではなく、メリットがある方法で活用するのが賢い所有方法といえるでしょう。
遊休地を活用することは、土地をきちんと管理・運用するということです。土地が荒れることによって近隣に迷惑をかける可能性もずっと低くなるでしょう。そのほか経済的なメリットもあります。
遊休地をうまく活用することで、収入につなげることができます。
遊休地の活用には、賃貸経営のように初期投資はかかるものの長期にわたる収益を得られる事業もあれば、駐車場のように比較的初期費用や手間がかからず始められるものもあります。
遊休地活用の目的や条件、所有している土地の立地に合った方法を検討することが重要です。
節税につながる活用方法もあります。土地には固定資産税が発生し、更地の状態が最も高額です。住宅を建てれば優遇措置が適用され、最大で固定資産税は6分の1、都市計画税は3分の1に減額されます。また、賃貸不動産として活用している土地は貸家建付地として評価額が下がり、相続税額も下がります。
節税効果は土地の活用方法によって異なります。節税効果を含めて、活用方法を検討するとよいでしょう。
参考:東京都主税局 「固定資産税・都市計画税(土地・家屋)」
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アパートやマンション、戸建て住宅などを建築し、貸し出すことで家賃収入を得る方法です。
初期費用は高額ですが、長期の安定した収入と節税効果が期待できる活用方法です。住宅用地の特例を活用すれば、固定資産税や土地計画税を軽減できます。また、所得税や相続税の節税効果も期待できます。
賃貸経営の大きなリスクは空室リスクです。そのエリアに賃貸需要があるか、事前の調査は欠かせません。また、一般的に金融機関から融資を受けて始める事業であるため、返済計画などの資金計画や経営に関する知識も必要となる活用方法です。
駅や大型ショッピングセンターの近くなど人通りの多い場所にある遊休地なら、建物を飲食店やアパレル専門店といったテナントに貸し出すのもおすすめです。業種によって必要な敷地面積は異なりますが、立地条件がよければそれだけで収益化できるビジネスは多くあります。
また一定の交通量のある道路沿いなら、中心街から離れていても一定の集客が見込めるため借りたいという事業者も多いはずです。もし300坪以上の広さがあれば、駐車場が必要なコンビニや郊外を中心に展開するフランチャイズ店舗にもニーズがあるでしょう。
テナントは住宅より、賃料を高く設定できるのが大きなメリットです。賃貸する事業者の採算が取れれば賃料が高額でも借り手はつき、契約は一般に長期間にわたるため、安定して高額な収入が見込めます。
大きな借入や事業リスクを負いたくない場合、定期借地という方法があります。定期借地による土地活用は、土地を事業者に貸すことで安定した収入を得る方法です。
事業者は、土地を事業に活用することで収入を得て賃借料を支払うため、遊休地の所有者は借入も事業リスクも負いません。
さらに土地の評価額は駐車場や店舗として賃貸するより低いため、固定資産税を低く抑えることもできます。
ただ一般に、高額な賃料が得られることは少ないようです。とはいえ、さまざまなリスクや負担を回避できるのは、遊休地のまま放っておくよりずっと安心できる活用法だといえるでしょう。
あまり人通りがなく、住宅にも向かない遊休地なら、トランクルームとして利用する方法があります。
トランクルームは住宅やテナントに比べると初期費用を抑えやすく、一度設置してしまえば管理の手間も少ない活用法です。土地の形状が特殊でも、設置できるというメリットもあります。
ただし、固定資産税や相続税の節税効果は期待できません。収益化するまでに時間がかかる点もデメリットといえるでしょう。また、用途地域が住居専門地域の場合、基本的にトランクルームは出店できないため注意してください。
駐車場は多くのエリアにニーズのある事業といえるでしょう。住宅地であれば、自宅スペースだけでは足りない人向けに月極駐車場、繁華街なら訪れる人のためのコインパーキングが向いています。
月極駐車場を自分で経営する、ほかの事業者に委託する、コインパーキング事業者と共同経営するなど多くの経営方法から選ぶこともできます。
また、建物を建築する場合と比較すると、初期費用が少なくすむ点もメリットです。更地をアスファルトやコンクリートでしっかり舗装しても数百万円程度の費用ですみ、万が一ほかの活用法に転用するとき更地に戻すのも比較的簡単です。
