不動産所有者が海外移住する際に必要な準備とは?不動産投資の課題と解決策
海外移住を予定していたり、海外赴任の可能性のある賃貸不動産のオーナーにとって、日本国内の賃貸経営や税務対応は大きな課題となります。入居者対応や家賃管理、家賃収入の確定申告などは現地から直接行うことができないため、管理会社への委託や納税管理人の選任が不可欠です。 本記事では、海外に移住・赴任するオーナーが直面するリスクや対応策を解説し、安心して賃貸経営を続けるためのポイントを紹介します。 ポイント ...
不動産投資家K
不動産投資ブームなのですぐに買い手がつくと思い売却を決めたものの、いざ売りに出してみたらさっぱり売れない…ということがあります。収益物件が売れない場合、主に4つの理由が考えられます。この記事では不動産投資で損をしないために不動産が売れない理由を解説し、売れない場合の対処方法も詳しく解説します。
\売却・買い換えをお考えの方へ/
収益物件はどれくらいの期間で売却できるのか、一般的な目安を紹介します。
公益財団法人 東日本不動産流通機構が公表した「首都圏不動産流通市場の動向(2021年)」によると、REINSへの登録(売却開始)から成約にいたるまでの日数は、2021年の実績で、中古戸建住宅が101.2日、中古マンションが74.7日とおおむね3~4カ月程度の期間が必要です。
これはあくまでも平均値ですので、当然ひと月も経たずに成約した物件もあれば、半年かかってやっと成約した物件もありますが、これらの数字を考えると物件を売りに出してから3か月以上売却できずにいる場合は、原因を見極めて対策を施す必要があるでしょう。
投資用の収益物件を買い換えのために売りに出したものの、なかなか売れないことがあります。そのような場合に考えられる理由は、主に以下の6つです。それぞれを見ていきましょう。
不動産物件の売買において、築年数は大きな判断要素のひとつです。
一般に築古の建物は、資産価値が低下していることや、旧耐震基準であることから敬遠されがちです。また、築年数が経過している建物には、建築基準法で定められた検査済証をはじめ、建物の適法を示す書類が揃っていない場合が少なくありません。検査済証がないとリスクがあると判断され、売れにくくなります。
築年数の古さは、購入に際して二の足を踏む要素となるでしょう。
立地条件は、不動産の価値に大きく関係します。一般的に場所や環境が悪いと、買い手がつきにくくなりがちです。
たとえば、駅から離れた立地のアパートは、比較的最近に建てられたものであっても敬遠されるかもしれません。
近くにスーパーマーケットや病院などがなく暮らしに不便だったり、繁華街に近く周辺地域の治安があまり良くなかったりする地域の場合も、買い手が付きにくくなる要素です。
また、物件の最寄り駅から、エリアの中心部やターミナル駅まで何回も乗り換えが必要な場合も、立地が悪いと判断されます。
物件の売り出し価格が適正価格でなければ、当然売れにくくなります。
収益物件の相場は一般的に収益還元法で求められますが、算出した価格が実際の取引状況を正しく反映しているとは限りません。
収益還元法の計算式は以下のとおりです。
近隣の収益物件がいくらで売りに出されているか、価格の実情を不動産サイトなどで調べて比較するのが賢明です。
実際に確認してみると、条件の似た物件と比べて100万円以上高く設定しているケースもみられます。
不動産投資の主な収益は家賃収入によるインカムゲインです。そのため、利回りを良くするためには毎月の収支をなるべくプラスになるように、管理費などのランニングコストを抑えていく必要があります。
ランニングコストが高くなってしまう物件の特徴としては以下のようなものが挙げられます。
築年数が古いと建物の劣化とともに修繕をしていかなければなりません。
修繕積立を行っている場合、一般的に15年~20年に一度すべきであるとされている大規模修繕の時期が近くなると修繕積立金が高くなる場合があります。
その時期に売却を考えると、築年数を踏まえた売価に対してランニングコストが高く見えることが多く、競合よりも利回りが落ちてしまう可能性があります。
施設の設備や内装が充実している物件は入居者需要も落ちにくいとされていますが、その分管理費が高くなるため、ランニングコストが競合よりも高くなりがちです。
数字だけを見ると、同規格物件に比べて管理費や維持費が高いため、利回りが低く見えてしまい、売れにくい原因になっている可能性が有ります。
前述の施設管理費に関連して、戸数の少ない小規模物件もランニングコストが高いとされています。
これは、同設備で戸数が多い物件と比べると、管理人や清掃業者の人件費・メンテナンス費用などの1戸あたりの管理費用が高くなってしまうためです。
売れない原因は、買い手の資金調達にもあるケースがあります。
