固定資産税がかからない土地の条件は?相続の場合や処分するときの対処法

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相続した土地の中には、一定の条件を満たすことで固定資産税がかからないものがあります。もっとも、固定資産税がかからない土地は納税通知書が届かないことがあり、相続人が土地の存在を把握できないまま、名義変更や管理、処分の場面で問題が表面化するケースが少なくありません。
本記事では、固定資産税がかからない土地の基本的な条件や、将来的に課税される可能性、相続後に起きやすい注意点(見落とし・管理負担・処分の難しさ)と、手放すための選択肢を解説します。

ポイント

  1. 課税標準額が一定額未満(免税点)など、条件を満たすと固定資産税がかからない土地がある
  2. 固定資産税がかからない土地でも、相続では相続税の課税の対象になり得る
  3. 納税通知書が届かない場合があり、土地を見落として相続手続き漏れになることがある
目次

固定資産税がかからない土地の基本的な条件

固定資産税は、一定の条件に該当すると非課税になります。代表的なのは、課税標準額が30万円未満の土地や、国・自治体が所有する公共用地、地方税法で非課税と定められた土地などです。

ここでは、固定資産税がかからない土地の基本的な条件と注意点について解説します。

課税標準額が30万円未満の土地

固定資産税は、すべての土地に一律で課されるわけではなく、一定の条件を満たす場合には課税されません。その代表的な例が「課税標準額が30万円未満の土地」です。土地や建物にかかる固定資産税には「免税点」と呼ばれる基準が設けられており、この免税点を下回る場合には固定資産税が課されません。土地の場合、同一の課税主体(市町村等)で、同一人物が所有する土地の課税標準額の合計が30万円未満であれば固定資産税は課されません。(家屋は20万円未満)

課税標準額は、市町村(東京23区の場合は東京都)が固定資産課税台帳に登録した固定資産税評価額をもとに算出されます。この評価額は実際の売買価格とは異なり、固定資産評価基準に基づいて、立地や形状、利用状況などを反映して決定されます。たとえば面積が極端に小さい土地や接道条件が悪い土地、傾斜地などは、市場価値があっても評価額が低く算出されることがあります。そのため、所有する土地の面積や立地条件によっては、固定資産税が課されない場合もあります。

ただし、固定資産税評価額は3年ごとに見直されます。土地の条件が変わると将来的に課税対象になる可能性がある点には注意が必要です。

参考:総務省 「固定資産税の概要」

国や自治体が所有している土地

国や地方自治体が所有している土地については、原則として固定資産税は課されません。これは、固定資産税が地方税であり、行政主体が自らに課税することは制度上適切でないと考えられているためです

具体的には、次のような土地が該当します。

  1. 国有地
  2. 都道府県、市町村が所有する庁舎用地
  3. 学校用地
  4. 公園
  5. 道路
  6. 河川敷

ただし、国や自治体の土地であっても、第三者に貸して収益を得ている場合など、利用実態によっては課税対象となることがあります。

地方税法で非課税と定められた土地

地方税法では、社会的・公共的な役割を果たす土地について、固定資産税を非課税とする規定が設けられています。

その代表例が「公共の用に供する土地」です。公共の用に供する土地とは、不特定多数の人が利用できる道路、公園、広場、河川、堤防などを指し、国や自治体だけでなく、一定条件を満たせば民間が所有する土地であっても非課税となる場合があります。

たとえば、私道であっても、不特定多数の人が自由に通行でき、実質的に公共道路として機能している場合には、非課税または減免の対象となることがあります。ただし、取扱いは自治体や要件によって異なるため、詳細は自治体に確認が必要です。

今後、固定資産税が発生する場合

固定資産税が現在はかかっていない土地であっても、将来的に課税対象となるケースは少なくありません。

代表的なのは、土地の評価額が見直される場合です。固定資産税の評価額は原則として3年ごとに行われる評価替えによって更新され、周辺の開発やインフラ整備、地価の上昇などがあれば、課税標準額が30万円未満から30万円以上に引き上げられる可能性があります。その結果、これまで非課税だった土地でも固定資産税が発生することがあります。

また、土地の利用状況が変わった場合も注意が必要です。たとえば、これまで公共の用に供していた私道を一部でも専用利用に切り替えたり、非課税対象となっていた土地に建物を建てて事業用途として使用したりすると、非課税要件を満たさなくなり課税対象となることがあります。

固定資産税がかからない土地の相続

固定資産税がかからない土地であっても、相続では課税される点に注意が必要です。相続した場合の固定資産税の取り扱いについて、詳しくみていきましょう。

固定資産税がかからない土地も相続税の課税対象になる

固定資産税がかからない土地であっても、相続においては「課税対象になる」点に注意が必要です。固定資産税と相続税は別の税金であり、非課税の基準も異なります。

たとえば、課税標準額が30万円未満の土地や、公共の用に供している土地などは固定資産税が非課税となる場合がありますが、相続が発生すると原則として相続税の対象に含まれます。

相続税では「被相続人が所有していた財産かどうか」が判断基準となるため、固定資産税がかかっていなかったという理由だけで申告不要になることはありません。

評価額が小さい土地であっても、原則、相続財産として計上する必要があります。複数の土地を所有していた場合、非課税の土地を見落とすと、税務署から指摘を受ける恐れがあるため、注意が必要です。

相続税評価額と固定資産税評価額の違い

相続税評価額と固定資産税評価額は、目的や算定方法が異なるため、同じ土地でも金額に差が生じます。固定資産税評価額は、市町村が固定資産税を課すために算定するもので、原則として3年ごとに評価替えが行われます。

