賃貸人の修繕義務範囲はどこまで?設備が故障したときの責任や対処法
賃貸人は賃借人に対し、物件を使用・収益させるべき義務を負っており(民法第601条)、物件に不具合や故障が発生した場合には、適切に使用・収益ができるように修繕しなければなりません。修繕義務の範囲には個別判断が必要なことも多々あり、ケースごとの把握が必要です。 本記事では、賃貸人の修繕義務の範囲や設備が故障した場合の対応、賃貸人が負うリスクとその予防策について解説します。 ポイント 賃貸人は、賃借人が...
不動産投資家K
不動産投資の代表的なものとして「一棟投資」と「区分投資」があげられます。それぞれメリットとデメリットがあり、目的などさまざまな点で違いがあります。この記事では不動産投資を始めようとしている方に向けて、一棟投資と区分投資を10項目の切り口から徹底比較します。
一棟投資とは一棟アパートや一棟マンション、あるいは一棟ビルを、一棟まるごと所有して賃貸経営を行う投資手法です。出口戦略として、投資から撤退する際に売却で得られる利益も視野に入れた長期的な投資といえるでしょう。
こちらの記事もおすすめです
また、区分投資とはアパートやマンションを一戸、あるいは複数戸所有して、同じく賃貸経営と出口戦略で利益を得る投資手法です。
これら2つは、どちらも不動産投資ですが、さまざまな違いがあります。ここでは次の10項目の切り口で2つの投資手法を徹底的に比較します。
詳しくは以下から解説していきます。
こちらの記事もおすすめです
不動産投資の目的は、一般的に「収入の増加」「相続税対策」「インフレ対策」「老後のための資産形成」の4つです。区分マンション投資と、一棟アパート・一棟マンション・一棟ビル投資とをこの4つの効果の大小という点で比較すると、以下の表のようになります。
収入の増加 | 相続税対策 | インフレ対策 | 老後の 資産形成 |
|
---|---|---|---|---|
区分マンション | 小 | 大 | 大 | 大 |
一棟アパート 一棟マンション |
大 | 大 | 小 | 小 |
一棟ビル | 大 | 小 | 大 | 大 |
不動産投資に参入するには自己資金が必要ですが、必要な額が大きいほど参入のハードルが上がります。区分マンションは物件の選択肢が豊富で、一棟アパート・マンション・ビル投資に比べて圧倒的に少ない資金から始められます。
そのため、区分マンション投資は不動産投資ビギナーでも参入しやすいカテゴリーといえるでしょう。たとえば郊外かつワンルームマンションであれば、総額で500万円以下の物件もあり、表面利回りが10%を超えるケースもあります。
価格が手頃で流通数が多いことは、流動性が高いことを意味しています。つまり売却しやすい物件なので、出口戦略も含めた投資ビジョンを組み立てやすいということです。
手持ちの自己資金で購入できる範囲であれば、現金を現物資産に換えたいという目的にも対応しやすいのが区分マンション投資といえるでしょう。
投資の始めやすさのハードル | |
---|---|
区分マンション投資 | 低い |
一棟アパート・一棟マンション投資 | 高い |
一棟ビル投資 | かなり高い |
一般的に区分マンション投資に比べると、一棟アパート・マンション・ビル投資のほうが投資効率はおおむね高くなる傾向があります。
区分マンション投資の場合、転出転入が発生すれば、その都度原状回復費や募集費用がかかり、空室が埋まるまでは賃貸料が入りません。一方、一棟アパート・マンション・ビル投資の場合は複数戸から賃貸が入り、額も大きいため、どこかに空室が出ても全体でマイナスを吸収できます。
物件により事情はさまざまですが、概して一棟アパート・マンション・ビル投資のほうが投資効率は高いと考えることができるでしょう。
投資効率 | |
---|---|
区分マンション投資 | 低い |
一棟アパート・一棟マンション投資 | 高い |
一棟ビル投資 | 高い |
物件を管理する手間は区分マンション投資の方がかかりません。マンションは一般的に所有者による管理組合があり、多くの場合組合から管理会社にマンション全体の管理を委託しているからです。
