土地などの不動産を売却する際、不動産会社の選び方を失敗すると売却に時間がかかってしまったり、思っているよりも安く売れてしまうことがあります。なるべく高く・早く売りたいと思っても慌てずポイントを見極めて不動産会社を選ぶことが大切です。
この記事では、土地売却で失敗しない不動産会社の選び方を7つのポイントで紹介します。
ポイント
- 土地売却の際は、販売実績や営業担当者の対応などで不動産会社を選ぶのがポイント
- 複数の不動産会社を比較して自身にあった会社を選択するのが良い
- 売却後の資金の使い方まで含めトータルに提案ができる不動産会社もある
- 売却したい不動産の種類を得意としているか
- 売却したい不動産のエリアを熟知しているか
- 販売実績が豊富かどうか
- 営業担当者の対応が良いかどうか
- 査定金額に根拠があるかどうか
- どのような広告手法をもっているか
- 免許番号や行政処分を確認する
土地を売却する際、プロに任せることが一般的です。しかし、プロであっても任せる不動産会社によっては時間がかかったり、相場以下の金額になったりすることがあるでしょう。
何を基準に選べばよいか悩んでいる方向けに、ここから各ポイントを詳しく解説します。
ポイント1 売却したい不動産の種類を得意としているか
不動産会社にもさまざまな種類があるため、自分が売却した不動産の種類を得意としているか判断することがポイントです。
まず、ホームページなどで依頼予定の不動産会社の業務内容を確認します。業務による不動産会社の区分は、主に以下のとおりです。
種類 | 内容 |
---|---|
マンションデベロッパー・分譲業者 | マンションの開発販売を行う |
賃貸住宅の建築・仕入れ業者 | 賃貸物件の企画建築や仕入れを行う |
不動産販売代理会社 | デベロッパーの代わりにマンションや戸建ての販売を行う |
不動産仲介・媒介業者 | 売買・賃貸物件の仲介(媒介)を行う |
不動産管理会社 | 賃貸物件を管理する |
土地などの不動産売却を検討する際、不動産仲介業務が業務内容に含まれている会社に依頼しましょう。
また、実際に不動産会社の担当者に尋ねると、得意分野かどうかスムーズに確認できます。担当者からの聞き取りだけで判断できない場合は、ホームページなどで実績をチェックするとよいでしょう。
ポイント2 売却したい不動産のエリアを熟知しているか
売却したい不動産のエリアを熟知しているかどうかも、失敗しない不動産会社選びで大切な要素です。売却エリアを熟知している不動産会社に相談すれば、該当する物件の魅力を前面に出して買い手候補者にアピールできます。
エリアを熟知しているか判断するためには、売却予定の物件と同じ市町村内に営業店を抱えているかチェックすることが大切です。物件が不動産会社から離れたエリアにある場合は、情報提示などに時間がかかってしまったり、対象エリアでの業者間ネットワークが弱かったりする手間をかけずに対応される可能性があります。
なお、大手不動産会社や地元密着型不動産会社、建築請負から管理までやっている会社など、会社の種類や得意事業によっても、エリアの熟知度が異なることもあるでしょう。それぞれの不動産会社の特徴については、後ほど詳しく説明します。
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ポイント3 販売実績が豊富かどうか
直近の販売実績が豊富かどうかを確認することも重要なポイントです。
販売実績が豊富な業者は、周辺エリアで物件を探している人とのつながりがある可能性があります。相談した不動産会社が抱える見込み先にうまくアピールできれば、早い段階で売却できるでしょう。
また、販売実績が豊富な業者には、売却のノウハウが蓄積されている可能性もあります。相談した不動産会社が売却する物件の周辺エリアにある周辺施設や駅などを把握していれば、買い手の候補に利便性をアピールできるため、成約の可能性が高まるでしょう。
販売実績は、各不動産会社のホームページなどで確認できます。また、大手不動産会社の取扱高については、公益社団法人 不動産流通推進センターが発表している「2023 不動産業統計集 3. 不動産流通」から確認可能です。
参考:公益財団法人不動産流通推進センター 2023 不動産業統計集
ポイント4 営業担当者の対応が良いかどうか
営業担当者の対応が良いかどうかも、不動産会社選びで大切な判断材料のひとつです。担当者の力量次第で、売却可否や金額が左右されることもあります。
一方的に説明するのではなく、ヒアリング力・アドバイス力がある担当者かどうかを確認しましょう。こちらの悩みを聞いた上で、細かい提案までしてくれる担当者であれば、さまざまな選択肢から自分にあった方法で売却を進められます。
また、営業担当者の対応がスピーディーなのかも重要です。メールや電話で相談した内容が放置されていないか、面談を先延ばしにされていないかなどを確認します。
肩書きも、営業担当者のことを知る上で大切です。とくに、物件査定を依頼する際は、担当者か同席する職員の名刺に「宅地建物取引士」の記載があることを確認しておきましょう。
