活用していない土地があれば、何か収益を得られないものかと考える方もいることでしょう。初心者でも手軽に始めやすい土地活用として、自動販売機の設置があげられます。
本記事では、自動販売機の設置により見込まれる利益、収益を増加させる方法、メリットやデメリットを解説します。どんな土地活用が向いているのかわからない方、土地活用として自動販売機の設置を考えている方は、ぜひチェックしてみてください。
ポイント
- 自動販売機の運用方式には、「セミオペレーション」「フルオペレーション」の2通りある
- 自動販売機の設置で見込まれる利益は多くても数万円程度
- 収益を上げるには差別化を図り、他の土地活用と併用するのがおすすめ
自動販売機の設置による利益
自動販売機の設置は、初心者でも始めやすい土地活用の1つです。自動販売機の運用方式は、自動販売機の準備から商品の仕入れ、商品の値段設定まですべて自分で行うセミオペレーションと土地を提供し、業者が自動販売機の準備や設置を行うフルオペレーションの2通りあり、運用方式によって利益や必要コストが異なります。それぞれの見込まれる利益や初期費用、運用中のコストをご紹介します。
利益の見込みは数万円程度
自動販売機の設置により見込まれる利益は、多くても数万円程度といわれていますが、商品の値段、売れ行きによってはもちろん、自動販売機の運用方式によっても大きく異なります。セミオペレーションは、売り上げのすべてがオーナーの取り分です。つまり、2万円分の飲料が売れた場合、2万円すべてがオーナーの収益となります。
一方で、フルオペレーションは、一般的に売上の20〜30%がオーナーの取り分です。つまり、2万円分の飲料が売れた場合、4000〜6000円がオーナーの収益となります。
設置に必要な初期費用
設置に必要な初期費用は、運用方式によって大きく異なります。機材の準備、商品の仕入れ、値段設定まですべて自分で行うセミオペレーションは、自動販売機を仕入れるコストと設置工事がかかります。自動販売機の仕入れ方法は新品や中古を購入したり、リース契約をしたりとさまざまで、それぞれ以下が目安の金額です。
自動販売機の仕入れ方法 | 必要な金額 |
---|---|
新品を購入 | 50万〜70万円 |
中古を購入 | 20〜40万円 |
リースを契約 | 3〜5万円/月 |
※参考価格
上記の初期費用に加えて、それぞれ設置工事に約3〜5万円かかります。リースで契約した場合、初期費用は抑えられるものの、毎月3〜5万円の支払いが発生し、自分で仕入れる場合には中古でも負担額は大きいのが特徴です。
一方、土地を提供するフルオペレーションは、業者が自動販売機の本体や設置工事費用を負担するため、初期費用はかからないことが多い傾向にあります。
運用中のコスト
自動販売機は運用中に利益だけでなく、コストもかかります。セミオペレーションの場合は、電気代、商品代が必要です。商品代は商品によって異なりますが、電気代は一般的に1ヶ月に2000〜4000円ほどかかります。一方、フルオペレーションの場合は、商品代の負担はないため、電気代のみの負担です。
収益アップの方法
自動販売機の設置のみで大きな利益を期待するのは難しいですが、少しでも収益をアップさせたいと考えるものです。自動販売機の設置で収益を得るには、集合住宅や駐車場の近くなどの人通りの多い場所に設置することが重要です。
また、収益をアップするには、ほかにも以下のような工夫も必要です。
- 差別化を図る
- 他の土地活用と併用する
それぞれの工夫について解説します。
差別化を図る
差別化を図ることで、自動販売機の利用者を増やし、収益をアップさせられるでしょう。特にセミオペレーション方式を用いている場合に効果的です。差別化を図る方法として、以下のようなアイデアがあげられます。
- 珍しい商品の取り扱い
- 災害時の電力供給機能の導入
- ポイントおよび多種多様な決済機能導入
- 募金機能の導入
飲料の販売が中心である自動販売機ですが、近年では調味料、カップ麺、お菓子、アイスクリーム、軽食などラインナップが増えています。珍しい商品を取り扱うことで、話題性を集め、リピート客の獲得にもつながるでしょう。利用者のニーズに合わせて、工夫することが重要です。