一方、相続税評価額は国税庁の定める評価基準に基づいて算出され、市街地の土地は「路線価」、路線価がない地域では「倍率方式」を用いて評価されます。

一般的に相続税評価額(路線価)は公示価格の約80%、固定資産税評価額は公示価格の約70%が目安とされることが多く、相続税評価額は固定資産税評価額よりも高くなる傾向があります。そのため、「固定資産税がかかっていないから価値が低い土地」と誤解していると、想定以上の相続税が発生するケースもあるでしょう。

相続の際は、固定資産税だけでなく、相続税評価額について正しく確認することが大切です。

納税通知書が送付されない点に注意

納税通知書は、課税対象となる固定資産がある場合に送付されるのが一般的です。そのため、固定資産税がかからない土地は納税通知書に載らず、相続人が土地の存在に気づきにくいことがあります。

実際には、私道・山林・原野・遠方の土地などが見落とされやすく、相続登記や遺産分割の対象から漏れた結果、あとから手続きがやり直しになったり、共有状態のまま管理責任だけが残ったりするケースもあります。相続の際は、納税通知書だけを頼りにせず、被相続人名義の不動産を自治体の資料(固定資産の一覧が分かる資料など)や登記情報で確認し、漏れなく洗い出すことが大切です。

固定資産税がかからない土地の処分方法

固定資産税がかからない土地は、一見すると維持コストが少なく魅力的に見えます。しかし、固定資産税がかからない土地は、面積が小さい、接道条件が悪い、傾斜地であるなど、利用や売却の条件が厳しくなりやすいものもあります。その結果、需要が限られて売却が難しく、相続や管理の面で不都合が生じることも少なくありません。特に、活用予定のない土地を保有し続けると、固定資産税がかからなくても、草刈り・安全管理・近隣対応などの手間や費用が継続し、将来的なリスクが大きくなる可能性があります。

ここでは、固定資産税がかからない土地は売却しにくいことを踏まえ、処分方法について解説します。土地の処分方法を検討する際は、「売れるかどうか」だけでなく、引き取り・利用の要件(建物の有無、境界、管理上の支障など)、かかる費用(測量・登記・解体・負担金等)、手続きにかかる期間の3点で整理すると判断しやすくなります。

相続土地国庫帰属制度

相続土地国庫帰属制度は、相続した不要な土地を国に引き取ってもらえる制度です。一般市場で売却しにくい土地でも、要件を満たせば「手放す」選択肢になり得ます。

ただし、どんな土地でも引き取ってもらえるわけではなく、建物がないことや境界が明確であること、管理上の支障がないことなど、厳格な要件があります。また、申請時には審査手数料がかかるほか、承認後には10年分の管理費相当額として、一定額の負担金が必要です。

売却が難しい土地が相続によるものであれば、手放す際の有力な選択肢の1つとなるでしょう。

参考:法務省 相続土地国庫帰属制度について

空き家バンク

空き家バンクは、自治体が運営する不動産マッチング制度です。利用されていない土地や建物の情報を公開し、購入・利用希望者とつないでいます。

固定資産税がかからない土地は立地や利用条件に課題があり、一般市場では売れにくい傾向があります。しかし、空き家バンクであれば、土地を地域活性化や移住目的に利用したいという人が見つかる可能性があります。

高値で売却できるとは限らず、無償譲渡や低価格での処分が必要になる場合もあることは理解しておきましょう。

自治体に寄付

固定資産税がかからない土地は、自治体に寄付する方法もあります。ただし、自治体が無条件で受け取ってくれるケースは少なく、公共利用の見込みがある土地に限られるのが一般的です

管理や維持に費用がかかる土地は敬遠されやすく、寄付を断られることも珍しくありません。売却が難しく、相続土地国庫帰属制度の要件にもあてはまらない場合の選択肢として検討されることが多いでしょう。事前に自治体への相談が必要です。

隣地所有者への売却

隣地所有者への売却は、固定資産税がかからない土地を処分する現実的な方法の1つです。一般の第三者にとっては利用価値が低く売れにくい土地でも、隣地所有者にとっては敷地拡張や利用効率向上につながるため、購入ニーズがある可能性があります。

価格が期待できるかはケースバイケースですが、一般的な売却先を探すより売却できる可能性は高いといえます。境界の確定や測量が必要になる場合もあるため、事前準備と丁寧な交渉が必要です。

まとめ

固定資産税がかからない土地は、課税標準額が一定額未満である場合や、国・自治体が所有している土地、地方税法で非課税と定められた土地などが該当します。

ただし、土地の利用状況や評価額の変動によって、将来的に課税対象となる可能性もあるため注意が必要です。

また、相続時には固定資産税がかからなくても相続税の対象になることがあり、納税通知書が届かないことで土地の存在に気づかないケースもあります。固定資産税がかからないからと安心せず、管理・相続・処分まで見据えた対応が必要です。

監修者

宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士

中川 祐一

現在、不動産会社で建築請負営業と土地・収益物件の仕入れを中心に担当している。これまで約20年間培ってきた、現場に密着した営業経験と建築知識、不動産知識を活かして業務に携わっている。

不動産投資家Kでは無料相談を承っております!

不動産投資家Kとその仲間たちでは、「土地を相続する予定だけど、どうすれば良いか検討している」「管理が大変なので、土地を売却したいと思っている」など、土地・建物のさまざまなご相談を承っております。

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