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なぜ「アパート経営はするな」と言われるのか?

なぜ「アパート経営はするな」と言われるのか?

不動産投資の1つであるアパート経営は、空室リスクや家賃下落リスクなど複数のリスクが存在します。そのため、投資としてあまりおすすめしないといわれることもあります。しかし、リスク管理をはじめとするポイントを押さえれば、アパート経営を成功させることは十分可能です。

本記事では、アパート経営はするなといわれている理由や、アパート経営を成功させるためのポイント、対処すべきアパート経営のリスクなどについて解説します。アパート経営に興味や関心のある方は、ぜひ最後までご覧ください。

購入検討チェックリスト

ポイント

  1. アパート経営を行うにあたっては、リスク管理の重要性を理解しなければならない
  2. 平均不動産所得は上昇傾向にあり、アパート経営そのものに問題があるわけではない
  3. アパート経営を成功させるためには、市場調査をはじめ、綿密な準備と経営戦略が求められる
目次

「アパート経営はするな」といわれる理由

アパート経営リスク1

アパート経営とは所有しているアパートの部屋を賃貸し、その入居者から家賃や管理費などをもらう不動産事業です。

特別な資格が必要なく始められるため、新規参入を検討する方も少なくありませんが、なかには「アパート経営はするな」と主張する方も一定数います。

なぜアパート経営をするなといわれるのか、具体的な理由について解説します。

リスクを適切に管理できないと失敗してしまうから

アパート経営を避けるべき理由として、適切なリスク管理が求められることがあげられます。アパート経営に代表される不動産投資は、動かす金額が大きいにもかかわらず、特別な資格が必要ありません

そのため、投資経験や知識がほとんどない方が、どのようなリスクが存在するのかを理解する前に始めてしまい、失敗するケースが発生するのです。リスク管理を徹底できない方は、アパート経営はあまり向いているとはいえないでしょう。

大きな借金をすることになるから

アパート経営をする場合、ほとんどの方はアパートローンを利用することになるでしょう。アパートローンとは、自身の居住以外の目的でアパートやマンションなどを購入、建築する際に利用できるローンのことです。

銀行や信用金庫などが提供している金融商品であり、借りた分のお金を利子と一緒に返済します。アパートローンは住宅ローンと比較すると、借り入れ期間が短く、金利も高めに設定されているのが特徴です。

もしアパートの経営が軌道に乗らない場合、負債だけが大きく膨らんでいきます。その結果、返済が滞り、最悪の場合は自己破産せざるを得ない状況にもなりかねません。そのため、借金をしてまでアパート経営をする必要はないと考える方もいます。

時間とともにアパートの資産価値が下がるから

時間とともに、アパートの資産価値は下がります。築年数が経過したアパートと新築のアパートは、条件が同じ場合、後者の方が人気が高く、入居者も決まりやすいです。

入居者が決まらなければ空室が増えてしまい、家賃収入が減ってしまいます。そのため、築年数が経過したアパートは、空室を減らすために、家賃を低く設定せざるを得ません。しかし、家賃を下げてしまえば、結局アパート全体の収益は下がってしまいます。

また、もしローンの返済に困窮して所有しているアパートを売り出そうとしても、老朽化によってアパートの資産価値が下がっていると、ローンの残高がアパートの売却益を上回ってしまうオーバーローンが発生し、売るに売れない状況になる可能性も否定できません。

大規模修繕など経営後にも費用が発生するから

アパート経営の難しいポイントとして、経営後にもさまざまな費用が発生してしまう点もあげられます。アパートを経営するにあたって必要なランニングコストの一覧は、以下のとおりです。

  1. 修繕費
  2. 原状回復費
  3. 固定資産税
  4. 都市計画税
  5. 各種損害保険料

とくにアパートの外観から基礎まで修繕する、大規模修繕を実施するためには、多額の費用を用意しなければなりません。当然ですが、アパートの規模が大きくなれば、その分修繕にかかる費用も大きくなります。

