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60坪は何平米?建てられるアパートや家の広さは?

60坪は何平米?建てられるアパートや家の広さは?

60坪の土地とはどのくらいの広さなのか、どのくらいの大きさの建物が建てられるのかすぐにピンとこない方もいるかもしれません。60坪の土地があれば、戸建てはもちろんアパートやマンションなどの土地活用も十分可能です。

この記事では、60坪の土地の広さや建てられる建物について解説します。60坪の土地の活用や購入をお考えの方はぜひご覧ください。

購入検討チェックリスト

ポイント

  1. 60坪の土地は約198平米で、平均的な注文住宅の広さを上回っている
  2. 60坪の土地に建てられる建物は、建ぺい率・容積率・建築制限によって変わる
  3. 60坪の土地は戸建て住居のほか、アパートやマンションも建築できる
目次

60坪の広さ

60坪・平米

60坪の土地は、住宅用地としては一般的には広い土地といえるでしょう。しかし不動産に詳しい方でなければ、どれくらいの広さかをイメージしにくいです。ここでは60坪の広さや、平均的な住宅用地の広さを紹介していきます。

60坪は約198.35平米

土地の広さを表す単位は坪のほかに平米(m2)がありますが、60坪は約198.35平米です。畳みの広さでいうと、60坪は約畳120枚分の広さです。

また小学校や中学校の教室の広さは約63平米(約19坪)とされており、60坪は学校の教室が3つ分と考えることもできます。

平均的な注文住宅の広さは約37坪

住宅金融支援機構が毎年発表している「フラット35利用者調査」では、2022年度の注文住宅利用者の土地面積の平均は122.8平米とされています。1坪が約3.3平米であるため、平均的な注文住宅の広さは約37坪です。

また国土交通省では、豊かに暮らすために必要な面積として「誘導居住面積水準」を発表しています。3人家族の場合は100平米(30坪)、4人家族の場合は125平米(37.8坪)、5人家族でも150平米(45坪)あれば十分快適に過ごせる広さとされています。60坪の広さが、いかに余裕のある敷地かがわかるでしょう。

参考:住宅金融支援機構 フラット35利用者調査
国土交通省 住生活基本計画(全国計画)

60坪に建てられる建物の広さとは

60坪・平米

同じ60坪の土地であっても、場所や条件によって建てられる建物の広さは違います。どれくらいの建物が建てられるかは、次のような条件によって決まります。

  1. 建ぺい率
  2. 容積率
  3. 建築制限

それぞれの内容について説明していきます。

建ぺい率

建ぺい率とは、敷地の広さに対する建築面積の割合をいいます。建築面積は建物が敷地を覆い隠す範囲のことで、土地を上から見たときに建物が建てられている割合と考えるとわかりやすいでしょう。建ぺい率は場所によって違いますが、30~80%程度に指定されている場合が多いです。

建ぺい率を指定することで、建物同士が密集しないため通風や採光がよくなったり、火事の延焼を防いだりできます。60坪の土地の場合は、建ぺい率ごとに建築できる建物の面積は次の通りです。

建ぺい率 建築面積
30% 18坪(59.5平米)
50% 30坪(99.1平米)
80% 48坪(158.7平米)

一般的に戸建て住宅を建てることが多い第1種・第2種低層住居専用地域では、50%に指定されていることが多く、その場合60坪の土地であれば建築面積30坪の建物が建てられることになります。

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容積率

容積率とは、土地の敷地面積に対する、建物の延べ床面積全体の割合です。延べ床面積とは各階の面積を総合計したものを表し、建物の大きさを表します。建ぺい率は上から見た建物の広さを表していますが、容積率は各階の広さを合計した建物全体の大きさを表しています。

容積率も建ぺい率同様に、防火や通風・採光の目的がありますが、人口の過密を防ぐねらいもあります。容積率の制限がなければ大きな建物を建築して多くの人が密集してしまい、渋滞などが発生するかもしれません。容積率によって建物を制限することで、良好な住環境を実現することが目的です。

容積率は用途地域によって違いますが、住宅用地では50~200%が多いでしょう。60坪の広さであれば、建築できる建物の床面積は下記の通りです。

容積率 延べ床面積
50% 30坪(99.1平米)
100% 60坪(198.3平米)
200% 120坪(396.7平米)

