相続登記とは、亡くなった方(被相続人)が所有していた不動産の名義を相続人の名義に変更することです。相続登記にはさまざまな書類が必要です。
本記事では、相続登記に必要な書類の取得方法、提出先、提出期限を解説します。
ポイント
- 相続登記に必要な書類はケースによって異なる
- 相続登記に必要な書類は窓口・郵送・コンビニ・郵便局で取得できる
- 相続登記の書類に有効期限はない
相続登記の必要書類を知ろう
相続登記には、以下の4つのパターンがあります。
- 法定相続分で相続する場合
- 遺言で法定相続人が相続する場合
- 遺言で法定相続人以外が相続する場合
- 遺産分割協議で相続する場合
ケースに応じて必要となる書類は異なります。それぞれのケースで必要な書類について解説します。
相続登記に必要な書類8点
相続登記はケースに応じて必要となる書類が異なりますが、どのケースにおいても必ず用意しなければならない書類があります。必ず必要となる書類は、以下の8点です。
書類名 | 入手先 | 金額 | |
---|---|---|---|
被相続人に関する書類 | 1.出生から死亡までの戸籍謄本 | 市区町村の役所 | 1通あたり450円 |
2.住民票の除票または戸籍の附票 | 1通あたり300円 | ||
相続人に関する書類 | 3.戸籍謄本(相続人全員分) | 1通あたり450円 | |
4.住民票または戸籍の附票(不動産取得者のみ) | 1通あたり300円 | ||
その他 | 5.収入印紙 | 郵便局、コンビニ、法務局等 | 1通あたり300円 |
6.登記申請書 | 自分で作成 | ||
7.固定資産評価証明書 | 不動産所在地の市区町村の役所 | 市区町村により異なる | |
8.登記事項証明書 | 法務局、郵送、登記所等 | 購入する場所によって異なる |
登記申請書は、法務局のホームページから雛形をダウンロードすると簡単に作成できます。
法定相続分で相続する場合の必要書類
法定相続分とは、民法によって定められる相続割合で、被相続人との続柄によって割合が決まっています。不動産を相続する人が1人である場合や相続人全員で不動産を共有する場合に用いられる相続手段です。
法定相続分に従って相続する場合に必要な書類は、最小限にとどまります。つまり、相続登記の際に必ず用意しなければならない以下の8点の書類のみで申請可能です。
書類名 | 入手先 | 金額 | |
---|---|---|---|
被相続人に関する書類 | 1.出生から死亡までの戸籍謄本 | 市区町村の役所 | 1通あたり450円 |
2.住民票の除票または戸籍の附票 | 市区町村により異なる | ||
相続人に関する書類 | 3.戸籍謄本(相続人全員分) | 1通あたり450円 | |
4.住民票または戸籍の附票(相続人全員分) | 1通あたり300円 | ||
その他 | 5.収入印紙 | 郵便局、コンビニ、法務局等 | 1通あたり300円 |
6.登記申請書 | 自分で作成 | ||
7.固定資産評価証明書 | 不動産所在地の市区町村の役所 | 市区町村により異なる | |
8.登記事項証明書 | 法務局、郵送、登記所等 | 購入する場所によって異なる |
遺言で法定相続人が相続する場合の必要書類
被相続人が遺言書を残しており、法定相続人が相続する場合に必要な書類は、以下のとおりです。
書類名 | 入手先 | 金額 | |
---|---|---|---|
被相続人に関する書類 | 1.出生から死亡までの戸籍謄本 | 市区町村の役所 | 1通あたり450円 |
2.住民票の除票または戸籍の附票 | 市区町村により異なる | ||
相続人に関する書類 | 3.戸籍謄本(相続人全員分) | 1通あたり450円 | |
4.住民票または戸籍の附票(相続人全員分) | 1通あたり300円 | ||
その他 | 5.収入印紙 | 郵便局、コンビニ、法務局等 | 1通あたり300円 |
6.登記申請書 | 自分で作成 | ||
7.固定資産評価証明書 | 不動産所在地の市区町村の役所 | 市区町村により異なる | |
8.登記事項証明書 | 法務局、郵送、登記所等 | 購入する場所によって異なる | |
9.遺言書 |
遺言書には「自筆証書遺言」「秘密証書遺言」「公正証書遺言」の3種類があり、自筆証書遺言と秘密証書遺言の場合は家庭裁判所により遺言書が本物であるかどうかの検認を行うため、遺言書も提出しなければなりません。
公正証書遺言である場合は、検認の必要がないため、提出は不要です。
遺言で法定相続人以外が相続する場合の必要書類
被相続人が遺言書を残しており、法定相続人以外が相続する場合に必要な書類は、以下のとおりです。
書類名 | 入手先 | 金額 | |