高額の買い物でもある不動産投資は、一般的に不動産投資ローンを受けて多額の資金を調達します。買い手がその融資が受けられない場合、買いたくても買えないということが起こってしまうのです。
融資が下りない主な理由としては、以下が挙げられます。
不動産投資ローンについては以下の記事で詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。
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収益物件が売れない場合に意外と見過ごされがちな理由として、内覧者への対応に問題があるケースがあります。それは基本的にオーナー自身の責任です。
購入を検討している方の多くは、内覧を希望します。内覧時に愛想が悪い対応をされた場合や質問に対して真摯に答えてもらえなかった場合は、たとえ物件が気に入ったとしても、購入する気持ちが醒めてしまうかもしれません。
入居者がいる物件では内覧はありませんが、空室の場合は基本的に内覧の対応が必要になると考えてよいでしょう。
せっかく購入を検討する方が現れても、双方の都合がなかなか合わず、内覧が実現しなかったために、結果、他の物件の購入を決めてしまうケースも考えられます。
最近では、平日は企業に勤務しながら不動産投資に取り組む方も多くなりました。そのため、週末や祝日の内覧希望が出やすくなっています。売却期間中は内覧の希望を受けられる準備を整え、内覧日には誠実な対応をすることが必要です。
売りに出した不動産投資用の物件が売れない時には、何らかの対策を施す必要があります。代表的な対処方法は、以下のとおりです。
それぞれ、個別に詳しく見ていきましょう。
マイソクを見直すという方法があります。マイソクとは、物件の間取り・価格・最寄り駅などが書かれてある資料のことです。
買い手はマイソクを見て、その内容に関心を持って購入を検討します。マイソクの内容が不十分であれば、売れる確率は下がってしまうかもしれません。
物件がなかなか売れない場合は、以下のポイントを踏まえ、マイソクを見直しましょう。
マイソク見直しのポイント
内覧までは進んでもそこから先に話が進まない傾向がある場合は、内覧時の具体的な対策を施しましょう。すぐにでも取り組むべきは、水回りの掃除です。
水垢などはよく目立つ上に取りにくいので、見学者に不衛生な印象を与えがちです。自分でやってもきれいにならない場合は、コストはかかりますが、ハウスクリーニング業者などにクリーニングを依頼しましょう。
また、共用部分や駐車場、エントランスなどもしっかりチェックされると考えておきましょう。いくら部屋の中は清掃していても、周辺部分を疎かにしていれば見学者の印象を下げてしまいます。
収益物件の売却価格は、居住用とは異なる投資用の決め方をします。居住用は、築年数や立地などの条件が類似している過去の取引例をもとに価格を決めるので、同じような物件では価格に大きな差は生じません。
一方投資用の場合は、期待利回りによって価格が決まります。これは一般的に投資用物件の購入の際に参考にする指標です。売りたい物件に当てはまる期待利回りを調べ、以下の計算式から目安となる物件価格を出してみましょう。
この計算式から算出される価格よりも現状の売出し価格が大幅に高い場合は、実勢より高い設定なので売れない可能性があります。
その場合は、適正価格になるように価格の再設定を考えましょう。
売り出し中の物件がなかなか売れない場合は、リフォームやリノベーションを施し、価値を上げる対策方法もあります。
たとえば、システムキッチンや浴室乾燥機、TV付きインターフォンなどの設備がある物件は、多少家賃が高めでも借手のニーズがあるでしょう。言い換えれば、それだけ投資用物件として魅力があり、売却の可能性は上がります。
もし、売りに出している投資用不動産物件の設備が不十分である場合には、リフォームやリノベーションを検討してみることをおすすめします。
リフォームやリノベ―ションにもローンを利用することが出来るので、検討する場合にはリフォームローンについての理解も深めましょう。
リフォームローンについては以下の記事で詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。
投資用不動産がなかなか売れない場合には、いっそ解体して、土地として売った方が売りやすい場合もあります。
築年数が古い物件は、建物自体の価値が下がるどころか、マイナスになるケースもあります。しかし、人気の立地条件であれば、土地として売れる可能性があります。
土地の売却を希望する場合は、まず解体業者に建物を取り壊してもらい、更地にする必要があります。アクセスの良い場所であれば、居住用・事業用・賃貸用など汎用性が高くなるので形勢が好転するかもしれません。
そのほかの方法として、仲介会社の見直しも考えられます。