容積率が200%の土地であれば、延べ床面積が120坪の建物が建てられます。一般的な2階建ての住宅と比べるとかなり広く、余裕のある間取りが実現できるでしょう。

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建築制限

建ぺい率や容積率以外にも、さまざまな建築制限があります。

  1. 用途地域
  2. 接道義務
  3. 道路幅員
  4. 高さ制限
  5. 斜線制限
  6. 日影規制
  7. 地区計画や自治体の条例

建物を建築する際には、各種建築制限にも配慮する必要があります。それぞれの内容について、紹介していきます。

用途地域

用途地域とは、都市計画法において定められたエリアのことで、市街化を形成することを目的として建築する建物の種類などが制限されています。建物には住宅だけでなく学校や工場・商店などさまざまな種類がありますが、どこでも好きな建物が建てられるわけではありません。住宅街の中に工場が建ってしまうと、騒音などの問題が発生する可能性があります。

そこで都市計画法では計画的に市街化を進めるために、建築する建物の大きさや種類を用途地域ごとに制限しています。用途地域には全部で13種類あり、大きく「住居系」「商業系」「工業系」に分類できます。

    【住居系】
  1. 第一種低層住居専用地域
  2. 第二種低層住居専用地域
  3. 第一種中高層住居専用地域
  4. 第二種中高層住居専用地域
  5. 第一種住居地域
  6. 第二種住居地域
  7. 準住居地域
  8. 田園住居地域
    【商業系】
  1. 近隣商業地域
  2. 商業地域
    【工業系】
  1. 準工業地域
  2. 工業地域
  3. 工業専用地域

用途地域はこのように細かく細分化されており、それぞれ建物などに制限があります。

接道義務

土地に建物を建てるためには、接道義務を満たす必要があります。接道義務とは土地が道路に接している必要があることで、具体的には2m以上接することが義務付けられています。道路に接していなければ消防車などが通れず、防犯や安全面で安心とは言えません。

接している道路にも制限があり、「建築基準法上の道路」とされています。建築基準法上の道路には、主に次のようなものがあります。

  1. 4m以上の公道
  2. 都市計画法により作られた道路
  3. 4m未満の道路で特定行政庁が指定した道路(2項道路など)

いくら土地が広くても、接道義務を満たしていない土地には建物は建てられません。

道路幅員

容積率の計算をする際には、前面道路の幅員にも気をつける必要があります。前面道路が狭い場合、容積率いっぱいに建物が建てられないことがあるため注意しましょう。容積率を計算する際に前面道路が12m未満の場合は、法定乗数を使って計算します。

法定乗数は、次のように定められています。

用途地域 法定乗数
住居系の用途地域 0.4
住居系以外の用途地域 0.6

たとえば前面道路が4mの住宅街の場合、容積率は4m×0.4=160%となります。仮に容積率が200%と指定されているエリアであっても、容積率の上限は160%になるため注意しましょう。

高さ制限

建物には風通しや日当たりをよくするために、高さ制限が定められています。戸建てを建てることの多い第1種・第2種低層住居専用地域では、10mあるいは12mまでと指定されています。建物の高さに関する規制が定められているのは、第1種・第2種低層住居専用地域のほか田園住居地域だけで、ほかの用地地域では定められていません。

斜線制限

斜線規制は、高さ制限の1つで建物の日当たりなどを確保するために指定されている規制です。地面から斜線を引いて、その斜線に触れる範囲内には建築できません。斜線規制がなければ道路に対してめいっぱいの建物ばかりが建ってしまい、周辺の住宅にも日が当たりません。

斜線制限を指定することで、快適で暮らしやすい街並みが実現しています。斜線制限には、次の3種類があります。

斜線制限の種類 内容
隣地斜線制限 隣地に面した建物の高さが20mまたは31mを越える部分についてかかる制限
北側斜線制限 北側の隣地に面した建物の高さが5mまたは10mを越える部分についてかかる規制
道路斜線制限 道路から20~35mの範囲内において、道路の幅員に応じて建物の高さを制限する規制

立地によって前述の高さ制限に加えて、斜線制限が適用されます。建物を建築する際には、どのような規制が適用されるか、よく確認しておきましょう。

日影規制

日影規制とは、建物の影で周囲の日照をさえぎらないようにするための高さ規制です。日影規制の対象となるエリアでは、他人の敷地に長時間の影を落とすような高い建物を建築することはできません。日影規制の対象となる建物かどうかは敷地の用途地域と、容積率・高さで決まります。

たとえば戸建てを建てる場合の多い、第1種・第2種低層住居専用地域や田園住居専用地域では、軒の高さが7mまたは3階建て以上の建物が対象です。2階建ての戸建てであれば、日影規制の対象にはなりません。

地区計画や自治体の条例

ここまで紹介した建築制限のほかにも、自治体独自の条例や地区計画によって建物が制限されている場合もあります。たとえば横浜市では「駐車場条例」があり、一定の条件を越える建物には駐車場を設置しなければなりません。

