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不動産投資で節税できる仕組みとは?節税のコツを理解しよう

不動産投資で節税できる仕組みとは?節税のコツを理解しよう

不動産投資においては、減価償却や損益通算などの仕組みを活用することにより節税効果を期待できます。確定申告の流れや物件選びのコツなどを理解し、税負担の軽減につなげましょう。この記事では、不動産投資で節税できる仕組みや税金を抑えるためのポイントを解説します。

基礎からの不動産相続

ポイント

    1. 不動産投資で節税できるのは所得税や住民税など
    2. 不動産投資で節税する場合は確定申告が必要
    3. 物件選びのポイントや不動産投資のリスクを理解しておく
目次

不動産投資の利益にかかる税金&計算方法

不動産投資で発生した利益に対しては、所得税が課税されます。所得税の対象となる不動産所得の種類は、以下の3つです。ただし、事業所得や譲渡所得に該当するものは除外されます。

  1. 土地や建物などの不動産の貸付け
  2. 地上権など不動産の上に存する権利の設定および貸付け
  3. 船舶や航空機の貸付け

所得税の金額を求めるには、まず不動産所得を算出しなければいけません。不動産所得の計算方法は以下のとおりです。

不動産所得=総収入金額(賃貸料、共益費など)-必要経費

不動産所得以外に給与所得を得ている場合は、それらを合算して所得控除を差し引き、課税所得を算出します。課税所得の把握ができたら、金額ごとの税率と控除額を調べます。

所得税の速算表

課税される所得金額  税率 控除額
1,000円から1,949,000円まで 5% 0円
1,950,000円から3,299,000円まで 10% 97,500円
3,300,000円から6,949,000円まで 20% 427,500円
6,950,000円から8,999,000円まで 23% 636,000円
9,000,000円から17,999,000円まで 33% 1,536,000円
18,000,000円から39,999,000円まで 40% 2,796,000円
40,000,000円以上 45% 4,796,000円

出典:国税庁 No.2260 所得税の税率

課税所得と税率、控除額を以下の計算式に当てはめると、所得税の金額を求められます。

所得税の金額=課税所得×税率−控除額

不動産投資で節税できる税金の種類と節税の仕組み

そもそも、節税には2つの意味合いがあります。1つ目は納める税額を減らすこと、2つ目は納税を先延ばしにすることです。不動産投資で節税する際は、前者の納税額を減らす方法を利用します。後者は法人向け生命保険が代表的で、主に法人が利用する方法です。

不動産投資で節税できる税金は、主に5種類です。それぞれの節税の仕組みを理解し、税負担の軽減につなげましょう。

所得税・住民税

所得税と住民税は、給与所得の金額に応じて税率が決まります。不動産投資では、「減価償却」と「損益通算」を活用することで所得税と住民税の節税が可能です。

減価償却とは、建物や建物付属設備の購入費用を一度に計上せず、毎年分割して計上することです。減価償却費によって不動産所得が赤字になると、赤字分を給与所得から差し引くことができます。

また、赤字分と給与所得を相殺する仕組みを損益通算といいます。損益通算によって給与所得が圧縮されると課税される所得額が少なくなるため、所得税と住民税の節税が可能です。

相続税

不動産投資は、相続税の節税対策にも活用できます。相続税とは、相続財産の評価額に応じて課税される税金です。

財産を現金で相続した場合、額面金額がそのまま評価額として扱われます。しかし、財産を不動産として相続すると、評価額は不動産の購入価格よりも少なくなることが一般的です。賃貸用物件であれば、さらに評価額が下がります。

相続税は評価額に応じて決まるため、評価額が低くなるほど納税額を抑えられるといえます

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法人税

不動産投資を利用した節税対策として、法人化する方法もあげられます。不動産投資の法人化とは、投資家が会社を設立し、法人として投資する仕組みです。発生した利益は役員報酬として受け取ります。

法人が不動産所得を得た場合は、法人税が課税されます。法人税と所得税を比較すると、不動産所得が高額な場合、法人税の税率の方が低いため、支払う税金を抑えることが可能です。

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贈与税

贈与税とは、1年間に110万円を超える財産を、個人から贈与により取得した場合に、その取得した財産に課される税金です。現金よりも不動産の税率の方が低いため、財産を不動産として贈与すると税負担が軽減されます。

また、贈与税の節税には「相続時精算課税制度」も効果的です。相続時精算課税制度とは、財産の評価額から2,500万円を控除できる制度です。60歳以上の父母または祖父母が、20歳以上の子または孫に財産を贈与する際に適用できます。

仮に評価額が3,500万円の不動産を贈与するケースでは、「3,500万円-控除額2,500万円」となり、課税対象を1,000万円に圧縮できます。

ただし、相続時には、その他の相続財産の価額に精算課税制度を適用した贈与財産の価額(贈与時の時価)を加算した額の相続税が課されるので注意が必要です。なお、この制度を選択すると、その年分以降すべてこの制度が適用され、前述した年間110万円の控除(暦年課税)へ変更することはできません。