アパートの修繕ができなければ、建物や設備の老朽化が進むため、資産価値が低下してしまい、入居希望者や家賃が減少する事態になりかねません。そのため、アパートオーナーは、大規模修繕をはじめ、ランニングコストに対する綿密な資金計画を立てられる能力が求められます。

アパートの修繕費については下記記事で詳しく紹介しておりますので、あわせてご確認ください。

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少子高齢化でアパートの需要が減るから

少子高齢化も、アパート経営における不安要素の1つです。日本における65歳以上の高齢者人口は、1950年時点では総人口の5%に満たないほどでした。しかし、1970年に国連の報告書において定義された高齢社会の水準の7%を超えると、そのまま高齢者人口は増え続け、2024年には29.3%と過去最高に達しました。

高齢者の割合が増える一方、総人口は減少しています。人口がこのまま減少すれば、必然的にアパートの需要は減っていくため、アパートの経営に大きなダメージを与える可能性が高いです。

参考:総務省統計局 統計からみた我が国の高齢者

アパート経営は本当に失敗するのか

アパート経営リスク2

アパート経営にはさまざまなリスクが存在しており、知識も経験もないままで始めるのは、あまりおすすめできません。逆にいえば、正しい知識と経験があれば、アパート経営を成功させることは十分可能です。

以下では、アパート経営が本当に失敗しやすいか否かについて解説します。

平均不動産所得は増加傾向

アパート経営は失敗しやすいと考える方は少なくありませんが、実は平均不動産所得自体は、ここ数年増加傾向にあります。以下は、国税庁の申告所得税標本調査による平成24年から令和4年までの不動産所得のデータです。

年度 平成24年 平成29年 令和2年 令和3年 令和4年
平均所得金額(千円) 5,105 5,170 5,400 5,427 5,425

参考:国税庁 申告所得税標本調査結果

平成24年から令和4年までの間に、不動産所得の平均は上昇しています。この不動産所得には戸建てや土地などの賃貸による所得も含まれているため、厳密にはアパート経営の収入の平均額とはいえませんが、アパート経営の収入について参考となる情報のひとつでしょう。

首都圏の単身世帯は増加傾向

首都圏の単身世帯も、現在増加傾向にあります。とくに東京は、転出者よりも転入者が多い、転入超過の状態です。

総務省統計局が公開している2023年度の住民基本台帳人口移動報告の結果によると、2023年の東京における転入超過数は68,285人でした。2022年度の転入超過数が38,023人だったため、1年で30,262人転入超過数が増加しています。また、年齢別の転入、および転出者数のデータをチェックしてみると、東京圏の転入超過数は20〜24歳が最も多いです。

これらの情報から、ワンルームや1Kなど、単身世帯用の賃貸需要は当面続くと考えられます。そのため、入居者に合わせた物件を所有していれば、借り手が見つからない事態が発生する心配は、ほとんどないといえるでしょう。

参考:総務省統計局 住民基本台帳人口移動報告 2023年(令和5年)結果

アパート経営を成功させるための条件

アパート経営リスク3

不動産所得の平均金額の上昇や、首都圏の単身世帯の増加などから、アパート経営は十分成功させる余地があることがわかります。

アパート経営を成功させるには、以下のようなポイントがあります。

  1. 徹底した市場調査
  2. 適切な管理と運営
  3. リスクマネジメントの徹底
  4. 柔軟な運営計画と長期計画

徹底した市場調査

アパート経営を成功させるうえで、徹底した市場調査は必要不可欠です。アパートの建設を検討しているエリアのニーズをしっかりと調べましょう。

現在だけでなくそのエリアの将来の開発予定も重要です。

どれだけ立派なアパートを完成させても地域住民のニーズに合致しなければ、いつまでも部屋は埋まりません。たとえば、ファミリー層が多く暮らしているエリアに単身者向けのアパートを建設しても、入居希望者は簡単には集まらないでしょう。市場調査を通じて、立地条件に合わせた間取りを検討することが、アパート経営を成功させる近道といえます。

市場調査を行う際は、地域の再開発の予定や、人口の増減などのデータがあると良いでしょう。また、家賃の価格競争を優位に進めるためにも、周辺の類似の物件がいくらで募集されているかも最低限調べておきましょう。

