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不動産投資家K
建物の新築時に取得する「検査済証」は、工事完了した建物が建築基準に適合しているかをチェックする現場検査に合格すると交付される大切な書類です。検査済証がないと、住宅ローンが組めない恐れや売却・増改築がしにくいリスクが出てきます。
本記事では検査済証がない物件の取得や売却に悩む方に向けて、検査済証の疑問や対処法、売却方法を解説します。
建築物が建築関連法規を満たしている証明書である検査済証は、工事完了後の現場立会検査に合格すると交付されます。検査済証と同様に建築基準法で定められている確認済証との違いは、審査や検査のタイミングが「着工前か工事完了後か」という点です。
検査済証について、確認済証との違いや義務化された背景、取得の流れを確認していきましょう。
検査済証とは、建築基準法などの規定に適合した安全な建物であると検査機関による認定を受けた証明となる書類です。
工事着工前には、これから建てる建物が建築基準法などの基準に適合しているかをチェックする建築確認申請を行います。しかし、着工前の審査だけでは、その計画どおりに建築されない可能性も残されてしまいます。そのため、建物の工事完了後に基準をクリアしているか検査を行うことが建築基準法に定められており、その完了検査を通過した証明が検査済証です。
参考:東京都都市整備局 建築確認・検査の手続
確認済証は、「建物の建築前」に「建築計画が法令基準を満たしているか」を確認してもらった証明です。建築基準法では、建築工事に着手する前に、建築計画のチェックである建築確認申請を行わなければならないと定められています。建築確認申請により、工事内容が基準に適合していると認められると確認済証が交付されます。
一方の検査済証は、「建物の完成後」に「建物が法令基準を満たしているか」を確認してもらった証明です。どちらも、建築基準法などの規則の遵守を証明するものですが、確認済証は「着工前の建築計画に対する証明書」、検査済証は「完成後の建築物に対する証明書」といえます。
参考:東京都都市整備局 建築確認・検査の手続
検査済証および完了検査は、建築基準法が施行された当初から定められているものです。しかし、以前は完了検査を受ける建築主は少なく、建築確認件数に対する検査済証交付件数の割合を示す完了検査率は、調査開始時の1998年で40%以下でした。
そこで、2002年以降、建物の安全性を確保したい国土交通省は、完了検査率を高めるための施策を実施してきました。2003年には金融機関に対して、新築住宅へ融資を行う際に検査済証の確認を求める要請を出しています。この要請により、新築住宅で住宅ローンを組むには検査済証の提出がほぼ必須条件となり、建物の建築時に検査済証の取得が実質的に義務付けられたといえます。
参考:国土交通省 建築行政に係る最近の動向
国土交通省 新築の建築物向け融資における検査済証の活用等による建築基準関係規定遵守について
検査済証を取得するまでには以下の流れで建物の建築が進んでいきます。
確認済証や検査済証は、特定行政庁の建築主事、もしくは民間の指定確認検査機関が検査を行い交付します。
完了検査は工事完了日から4日以内に行う必要があります。完了検査後に修正や再検査が発生する可能性もあるため、完了検査から引渡しまでに1週間くらいは期間を空けるスケジュールとなるのが一般的です。
建物の安全性を証明する検査済証がない場合、以下のようなデメリットが懸念されます。
検査済証がないと、その建物が建築基準法等の規定に適合した建物だと証明できないため、建物の売却や改修、購入時においてさまざまな制限を受けてしまいます。1つずつ確認していきましょう。
検査済証がないと必ずしも売却できないわけではありませんが、売却しにくくなる可能性が高まります。検査済証がないと購入する側に「違法建築物かもしれない」という疑惑を持たれるとも考えられ、検査済証がない物件を購入するのは難易度が高いと判断される可能性があるからです。買主が見つかりにくく、売却できたとしても価格は下がる傾向にあるでしょう。
リフォームや増改築する際、規模や内容によっては新たに建築確認申請を行う必要があります。建築確認申請にはこれまでの検査済証が必要なため、検査済証がなくては以下のような工事に着手することはできません。
建物や土地、工事内容により建築確認申請が必要かどうかは異なりますが、検査済証がないとできる工事が限られてしまいます。
検査済証がない建物は、金融機関で住宅ローン融資が受けられない可能性が高まります。住宅ローンだけでなく投資用ローンでも、住宅やアパートを新築する際に融資を受けるには、金融機関から検査済証や確認済証の提出が求められます。
中古物件場の場合は、検査済証がなくても代用書類で審査ができるなど、金融機関によって対応が異なります。
建物の工事が完了していても、原則として完了検査に合格し検査済証が交付されるまでは建物を使用することはできません。建物の種類や条件により使用制限の有無は異なりますが、使用制限がかかる場合、検査済証の交付前に入居するだけでなく、家具を搬入することさえ禁止されています。
