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新NISAか、不動産投資か 〜金利のある世界で考える資産形成の組み合わせ〜

新NISAか、不動産投資か 〜金利のある世界で考える資産形成の組み合わせ〜

新NISAがスタートして一定の時間が経ち、資産形成を考える中で「まず新NISAか。それとも不動産投資か」と迷う人が増えています。

デフレと超低金利が続いた時代には、融資を活用した投資や事業運営が広がりましたが、インフレの進行により金融環境は「金利のある世界」へと移行しつつあります。

預金や国債といった低リスク資産でも利息が得られる現在、金融資産のリスクとリターンの考え方は大きく変わりました。同時に、不動産投資についても、資金調達コストや返済計画を前提に、従来とは異なる視点で収益性と安定性を見極める必要があります。

本コラムでは、新NISAと不動産投資の特徴を整理したうえで、金利と税制が変わる時代における資産形成の優先順位と組み合わせ方を解説します。

目次
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新NISAの役割と金利のある世界での活用ポイント

非課税×長期運用で資産形成の土台をつくる

まず、新NISAがどのような仕組みの制度なのかを確認しておきましょう。新NISAは、長期・積立・分散を基本に、運用で得た利益が非課税になる制度です。株式や投資信託による値上がり益や配当金・分配金を、非課税で受け取れる仕組みは、資産形成を続けていくうえで大きなメリットになります。

また、少額から積み立てを始められる点も、新NISAの使いやすさを支えています。毎月など定期的に一定額を積み立てることで、価格変動の影響を平準化しながら投資を継続しやすく、相場の上下に振り回されにくい運用が可能になります。短期の成果を追いかけるというより、時間を味方につけて資産を育てていく制度として捉えることで、いわゆる「ほったらかし」に近い形でも続けやすくなります。

金利局面で活きる身軽さと、制度拡充の動き

新NISAの特徴として押さえておきたいのが、借り入れを前提としない資産形成であることです。自己資金の範囲で運用を行うため、金利水準の変化や返済条件に左右されにくく、資産形成のペースを自分でコントロールしやすいという利点があります。金融環境が変化する局面では、こうした身軽さが、投資を続けるうえでの安心感につながる場面も少なくありません。

そして2026年度税制改正大綱に関連して、金融庁はNISAの利便性向上と対象拡充の方向性を打ち出しています。未成年を含む幅広い世代に向けた制度設計(いわゆる「こどもNISA」を含む)や、つみたて投資枠における対象商品の拡充などが検討されており、今後の制度化で詳細が確定する見込みです。

こうした動きから、新NISAは「より広い層が、より使いやすく」進化していることが分かります。資産を一気に増やす手段というより、長期の資産形成を支える“インフラ”としての性格を強めています。そのため新NISAは、資産形成の土台として活用し、一定の資産規模や投資経験を積んだ段階で次の選択肢を検討していく。こうした進め方が、金利のある世界では現実的と言えるでしょう。

2026年度税制改正大綱におけるNISA拡充策については、金融庁が公表している公式資料(令和8(2026)年度税制改正について)をご覧ください。

参考:金融庁 令和8年度税制改正大綱における金融庁関係の主要項目について

不動産投資は金利のある世界でどう変わるのか

実物資産×賃料収入がもたらす分散効果

不動産投資の特徴は、賃料収入(インカムゲイン)という継続的なキャッシュフローを得ながら、融資を活用できる点にあります。基本的に自己資金だけで運用する金融投資と異なり、信用力を使って投資規模を広げられるため、うまく機能すれば資産形成のスピードを高めることも可能です。家賃収入が定期的に入る仕組みは、価格変動を前提とする金融資産とは異なる収益源として、資産全体の安定性を支えます。

また、不動産は実物資産であるため、インフレ局面でも相対的に価値が維持されやすいとされ、都市部を中心に価格や賃料水準が見直される事例も増えています。現金の実質価値が目減りしやすいインフレ環境では、こうした実物資産を組み入れる意義は小さくありません。

金融資産と値動きの要因が異なる点も、不動産投資の特徴です。市場環境に左右されやすい株式や投資信託に対し、不動産は賃貸需要や立地といった実需に支えられる側面があり、異なる収益源として組み合わせやすい性格を持っています。そのため不動産投資は、資産を大きく増やすためだけでなく、収益の柱を分散し、全体のバランスを整える役割を担います

金利上昇と税制変更で収支の見方がシビアになる

金利が動く環境では、同じ家賃収入であってもローン金利の変化によって手元に残る金額が変わります。金利が上昇する局面では、返済負担が重くなりやすく、キャッシュフローに余裕がなくなる場面も想定されます。現在は、金利水準そのものだけでなく、キャッシュフローの変動を前提にした資金計画を立てる姿勢が欠かせません。

