多くの賃貸オーナーが頭を悩ませるのが、空室対策ではないでしょうか。本記事では、設備の導入や広告の見直しなど、入居者を集めるのに効果を発揮するアイデアを7つピックアップしてご紹介します。
ただし、費用対効果の見合わない空室対策をチョイスすると、収益性の悪化を招いてしまうかもしれません。自分の物件に合った対策を選択できるように、空室が起こる原因や、やってはいけない空室対策についても解説していきます。
ポイント
- 賃貸物件の空室対策には、設備の導入や広告の見直し、入居者にかかる費用の軽減などがある
- 空室の原因を確認して、物件に適した空室対策を行うことが大切
- 空室対策の仕方によっては、賃貸経営を悪化させるリスクがある
- 上記を提案できる管理会社に任せることも空室対策のひとつ
空室対策アイデア7選!
空室対策に有効なアイデアを7つの要素から解説します。
- 募集広告を見直す
- 内見時の工夫
- 入居者の費用負担を減らす
- 入居者に人気の設備を導入する
- リフォーム・リノベーション
- 入居条件を見直す
- 管理会社を見直す
物件への入居希望者を増やすには、建物の価値を高める取り組みや、物件をより魅力的に見せる工夫など、さまざまな角度からのアプローチが考えられます。順に詳しく見ていきましょう。
ポータルサイト最適化
物件探しをする人の多くは不動産ポータルサイトを活用します。ポータルサイトに掲載している物件情報が間違っていたり、現状と違う情報のままだったりすると、せっかくの物件の特色が伝わらないまま見過ごされてしまうかもしれません。
また、ポータルサイトで物件を探すとき、多くの人が「条件」を入力して該当する物件を絞り込んでいきます。「エアコン付き」や「独立洗面台」など物件の特徴や設備を漏れなく記載して、検索結果から漏れてしまわないよう注意しましょう。
掲載写真の充実
広告に掲載する写真を充実させることも大切です。掲載されている写真の種類が豊富であるほうが、物件に対する印象はアップします。
物件探しに失敗したくない入居希望者は、広告の内容からできる限り詳しい情報を知りたいと考えています。リビングだけでなく、クローゼットや、バス・トイレなどの水回り、建物の外観など、さまざまな角度からの写真を掲載しましょう。
また、写真の見栄えも大切です。天気が良い日に撮影する、画像の彩度を調整するなどで、明るく清潔感のある印象を与えられる写真を用意しましょう。
ホームステージング
広告に掲載する物件写真は、部屋のイメージアップができる「ホームステージング」を取り入れましょう。
ホームステージングとは、室内をモデルルームのように家具や照明で演出する手法のことで、もともとは売却物件の売り出し時に使われていたテクニックです。住み始めたときの生活がより魅力的にイメージできるため、賃貸物件の入居募集にも活用されるようになりました。
ポータルサイトなどに掲載されている物件情報の写真は、家具が何も置かれていない状態のものが一般的です。そのようななか、ホームステージングされた部屋の写真があると、物件探しをする人の目に留まりやすくなります。明るい印象の写真を見て、入居したい気持ちも高まるでしょう。
しかし、ホームステージングを業者に依頼すると、それなりの金額がかかってしまうため費用対効果が見合わない可能性があります。新築時などの空室が多い時期に行うとより効果的です。
周辺情報の掲載
入居希望者にとっては、物件周辺の環境も判断材料になるポイントです。物件広告に物件周辺にどのような施設があるか掲載されていると、その物件での生活がイメージしやすくなり入居意欲が高まります。
たとえば、周辺にコンビニやスーパーマーケットがあれば、買い物に困らない物件としてセールスポイントになります。
生活に必要な施設や環境は人それぞれ異なるため、さまざまな情報を掲載しておくほうが、幅広い人の関心をもってもらえるでしょう。
2.内見時の工夫
空室を埋めるためには、内見してもらう機会を逃さないことが大切です。物件の入居を決める前には、内見を希望する人がほとんどです。オンラインを使った内見方法なども積極的に取り入れて、物件を見てもらえる機会を増やしていきましょう。
また、内見時にはマイナスな印象を与えないよう、物件の見た目を美しく整えておくことも空室対策に有効です。
オンライン内見・セルフ内見
内見は、物件の魅力を直接感じてもらえるチャンスです。できるだけ多くの人に内見してもらえるように、オンライン内見やセルフ内見を取り入れていきましょう。
オンライン内見は、ビデオ通話ツールなどを使って内見希望者に物件を案内するサービスです。不動産会社のスタッフが物件に行き、説明とともに物件内の様子をリアルタイムの動画で伝えます。
