アパート経営、引継ぎか売却か? 相続前に確認すべきポイント

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相続の際にアパート経営を問題なく引継ぐためには、さまざまなポイントの確認や手続きが重要です。

この記事では、アパート経営の引継ぎについて解説します。引継ぎか売却かの判断をするうえで確認すべきことや、手続きの内容、注意することなどの重要なポイントを詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてください。

ポイント

  1. アパート経営を相続する場合、経営を引継ぐか売却するかを判断する
  2. 経営を引継ぐのなら、アパートの現状確認と経営見直しが重要である
  3. アパートを相続した際には、必要な手続きが複数ある
目次

【アパート経営】引継ぎか売却かの判断ポイント3つ

アパート経営していた賃貸物件を相続する場合、そのまま経営を引継ぐか、それとも売却するかを判断します。引継ぎか売却かを判断するためのポイントについて、詳しくチェックしていきましょう。

1.引継ぎ後、アパート経営をやっていけるかどうか

アパート経営を引継ぐ場合、ただ不動産の所有者になるということだけではなく、経営のための判断や業務を行う必要があります。

自身にアパート経営のノウハウがあるか、今後必要な知識を学んでいけるかを冷静に考え、引継ぎ後にアパート経営をやっていけるかどうかを判断しましょう。

アパート経営を引継ぐ場合に必要な知識には、「建物や設備に関する知識」「実際に経営する際の戦略や対応」「会計や税務に関する知識」「民法や借地借家法などの法律の知識」があります。

まったく知識がなく、アパート経営をやるつもりもなかった方が引継いだ場合には、せっかくのアパートが負の資産になりかねません。手に余るようであれば、売却も1つの方法です。

また、アパート経営をやっていけるかどうかを判断するためには、残されたアパート自体が賃貸経営に適した物件かどうかの確認も重要なポイントです。アパートの現状について確認するべきポイントは、後ほど詳しく解説します。

2.売却にかかる費用はどれくらいか

経営を引継ぐか、それとも売却するかを判断するためには、費用面も考慮に入れることが重要です。相続したアパートを売却すれば、売却価格がそのまま手に入ると考えるかもしれませんが、不動産の売却にあたってはさまざまな費用がかかることに注意しましょう。

アパートを売却する場合にかかる費用は、「不動産会社への仲介手数料」「譲渡所得税」「登録免許税」「住民税」「印紙税」などです。物件の売買価格や固定資産税評価額など、それぞれの費用を求める際に基準となるものが違う点にも注意してください。

また、住民税や譲渡所得税は建物の所有期間が5年以下かそれよりも長いかによって異なります。引継ぎか売却かを検討する際は実際にどれくらいの費用がかかるか計算してみましょう。

3.相続税を抑えられるのはどちらか

経営を引継ぐか売却するかで、どちらの方が相続税が抑えられるのかということも重要な判断ポイントの1つです。相続する前にアパートを売却した場合、現金などと同様に金額として相続税が算出されます。

しかし、不動産評価額は税制上の特例適用になるケースがあるため、現金の財産として相続するよりも、不動産として相続したほうが節税効果を期待できるかもしれません。節税になるのはどちらなのか、実際に相続するアパートで相続税を算出して判断しましょう。

【アパート経営】引継ぎの際に確認するべきポイント4つ

売却ではなく経営を引継ぐ場合には、アパートの現状について確認するべきポイントがあります。引継ぎのためにはどのようなことをチェックしておくべきなのか、詳しく見ていきましょう。

1. ローン残債を含めた経営状況

アパート経営を引継ぐ場合には、現状の資金繰りから経営状況が良好かどうかの判断をすることが重要です。ローン残高や資産がどれだけあるのか、ローンの返済状況、収入と支出のキャッシュフロー、損害保険への加入状況などを確認しましょう。

これにより、現在のアパート経営の資金繰りや問題点、今後のリスクなどを理解できるようになります。

2. 空室率や入居者の属性など

アパート経営を引継ぐ場合には、空室率や募集状況、入居者の属性、現行の家賃、家賃の支払い状況、預かっている敷金、契約の更新時期などをチェックしましょう。なかでも、経営を見直す際に特に重要視されるものが、賃貸物件の空室率の高さです。

入居者の入れ替わりのタイミングでメンテナンスを行うために空室になっているだけなら気にしなくてもいいでしょう。しかし、数カ月間ずっと空室になっている部屋が多いようならば、集客方法などの見直しをしましょう。

3. 引継ぐアパートの建物自体の状態

アパートの建物自体の状態のチェックも重要なポイントです。老朽化による耐震性や耐久性のリスクがどの程度あるのかを把握しましょう。

設備や外壁塗装などの修繕状況も確認し、交換や修繕が必要となる時期を把握します。これにより経年劣化リスクへの対応コストの見通しが立てられるようになるので、あらかじめ修繕資金を準備しておきましょう。