土地活用で自動販売機を設置する方法
土地活用で自動販売機を設置するには、基本的な知識を身につけてから行いましょう。自動販売機を設置する上で身につけておきたい知識は、以下の2つがあげられます。
- 必要な土地の広さ
- 2つの運用方式
それぞれ解説します。
必要な土地の広さ
自動販売機を設置するには、必要な土地の広さを知っておく必要があります。メーカーによって多少の差はありますが、一般的に必要な土地の広さは以下のとおりです。
自動販売機の大きさ | 必要な土地の広さ |
---|---|
大型 | 幅140cm×奥行き80cm |
標準 | 幅110cm×奥行き70cm |
小型 | 幅70cm×奥行き70cm |
薄型 | 幅100 ~ 12ocm×奥行き30 ~ 50cm |
土地の広さによって自動販売機の種類を決めましょう。狭い土地でも小型や薄型の自動販売機であれば設置できるかもしれませんが、その分収容できる本数や商品のラインナップが少なくなり、収益も下がるでしょう。
また、屋根や天井がある場合には、土地の広さだけでなく、高さにも気をつける必要があります。一般的な自動販売機の高さは180㎝であるため、屋根や天井はそれ以上に高くないと設置はできません。さらに、コンクリートベースで固定しようと考えている場合には、最低でも90㎝ほどの奥行きが必要です。
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運用方式
先述したように、自動販売機の運用方式は「セミオペレーション」と「フルオペレーション」の2種類があります。それぞれメリットとデメリットがあるため、自分に合った運用方式を選ぶことが大切です。
セミオペレーションとは、自動販売機を自分で用意し、商品の仕入れ、詰め替え、価格設定、ゴミ処理などすべてを自分で行う方法です。セミオペレーションには、以下のようなメリットとデメリットがあげられます。
セミオペレーション方式
メリット | ・取り入れる商品を選べる ・商品の値段を決められる ・売り上げのすべてが利益となる |
---|---|
デメリット | ・初期費用がかかる ・商品の仕入れ、ゴミ処理など手間がかかる |
自動販売機の設置は副業として行う方が多いため、初期費用が高額となり、手間もかかる点からセミオペレーション方式を選択する方は、少ない傾向にあります。
一方、フルオペレーションは、業者に土地を提供し、管理業務を業者に委託する方法です。フルオペレーションには、以下のようなメリットとデメリットがあげられます。
フルオペレーション方式
メリット | ・自分で管理する必要がない ・初期費用が不要 |
---|---|
デメリット | ・業者と取り決められた割合が自分の利益となる |
土地活用で自動販売機を設置するメリット
土地活用で自動販売機を設置するメリットは、以下の5つがあげられます。
- 土地が狭くても運用できる
- 比較的運営の手間がかからない
- 小規模で始めやすい
- 24時間稼働による収益増加が見込める
- 周辺の防犯・防災に役立つ
それぞれのメリットを解説します。
比較的運営の手間がかからない
比較的運営の手間がかからない点も、土地活用で自動販売機を設置するメリットの1つです。フルオペレーションの場合は、すべて業者が管理してくれるため、オーナーの負担は年に1度の固定資産税や毎月の電気代の支払いのみに絞られます。
セミオペレーションの場合は、オーナーが商品の管理と補充、釣り銭の補充、不具合の対応をしなければなりませんが、他の土地活用に比べると、比較的手間は少ないといえるでしょう。
小規模で始めやすい
土地活用として自動販売機を設置するメリットの1つに、小規模で始めやすい点があげられます。小規模でできることから初心者でも始めやすく、他の土地活用と併用することも可能です。アパートやマンション、駐車場、お店などを経営している場合には、その空きスペースに自動販売機を設置することで、集客向上にもつながるでしょう。