オンライン内見を導入すると、遠方から住まい探しをしている方や、仕事が忙しくて内見の時間が取れない方などにも興味をもってもらいやすくなるでしょう。
また、内見希望者だけで部屋の内見ができるセルフ内見も需要が高まっています。自分の都合のいい時間に自由なペースで内見できるため、不動産会社からの営業を受けたくないと思っている人や予定を合わせるのが面倒だと思っている人には人気の内見方法です。
集客の幅を広げるために、柔軟な内見方法を取り入れていきましょう。
共用部・室内の清掃
内見希望者に好印象を抱いてもらえるように、内見前には物件の清掃・美化を徹底しましょう。
建物自体は新しくても、ほこりがたまっていたりゴミが落ちていたりすると、物件に対する印象はダウンします。
また排水の臭いがすると長期間の空室であることや手入れがされていない印象を与えるので通水はこまめに行いましょう。
とくに、内見者が最初に目にすることになる共用部は物件の第一印象となります。共用部が清掃されていないと、物件の管理体制への不信感にもつながるため、物件は常にキレイな状態に整えておきましょう。
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3.入居者の費用負担を減らす
入居希望者の注目を集めるのに効果的なのが、入居者の費用負担を減らすことです。
初期費用である敷金・礼金や付帯契約見直しや、入居後一定期間のみ家賃を無料にするフリーレントなどを取り入れると、入居希望者にアピールできます。
ただし、安易な値引きは収益の悪化につながります。3つの値引き方法について、効果や注意点を見ていきましょう。
敷金・礼金・更新料の見直し
値引きを検討するのであれば、まずは敷金・礼金の見直しから手をつけましょう。
なかでも敷金は、家賃の不払いや原状回復費用に充当するためのお金であり、収入ダウンに直結するものではありません。
更新料の見直しは、退去を防いで長期的な入居を促す効果があります。
ただし、敷金や礼金は入居者の契約違反に対する保証の意味合いもあるため、敷金・礼金を受け取らないのはリスクがある点に注意しましょう。
フリーレントの導入
入居者に金銭面でアピールするにはフリーレントも有効です。
フリーレントとは、新規入居者に対して一定期間だけ家賃を無料にするサービスです。入居者にとっては初期費用を抑えられるメリットがあり、すぐに引っ越しできない場合でも、現在契約している物件との「家賃の二重払い」が避けられます。
オーナー側にとっても、家賃を値下げすることなく金銭的な魅力を打ち出せるため、取り入れやすい値引き手段といえます。ただし、新規入居者がすぐに退去してしまうと意味がないため、解約時違約金の設定など長期的な見通しを立てたうえで計画的に取り入れましょう。
賃料を下げる
空室が続く場合、現在の家賃が相場よりも高いことが原因になっている可能性もあります。適正な家賃へと調整すると、入居希望者の目に留まりやすくなるでしょう。
家賃が周辺相場と比べて適正かどうかを判断するには、市場調査が必要です。不動産会社に相談したり、ポータルサイトで近隣の同じような条件の物件を検索したりして、家賃相場をチェックしましょう。
家賃を値下げすると、将来の家賃収入が減少します。家賃の値下げは空室対策の最終手段と捉えて慎重な判断を心がけましょう。
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4.入居者に人気の設備を導入する
賃貸物件の空室対策として効果的なのが、人気設備の導入です。設備の追加や変更は、物件の建て替えやリフォームに比べると比較的対応しやすい金額で導入できます。
リクルートの「2022年度賃貸契約者動向調査(首都圏)」から、「次回引っ越すときに絶対欲しい設備」に対する回答の一部を以下にまとめました。
設備 | 次引っ越す際に絶対に欲しいと答えた人の割合 |
---|---|
モニター付きインターホン | 45.4% |
宅配ボックス | 40.4% |
無料インターネット完備 | 28.7% |
参考:リクルート 2022年度 賃貸契約者動向調査(首都圏)
上記3つの設備は、物件を探している人のうち約3割〜半数近くの人が「この設備がない物件には引っ越ししたくない」と考えています。付帯設備は、物件の決定に影響を与える重要なポイントといえるでしょう。
ここからは、空室対策に有効な設備を5点ご紹介します。
モニター付きインターホン