4.アパートの管理体制

経営を引継ぐ場合には、アパートの管理体制もしっかりとチェックします。管理会社や管理プランはどのようになっているのかを確認し、委託している業務の範囲や管理委託料についても把握しましょう。

管理体制を見直した結果、相続人自身の対応が必要な業務を減らしたい場合には委託業務を追加で依頼します。反対に、委託している業務の一部を相続人自身が実施できるのであれば、管理委託料を節約することも可能です。

【アパート経営】引継ぎのために必要な手続き4つ

アパート経営を引継ぐためには、やっておかなければならないことがあります。引継ぎのために必要な手続きについて、それぞれ詳しくチェックしていきましょう。

1. アパートの相続人を決定し、相続登記をする

アパート経営を引継ぐためには、誰が相続するのかを決めて、不動産の登記における名義人を変更します。相続登記は司法書士へ依頼できますが、法務局やインターネットで申請書を手に入れて自分で手続きすることも可能です。

ちなみに、被相続人が亡くなってから遺産分割によりアパートの相続人を決定するまでの期間に発生した賃料は、原則として法定相続分通りに分割します。

2. 遺産分割のことを金融機関へ伝える

アパート経営を引継ぐ際、遺産分割について金融機関へ伝える必要があります。アパート経営のためのローンであっても、金融機関に伝えていなければ被相続人の借金として相続人全員に引継がれてしまいます。アパート経営を引き継いていない人にまでローンの請求が及ばないよう注意しましょう。

3.入居者や管理会社へ連絡する

入居者や管理会社への連絡も、アパート経営を引継ぐ際に必要です。特にアパートを自主管理している場合は、各種問い合わせや退去の際の連絡先として、電話番号などを早めに入居者に伝えましょう。

管理会社に依頼している場合の入居人への連絡は、直接ではなく管理会社を通してでも構いません。管理会社には、まずオーナーが亡くなったことを連絡し、相続人が決定してから再度連絡を入れましょう。

4.4カ月以内に準確定申告を行う

相続によりアパート経営を引継いだ場合、相続の発生から4カ月以内に準確定申告を行う必要があります。準確定申告とは、1月1日~相続発生までの期間内における被相続人の所得について、相続人が代理となって確定申告を行うことです。通常の確定申告の期間とは異なるため、注意しましょう。

【アパート経営】引継ぎの際に注意するべきポイント

パート経営の引継ぎを行う際、特に注意するべきポイントは、必要な手続きでもお伝えした、金融機関へ遺産分割の申し出と、連帯保証人の返済義務についてです。

銀行へ遺産分割の申し出を必ず行う

前述したとおり、アパート経営の引継ぎの際は、必ず金融機関へ遺産分割の申し出を行うよう注意しましょう。

債権者保護の観点から、基本的に被相続人がしていた借金は法定相続分どおりに相続すると民法で決められています。相続登記をしても金融機関に連絡されるわけではないので、遺産分割をしても、金融機関に申し出を行わないと法定相続分通りにローンが分割され、相続人以外に請求されてしまいます。銀行への申し出を忘れずに行うようにしましょう。

連帯保証人の返済義務は残る

アパート経営の引継ぎの有無にかかわらず、アパートの建設費用などの連帯保証人となっている人には返済義務が残ります。

アパート経営がうまくいっていない場合、連帯保証人以外であれば相続を放棄するという選択肢もあります。しかし、相続を放棄しても連帯保証人となっている人の返済義務は残るため、注意が必要です。

その他の注意点

兄弟や親族の共有名義にすることは後々のトラブルのもとになる可能性があることにも注意しましょう。アパートの売却や大規模修繕に対する考え方が異なり、まとまらなくなりやすいものです。

次の相続が発生した際に、さらに名義人が複雑になってしまうことや、共有名義を解消する場合に贈与税がかかるようになることなどの問題があるため、共有名義でのアパート経営は避けたほうがいいでしょう。

アパートを売却する場合も、ローンが残っている状態では売却活動がしにくい可能性があることにも注意が必要です。適正な売却価格は不動産会社などに相談すると良いでしょう。

まとめ

アパート経営を相続する場合、経営の引継ぎか売却か、どのような状態で相続するかを判断します。判断するためのポイントは「引継ぎ後、アパート経営をやっていけるかどうか」「売却にかかる費用はどれくらいか」「どちらの方が相続税を抑えられるか」です。

経営を引継ぐ場合には、空室率や経営状況など、アパートの現状について確認するべきポイントがあります。引継ぎのために必要な手続きや注意するべきポイントなどの、引継ぎのために重要な点を理解して、個人が築いてくれた資産を活用していきましょう。

監修者

中川 祐一

資格
宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士
略歴
現在、不動産会社で建築請負営業と土地・収益物件の仕入れを中心に担当している。これまで約20年間培ってきた、現場に密着した営業経験と建築知識、不動産知識を活かして業務に携わっている。

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