24時間稼働による収益の増加
比較的運営の手間がかからない点も、土地活用で自動販売機を設置するメリットの1つです。フルオペレーションの場合は、すべて業者が管理してくれるため、オーナーの負担は年に1度の固定資産税や毎月の電気代の支払いのみに絞られます。
周辺の防犯・防災に役立つ
自動販売機を設置することは、単に利益を得るだけでなく、周辺の防犯や防災に役立ちます。自動販売機の照明は非常に明るく、24時間稼働し続けるため、夜道を照らす効果があります。街灯が少ない地域には喜ばれる可能性が高いでしょう。
また、災害などの緊急時の飲料確保につながったり、事故や事件が起きた際に自動販売機の住所を見て通報したり、いたずらや窃盗の防止につながったりと、有事にも役立てられます。
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土地活用で自動販売機を設置するデメリット
土地活用で自動販売機を設置するデメリットは、以下の3つがあげられます。
- 多額の利益にはつながらない
- 管理の委託ができないと手間になる
- ゴミや騒音などのリスクがある
それぞれのデメリットを解説します。
多額の利益にはつながらない
土地活用として自動販売機を設置しても多額の利益にはつながらない点は、デメリットといえます。初期費用や管理費があまりかからない代わりに、得られる利益も決して高くありません。フルオペレーションであっても自動販売機の電気料負担もあります。土地活用で大きな利益を望んでいる方には、向いていない方法です。
管理の委託ができないと手間になる
土地活用で自動販売機を設置するデメリットの1つに、管理の委託ができないと手間になる点があります。自動販売機には必要な広さがあることをご紹介しましたが、実は自動販売機の設置に必要なのは土地の広さだけではありません。集客が見込める立地であるかどうかも設置の基準となります。
セミオペレーションの場合は、審査は必要ありませんが、フルオペレーションの場合は、集客が見込めるかどうかの審査を通らなければ、設置は認められません。
審査が通るには、以下のような立地条件があげられます。
- 人通りの多い土地
- オフィスが近い
- 集合住宅が近い
- コンビニが近くにない
審査が通らなかった場合は、セミオペレーション方式を活用するしかないため、管理やメンテナンスに手間がかかるでしょう。
ゴミや騒音などのリスクがある
土地活用として自動販売機を設置するデメリットの1つに、ゴミや騒音などのリスクがあげられます。自動販売機は利用客の行動によって、ゴミや騒音などのトラブルが起こりやすい点に注意が必要です。
たとえば、空き缶やペットボトルのゴミ以外に、弁当のゴミやタバコの吸い殻など本来捨てるべきではないゴミが捨てられたり、ゴミ箱がひっくり返されたり、お酒に酔っぱらった利用者が騒いだりするかもしれません。自動販売機を設置する際は、周辺地域や客層をあらかじめ調べておくことが大切です。
まとめ
自動販売機の設置は、手軽にできる土地活用の1つです。自動販売機の運用方式には「セミオペレーション」「フルオペレーション」の2種類があり、それぞれメリットとデメリットがあります。
共通するメリットとして、土地が狭くても運用可能、比較的運営の手間がかからない点、手軽に始めやすい点、不労所得が手に入る点、周辺の防犯や防災に役立つ点があげられます。一方で、大きな利益は見込めない点、管理の委託ができないと手間がかかる点、ゴミや騒音などのトラブルが発生するリスクがある点はデメリットです。
メリットとデメリットを理解した上で、自分に合った土地活用の方法を利用しましょう。
監修者
宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士
久保田 克洋
不動産業界に20年以上従事。賃貸管理を中心に管理受託業務・売買仲介・民泊運営を担った幅広い知識と経験をベースに、現在はプロパティマネジメント・アセットマネジメントを担っている。
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