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大家になるには何が必要? アパート経営の流れや注意点、成功のポイント

大家になるには何が必要? アパート経営の流れや注意点、成功のポイント

大家になるために、特別な資格は不要ですが、アパート経営を行う目的や理由を明確にしたり、不動産投資の基本知識を身につけたりする必要はあります。また、どのように資金を調達するかまで考えることも必要です。

この記事では、大家になるにあたってどのような準備が必要なのか、またどのような流れで大家になるかなどについて解説します。将来的に大家になりたい人は、ぜひ最後までご覧ください。

賃貸管理入門

ポイント

  1. 大家になるための特別な資格は必要ない
  2. 大家になると家賃収入が得られる一方で、さまざまなリスクも同時に抱えることになり必ずしも収益を得られるとは限らない
  3. リスク管理がしっかりしている人、長期的な視点で物事を考えられる人は大家に向いている
目次

大家になるには?物件取得前の準備

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大家とはアパートをはじめとする賃貸物件を所有または管理し、部屋を貸し出すことで家賃収入を得ている人のことです。大家になるにあたって特別な資格は必要ありませんが、スムーズな賃貸運営を実現するためにも、物件を取得する前にいくつかの準備をすることをおすすめします。

物件取得前の具体的な準備について解説します。

大家になる目的・理由を明確にする

大家になる目的や理由を明確化するのは、考え方の軸を構築するためです。賃貸物件さえ用意できれば、大家になるのは難しくありません。

しかし、目的や理由が曖昧なまま大家になってしまうと、考え方の軸が定まっていないため、物件選びや資金計画で失敗するリスクが高まります。最悪の場合、利益を出せずに負債ばかり大きくなる可能性も否定できません。

目的や理由が明確であれば、具体的な戦略を立てやすくなります。自身のライフプランと照らし合わせながら、なぜ大家になりたいのかはっきりさせましょう。

大家になる目的や理由としてよく挙げられるのは、以下のようなものがあります。

  1. 本業とは別に副収入を得るため
  2. 老後に向けた資産形成のため
  3. 長期的な資産形成のため
  4. 物件の価値を高めて売却し、売却益を得るため
  5. 相続税対策のため

不動産投資の基礎知識を身に付ける

知識がまったくない状態で大家になってしまうと「割高の物件を購入してしまう」「営業トークに騙されやすくなる」といった失敗につながりかねません。そこで、まずは自ら勉強して不動産投資の基本的な知識を身につけることが重要です。

具体的には、賃貸管理や不動産所得の会計処理、税金、法律などの分野の理解が重要です。最初からすべて理解する必要はありませんが、少しずつ足りない知識を補っていきましょう。

学習の方法は書籍を読んだり、セミナーに参加したりとさまざまです。大家になるために必要な資格はありませんが、宅地建物取引士や賃貸不動産経営管理士などの資格取得の勉強は、必要な知識を体系的に習得するうえで役立つでしょう。

自己資金(初期費用)を準備する

賃貸用不動産の購入や建築には、ほとんどの場合、金融機関からの融資を利用します。

その際、一般的には物件価格の1〜3割程度の自己資金があると望ましいとされています。

ただし、アパートやマンションを購入する場合、物件そのものの費用のみならず、仲介手数料や各種税金なども必要になるため、資金計画を立てる際は注意しましょう。

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大家になるための主な流れ

大家になるには2

大家になるまでの大まかな流れです。

1.
自分の希望条件や現状を整理する
2.
不動産会社や建築会社を探す
3.
土地・物件を探す
4.
事業計画書を作成する
5.
融資を申し込む
6.
アパートを購入または建築する
7.
賃貸経営を開始する

自分の希望条件や現状を整理する

大家になる前に、自己資金の状況や希望する収支を把握しておきましょう。これは自分がどの程度の物件を購入できるのか、金融機関がどの程度まで借入を認めてくれる可能性があるのか確認するためです。

自己資金を正確に把握せず、無理な物件を購入してしまうと、借入の返済負担が大きくなる可能性が高まります。最悪の場合、収益を得るどころか負債だけが増え続ける恐れもあるでしょう。

また、アパート経営を始めるには、アパート本体工事費をはじめとする建築費、税金、定期的にかかる経費など、諸費用がかかります。これらの費用を事前に把握し、資金計画を立てることが重要です。

不動産会社・建築会社を探す

自己資金や希望条件が明確になったら、次は信頼できる不動産会社や建築会社を探しましょう。希望に合う土地や物件の紹介を依頼したり、所有している土地への建築プランの相談から始めるのが一般的です。自分に合ったパートナーとなる会社を見つけるために、複数社を比較検討することをおすすめします。