ほかにも東京都のワンルーム条例など、さまざまな条例があります。戸建てには影響がない条例もありますが、建築の際にはよく確認しましょう。

参考:横浜市 横浜市駐車場条例(附置義務駐車場)について

60坪の土地に建てられるアパートの広さ

60坪・平米

60坪の土地であれば、戸建て住宅だけでなくアパートの敷地としても活用できるでしょう。60坪の土地にどれくらいの大きさのアパートが建築できるかを、一般的な部屋の広さや間取り別に見ていきましょう。

一般的な部屋の広さ

アパートといっても間取りはさまざまですが、一般的に投資効率のよいとされる1人暮らし向けの1Rや1Kのアパートの場合、25平米程度(7.5坪)の広さが一般的です。

仮に60坪の土地の容積率が100%だとした場合、延べ床面積で約198平米(60坪)までの建物が建てられます。建築可能な床面積約198平米を部屋の広さ25平米で単純に割ると、8室程度の広さが確保できることがわかるでしょう。これに廊下や階段、自転車置き場なども考慮すると、6~7室程度と考えられます。これは容積率が100%とした場合の計算のため、土地の条件によって建築可能な建物は大きく変わります。

60坪の土地に建てられるアパートの間取り別部屋数例

容積率100%とした場合の60坪の土地に見込めるアパートのおおまかな部屋数は、次の通りです。

間取り 部屋数(容積率100%)
1K、1R(約20~25平米) 約6~8部屋
1DK、1LDK(約30~40平米) 約5~6部屋
2DK、2LDK(約30~50平米) 約4~6部屋
3DK、3LDK(約60~80平米) 約2~3部屋

同じ60坪であっても土地の条件によって建築できる建物は違うことは、認識しておくようにしましょう。

60坪の土地に建てられる家の広さ

60坪・平米

60坪の土地に戸建て住宅を建てる場合、かなり余裕のある家が建築できるでしょう。仮に容積率が100%だとした場合、約198平米の広さの住宅が建築できます。前述した国土交通省が発表している「誘導居住面積水準」では、世帯の人数ごとに快適な暮らしを実現できる間取りは次の通りです。

世帯人数 快適に暮らすために必要な床面積
4人 125平米(37.8坪)
5人 150平米(45.3坪)
6人 175平米(52.9坪)
7人 200平米(60.5坪)

参考:国土交通省 住生活基本計画(全国計画)

つまり60坪の土地であれば、6~7人家族が十分に余裕を持ってくらせる広さの家が建てられます。また建物だけでなく、庭や駐車場も余裕を持って設置できるでしょう。戸建て住宅を建築することが多い低層住居専用地域では、建ぺい率50%程度が多いです。

そのため建物を建築しても、残りの30坪は庭や駐車場に使えることになります。30坪といえば標準的な戸建てが建築できる広さであるため、余裕のある庭造りなどが楽しめるでしょう。家族でBBQをしたり、家庭菜園を楽しめたりする広い庭を実現できます。

60坪の土地にマンションは建てられる?

60坪・平米

60坪の土地であれば、アパートではなくマンションが建てられる可能性もあります。実際にはアパートとマンションに、明確な違いの定義はありません。アパートが木造や軽量鉄骨で2階建て程度な小規模な建物に対し、マンションは鉄筋コンクリート造りで3階建て以上の大規模な建物を指すことが多いです。ここでは、3階建て以上の鉄筋コンクリート造の集合住宅をマンションとします。

60坪の土地であれば3階建て以下のアパートは問題なく建築できますが、マンションを建てるには難しい場合もあります。マンションを建てられるかどうかは、次の5つの要因によります。

  1. 用途地域
  2. 容積率
  3. 道路幅員
  4. 土地の形状
  5. その他公法上の規制

第1種・第2種低層住居専用地域や田園住居地域には、高層建物は建築できません。また3階建て以上となると敷地に対して大きな床面積の建物を建てることになるため、容積率も200%以上でなければ難しいでしょう。

前述のように容積率には前面道路の幅員が影響するため、前面道路も重要な要因です。容積率の上限が高くても、前面道路が狭ければマンションを建てることはできません。また土地の形状も重要で、間口の広い整形地でなければマンション建築は難しいでしょう。他にも地区計画や各自治体の条例にも配慮する必要があります。このような各種条件をクリアできれば、マンションを建築できる可能性もあります。

60坪の土地の特徴

60坪・平米

60坪という広さの土地は、一般的には広めの大きさといえます。戸建てやアパートであれば問題なく建築できるかもしれませんが、マンションのような大型の建物には向いていません。
60坪の土地の特徴は、次の通りです。