さらに、営業担当者個人の得意分野や販売実績を確認することも、見極める上でポイントです。
ポイント5 査定金額に根拠があるかどうか
不動産査定の金額に、明確な根拠があるかどうかも失敗しない不動産会社の選び方のポイントです。査定額を提示されたら、根拠を担当者に尋ねるようにしましょう。
売却額は、最終的に買い手と売り手の間の合意で決めることです。いくら査定額が高くても、買い手が誰も現れなければ売却までに時間がかかります。
査定額を低くつけられた場合、売却までの時間は早くなるでしょう。しかし、その分本来より安い価格で売却するため、損をする可能性があります。
根拠がはっきりしない、感覚的に実際の相場より高い(低い)気がするなどの場合は、妥当性を判断するために複数の不動産会社に査定を依頼するとよいでしょう。ネット査定もスムーズに価格を知る方法として有効ですが、現況を把握しきれないためやや正確さに欠ける点に注意が必要です。
なお、不動産査定には、ネット査定のように過去の取引事例などをもとに実際の物件を確認せずに算出する机上(簡易)査定と、担当者が現地調査して算出する訪問査定があります。
ポイント6 どのような広告手法をもっているか
依頼する不動産会社が、どのような広告手法を持っているかもあらかじめ調べておきましょう。不動産会社によって、インターネット広告・チラシ広告・既存顧客への紹介・レインズ(買い手と売り手を結びつけるネットワークシステム)への登録など、さまざまな広告手法があります。
とくに、インターネット広告を活用しているかが注目すべき点です。近年、複数の不動産会社がインターネット上に物件情報を掲載する「不動産ポータルサイト」を通じて購入する人が増えています。
写真だけでなく物件の動画を撮影するなど、インターネット広告に積極的な不動産会社に相談すれば、より多くの人に自分の物件を知ってもらえるでしょう。不動産ポータルサイトだけでなく、SNSを駆使する業者もいます。
ただし、インターネット広告に力を入れていない不動産会社でも、うまく売却できるケースがあります。たとえば、自社ネットワークに強みを持つ会社なら、インターネット広告を使わずに自社の顧客網から販売先を見つけられることがあるでしょう。
どのような販路に強いかを事前に聞いて、把握しておくことが大切です。
ポイント7 免許番号や行政処分を確認する
不動産会社を見極めるために、免許番号や行政処分を確認すべきケースもあります。
免許番号とは、不動産会社が宅地建物取引業を営むにあたって割り振られる番号のことです。免許番号から対象不動産会社の業歴を確認できます。
免許番号は、名刺やホームページなどで確認できることが一般的です。不動産会社の免許番号を国土交通省の「宅地建物取引業者 検索」に入力すれば、免許の更新回数を確認できます。一般的に、回数が少なければ、業歴が浅いと判断できるでしょう。
行政処分とは、不動産会社が法令違反した際に受ける指示処分・業務停止処分などのことです。国土交通省の「ネガティブ情報等検索システム」に情報を入力すれば、対象の会社が過去に行政処分を受けているか確認できます。
なお、複数のエリアに営業所を構える場合など、会社の業歴が長くても免許更新回数が少なく表示されることがある点に注意が必要です。また、過去に行政処分があっても改善されている場合があるため、免許番号や行政処分の情報は参考程度にとどめておくとよいでしょう。
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大手不動産会社の特徴
大手不動産会社とは、規模や知名度が全国的に高い会社を指すことが一般的です。規模は、取引件数や手数料総額などに基づき判断します。
ただし、数字でどこからが大手不動産会社という明確な線引きがあるわけではありません。基本的に、全国各地に独自の仲介機能を備えた店舗を構えている会社は、大手不動産会社に分類されます。
ここでは、大手不動産会社を選ぶ際のメリットと注意点について確認していきましょう。
大手不動産会社のメリット
大手不動産会社のメリットは、ある程度信頼感がある点です。買い手側も、耳にしたことがある大手不動産会社が仲介していると知れば、安心して購入できるでしょう。
大手不動産会社は従業員が多いため、教育に割く時間が比較的長い点も特徴です。教育環境が整っていれば、従業員が一定の不動産知識を有している可能性があります。
サービスが充実している点も、大手不動産会社の特徴です。土地だけでなく建物も売却する場合、ハウスクリーニングや建物状況調査(インスペクション)を無料でするケースもあります。さらに、大手不動産会社ならではの宣伝力で、宣伝を見た飛び込み客からの問い合わせが比較的多い可能性が高いと言えます。
大手不動産会社の注意点
大手不動産会社に相談するにあたって、あらかじめ注意しなければならない点もあります。
まず、大手不動産会社では、営業担当者一人が抱える案件が多いことが予想されます。案件が多いと、内容よりスピード重視の対応になる可能性があり、多少安くても早く売却することを提案されることがあるかもしれません。