参考:国税庁 No.4402 贈与税がかかる場合
国税庁 No.4103 相続時精算課税の選択

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不動産投資で節税するためには確定申告が必要

減価償却や損益通算などの仕組みを活用するためには、自身で確定申告をする必要があります。不動産投資を行っているというだけでは、節税効果は得られません。

ここでは、確定申告の種類や知っておくべきポイントについて解説します。

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確定申告は青色申告と白色申告の2種類

確定申告には、青色申告と白色申告の2つの種類があります。青色申告は法人や個人事業主を対象としており、個人事業主の場合、最大65万円の青色申告特別控除を受けられる点が特徴です。事前申請や複式簿記による帳簿づけが必要ですが、大きな節税効果を期待できます。

一方の白色申告は、単式簿記で帳簿づけを行う方法です。青色申告に比べて手続きは簡単ですが、控除できる金額が少ない点がデメリットです。

参考:国税庁 No.2070 青色申告制度

確定申告では経費計上と専従者給与を活用すべき

確定申告をする際は、減価償却と損益通算の申請を忘れずに行いましょう。あわせて、経費計上と専従者給与を活用することも重要なポイントです。

不動産投資に関連する費用は、経費として総収入から差し引くことができます。経費が多くなるほど課税所得が少なくなり、課税される税金を抑えることができます。不動産投資では以下の費用を経費として扱えるため、確定申告をする際は漏れなく計上しましょう。

  1. 管理費
  2. 修繕費、修繕積立金
  3. 管理会社に支払う委託料
  4. 各種税金(固定資産税、都市計画税など)
  5. 損害保険料
  6. ローンの利息
  7. その他(交通費、税理士費用など)

上記の費用以外に、青色申告では家族に支払った給与も経費に計上できます(=青色事業専従者給与)。白色申告の場合は経費に計上できませんが、事業専従者控除を利用できます。

いずれも所定の条件を満たす必要があるため、事前に国税庁のホームページで要件を確認しておくとよいでしょう。

不動産投資で節税するなら青色申告がおすすめ

不動産投資による節税効果を高めたいのであれば、青色申告を選択しましょう。先述のとおり、青色申告と白色申告を比較すると、青色申告のほうが税金面でのメリットは大きくなります。

たとえば、最大65万円を差し引ける青色申告特別控除は、青色申告者しか適用できません。「赤字を繰り越せる」「経費の対象範囲が広い」なども、青色申告ならではの利点です。

また、青色申告では家族に支払った給与の全額を経費に計上できます。白色申告でも家族に支払った給与を節税に活かせますが、配偶者の場合は86万円、配偶者以外の場合は1人あたり50万円しか控除できません。

各種制度を活用して節税するためには、青色申告を選ぶのがおすすめです。

参考:国税庁 No.2070 青色申告制度
国税庁 No.2075 青色事業専従者給与と事業専従者控除

不動産投資でかしこく節税するためのポイント3つ

不動産投資を節税に活用するためには、知っておくべきポイントがいくつかあります。物件の選び方やデッドクロスリスクにも関わるため、注意すべき点を理解しておきましょう。

節税効果を期待できる物件を選ぶ

節税を目的として不動産投資を始めるのであれば、節税効果の高い物件を選ぶことが大切です。一般的には、木造で築古の物件は節税対策に向いているとされています。

木造物件は法定耐用年数が22年と短く、毎年計上できる減価償却費が高めです。法定耐用年数を過ぎた物件の場合も、法定耐用年数×20%の年数、減価償却できるため、大きな節税効果が見込めるでしょう。

反対に、新築区分マンションは法定耐用年数が長いことから、1年ごとの減価償却費は低く設定されます。初年度は登記費用などを経費計上できますが、2年目以降は経費が少なくなるため、節税効果はあまり期待できないでしょう。

なお、タワーマンションは相続税の節税対策に有効とされています。タワーマンションは高層階ほど資産価値が上がる一方で、階数による評価額の差はあまりありません。つまり、実際の資産価値に対して相続税が少なくなる可能性があります。

また、かつては海外の中古不動産を節税に活用する方法(=簡便法)が用いられていました。しかし、税制改正によって簡便法に制限が設けられたことから、海外の中古不動産による節税対策は難しくなっています。