女性の一人暮らしやお子様がいる世帯から需要が高いのが、モニター付きインターホンです。モニター付きインターホンは、部屋のドアを開ける前に、誰が訪ねて来たのかを映像で確認が可能です。相手の顔や外の様子を見たうえでドアを開けるか判断できるため、セキュリティが向上します。ドアを安心して開けられます。
ワイヤレスタイプのインターホンであれば、配線工事なしで設置ができ、機器の購入費(1台あたり1万~3万円程度)のみの負担で済みます。物件の防犯性がアップするため、入居者の安心感が高まるアイテムです。
宅配ボックス
不在時でも宅配された荷物を受け取れる宅配ボックスは、ネットショッピングが普及した現在、賃貸物件についているとうれしい人気の設備です。
宅配ボックスの設置は、共用エントランスなどにロッカー型のものを設置するのが一般的です。エントランスにスペースがない場合は、置き型の宅配ボックスを各戸の玄関前に設置する方法もあります。
宅配ボックスの種類をまとめると以下のようになります。
ロッカー型電子式 | 防犯性・利便性に優れているが、初期費用やランニングコストが高い。 |
ロッカー型ダイヤル式 | 電子式に比べて導入コストは安いが、盗難リスクは高まる。 |
個別置き型 | 費用も安く設置が簡単。入居者の鍵紛失、盗難などのトラブルが発生しやすい。 |
物件の広さや予算に合わせて、適切なタイプを選択していきましょう。そのほか、オートロック物件でも置き配を可能にする等の対策もあります。
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無料Wi-Fi
現代社会において、インターネット回線は生活に必要不可欠なものです。人気設備ランキングでも常に上位の人気設備で、無料Wi-Fiは今後も入居者からの高い需要が続く設備といえます。入居を後押しするポイントとして大きな効果を発揮するでしょう。
賃貸物件に無料Wi-Fiがついていれば、入居したらすぐに快適なインターネット環境が手に入れられます。入居を後押しするポイントとして大きな効果を発揮するでしょう。
アパートに無料Wi-Fiを設置する方法は次の3つです。
共用部設置型Wi-Fi | 共用部にWi-Fiルーターを設置して、各部屋へとWi-Fi電波を飛ばす。コストは安いが、電波が安定しない恐れがある。 |
埋め込み型Wi-Fi | 各部屋まで開通したLAN回線を、各部屋の壁やコンセント部分に埋め込んだルーターで電波を飛ばす。見た目はスッキリするが、工事費用がやや高くなる。 |
置き型Wi-Fi | 各部屋まで開通したLAN回線を、各戸に設置した置き型のWi-Fiルーターで電波を飛ばす。ルーターの購入費用がかかるが、設置工事が不要。 |
アパートで無料Wi-Fiを設置するには、初期費用と月額費用がかかります。アパートの大きさや部屋数によって、導入・維持コストが変わるため、事前にいくつかの方法や業者を比較して検討しましょう。
スマートロック
スマートロックとは、スマホで自宅ドアの鍵の開け閉めができるキーのことです。
実物の鍵を持つ必要がなく、さらに解錠・施錠の履歴もスマホから確認できるため、鍵の紛失や施錠忘れなどを防げます。オートロックがない物件のセキュリティ強化にもなり、物件のアピールポイントになる設備です。
スマートロックを導入するメリットは入居者に対するものだけではありません。指定した時間内だけ有効なキーをネット上で付与できるため、内見時に鍵の受け渡しをする必要がなくなります。入居者の退去後には、利用権限を解除すればこれまでの入居者はキーが使えなくなり、鍵交換も不要です。
スマートロックの導入によって、オーナー側の手間やコストの削減といったメリットも得られます。
セキュリティシステム
物件のセキュリティシステムを強化すると、とくに女性やファミリー層から人気が高まります。セキュリティを強化するには次のような対策を取りましょう。
- 防犯カメラの設置
- 電子キーの導入
- ホームセキュリティシステムの導入
まず取り入れたいのが、防犯カメラです。購入する場合はまとまった初期費用がかかりますが、設置後の維持費はかかりません。初期費用を抑えたい場合は、月額費用を支払ってレンタルする方法もあります。
また、前述のスマートロックやエントランスのオートロックなどの電子キーを取り入れると、防犯性が高まります。
セコムなどのホームセキュリティの導入にはコストがかかりますが、セキュリティ面を重視したい方に向けての大きなセールスポイントとなるでしょう。
5.リフォーム・リノベーション
リフォームやリノベーションによって物件の魅力を高められると、入居希望者を集めやすくなります。