ただし、初期コストが低い反面、他の活用方法と比べて固定資産税や相続税などに対しての節税効果が期待できません。自身の土地活用の目的に応じて検討が必要です。
活用方法を検討し、メリットを感じられない場合は、遊休地を売却してしまうという方法もあります。
まとまった資金が得られ、管理の手間もなくなります。基本的に仲介業者に手続きを依頼し、売却してしまえば、その他の事業のように長期的な経営の知識も必要ありません。
ただ、売却によって得た利益には譲渡所得税と住民税も課せられます。必ずしも思うような金額では売却できないリスクがあることにも注意が必要です。
遊休地の状況によって、活用法が限られてしまう場合があることも十分理解しておく必要があります。
ここでは活用法を選ぶとき、遊休地のどのような点を確認すべきかを解説します。
普段の生活ではほとんど感じることはないかもしれませんが、なんとなく「住宅しかないエリア」「工場ばかりで店舗がない地域」と思ったことはあるでしょう。これは法律によってそれぞれの土地の用途が決められているためです。用途は大きく住居系、商業系、工業系に分けられています。
ほかにも建物の種類や構造、建ぺい率、容積率が制限されている場合もあります。遊休地を活用するなら、まず該当する用途地域を調べ、建てられる建物の条件を確認しましょう。
遊休地を活用して事業を行うならニーズがあることが前提です。周辺環境について入念に調査する必要があります。
一人で周辺環境を分析するのは簡単ではありません。法律による規制や用途地域、可能な事業の種類などの調査も同様です。より的確な土地活用を目指すなら、不動産会社などの信頼できる専門家に相談することも必要でしょう。
事業にはそれぞれに合った適切な広さがあります。どれだけ立地がよくても、十分な広さがなければ事業で思うような収益を上げることは難しいでしょう。ただやりたい事業があるから、と始めてもうまくいきません。
遊休地の面積は登記簿で確認できますが、正確であるとは限りません。活用法を選ぶ際も実際に現場に赴き、測量して隣接地との境界も必ず確認しましょう。
遊休地を放置するリスクを理解し、土地活用を始める場合、検討と準備が必要です。次の5つのステップで遊休地の活用について考えましょう。
最初のステップは、遊休地を活用する目的を決めることです。
目的を明確にして、最適な活用方法を選択しましょう。
一般に、収益が高いほどリスクも大きくなります。事業として成立させるには、収益とともに、リスクの大きさやその回避手段を踏まえた緻密なプランが欠かせません。土地にはさまざまな法規制があります。また、地域のニーズも含めて検討する必要があります。プラン立案のためにも、土地活用のノウハウをもったプロに相談してみましょう。
さまざまなアドバイスや知識をただうのみにするのではなく、自らの手でも周辺環境やニーズを把握しておくようにしましょう。
土地の面積や用途地域はもちろん、周囲の状況や人口の増減、業界の変化など調べられることは一通り把握しておくことが大切です。自身で調査することで、遊休地に関する理解が深まり、より効果的な活用法を見つけられるかもしれません。
遊休地活用の目的を決め、さまざまなプロの提案を受け、自身でもデータをしっかり裏付けたうえで、活用方法を判断しましょう。
遊休地の活用はコストがかかり、失敗するリスクもあります。初期費用や今後の収益見込み、返済計画なども確認しておきましょう。
監修者
宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士
東京を中心に、20年以上アパート・マンション建築賃貸業界に従事。現場に密着した営業経験と建築知識、不動産知識を活かして業務に携わっている。
監修者
宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士
現在、不動産会社で建築請負営業と土地・収益物件の仕入れを中心に担当している。これまで約20年間培ってきた、現場に密着した営業経験と建築知識、不動産知識を活かして業務に携わっている。
不動産投資家Kとその仲間たちでは、「土地を相続する予定だけど、どうすれば良いか検討している」「管理が大変なので、土地を売却したいと思っている」「アパートの管理が大変なので、管理委託を検討したい」など、土地・建物のさまざまなご相談を承っております。
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