海外不動産投資には特有のリスクも存在するため、節税に活用したい場合はよく検討すべきでしょう。

物件選びの注意点

ここまで、一般的に節税効果が高いと言われる物件例を紹介しましたが、いずれも満室稼働していることを前提としています

絶税効果が高いといっても、築年数の古い木造物件であれば、空室となる可能性や老朽化、地震や火災などの木造特有のリスクがあることは理解しておく必要があるでしょう。逆に、あまり節税効果は期待できない新築区分マンションの場合、都市部の駅に近い物件であれば、企業に社員寮として貸し出すなどの取り組みで常に満室でかつ高い利益をあげるケースもあります。節税効果だけに着目することについては注意が必要でしょう。

また、タワーマンションや高額マンションの節税には、課税強化の動きがあります。固定資産税に関しては、20階以上の上層階はすでに増税となっています。相続税に関しては、いわゆる「高額マンション裁判」で「路線価での算定は認めない」とする最高裁判決がくだされたことも記憶に新しいかと思います(※)。

※高額マンション裁判
原告の相続人は、父親が2009年に計13億8,700万円で購入したマンションを2012年に相続。路線価に基づき、計約3憶3,000万円と評価したうえで、購入時の借入金を差し引き、相続税を0円で申告した。これに対し、税務署はマンション路線価が実勢価格と大きく乖離していると判断。不動産価格を12億7,300万円と再評価し、追徴課税した。

参考:国税庁 No.2100 減価償却のあらまし 【参考1】主な減価償却資産の耐用年数表
国税庁 No.5404 中古資産の耐用年数
税務研究会 国外中古建物の不動産所得に係る損益通算等の特例
読売新聞 節税目的で14億円近くで購入マンション、路線価で評価し相続税ゼロ…最高裁でも相続人敗訴

節税目的の不動産投資に伴うリスクを理解する

節税目的で不動産投資をする際は、以下の不動産投資に伴うリスクについても理解しておくことが大切です。

リスクの種類 内容
空室リスク 空室が続き、家賃収入が入らない
ローンの滞納リスク 家賃収入を得られず、ローンの返済が滞る
銀行融資が不利になるリスク 節税のために赤字を計上すると、経営不振とみなされ、融資審査に通過しにくくなる可能性がある

上記以外では、不動産の相続トラブルが発生するリスクもあります。公平性のために共有名義で相続した場合、名義人全員の同意がなければ修繕や売却ができません。場合によっては、不動産に手を加えられなくなる点に注意が必要です。

デッドクロスに対する出口戦略を考える

デッドクロスとは、黒字状態とキャッシュフローの不足が同時進行し、黒字倒産に陥りかねない状態のことです。デッドクロスの要因には、減価償却期間後の課税所得の増加や、経費計上できるローンの利息の減少などがあげられます。

デッドクロスを回避するためには、収入の改善やアパートローンの借り換えなどが有効です。または、デッドクロスが発生する前に物件を売却するのもいいでしょう。

黒字倒産を起こさないためには、デッドクロスが発生する原因を理解し、出口戦略を早めに考えておくことが大切です。

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不動産投資×節税に関するよくある質問2つ

不動産投資を節税に活かすことを検討している人の中には、さまざまな疑問が生じて一歩を踏み出せずにいる人もいるでしょう。節税目的に不動産投資を始めるのであれば、気になった疑問を解決しておくことが大切です。

ここでは、不動産投資と節税に関するよくある質問について解説します。

不動産投資で節税すべき人・すべきではない人とは?

不動産投資で節税に注力すべきかどうかの基準は、課税所得が900万円を超えるかどうかです。課税所得が900万円を超ええると、所得税の税率は33%を超えます。不動産投資によって課税所得を減らすことができれば、大きな節税効果を実感できるでしょう。

反対に、課税所得が900万円未満の場合、そもそもの所得税の税率が低いため、節税よりも収益の安定化に注力するのが賢明といえます。

所得の基準以外にも、相続税が発生する人も不動産投資による節税を検討すると良いでしょう。財産を現金ではなく不動産として残し、相続税の圧縮に役立てましょう。

参考:国税庁 No.2260 所得税の税率

投資用物件では住宅ローン減税を利用できない?

住宅ローン減税とは、住宅ローンを利用して物件を購入した人が、所定の条件を満たす場合に適用できる制度のことです。住宅ローン控除とも呼ばれ、所得税と住民税の減税が可能ですが、住宅ローン減税は居住用物件を対象としているため、投資用物件には適用できません。投資用不動産の購入に住宅ローンを利用することは禁じられています。

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まとめ

高額マンション裁判の事例をご紹介しましたが、節税対策は国税と納税者とのいたちごっこといえます。税制は改正される可能性があることを念頭においておきましょう。不動産投資を行う際は単なる節税面だけでなく資産価値の側面にも十分に注意したうえで、節税対策を進めることをおすすめします。

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監修者

澁谷 有紀枝

資格
税理士
略歴
外資系税理士法人に長く勤務した後、主に外資系企業で会計、税務を担当。2020年8月より不動産会社の経理部にて月次、年次決算、申告業務に携わっている。

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