不動産会社や建築会社を選ぶ際は以下のようなポイントに注意して比較すると良いでしょう。

  1. 過去の実績が豊富か
  2. 自身の経営方針に合っているか
  3. 施工費用が予算内に収まるか
  4. 担当者は信頼できるか
  5. 口コミや評価はどうか

不動産会社や建築会社のなかには、アパートの建築や売買だけでなく、事業計画書の作成をはじめとする大家業のサポートを提供してくれる会社もあります。大家業には煩雑な業務も多いため、アパート経営の経験がない人は積極的にサポートをお願いするとよいでしょう。

土地・物件を探す

比較したい不動産会社や建築会社に、土地や物件の紹介を依頼します。ポータルサイトなどを利用して、希望条件にあう土地や物件を自分で探す場合も多いです。土地や物件の購入は、数千万から数億円の大きな投資となるため、慎重に選定しましょう。

一般的にアパート経営に適した土地、物件には、以下のような特徴があります。ただし、実際には、周辺の環境や入居者のニーズによって最適な条件は異なります。

  1. 土地の広さが60坪以上ある
  2. 駅から徒歩10分以内の距離にある
  3. 賃貸住宅の需要の高い住宅街にある
  4. スーパーなど生活利便施設が近隣にある
  5. 東西に間口が長い整形地である(L字型や三角形など、使いにくい形状でない)

土地や物件を探す際は、直接現地に足を運び、自分の目で確認することが大切です。日当たりや周辺環境、水はけなど、写真や動画だけではわからない情報を把握することができます。

事業計画書を作成する

事業計画書とは、アパート経営の計画内容や収支のシミュレーションをまとめたものです。事業計画書は、売上予測や収支バランス、経費の見込みなど、具体的な数値で作成します。複数ケースでの想定も検討すると良いでしょう。これにより、計画の妥当性や実現可能性を明確に示すことができます。オンライン上ではさまざまな事業計画書のテンプレートが公開されています。初めて作成する場合や、一般的な事業計画書の書式を知りたい場合はこれらを参考にするのが良いでしょう。

しっかりと作りこむことで、アパートの経営がスタートしてからも、計画にズレがあった場合でも迅速に修正することができるでしょう。

なお、事業計画書は、不動産会社や専門のコンサルタントに依頼することもできます。プロの提案や意見を取り入れ、より具体的で実現可能性の高い計画にすることができるでしょう。

融資を申し込む

購入する土地や物件、建築する建物が決まったら、金融機関に融資を申し込みます。

融資を申し込む際は、「事業計画書」をはじめ「返済計画書」や「物件概要書」、部屋ごとの賃貸借条件をまとめた「レントロール」などの書類が必要になります。実際に必要な書類は金融機関によって異なるため、事前に確認しておきましょう。多くの場合、不動産会社を通じて提携の金融機関に融資を申し込むケースが多いです。

融資を受けるまでの基本的な流れは、以下のとおりです。

1.
融資の相談・申し込み
2.
面談・審査
3.
融資決定
4.
融資の実行・返済開始

申し込みから融資が実行されるまで1カ月程度かかるのが一般的ですが、審査の進行具合によって期間は前後します。もし審査に落ちてしまった場合は、原因を分析して改善策を講じたうえで再度融資の申し込みをすることになります。

アパートを購入・建築する

融資の実行が決まり、まとまった資金を用意できたら、アパートの購入または建築に着手します。アパートを購入する場合・建築する場合のフローは、以下のとおりです。

アパートを購入する場合 1.物件の情報収集と選定を行う
2.購入の申し込みと価格交渉を行う
3.売買契約を締結する
4.決済と引き渡しを完了させる
アパートを建築する場合 1.土地の情報収集と選定を行う(土地がない場合)
2.建設会社や設計事務所の選定を行う
3.条件をすり合わせ、建築請負契約を締結する
4.完成後、建物の引き渡しを完了させる

賃貸経営を開始する

アパートの購入または建築が完成したら、いよいよ大家として賃貸経営の開始です。すでに入居者がいる場合、すぐに家賃収入を得られますが、空室の場合は入居者を募集するところからのスタートです。

