管理不全空家に指定されるとどうなる? 固定資産税が6倍!?【改正法施行】

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実家を相続したものの、活用できず空き家のまま放置している方も多いのではないでしょうか。こうした放置されたままの空き家の対策を強化するために「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律」が施行され、新たに「管理不全空家」というカテゴリが定義されました。

これにより、今までより影響を受ける空き家の範囲が広くなります。「管理不全空家って?」「罰則はある?」「罰金は?」この記事では、空き家所有者が気になる管理不全空家に指定される影響について、詳しく紹介します。

ポイント

  1. 2023年の法改正に伴い、新たに管理不全空家が定義された
  2. 管理不全空家は特定空家に移行する前の状態で、所有者に管理努力義務が課せられた
  3. 管理不全空家に指定されると、固定資産税が最大6倍になる可能性がある
  4. 管理不全空家に指定されないためには、適切な管理が必要
目次

管理不全空家とは

2023年12月の法改正により新たに設定された空き家の区分が「管理不全空家」です。管理不全空家とは、管理が行き届いておらず、放置すれば将来周囲に悪影響を与えるようになる恐れがある空き家を指します。

全国で居住目的のない空き家が増えており、今後もさらなる増加が見込まれています。空き家は劣化による倒壊のリスクや、景観面や防犯面への影響があるなど、個人だけの問題ではありません。

そのため国土交通省では空き家についてさまざまな対策を行い、空き家を減らそうとしています。

管理不全空家は全国に24万戸

管理不全空家とは、令和5年(2023年)12月13日に施行された「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律」で定義された空き家の新しい区分です。

そもそも空き家とは、空家対策特別措置法によって、「居住その他の使用がなされていないことが常態である建築物」と定義されています。

具体的には、1年間を通して人の出入りや電気・ガスなどの利用状況を総合的に見て、空き家かどうかを判断します。空き家の中でも、壁や窓などの一部が破損・腐食していたり、ゴミが散乱していたりするなど適切に管理されていない空き家を、管理不全空家と呼称するようになりました。

総務省の住宅・土地統計調査では、使用目的のない空き家は2018年時点で約349万戸に上り、2030年には470万戸と推計されています。さらに、国交省の見込みでは管理不全空家は24万戸と試算され、今後も増加が見込まれています。

出典:国土交通省 空き家対策小委員会 最終とりまとめ(参考データ集)

管理不全空家の基準とガイドライン

国土交通省では、管理不全空家の判断の参考となる基準をガイドラインとして公表しています。具体的には下記のような建物が該当します。

  1. 屋根や外壁の一部が、傷んだり汚れたりしている
  2. ガラスなどが割れたまま放置されている
  3. 草木が管理されていない
  4. 敷地内にゴミなどが散乱されている

すぐに倒壊するなどの危険性はなくとも、このまま放置されればリスクが高まるような 空き家を管理不全空家といいます。

このような放置すれば特定空家となる恐れのある空き家を、特定空家化を未然に防ぐために、管理不全空家として市区町村が指導・勧告できるようになりました。

出典:国土交通省 空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律(令和5年法律第50号)について 判断の参考となる基準(概要)

特定空家とは

特定空家とは管理不全空家と違い、倒壊などの危険性が高い空き家のことです。特定空家は、下記のような空き家を指します。

  1. 建物が傾いているなど、倒壊などの危険性が高い
  2. ゴミや害獣の糞尿などの異臭により、衛生上の問題がある
  3. ゴミの不法投棄や雑草の繁殖などで、景観を損なっている

上記のように著しく有害である状態の空家が特定空家で、管理不全空家を放置して状態が悪化すると特定空家となってしまいます。

管理不全空家と特定空家の違い

管理不全空家と特定空家は建物の状態のほかには、行政代執行の可否の違いがあります。

管理不全空家は、あくまで管理を促すための処置です。そのため特定空家のように、行政代執行がありません。行政代執行とは、所有者のかわりに行政が建物の管理を強制的に行うことで、建物を解体する場合もあります。