物件を探している方は、快適な住み心地の住まいを求めています。古いままの物件よりも、適切に修繕・改修された物件に人気が集まるのは当然のことです。
リフォームやリノベーションによって物件の価値が向上するため、それに見合った家賃への引き上げも可能です。とくに清潔感が求められる水回りのリフォームは、入居率のアップへとつながりやすい部分でもあります。
ただし、全面的な修繕には多額の費用がかかるため、かかった費用を回収できるのかをしっかりシミュレーションするべきでしょう。
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6.入居条件を見直す
空室が出ない物件にするためには、競合物件との差別化が必要です。差別化を図る手段として、入居を許可するターゲットを見直す方法があります。
たとえば、ペット飼育をOKにする、外国人や高齢者の入居を認めるなどで、入居希望者の幅を広げられます。大きなコストをかけずにできる方法であるため、自分の物件に取り入れられないか検討してみましょう。
ペット可
ペット飼育OKな物件にすることで、入居者を確保でき家賃も値上げできる可能性が高まります。
ペットと一緒に住みたい需要は高まっている一方、「ペット可」の物件数は少ないのが現状です。需要が高いために、相場よりも高い家賃設定が可能です。
入居者がいる状態の物件をペット可にするには、既存入居者の同意を得なければなりません。共用部分でのペットの取り扱いや、飼育を許可する動物の種類や大きさなど、他の住民とのトラブルを避けるためにルールを明確に決めておく必要があります。
また、ペットを飼育している部屋は、通常よりも損傷が激しくなります。原状回復費用がかさむことを見越して、敷金償却を設定しておくなどの対策が必要になります。
楽器演奏可
楽器の演奏が可能な物件に変更する方法もあります。
楽器が演奏できる賃貸物件に対するニーズは、一定数存在します。物件エリア内に音大や音楽専門学校などがあれば、とくに需要が高いでしょう。
楽器演奏ができる物件は、演奏できる楽器の種類や時間帯を定めている「楽器『相談』可」物件と、条件が課されていない「楽器『演奏』可」物件にわけられます。
楽器相談可物件は、一般的な構造の建物のまま賃貸しているケースが多く、コストをかけずに提供できます。
時間の制限などを設けない楽器演奏可物件にするには、防音対策を施すためのリフォームが必要ですが、楽器演奏ができる物件への変更は、需要が見込める立地であれば効果的な空室対策となるでしょう。
外国人
外国人を入居者のターゲットとして打ちだしていく方法は、空室対策に有効です。
大阪市が行った令和4年度のアンケート調査によると、家探し経験がある外国人のうち42.5%の人が「外国人であるために入居を断られた経験をもつ」と回答しています。在留外国人の数は令和5年末には過去最高の341万992人に達しており、入居を断られやすい傾向にある外国人からの賃貸需要は、今後も高まっていくでしょう。
外国人との賃貸契約においては、トラブルを避けるために次のような点に注意が必要です。
- 在留資格を確認する
- 契約内容や生活ルール(ゴミ捨て、騒音など)を、理解できる言語で伝える
- 契約時からの変更(居住人数、連絡先など)があれば、必ず連絡が必要と伝える
外国人は築年数や設備の充実にこだわらないことが多く、多額のコストをかけなくても入居者を集められる可能性が高いです。外国人が多く働く工場や留学生の多い大学などが近隣にある場合は、とくに効果が出やすい空室対策といえるでしょう。
参考:大阪市 令和4年度大阪市外国人住民アンケート調査の結果について
出入国在留管理庁 令和5年末現在における在留外国人数について
高齢者
高齢社会が進む日本で安定した賃貸経営を目指すのであれば、高齢者の賃貸ニーズの高まりは無視できません。
仕事の都合で引っ越す必要がない高齢者は、一度入居すると長期間住み続ける可能性が高いため、受け入れるメリットも大きいです。一方で、単身高齢者の入居に対しては、孤独死や家賃滞納への不安がつきまとうため、受け入れに消極的なオーナーも多いでしょう。
高齢者の受け入れリスクを減らすには、見守りサービスの導入や家賃保証会社の利用が有効です。適切な対策を講じて、需要が高まる高齢者の受け入れ態勢を整えていきましょう。
7.管理会社を見直す
空室がなかなか埋まらないときには、管理会社の変更も検討してみましょう。賃貸管理を請け負う管理会社の働きぶりは、物件の魅力やアピール力に直結します。