なお、検査済証がない中古物件の場合は、取得後すぐに建物の使用が可能です。
完了検査を受けたのに検査済証がない場合、紛失した検査済証の再発行は不可能です。検査済証がないと建物の売却に不便や制限がかかるため、大切に所持しておかなければなりません。
ただし、検査済証の交付内容は記録として自治体に保管されています。紛失したときの対処法となる「台帳記載事項証明書」について説明していきます。
検査済証の再発行は不可能です。一度交付された検査済証を紛失してしまうと二度と入手できなくなります。建物の売却や改築に必要となる大切な書類のため、厳重に保管しておきましょう。
万が一、検査済証を紛失したとしても、完了検査をパスした事実は変わりません。検査済証を交付した履歴や検査済証に記された情報は、自治体の建築確認台帳に記録が保管されています。
検査済証の代用となるのが「台帳記載事項証明書」です。自治体が保管する建築確認台帳に記載された内容を証明する書類で、検査済証や確認済証の交付日や番号を含めた建物の詳細情報が記載されています。建築地管轄行政の建築・住宅関連部署で取得でき、発行手数料は300円程度です。
台帳記載事項証明書の申請には建築確認年月日や番号が必要となり、確認済証をチェックしなければなりません。確認済証も手元にない場合は、建築確認台帳の閲覧によって情報を取得できます。建物の新築年月日や建築主名などを参考に該当建物を検索し、建築確認年月日と建築確認番号を確認しましょう。
検査済証のない建物を売却するには、建物の安全性を周知できる調査をして売却しやすくする、検査済証がなくても買い取ってくれる業者に売却する、などが考えられます。
市場に出回る中古物件には検査済証がないものも数多く存在しています。検査済証がない建物でも売却できる手段を確認していきましょう。
建築確認件数に対する検査済証の交付件数の割合である完了検査率は、近年では90%前後で推移しています。
参考:国土交通省 建築行政に係る最近の動向
2000年に初めて特定行政庁による完了検査率が50%を超えたことから、以前は数多くの建物が検査済証を取得していない事実が読み取れます。
2023年現在で築25年ほど経つ建物であれば、半数以上が検査済証がない建物である可能性が高いこともデータから見てとれます。市場に出ている中古物件は、検査済証がないものも珍しくないといえるでしょう。
検査済証がない建物が数多く現存する状況のなか、2014年に国土交通省は、完了検査を受けていない建物の安全性を周知できる仕組みとなるガイドラインを作成しました。ガイドラインに沿った調査を行い建物に違法性がないと明らかになれば、その建物の売却や増改築がスムーズに進められるようになります。
ガイドラインに沿った調査を「法適合状況調査」といい、指定確認検査機関による建築確認申請時の確認済証や設計図書をもとに、現地での調査が行われます。調査にかかる一般的な費用は、約10~30万円です。ただし、調査の結果で建物の適合性が認められたとしても、検査済証と同等の証明にはなりませんので、コストに見合う効果が得られるか判断が必要でしょう。
参考:国土交通省 「検査済証のない建築物に係る指定確認検査機関等を活用した建築基準法適合状況調査のためのガイドライン」について
検査済証がない建物は、現金で購入してくれる不動産会社を探すのも有効な手段です。
検査証済がない建物は、購入時に住宅ローンが組めない可能性があるため、一般個人にとっては購入のハードルが高い物件となります。「仲介」での売却を狙っても、なかなか買主が見つからない恐れがあります。
一方、不動産会社や買取業者が物件を直接買い取ってくれる「買取」であれば、早ければ1〜2週間で売却代金を受け取れます。売却価格は仲介での相場価格に比べて2〜3割低くなるため、複数の業者に見積もりを依頼して価格や条件の良い業者を選びましょう。
検査済証とは、新築した建物が建築基準法などの規定に則っていることを証明する書類です。現在では新築住宅の住宅ローンを利用するときには検査済証の提出が求められるため、ほとんどの新築建物が検査済証を取得しています。
ただし、2000年以前に建てられた建物は検査済証がないものも多く、検査済証がないために売却や増改築を手掛けにくい面もあります。紛失しているのであれば台帳記載事項証明書を取得する、完了検査を受けていないのであれば法適合状況調査を依頼するなどの対処を検討しましょう。検査済証がない建物の売却は、不動産会社や買取業者に買取を依頼するのも有効な手段です。
監修者
一級建築士、一級施工管理技士
ゼネコン設計本部にて各種商業施設、工場、オフィスビル、共同住宅などの設計監理に携わった後、不動産業界に特化。延べ300棟近くの投資用賃貸アパートの設計管理を実績し、後年は不動産営業ツールや商品開発、人材育成業務に携わる。経験年数30年超。
不動産投資家Kとその仲間たちでは、「土地を相続する予定だけど、どうすれば良いか検討している」「管理が大変なので、土地を売却したいと思っている」など、土地・建物のさまざまなご相談を承っております。
あなたやあなたの家族の大切な資産を有効に活用できるよう、お気軽にご相談ください!
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