現在依頼している仲介会社と信頼関係があり、これまで紹介してきた対処方法などを一緒に検討していけるなら問題ありませんが、信頼関係が築けていなかったり販売力が弱いと感じているなら、仲介会社の変更を検討してみるのもひとつの方法です。
複数の会社と契約できる一般媒介契約であれば、現在の会社と平行して他社にも依頼が可能です。専任媒介契約や専属専任媒介契約であれば、1社のみとしか契約できません。契約満了を待って更新しない意思表示をするのがよいでしょう。
期間途中の契約解除はトラブルになることもありますので、注意が必要です。途中変更に関する契約内容は、あらかじめ確認しておきましょう。また、新しい仲介会社に変更する際は、査定の依頼や以前の仲介会社の問題点を解消できるかなど、複数の会社を比較検討するようにしましょう。
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簡単なことではありませんが、現行の賃料を値上げすることで物件価値を上げる戦略があります。賃貸借契約の更新のタイミングや、更新がない契約でも社会情勢を見ながら賃料を上げられる要素があるなら使える方法です。
どうしても売れない理由のひとつに、利回りがあげられます。賃料を上げる交渉が成立すれば利回りも上がるため、収益物件としての価値も上がるのです。結果として、それまで検討外であった物件を検討候補として見直す買い手も現れるかもしれません。
賃料の値上げを検討する場合は、まずは管理を委託している管理会社に相談し意見をもらうことが必要です。交渉材料がきちんとあって成立の可能性があれば、交渉してみる価値があります。
物件を売却したい理由が収益性の低さである場合、物件を売るのではなく、保有する前提で収益改善に目を向ける選択も出来るでしょう。
収益改善の大きな要素としては、先述した「賃料の増額」に加えて「コスト・支出の削減」が挙げられ、下記のような方法があります。
それぞれの方法については、下記の記事でも詳しく解説しているので、ぜひあわせてご確認下さい。
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これまでの経営実績や事業計画を見直し、何がその物件の弱点なのかを分析することが大切です。
空室が多いのであれば入居条件を緩和したり仲介会社を見直す、維持費が高いのであれば自主管理範囲を広げて管理委託費を下げる、など弱点をカバーする対策を取りましょう。
収益性をあげることで、保有しておく場合だけでなく、いざという時の売れやすさにも繋がるため、定期的に上記項目を見直すことがおすすめです。
あらゆる手段を使っても自身の手で捌ききれず売れ残ってしまう、もしくはどうしても物件を手放したい、現金化したい場合には、買取会社に買取を依頼するのも一つの選択肢です。
直接物件を買い取って貰える買取会社を利用することで、仲介業者に依頼するよりもスピーディに現金化することが出来ます。
そして、買取会社に依頼するもう一つのメリットとして、売却前に修繕などを必要としない点も挙げられます。買取業者は買取後の修繕やリフォームなどの計画を踏まえたうえで見積りを行うため、売り手側に負担がほとんど発生しないというのは大きなメリットでしょう。
ただし、その分市場で売り出す時よりも販売価格は安くなってしまう傾向があるため、見積内容の精査は必須となります。
売却する目的と、買取会社を利用するメリット・デメリットのバランスを踏まえて、売り続けるのか買い取ってもらうのかを検討しましょう。
投資用の不動産物件を売りに出したものの、思うように売れないことは珍しいことではありません。ひとうひとつ点検して売れない理由を探りあて、しかるべき対応を施せば、事態が好転することも多くあります。
不動産の売買には、法律が関わってきます。自身の判断だけで対策を実行するのではなく、まず不動産取引のプロに事情を明かして相談するのが賢明です。
監修者
宅地建物取引士
不動産業界に従事して14年目。アパートの建築請負営業やアパート以外の大型建物の受注業務を歴任。現在は戦略投資部に所属し、既存物件のソーシング(取得)業務のかたわら、中堅デベロッパーのRCマンションの建築、相撲部屋の建築に携わっている。座右の銘は「人間万事塞翁が馬」。
監修者
宅地建物取引士
東京・仙台を中心に、20年以上アパート・マンション建築賃貸業界に従事している。これまで500棟以上の新築アパート・マンションの企画・設計・建築・運営に携わり培ってきたリアルな知見が強み。
不動産投資家Kとその仲間たちでは、「土地を相続する予定だけど、どうすれば良いか検討している」「管理が大変なので、土地を売却したいと思っている」「アパートの管理が大変なので、管理委託を検討したい」など、土地・建物のさまざまなご相談を承っております。
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