副業で不動産投資を手がける会社員の方でも、定められた管理費用を納めることでこまごまとした管理・メンテナンスの業務から解放されます。
一棟アパート・マンション・ビル投資の場合、戸数が多く住民間のトラブルなども多くなるため管理が大変かもしれません。一般的には管理会社に委託しますが、管理項目ごとにコストが発生し、あらゆる項目を委託すると利益を圧迫することがデメリットといえるでしょう。
管理の手間 | |
---|---|
区分マンション投資 | 管理組合に任せられる |
一棟アパート・一棟マンション投資 | コストをかけて管理会社に任せる |
一棟ビル投資 | コストをかけて管理会社に任せる |
一棟アパート・マンション・ビル投資では、オーナーの経営の自由度が高いです。オーナーが決められることやコントロールできる項目が多いといえるでしょう。空室リスクを下げる施策や賃料アップの戦略など、柔軟なリスクヘッジと積極経営で進むことができます。
一方、区分マンション経営の自由度は低いです。裁量範囲は所有している戸内だけで、マンション全体に関わる施策は、他のオーナー全員が賛同しなければ実施できません。
経営の自由度 | |
---|---|
区分マンション投資 | 低い |
一棟アパート・一棟マンション投資 | 高い |
一棟ビル投資 | 高い |
一棟アパート・マンション・ビル投資の方が区分マンションよりも自由度の高い戦略を組み立てやすい傾向があります。
区分マンションの売却は、近隣の類似物件や同じマンション内の事例によって価格相場が決まります。その情報はオープンになっていることが多いので、オーナーの希望価格が通りにくいこともあるでしょう。
一棟アパート・マンション・ビルの場合は、売買情報も非公開で個別性が高く、オーナーの希望を売却価格に反映させやすいという面があります。
ただし売買の流動性の高さは、圧倒的に区分マンションの方が上です。一棟アパート・マンション・ビルは需要が多くあるわけではなく、状況によっては価格を妥協することもあるでしょう。
出口戦略 | |
---|---|
区分マンション投資 | 戦略を立てにくい/流動性が高い |
一棟アパート・一棟マンション投資 | 戦略を立てやすい/流動性が低い |
一棟ビル投資 | 戦略を立てやすい/流動性がかなり低い |
こちらの記事もおすすめです
区分マンション投資は、価格が低い分不動産ローンを活用しやすい面がありますが、担保評価が伸びず、個人の与信内容に審査結果が左右される傾向があります。
一方、一棟アパート・マンション・ビル投資は、価格が高いため融資の審査は厳しいですが、経年劣化がない土地が大きな割合を占めるため、担保価値が評価されやすい傾向にあります。
そのため土地所有者であれば、個人の与信に依存した区分マンション投資の融資よりも、一棟アパート・マンション・ビル投資のほうが融資を受けやすい面があるといえるでしょう。
ただし、融資額が大きい一棟アパート・マンション・ビル投資の場合、土地からの購入となると多額の自己資金が必要となります。また、経営が不調になり、返済が滞った際、区分マンション投資よりリスクが大きくなることがあります。
金融機関の担保評価 | |
---|---|
区分マンション投資 | 低め |
一棟アパート・一棟マンション投資 | 高い |
一棟ビル投資 | かなり高い |
こちらの記事もおすすめです
不動産投資は節税効果があるとよくいわれます。一棟アパート・マンション・ビル投資と区分マンション投資では、どちらの節税効果の方が高いのでしょうか。
不動産投資で節税になる代表的な項目は、物件の購入費用を分割して毎年必要経費に計上できる減価償却です。計上期間は建物の構造によって決められている法定耐用年数によって変わります。
RC造(鉄筋コンクリート造)の法定耐用年数は47年です。つまり、取得費用を47年間に分割して経費計上することができます。一般的に一棟物件のほうが価格が高く、それだけ所得から控除できるため、節税効果が高いといえるでしょう。