また、担当者によってエリアの知見が異なる点にも注意が必要です。日本全国に支店を抱える大手不動産会社では、定期的に従業員の異動があるため、万が一売却物件周辺のエリアに関する情報が少ない担当者だった場合、物件の魅力を買い手候補へ十分にアピールできないことがあるでしょう。
営業担当者の知見不足で不動産売却に失敗することを防ぐため、相談時に営業のフォロー体制がどうなっているか尋ねることがポイントです。
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地元密着型・中小の不動産会社の特徴
地元密着型(地域密着型)・中小の不動産会社とは、各自治体など特定のエリアに根付いた比較的規模の小さい不動産会社のことです。会社によっても異なりますが、地元密着型不動産会社の特徴として、主に以下の点があげられます。
- 大手不動産会社のように目立つ看板を掲げていない
- 店舗のウインドウ周りに手作り感がある
- 加盟している協会のポスターを貼っている
ここから、地元密着型や中小の不動産会社を選ぶ際のメリットや注意点について確認していきましょう。
地元密着型不動産会社のメリット
地元密着型不動産会社を選ぶメリットは、地域の情報に精通している点です。とくに業歴が長い地元の業者の場合、エリア外の不動産会社が把握していない情報を持っている可能性があります。
また、遠方へ転勤する機会が少なく物件の周辺情報に詳しい場合が多く、相場以上に高値で売ろうとしてなかなか買い手がつかなかったり、その反対に安く売って損したりする可能性を軽減できます。自分が物件周辺エリアのことをよく知らないなら、一度地元密着型不動産会社に相談すると良いでしょう。
また、優良顧客との結びつきがある点もメリットです。業歴が長く優良企業の社長や資産家などとの付き合いも深い地元密着型不動産会社に相談すれば、好条件で早く売却できる可能性が高まります。
地元密着型不動産会社の注意点
地元密着型不動産会社に相談する上で注意しなければならないのは、宣伝力が弱い点です。大手不動産会社と比べると宣伝広告費にかけられる金額に限りがあります。
また、地元密着不動産会社の経営者の年齢層によっては、インターネット広告が弱い場合もあるでしょう。その場合、物件をアピールできる層が中高年に限定される可能性があります。
大手不動産会社と比べると知名度が低い点にも注意が必要です。地元ではある程度名の通った会社でも、他都道府県では無名のことがあります。日本全国から買い手を探したい場合は、大手不動産会社への相談も検討した方が良いでしょう。
さらに、知名度が低いと会社の信頼度を調査するのが難しい点にも気をつけなければなりません。インターネットでの口コミ投稿が少ないため、評判を知るためには利用者や地元に住む知人などに直接尋ねる必要があります。
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売却後の資金の活用や土地の売却以外の提案もできる不動産会社
不動産会社のなかには、売却益の有効活用まで見込んで提案してくれるところもあります。資産の組み換えや、売却益を不動産投資に活用することによる収益の改善、節税対策、不動産の老朽化の改善など、依頼する売買の仲介だけではなく広い視野で最適な資産活用法をトータルに提案ができる不動産会社かどうかも重要なポイントです。
売却以外にも、さまざまな土地活用方法が存在します。
- 土地を第三者に貸す(借地)
- アパートやマンションを建てる
- 戸建てを建てる
- 駐車場にして貸し出す
- レンタルスペースを設置して貸し出す
アパートやマンションを建築して賃貸すれば、不動産投資ができます。所有する物件を第三者に貸し出し、主に家賃を利益として受け取る投資手法のことです。
不動産投資を始めれば、相続税対策として活用できる、減価償却して節税につながるなどのメリットを期待できます。また、アパートやマンションを建てるにあたって、金融機関の不動産投資ローン(アパートローン)を利用した場合は、以下の点もメリットです。
- 少ない資金で大きなリターンを期待できる(レバレッジが高い)
- 自分に万が一のことがあった場合に、遺された家族はローンを払わず物件を引き継げる(団体信用生命保険加入時)
幅広い選択肢を提案してくれる不動産会社に相談すると良いでしょう。
まとめ
不動産会社には得意分野があります。営業担当者の対応力によっても売却価格や成約までのスピードが左右されるでしょう。
そこで、土地売却などで不動産会社選びに失敗しないためには、売却したい不動産の種類を得意としているか、営業担当者の対応が良いかなどをチェックすることがポイントです。
また、不動産会社の規模によって、同じ土地でも売れ方が大きく変わります。依頼前に大手不動産会社と地元密着型不動産会社をしっかりと比較し、自分との相性が良く、満足のいく取引ができる不動産会社を選ぶようにしましょう。
監修者
杉田 裕蔵
東京を中心に、20年以上アパート・マンション建築賃貸業界に従事。
現場に密着した営業経験と建築知識、不動産知識を活かして業務に携わっている。
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