たとえば、管理会社の仕事には「物件の清掃やメンテナンス」があります。管理会社の手入れが不十分であれば、物件に対する印象は大きく下がってしまうでしょう。また、客付け力の高い管理会社に切り替えることで、入居率をアップさせられるかもしれません。
現在の管理会社の対応や運用方法に疑問を感じているようであれば、複数の管理会社とコストやサービス面を比較して見直しを進めていきましょう。
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空室の原因を確認する
効果的な空室対策を行うには、空室の原因を理解しておかなければなりません。原因に対する的確なアプローチをすれば、空室を改善できる可能性が高まります。
ただし、空室の原因は1つではなく複数の要素が重なっていることがほとんどです。ここでは、入居を判断する際に大きな影響を与える「賃料」と、物件への需要を左右する「競合物件」や「周辺環境」に注目して、空室原因をまとめました。
賃料相場
空室が埋まらないのは、賃料設定が相場とかけ離れていることが原因かもしれません。新築時に設定した家賃額のまま年数が過ぎているのであれば、物件の価値に対して家賃の金額が高すぎる状態になっている恐れがあります。
適正な家賃を設定するには、賃料の相場を調べなければなりません。ポータルサイトから条件の似た物件の家賃をリサーチしたり、管理会社や不動産会社に相談したりして、現在の物件の価値に合った家賃を考えましょう。
周辺の競合物件
周辺の競合物件が、空室を生み出す原因となっている可能性もあります。賃貸経営において、周辺環境などの外部要因は、収益の増減に大きな影響を与えるものです。
新しく建設された競合物件のほうが設備や立地などで有利な点が多ければ、競合物件のほうに人気が集まってしまいます。競合物件によって自分の物件の入居率が下がっているようであれば、ライバルの強みを調査し、どのように差別化を図るかを考えていきましょう。
地域環境の変化
物件がある地域の環境変化が原因となって、空室が続いているのかもしれません。競合物件と同じく外部要因の1つである地域環境は、物件に対するニーズを左右します。
近隣にあった学校や工場の移転、エリア全体の人口数や年齢層の変化などによって、物件への需要は大きく変化します。
地域環境の変化に対応するには、変化をスピーディーにキャッチすることが大切です。求められるニーズに合わせて、物件の運営方法を考えていきましょう。
やってはいけない空室対策
ここまでさまざまな空室対策をご紹介しましたが、状況ややり方によっては逆効果を招く「やってはいけない空室対策」になるかもしれません。
たとえば、空室を埋めたいがために家賃を大きく値下げしてしまうと、満室になったとしても収支が赤字になる恐れがあります。リフォームやリノベーションは建物の魅力を高めるのに有効ですが、かかった費用を収益で回収できなければ意味がありません。
ペットの飼育や外国人など受け入れ可能な条件を見直す場合にも、既存の入居者との話し合いやルール設定をおろそかにしてしまうと、後のトラブルを引き起こす恐れもあります。
空室対策を行うときは、現状の分析や対策の効果を管理会社や不動産会社に相談しながら進めていきましょう。
まとめ
賃貸物件の空室対策には、設備の導入や広告の見直し、入居者の費用負担を減らすなど、さまざまな方法があります。
それぞれの対策によって、得られる効果やかかるコスト、デメリットなどが異なるため、費用対効果を考えて取り組むことが大切です。
空室率を改善するには、「なぜ空室が発生しているのか」を考える必要があります。反対に、やってはいけない空室対策をしてしまうと、将来的な経営悪化やトラブルを招く恐れがあります。物件の状態や取り巻く環境に適した空室対策を行っていきましょう。
監修者
宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士
久保田 克洋
不動産業界に20年以上従事。賃貸管理を中心に管理受託業務・売買仲介・民泊運営を担った幅広い知識と経験をベースに、現在はプロパティマネジメント・アセットマネジメントを担っている。
監修者
宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士
長谷川 憲一
20年以上にわたり不動産業界に従事。中古物件の仕入れ販売、賃貸管理業務、マンスリーマンション事業の立ち上げ、リーシング事業の立ち上げなどに携わる。現在は、幅広い経験と知識を生かし、プロパティマネジメント・アセットマネジメントを担っている。
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