節税効果 | |
---|---|
区分マンション投資 | 普通 |
一棟アパート・一棟マンション投資 | 高い |
一棟ビル投資 | 高い |
一般的に1つのものや事に集中して投資すると、失敗したときにすべてを失うことになります。そのため、投資対象を分散することが投資におけるリスクヘッジの基本といえるでしょう。
区分マンション投資は、戸数を増やさないとリスク分散はできないため、初期のリスクが高い傾向にあります。一方、一棟アパート・マンション・ビル投資はスタート時から複数戸を所有しているので、空室リスクを全体でカバーでき、リスクが分散しやすいといえます。
ただし、所在エリアの不動産市場に変化があった場合や大きな災害が起きた場合のダメージは、区分マンション投資よりも大きいため注意が必要です。
リスクヘッジ | |
---|---|
区分マンション投資 | 難しい |
一棟アパート・一棟マンション投資 | しやすい |
一棟ビル東リ | しやすい |
区分マンション投資は、将来的なビジネスのスケールアップを視野に入れるのではなく、長期的な運用で老後を見据えた資産形成を始めたいという場合に向いている投資手法と考えてよいでしょう。
区分マンション投資は、管理組合に管理を任せることが可能です。そのため本業が忙しくても参入でき、将来の長期的な資産形成に向く投資方法です。投資効率が低いというデメリットはありますが、確実にローン返済を進めていけば純資産に変えていくことができます。区分マンション投資はローリスクの長期運用を検討する場合に、有効な選択肢といえるでしょう。
一棟投資は、副業というよりも本業に近い感覚で自身のビジネスを拡大したい場合に向いている投資方法です。
一棟アパート・マンション・ビル投資には多額の資金調達が必要になりますが、クレジットヒストリーに問題がなく安定収入がある方で対象物件の収益性の評価が高い場合には、高額融資を受けることはそれほど困難ではありません。
一棟投資はスケールメリットがあるため、ダイナミックに展開して大きく収益が上がれば、早期に複数物件を手がけることも夢ではありません。規模拡大に向けた資金繰りもしやすく、実績を重ねることで金融機関からの与信評価も高まります。
一棟アパート・マンション・ビル投資を始めたいけれど資金調達が叶わないから、区分マンション投資を始めるという消極的な参入には注意が必要です。区分マンションを購入することでさらに融資枠が減り、今後の与信に悪影響を与えるおそれがあるためです。
一棟投資は区分マンション投資と比べオーナーが判断すべき状況も多く、不動産投資家としての力量が試される必要とされる局面もあるでしょう。一棟アパート・マンション・ビル投資は、リスクを覚悟してそれに耐えられる資金力があるなら、一棟アパート・マンション・ビル投資は本格的なビジネスとして取り組む場合に向いている投資手法といえるでしょう。
向いている投資ビジョン | |
---|---|
区分マンション投資 | 長期的な資産形成 |
一棟アパート・一棟マンション投資 | 積極的なビジネス展開 |
一棟ビル投資 | 大規模で積極的なビジネス展開 |
一棟アパート・マンション・ビル投資と区分マンション投資について、10項目の切り口から徹底的に比較しました。もちろん1つとして同じ条件の物件などないので、実際には個々の物件ごとに環境を精査して判断しなければなりません。
それに加えて自身の投資ビジョンや資金の余力、リスクの許容度などあらゆる観点から検討して、有効と判断できる投資に臨むために、この記事が参考になれば幸いです。
監修者
魚角 幸正
監修者
佃 光昇
賃貸人は賃借人に対し、物件を使用・収益させるべき義務を負っており(民法第601条)、物件に不具合や故障が発生した場合には、適切に使用・収益ができるように修繕しなければなりません。修繕義務の範囲には個別判断が必要なことも多々あり、ケースごとの把握が必要です。 本記事では、賃貸人の修繕義務の範囲や設備が故障した場合の対応、賃貸人が負うリスクとその予防策について解説します。 ポイント 賃貸人は、賃借人が...