適切な管理と運営

アパートの管理と運営をプロの管理会社に任せるのも、アパート経営を成功させるポイントです。

管理会社は、アパートの持ち主にの管理会社代わって賃貸管理や建物管理を行います。契約プランの内容は管理会社によって異なり、経験豊富な管理会社にアパートの管理と運営を委託できれば、安定したアパート経営ができるでしょう。

直接入居希望者と接する立場である管理会社選びは慎重に行ってください。空室対策のためにも、賃貸仲介に強い会社を選ぶのが理想です。

アパート経営を成功させるための管理会社選びのポイントは下記記事で紹介していますので、ぜひご参考ください。

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リスクマネジメントの徹底

リスクマネジメントの徹底も、アパート経営を成功させるポイントです。アパート経営には、以下のようなリスクが存在します。

  1. 空き部屋増加による収益の悪化
  2. 老朽化による資産価値の低下
  3. 地震や津波などの災害リスク

このようなリスクの発生を完全に防ぐことはもちろん不可能ですが、発生する可能性があるリスクに対して、各種対策を講じることはできます。たとえば、地震をはじめとする災害リスクは、あらかじめ保険に入ることで、被災したときのリスクを軽減することが可能です。

リスクに備えておけば、いざトラブルが発生しても、適切な対応ができるため、アパート経営の悪化を防げます。

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柔軟な運営戦略と長期計画

アパート経営を成功させるにあたって、柔軟な運営戦略と長期計画を立てることも重要です。アパート経営は、初期費用のみならずランニングコストもかかるため、短期間で利益を出すのは簡単ではありません。

そのため、10年、20年先を見据えて経営プランを練る必要があります。計画を立てる際に収益計画書も一緒に作成するのが一般的です。

もちろん、すべてが計画通りに進むとは限りません。定期的に内容を見直し、現状に合わせて運営戦略を柔軟に変更することも大切です。

なお、一人で運営戦略も長期計画も立てられない場合は、信頼できる不動産会社に相談するとよいでしょう。

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見落としがちなアパート経営のリスク

アパート経営リスク4

アパート経営を成功させるためには、成功のポイントのみならず、見落としがちなリスクの存在も知っておく必要もあります。以下では、見落としがちなアパート経営のリスクの詳細について詳しく解説します。

退去のたびに費用が発生する

アパート経営で見落としがちなリスクの1つが、入居者が退去するたびにクリーニング代などの費用が発生する点です。

部屋の内装や設備に著しい損壊が発生した場合、入居者にクリーニング費用を請求できるケースもありますが、物件自体の経年劣化や入居者の常識的な使用による範囲の内装や設備の損壊については、基本的にオーナーが対応しなければなりません。

また、退去があった場合、次の入居者を探すための広告費も必要です。

そのため、入居者の入れ替わりが頻発するほど、費用がかさんでしまいます

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減価償却が終了すると税負担が増える

アパート経営の初心者が見落としがちなリスクに、減価償却が終了すると税負担が増えてしまう点があげられます。減価償却とは、設備投資をはじめとする費用を、一定期間に配分する会計処理のことです。所得から差し引ける会計上の費用であり、節税効果があります。

減価償却が計上できる期間は法定耐用年数の間と決まっており、法定耐用年数が過ぎれば、以降は税金が増えることになり、また耐用年数が過ぎた物件は売却も難しくなります。

耐用年数満了後の資金計画、あるいは耐用年数満了前の売却も視野に入れておく必要があるでしょう。

周辺エリアのニーズが変化することがある

アパートを経営している間に、周辺エリアのニーズが変化してしまうケースもあります。地域の都市開発や企業の移転などの要因によって、住民層が大きく変わることは、決してありえない話ではありません。

たとえば、大学のキャンパスが別のエリアへ移転すると、職員や学生がまとめて移転先の地域へ移動するため、それまで満室だったアパートが一気に空室だらけになってしまう可能性があります。