このような特定空家となることを未然に防ぐために、管理不全空家の段階で、市区町村が指導・勧告するのが管理不全空家です。

管理不全空家指定のリスク

所有している物件が管理不全空家に指定されてしまうと、固定資産税が増額したり、管理コストが増大したりするリスクがあります。それぞれのリスクについて見ていきましょう。

固定資産税の増額

管理不全空家に指定され、「勧告」を受けた場合、固定資産税の住宅用地の特例の適用除外となることがあります。住宅用地の特例とは、住宅が建築されている土地の固定資産税を優遇する制度で、最大で固定資産税が6分の1に減額されます。

所有している物件が管理不全空家に指定され、勧告を受けてしまうと、固定資産税が最大で6倍に増額されることになります。

法改正前は、管理不全空家という区分はなく、特定空家に指定された場合にのみ住宅用地の特例が適用されないという運用でしたが、今回の法改正により管理不全空家という特定空家の前段階から行政の指導・勧告が可能になり、さらに税制優遇措置の除外対象となることになりました。

管理不全空家の固定資産税増額はいつから?

管理不全空家を定義した、空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律は2023年12月に施行されました。固定資産税は毎年1月1日時点を基準に算出されるため、2024年に管理不全空家として勧告を受けた場合、2025年1月1日の固定資産税から特例の適用除外となることになります。

管理コストの増大

管理不全空家に指定されてしまうと、自治体からさまざまな改善を指示されることになります。破損している箇所を修繕したり、草木の手入れをしたりと物件を管理するためのコストが増えるでしょう。改善を無視して放置してしまうと、最終的には特定空家に指定され強制的に解体されてしまう場合もあります。

空家等対策の推進に関する特別措置法の改正ポイント

管理不全空家は、空き家に関する特別措置法の改正によって定義されました。ここでは改正のポイントについて紹介していきます。

改正の背景 所有者の責務の強化

改正される前の特別措置法では、特定空家のみへの対策を行っていました。しかし、特定空家の数は増加する一方であり、特定空家に指定されてからの対応では限界がありました。そこで特定空家に指令される前の段階で、所有者に管理の責務を強化することを目的に管理不全空家が定義されました。

空き家活用のための規制緩和

改正によって、空き家を活用しやすくするための規制緩和も実施されました。市区町村によって「空家等活用促進区域」が指定され、用途変更や建て替えを促進します。具体的には前面道路の幅員の合理化や、用途地域で制限された建物への変更が認められるなどがあります。

また、NPO法人や社団法人が空家等管理活用支援法人として認定され、空家に関する相談や建て替えなどの普及活動を行うようになりました。

特定空家化を未然に防ぐための管理

特定空家を増やさないために、管理不全空家に対しても市町村が指導・勧告できるようになりました。所有者に対して市町村が具体的に介入することで、建物の管理を適切に行い特定空家化を防ぐことを目的としています。

また、放置された空き家の所有者は不明な場合も少なくありません。そのため所有者把握を円滑に行うために、市区町村が電力会社などに情報提供を求められるようになりました。

特定空家等の除去の円滑化

改正によって特定空家を除去する手続きも円滑化されました。改正前の制度では緊急を要する代執行であっても、所有者に対して命令の手続きを経る必要がありました。しかし、改正後は命令の手続きを省略して、代執行できるように変更されています。

また、改正前は市区町村に報告徴収を行う権利はありませんでしたが、改正後は権利が付与されています。特定空家の所有者に対する勧告や命令をスムーズに行えるようになりました。

管理不全空家にしないために

所有している物件が管理不全空家に指定されてしまうと、さまざまなデメリットがあります。ここでは管理不全空家にしないための対策について、見ていきましょう。

適切に管理する

管理不全空家にしないための一番の対策は、適切に管理を行うことです。定期的に建物を見にいって、修繕や清掃などを行ないましょう。定期的な管理によって建物の外観をきれいに保つことが、管理不全空家対策の1つです。