賃貸物件の設備不良が生じた場合、入居者の生活に支障が出てしまいます。賃貸物件の設備不良についてはオーナーが責任をとらなければならず、家賃減額の要因の1つです。 今回の記事では設備不良時に家賃減額になる条件や相場、対処法などを紹介します。 ポイント 民法改正により、設備の故障によるオーナーの責任が明確になった 入居者の生活に支障を与える程度によって、家賃の減額の割合が変わる 家賃の減額を避けるために...
短期譲渡所得とは、所有期間が5年以下の土地や建物などの資産を譲渡して得た利益のことです。短期譲渡所得には税金がかかりますが、特別控除を利用すれば節税ができます。 この記事では、短期譲渡所得の基本情報をはじめ、短期譲渡所得が発生した際の税金の計算方法や節税方法などについて解説します。不動産を売却するときの注意点も紹介するのでぜひ最後までご覧ください。 ポイント 短期譲渡所得は、所有期間が5年以下の資...
アパート・マンションのオーナーは、法律により、物件の法定点検が義務づけられています。実施を怠った場合、罰金が科される恐れがあるため、注意が必要です。 この記事では、アパート・マンションの法定点検の具体的な内容・実施すべき頻度や依頼方法、注意点などを解説します。ぜひ参考にしてください。 ポイント 法定点検とは、建物や付帯設備に関する法律で義務付けられている点検のこと 管理会社に専門業者の手配を委託す...
民泊事業には多くのメリットがある一方で、注意すべきデメリットもあります。開業を検討する際は、事業のプラス面・マイナス面の両方を理解しておくことが大切です。 この記事では、民泊事業のメリット・デメリットに加え、開業までの流れや押さえておきたいポイントを解説します。 ポイント 民泊とは、戸建てやアパート・マンションなど居住用物件を活用した宿泊サービスのこと 空き家を活用して収益を得られ、地域貢献や資産...
投資を始めようと考えたとき、多くの人が最初に直面するのが、「不動産にすべきか?それとも株式か?」という選択です。どちらも資産を増やすための代表的な手段として知られており、それぞれに根強い人気があります。 不動産投資と株式投資は、リスク特性、収益構造、必要な資金や流動性といった点で本質的な違いがあります。本コラムでは、両者の特徴やメリット・デメリットを比較しながら、あなたに合った投資スタイルを見極め...
プロパーローンは、金融機関が保証会社を介さずに独自の基準で審査し、直接融資を行うローンのことです。アパート経営など不動産投資を行う際の資金調達の方法のひとつとして知られています。 保証会社を通さない分、融資額や金利、期間などをオーダーメイドで設計できることが魅力ですが、その反面、金融機関の審査は慎重になる傾向があります。 本記事では、プロパーローンの基本的な仕組みから、保証会社付きアパートローンと...
不動産投資では、高額な物件を購入するため多くの場合金融機関からの融資が不可欠です。しかし、「購入したい物件の担保価値だけでは、希望する融資額に届かない」といった事態に直面することも少なくありません。 そんな時に選択肢となるのが共同担保です。 共同担保は、複数の不動産を担保とすることで、より大きな融資を引き出すことができる有効な手段です。しかし、安易に活用するのではなく、知っておくべきリスクも存在し...
土地活用を検討する中で「100坪はどのくらいの広さ?」「どのように活用できる?」と、お悩みではありませんか?所有する土地を有効活用して収益化するためには、活用方法や注意点をあらかじめ把握しておくことが重要です。 この記事では具体例を用いて100坪の広さを解説するほか、100坪の土地活用の方法10選も紹介します。建築に関する制限や土地活用を成功させるポイントなどもあわせて解説するので、ぜひ参考にして...
不動産を「夫婦で力を合わせて持つものだから」または「遺産分割になかなか折り合いがつかないから」と共有名義にすることは、リスクがあることを知っておく必要があります。 とはいえ、すでに共有名義となっている不動産が売却できないわけではありません。この記事では、共有名義の不動産を売却する手続きや流れ、必要な書類、注意点を解説します。 ポイント 共有名義の不動産売却には、共有している名義人全員の同意や書類が...