入居者の募集は、不動産会社に依頼するのが一般的ですが、自らインターネットやチラシなどの媒体を利用して行うこともあります

入居者を募集する際のポイントは、「ターゲットを絞る」「清掃を徹底する」などがあげられます。なかなか入居者が決まらない場合は、次の点を見直してみましょう。

  1. 家賃の設定が適切かどうか
  2. 広告の内容が魅力的かどうか
  3. 入居者を募集している部屋の状態や清掃に問題はないか

必要に応じて不動産会社のサポートを活用するようにしましょう。

資金計画の立て方

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土地や物件を購入する際は、あらかじめしっかりとした資金計画を立てることが非常に大切です。ここでは大家になるにあたって知っておきたい「資金計画の立て方」について解説します。

自己資金とローンのバランス

自己資金とローンのバランスは、返済負担を軽減するために重要なポイントです。自己資金に見合わない過剰な借り入れは、毎月の返済額を増やし、キャッシュフローを悪化させる原因となるリスクがあります。最悪の場合、ローン滞納や返済不能による経営破綻などにつながりかねません。

自己資金とローンのバランスを検討する際は、返済比率を意識しましょう。返済比率とは、家賃収入に対する返済額の割合のことで、以下の計算式で算出します。

返済比率(%)=ローンの返済額÷満室時の家賃収入×100

返済比率が高いと、初期投資の回収は早くなりますが、返済の負担が大きくなります。一方、返済比率が低いと返済の負担は軽減できますが、初期投資の回収に時間がかかってしまいます。

それぞれのメリットとデメリットを比較し、自分の希望するキャッシュフローや運用期間、リスク許容度などを考慮した返済比率を設定しましょう。なお、一般的には、安全な返済比率のラインは約50%程度といわれています。

初期費用と維持費用の想定

大家業を始めるにあたり、把握しておくべき代表的な初期費用と維持費用は以下のとおりです。

初期費用

●本体工事費
●建物附帯工事費
●土地の調査費、測量費
●家屋調査費
●登記費用
●各種税金
●保険料
●アパートローン関連費
●広告費

維持費用 ●維持管理費用
●修繕費用
●水道・光熱費
●各種税金
●リフォーム費用
●メンテナンス費用

とくに維持費用は、見落としが発生しやすいポイントです。アパート経営を始める前に、どの程度かかるのかしっかり試算しておきましょう。

初期費用や維持費を抑えたい場合、外観をシンプルにしたり、複数業者から見積もりをとったり、中古のアパートを購入したりといった方法が検討できます。ただし、初期費用を抑えすぎると長期的には維持管理費が高額になる可能性もあるため、注意してください。

アパート大家になるメリット・デメリット

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大家になる前にメリット・デメリットについて理解しておきましょう。

アパート大家になるメリット

アパートの大家になる最大のメリットは、家賃収入を得られることです。家賃収入は不労所得に分類され、本業とは別の安定した収入源となります。経営が軌道に乗り、収入が安定すれば、長期的な資産形成が可能です。

また、税金対策になる点も魅力です。家賃収入は不動産所得として申告でき、給与所得と損益通算することで所得税の還付を受けられる可能性があります。事業規模が拡大し、最終的に法人化に成功すれば、さらに大きな節税効果も期待できます。

そのほか、「不動産価格の上昇によるキャピタル・ゲインの獲得」「融資を活用し、レバレッジを効かせた資産形成が可能」「相続対策として有効」などもあげられます。

アパート大家になるデメリット

一方、アパートの経営にはリスクもあります。

空室が続くと家賃収入が得られなくなると、ローンの返済や維持費が自己負担となり、経済的なリスクが発生する可能性があります。

また、入居者のトラブル対応や物件の修繕など、管理・運営の手間も大家にとっては負担となるでしょう。

さらに、金利上昇リスクや災害リスクなどもあります。金利の上昇によりローンの返済負担が増大したり、災害によりアパートが被害を受けたら想定外の出費が必要になる可能性もあります。こうした予測困難な事態に備え、常にリスクを考慮した経営が重要です。

アパート大家に向いている人

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基本的には、物件さえ用意できれば、誰でも大家になれます。しかし、誰もが大家として成功するとは限りません。

以下では、どのような人が大家に向いているのか、理由とあわせて解説します。

リスクに備えられる人

アパート経営には、以下のようにさまざまなリスクが存在します。

  1. 空室リスク
  2. 家賃下落リスク
  3. 家賃滞納リスク
  4. 自然災害リスク
  5. 金利上昇リスク

アパート経営のリスクを放置してしまうと、安定したアパート経営は実現できません。最悪の場合、経営が破綻してしまう可能性も考えられるでしょう。しかし、あらかじめリスクの存在を認知し、対策を考えられる人であれば、いざトラブルが発生したときも冷静に対処できます。