建物が遠方にある場合など、自分で管理することが難しい場合は親戚や知人を頼るのもよいでしょう。しかし、管理する側の負担も考えて、費用やお礼などもあわせて考える必要があります。親戚などもいない場合は、専門の管理業者を使う方法もあります。

費用は高くなりますが、プロが管理を行なってくれるため管理や修繕などに漏れがありません。また、管理方法なども提案してくれるでしょう。

売却する

適切な管理が難しい場合は、売却も方法の1つです。売却して所有権を手放してしまえば、管理の負担もコストもかかりません。売却により利益が出た場合には所得税がかかりますが、相続した空き家であれば所得税が最大3,000万円控除される制度もあります。

相続で親族から引き継いだ物件などは、取得価格がわからず税金が高くなってしまう場合もあります。税制をうまく活用することで、税負担なく売却できるでしょう。詳細は国税庁のホームページ等で確認してください。

参考:国税庁  No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例

空き家を活用する

空き家を賃貸物件として活用する方法もあります。賃貸として貸し出すことで、空き家にすることを防げるだけでなく家賃収入も手に入ります。しかし、賃貸するためには、大家としての手間が発生するだけでなく、確定申告も行なわなければなりません。

賃貸物件として自分で経営することが難しい場合は、管理会社に委託するのもよいでしょう。しかし、どのような物件でも、貸し出せる訳ではありません。借り手がいなければ貸すことはできないため、建物の状況や立地などの条件がある程度よい物件が対象になるでしょう。

空き家を解体して土地活用する

建物が古いなどあまり状態がよくない場合は、解体して更地にする方法もあります。建物がある状態よりも更地にするほうが、活用の幅は広がります。売却する場合でも、古屋付よりも更地のほうが売却しやすいこともあるでしょう。

立地などの条件がよければ、新しく賃貸物件を立て直すことも可能です。あまり費用をかけたくないのであれば、駐車場にするという方法もあります。注意点としては更地にしてしまうと、固定資産税の住宅用地特例が受けられないことです。ただし、そのまま建物を残して管理不全空家に指定されてしまっても軽減措置は受けられなくなるため、何らかの対策が必要であることは同じといえます。

さらに、建て替えであれば問題ありませんが、駐車場などで活用する場合、固定資産税が増額してしまいます。また建物の規模にもよりますが、解体にも費用がかかることも注意しましょう。

まとめ

各地で空き家は増えており、深刻な問題となっています。2023年に施行された「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律」によって、管理不全空家が新たに設定されました。これにより、特定空家になる前の状態でも指導・勧告の対象が増えることになりました。

管理不全空家に指定されないためには、さまざまな対処法があります。定期的に建物の管理や修繕を行なって、きれいな状態に保っておくことで管理不全空家の指定を防げるでしょう。管理がどうしても難しい場合は、売却するのも方法の1つです。建物が古いのであれば、更地にすることで売却しやすくなるでしょう。

建物がまだ綺麗であったり、駅から近いなど条件がよい場合は賃貸に出す方法もあります。改正によって特定空家を防ぐことが目的とされているため、物件の所有者としては物件の維持管理が求められるようになります。適切に対処し、管理不全空家への指定を防ぎましょう。

監修者

宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士

長谷川 憲一

20年以上にわたり不動産業界に従事。中古物件の仕入れ販売、賃貸管理業務、マンスリーマンション事業の立ち上げ、リーシング事業の立ち上げなどに携わる。現在は、幅広い経験と知識を生かし、プロパティマネジメント・アセットマネジメントを担っている。

監修者

宅地建物取引士

石本 貴大

業界歴10年超で、関わった建築・売買物件は木造からRC造まで、延べ百数十件を超える。「良い解体が良い建築を生む」をモットーに、今日も担当物件を見送っている。 近年は、投資物件の販売や賃貸物件の建築提案、相撲部屋建築にも携わり、不動産・建築業界で活躍の場を広げている。

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