そのため、アパートの経営を始める前に、周辺エリアの開発計画を調べ、将来どのように環境が変化するのか予測を立てておきましょう。

アパート経営で直面する代表的な問題

アパート経営リスク5

長くアパート経営をしていると、何かしらのトラブルが発生するものです。とくに以下の5つの問題は、アパート経営をするうえで、避けて通ることはできないでしょう。

  1. 空室
  2. 家賃下落
  3. 家賃滞納
  4. 入居者トラブル
  5. 自然災害
  6. 金利上昇

それぞれの問題の詳細や対応策について、順番に解説します。

空室

アパート経営において、警戒しなければならない問題の1つが、空室です。家賃収入がなければアパート経営は成り立たず、収益を上げられません。空室が続くと、家賃や資産価値の低下、ローン返済リスクの上昇などを招く可能性が高まります。

そのため、敷金や礼金の見直しや、テレビモニター付きインターホンや宅配ボックスなどの入居者に人気の高い設備の導入など、空室対策を適宜実施しましょう。

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家賃下落

家賃の下落も、アパートを経営する際に警戒しなければならない問題です。

同じ間取り、家賃のアパートの場合、築年数の浅い方に人気が集中しやすいです。アパートの築年数の経過に合わせて家賃を下げる場合が一般的です。

家賃が下落する原因は、築年数の経過以外にも、前述の空室への対策としての措置や周辺エリアのニーズの変化などがあげられます。

家賃滞納

深刻なリスクとして、家賃滞納があります。回収できない家賃は、会計において未収金、つまり利益として扱われるため、その分税金を支払わなければなりません。

家賃滞納リスクを回避する方法の1つが、家賃保証会社の利用です。家賃保証会社は入居者の受け口を広くできる、家賃を滞納したときの強制執行まで保証してくれるなどのメリットがあります。

一方で、更新料がかかる、家賃保証会社の倒産や破産のリスクがあるなどのデメリットもあるため注意が必要です。メリットとデメリットを知ったうえで、家賃保証会社を利用するか決定しましょう。

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入居者トラブル

アパート経営が順調でも、入居者が以下のようなトラブルを招くケースも考えられます。

  1. 騒音
  2. ゴミ出しルールを守らない
  3. 禁止事項を守らない
  4. 夜逃げ

入居者がトラブルを起こすと、アパート自体の評判が下がってしまい、空室リスクが高まってしまいます。入居審査の徹底や緊急連絡先の確保などを行い、入居者トラブルが発生するリスクを軽減しましょう。

自然災害

アパート経営において、自然災害も無視できない問題です。日本は災害大国として知られており、毎年地震や台風などの災害が発生しています。

万が一災害が原因でアパートを建て替えることになれば、その間家賃収入は得られません。家賃収入がなくなった結果、ローンの返済が滞ってしまう可能性も考えられます。最悪の場合、アパート経営そのものを諦めざるを得ません。自然災害リスクに備えて、必ず保険に加入しておきましょう。

金利上昇

アパートローンを利用している場合、金利の上昇リスクも心配です。変動金利タイプのアパートローンは市場金利の変動によって返済額が上昇する可能性があります

返済額が上昇すると、収支のバランスが崩れるため、アパート経営が悪化しかねません。頭金を増やすことで借入金を減らす、手元資金に余裕が生まれたタイミングで繰越返済をするなどして、金利の上昇に備えましょう。

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まとめ

アパート経営リスク6

アパート経営には、さまざまなリスクが存在します。しかし、リスクを事前に想定し備えておけば、極度に恐れる必要はありません。

また、ここ数年の平均不動産所得は上昇傾向にあり、アパート経営で収益を上げることは十分可能といえるでしょう。ただし、アパート経営を成功させるためには正しい知識や経験が必要です。

アパート経営を行うには、経営の知識を学ぶ、市場調査を行う、信頼できる不動産株会社に相談する、経験豊富な管理会社にアパートの管理や運営を委託するなどして、経営リスクを軽減する努力をしましょう。

監修者icon

監修者

宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士

中川 祐一

現在、不動産会社で建築請負営業と土地・収益物件の仕入れを中心に担当している。これまで約20年間培ってきた、現場に密着した営業経験と建築知識、不動産知識を活かして業務に携わっている。

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