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長期的視点で考えられる人

アパート経営は、不動産運用のなかでも比較的安定している投資といわれています。しかし、アパート経営は短期的に利益を得るのは難しいのが現実です

とくに初年度は、多額の初期費用の負担により、収支がマイナスになるのが一般的です。その後も、初期費用の回収や利用しているアパートローンの返済が続くため、黒字化までおよそ10年ほどかかるといわれています。家賃収入やローンの返済状況によっては、さらに長い時間がかかる可能性も否定できません。

そのため、アパートの大家は、短期的な利益を求めるのではなく、長期的な視点で安定した利益を目指せる人に向いています。

計画性のある人

アパート経営は利益が出るまで時間がかかる投資です。そのため、あらかじめ明確な目標を設定し、具体的な行動計画を立てておかないと、アパート経営に失敗する可能性が高まるでしょう

たとえば、資金計画が甘いと、想定外の大規模修繕やメンテナンス費用が発生し、経営状況が悪化する恐れがあります。計画的に考え、行動するためには、以下の点を意識するようにしましょう。

  1. 自己管理を徹底する
  2. スケジュールを管理する
  3. 常に時間を意識する
  4. リスク管理を行う
  5. 逆算して行動する

これらを実践することで、長期的な視点にたった経営が可能となるでしょう。

成功のためのポイント

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リスク管理や計画性が不十分な人は、アパートの大家にはあまり向いていないと思うかもしれません。しかし、ポイントを押さえれば、誰でも十分にアパートの大家としてやっていくことができます。

以下では、アパートの大家として成功するためのポイントについて解説します。

リスクを認識しておく

アパート経営には、空室リスクや災害リスクなど、さまざまなリスクが伴います。これらのリスクをあらかじめ認識し、対策を立てておくことで、問題が発生する可能性を抑えられます。

たとえば、家賃収入にも直結する空室リスクの発生を抑えるには、以下のような対策が有効です。

  1. 適切な家賃を設定する
  2. 実績が豊富な管理会社に管理を委託する
  3. リフォームを行う
  4. 敷金や礼金を見直す
  5. 入居条件を緩和する

単独の対策では効果が限定的でも、複数の対策を組み合わせることでより高い効果を得られる場合もあります。必要に応じて、複数の対策を講じておくことをおすすめします。

信頼できる会社を選ぶ

アパートの経営経験がない人や副業でアパートを経営する人は、管理会社に運営を委託することが一般的です。大家にとって、管理会社は大切なビジネスパートナーです。信頼できる管理会社を見つけられれば、大家業の負担を軽減しながら、安定したアパート経営を実現できるでしょう。

より良い管理会社を見つけるための主なポイントとして、以下のようなものがあります。

  1. 管理業務と仲介業務を両方行っているか(情報共有がスムーズになり、安定した経営につながりやすい)
  2. アパートとの距離は近いか(トラブルが発生した際に迅速に対応できる)
  3. 委託費用は適正か
  4. 担当者の対応は丁寧か
  5. どの程度地域に精通しているか

定期的な目標確認と運営の見直し

アパート経営は、以下のようにさまざまな外部環境の変化によって収支が変化します。

  1. 景気動向
  2. 税制
  3. 金利の変化
  4. 都市開発
  5. 法規制の変更

上記のような外部環境の変化が発生した結果、当初の予定通りアパート経営が進まなくなる可能性も否定できません。しかし、外部環境の変化に合わせて、目的や計画の見直しを実施すれば、安定したアパート経営を続けることが可能です。

なお、外部環境に大きな変化がなくとも、目的の確認やよりよいアパート経営の実現のために、定期的に計画を見直すのをおすすめします。

まとめ

大家になるには7

目的がないまま大家になっても、安定してアパート経営を続けることはできません。そのため、何のために大家になりたいのか、あらかじめ目的を明確にしておきましょう。

また、自分にアパートの大家の適性があるか否かも事前に確認するのをおすすめします。アパート経営は利益を出すまで時間がかかるため、長期的な視点で物事を考えられない人、計画性がない人には向きません。

しかし、リスクを認識し対策を立てておく、信頼できる管理会社にアパート経営を委託するなどの対策もあるため、適性がないからといって諦める必要もありません。アパート経営のメリットやデメリット、向き不向きなどから総合的に判断して、大家になるか決めましょう。

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監修者

宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士

中川 祐一

現在、不動産会社で建築請負営業と土地・収益物件の仕入れを中心に担当している。これまで約20年間培ってきた、現場に密着した営業経験と建築知識、不動産知識を活かして業務に携わっている。

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