さらに近年は、税制の面からも不動産投資を取り巻く環境が変わりつつあります。2026年度税制改正大綱では、相続(課税時期)の前5年以内に取得・新築した一定の貸付用不動産について、相続税評価の見直しの方向性が示されました。これにより、相続直前の駆け込みで物件を取得し、相続対策を主な目的とする投資は、従来ほど効果を期待しにくくなります。

そのため、これから不動産投資を検討する場合には、金利上昇時でも返済が続けられるか、空室が想定より早く発生し修繕コストが増えても耐えられるか、将来の出口戦略を見据えた立地や需要があるかといった点を、総合的に確認していく必要があります。不動産投資は、管理自体を第三者に委託することはできても、最終的な投資判断やリスク管理まで任せられるわけではありません。金融資産より検討事項が多い投資であることを踏まえ、収益とリスクのバランスを丁寧に考えることが重要です。

新NISAと不動産投資はどう組み合わせるべきか

新NISAと不動産投資は、同じ「投資」でも前提が大きく異なります。新NISAは、少額から積み立てを行い、金融資産を時間かけて育てていく仕組みです。これに対して不動産投資は、多くの場合ローン(融資)を活用しながら物件を運用し、賃料収入を得ていく手法になります。こうした違いを踏まえると、どちらが有利かを比べるよりも、どの順番で取り入れるか、どの段階で組み込むかを考えるほうが、現実的な判断につながります

新NISAは、金融資産による運用を始める際の入り口として使いやすい制度です。非課税で運用できるため、相場の変動に徐々に慣れながら投資経験を積むことができます。毎月の積立を続けていく中で、自分にとって無理のない投資ペースを把握できる点も特徴で、こうした積み重ねは、その後の選択肢を考えるうえでの下地になります。

不動産投資は、金融資産とは異なる形で資産を積み上げていく方法です。賃料収入という継続的な収益を得られる一方で、負債を使う設計になるため、金利や資金繰りの影響を受けやすくなります。物件の立地や需要、管理や修繕といった要素も含め、判断すべき項目は多く、一定の準備や覚悟が求められます。金融投資と同じ感覚で取り組めるものではありません。

両者を組み合わせる場合、最初から同時に進める必要はありません。金融資産で流動性の高い資産を積み上げながら、生活や資金面に余裕が出てきた段階で、不動産という選択肢を検討する流れは、多くの人にとって取り入れやすい形です。ただし、投資にかけられる時間や関心の度合い、日々の判断を負担に感じるかどうかによって、向き不向きが分かれることも意識しておく必要があります。

投資手段が増えれば、管理や判断にかかる負担も増えます。新NISAも不動産投資も、最初から完成形を目指す必要はなく、無理のない範囲で始め、状況に応じて調整していくことが現実的です。制度や手法の違いを理解したうえで一歩踏み出し、継続の中で自分なりの形を固めていく。その積み重ねが、結果として資産形成の土台を作っていきます。

「まとめ」と次回コラムの案内

資産形成を検討する際、まず「新NISAか、不動産投資か」で迷う人は少なくありません。

新NISAは、非課税メリットと高い流動性を活かし、資産形成の最初の一手として取り組みやすい仕組みです。少額から始めやすく、運用の判断や管理に過度な負担を抱えにくい点も特徴と言えるでしょう。一方、不動産投資は、融資を活用して家賃収入という継続的な収益(インカムゲイン)を得られる反面、「金利のある世界」では、金利上昇を前提に、収支の見通しとリスクへの備えを考える必要があります。

加えて、税制面でも投資環境は変化しています。NISAは制度の拡充と投資対象の整備が進む一方、不動産については、短期的な節税を主目的とした手法が通用しにくくなりつつあります。こうした状況を踏まえると、まずは新NISAで資産形成の土台を固め、不動産投資は条件が整った段階で検討するという進め方が、現実的な戦略と言えるでしょう。

次回は「新NISAから2年」をテーマに、運用を続ける中で多くの人が直面しやすい判断の分かれ目や、つみたて投資枠と成長投資枠の使い分け、2026年以降を見据えた資産配分の整え方を整理します。少額投資非課税制度を「使って終わり」にせず、その後の運用や資産配分をどう考えていくかを解説します。

執筆者

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®認定者、宅地建物取引士

水野 崇

水野総合FP事務所代表。東京理科大学理学部卒業。相談、執筆・監修、講演・講師、取材協力、メディア出演など多方面で活躍する独立系ファイナンシャルプランナー。テレビ朝日「グッド!モーニング」、BSテレ東「マネーのまなび」などに出演。NHK土曜ドラマ「3000万」の家計監修を担当。学校法人専門学校東京ビジネス・アカデミー非常勤講師。一般社団法人相続・事業承継コンサルティング協会会員。

<保有資格>1級ファイナンシャル・プランニング技能士|CFP認定者|宅地建物取引士|日本証券アナリスト協会検定会員補|証券外務員1種 ほか

【URL】https://mizunotakashi.com/

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