  1. アパートの建築に向いている
  2. 余裕のある戸建てが建築できる
  3. 工夫をすればマンションの建築も可能

それぞれの内容について、紹介していきます。

アパートの建築に向いている

60坪ほどの広さの土地であれば、さまざまな広さのアパートが建築できます。そのため立地ごとの需要に応じた間取りで建築できるため、有効な土地活用ができるでしょう。大学の近くであれば1Rを中心にした間取りや、ファミリー世帯が多い地域であれば2LDKや3LDKの間取りにできます。

思い切って30坪に分けて戸建てを2棟建築して、賃貸にするという手法も可能です。このように立地に応じてフレキシブルに対応できるため、60坪の土地はアパート建築に向いているといえるでしょう。

余裕のある戸建てが建築できる

60坪の土地に戸建てを建てるのであれば、余裕のある建物が建築できます。広い中庭で家族でBBQをしたり、2世帯住宅で親子3代が快適に暮らしたりすることも可能でしょう。

60坪の土地に余裕の戸建てを建築するメリットは、次の通りです。

  1. 希望通りの家を建てられる
  2. 二世帯住宅が実現できる

家を建築する際には、「広い庭が欲しい」や「複数台おけるガレージが欲しい」、「書斎が欲しい」など多くの希望があります。しかし実際には広さの関係で、書斎や庭などをあきらめる方も多いのではないでしょうか。60坪の広さがあれば、予算さえあえば自由な設計が可能です。二世帯住宅を検討している方にとっても、それぞれの世帯の希望を叶えつつ、ゆとりある暮らしが実現できるでしょう。

しかしメリットだけでなく、広い敷地には以下のようなデメリットがあることも認識しておきましょう。

  1. 費用がかさむ
  2. 建物の手入れが手間

都心部では不動産価格が高騰しており、60坪の土地を購入するのは簡単ではないでしょう。さらに建物の規模が大きくなるため、建築費用も高くなります。建築面積だけでなく、物件の規模が大きいため、固都税などの維持費もかかる点は認識しておきましょう。また、広い分、建物や庭などの手入れにも手間がかかると感じるかもしれません。このように理想の間取りが実現できる一方で、費用や手入れが負担となる場合もあります。

工夫をすればマンションの建築も可能

アパートに比べると規模の大きいマンションでも、工夫をすれば建築できる場合もあります。しかしマンションを建築するとなると、60坪の土地ではさまざまな制約が発生するのも事実です。60坪の土地にマンションを建築するメリットとデメリットを整理しておきましょう。

    【メリット】
  1. 土地の収益力を最大化できる
  2. アパートに比べると賃料下落を防げる

アパートと比べた場合のマンションのメリットは、収益率の最大化ができる点です。アパートに比べるとマンションの方が高い賃料が期待できるため、投資効率はよくなるでしょう。また木造や軽量鉄骨で作ることの多いアパートに対し、マンションは鉄筋コンクリートが中心です。

そのため建物の劣化が少なく、長期間にわたって高い賃料を維持できることが期待できます。建物にグレード感を持たせられるため、入居者の募集もしやすいだけでなく、転売する際にも有利に働くでしょう。

60坪の広さのマンションには、以下のようなデメリットが考えられます。

    【デメリット】
  1. 設計上の規制が大きい
  2. 共用部を充実できない

60坪の土地にマンションを建てるとなると、設計上の余裕はありません。建ぺい率や容積率がギリギリになることも多く、建物の広さに余裕はないでしょう。そのため廊下やロビーなどの共用部に広く使うことはできません。

マンションには広いエントランスやトレーニングジム、キッズスペースなどが完備されている物件もあり、競争力が劣ってしまう可能性があります。またアパートに比べると建築費はどうしても高くなるため、初期投資は大きくなるでしょう。初期投資に見合った賃料収入が得られるか、マンションを建築する際には慎重な検討が必要です。

まとめ

60坪・平米

60坪の土地があれば、さまざまな活用方法があります。戸建て住宅を建てる場合は、一般的な戸建て住宅の敷地は37坪といわれているため、余裕のある建物が建築できるでしょう。2世帯住宅や、広い庭や駐車場付きなどなど、余裕を持った建物が建築できます。

アパートを建築するのであれば1人暮らし向けの間取りから、ファミリー向けの3LDKなどの広い間取りの建築も問題ありません。立地の需要に応じたプランでアパートを建築できるでしょう。

60坪の土地の活用方法は幅広く、さまざまな用途で有効に利用できるでしょう。

監修者icon

監修者

宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士

中川 祐一

現在、不動産会社で建築請負営業と土地・収益物件の仕入れを中心に担当している。これまで約20年間培ってきた、現場に密着した営業経験と建築知識、不動産知識を活かして業務に携わっている。

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