---|---|---|---|
被相続人に関する書類 | 1.出生から死亡までの戸籍謄本 | 市区町村の役所 | 1通あたり450円 |
2.住民票の除票または戸籍の附票 | 市区町村により異なる | ||
相続人に関する書類 | 3戸籍謄本(相続人全員分) | 1通あたり450円 | |
4.住民票または戸籍の附票(相続人全員分) | 1通あたり300円 | ||
5.印鑑証明書 | 1通あたり300円 | ||
その他 | 6.収入印紙 | 郵便局、コンビニ、法務局等 | 1通あたり300円 |
7.登記申請書 | 自分で作成 | ||
8.固定資産評価証明書 | 不動産所在地の市区町村の役所 | 市区町村により異なる | |
9.登記事項証明書 | 法務局、郵送、登記所等 | 購入する場所によって異なる | |
10.遺言書 | |||
11.遺言執行者選任審判謄本 | 家庭裁判所 | 遺言書1通につき800円分の収入印紙 | |
12.遺言執行者の印鑑証明書 | 市区町村の役所 | 1通あたり300円 |
遺言により法定相続人以外が相続する場合、遺言を実現するために手続きを行う遺言執行者が決まっているか、家庭裁判所の審判により選ばれるのか、遺言執行者がいないのかによって必要となる書類が異なります。
遺言執行者が遺言により決まっている場合は、遺言執行者の印鑑証明書が必要です。家庭裁判所の審判により遺言執行者が選ばれる場合は、遺言執行者の印鑑証明書と遺言執行者選任審判謄本が必要です。遺言執行者がいない場合は、相続人全員分の印鑑証明書を用意しなければなりません。
遺産分割協議で相続する場合の必要書類
遺産分割協議とは、相続人全員が集まって誰がどの財産を取得するかを決める話し合いです。全員の合意がなければ、相続登記を進められないため、全員が納得いくように十分に話し合うことが大切です。
書類名 | 入手先 | 金額 | |
---|---|---|---|
被相続人に関する書類 | 1.出生から死亡までの戸籍謄本 | 市区町村の役所 | 1通あたり450円 |
2.住民票の除票または戸籍の附票 | 市区町村により異なる | ||
相続人に関する書類 | 3.戸籍謄本(相続人全員分) | 1通あたり450円 | |
4.住民票または戸籍の附票(相続人全員分) | 1通あたり300円 | ||
5.印鑑証明書 | 1通あたり300円 | ||
6.遺言分割協議書 | 自分で作成 | ||
その他 | 7.収入印紙 | 郵便局、コンビニ、法務局等 | 1通あたり300円 |
8.登記申請書 | 自分で作成 | ||
9.固定資産評価証明書 | 不動産所在地の市区町村の役所 | 市区町村により異なる | |
10.登記事項証明書 | 法務局、郵送、登記所等 | 購入する場所によって異なる |
遺言分割協議書は、相続人全員の署名と実印の押印が必要です。
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必要な書類と取得・準備の順番
ご紹介した必要な書類は、以下の順番で取得・準備するのがおすすめです。
1. 遺言書
2. 相続人の住民票
3. 相続人全員の印鑑証明書
4. 相続人全員の戸籍謄本
5. 被相続人の住民票の除票
6. 被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍謄本
7. 登記事項証明書
8. 固定資産評価証明書
9. 遺産分割協議書
10. 委任状
11. 登記申請書
12. 相続関係説明図
13. 返信用書留封筒
14. 収入印紙
では、それぞれの必要書類が何のために必要なのか解説していきます。
遺言書
遺言書は、遺言の内容を確認するために使います。遺言書には、以下の3つの種類があります。
- 自筆証書遺言
- 秘密証書遺言
- 公正証書遺言
自筆証書遺言とは、財産目録以外の全文を自筆で作成する遺言です。本当に被相続人が書いたものであるかを確認する検認という作業をしなければなりません。検認とは家庭裁判所で相続人の立ち会いのもと、遺言書を開封し、内容を確認する作業です。
秘密証書遺言とは、遺言の内容を秘密にしておきながら、遺言の存在を公証役場で証明してもらう遺言です。遺言作成者が生前に遺言書類を公証役場に持っていき、封をして押印をした後に、自宅に持ち帰り保管します。秘密証書遺言も自筆証書遺言と同様に検認作業が必要です。
公正証書遺言とは、公証役場で2人以上の立ち会いのもと、公証人がパソコンで作成する遺言です。公証人とは、裁判官や検察官の経験がある準国家公務員が務めます。自筆証書遺言や秘密証書遺言と違い、検認作業は必要ありません。
相続人の住民票
相続人の住民票は、不動産登記証明書に新しい名義人の住所を登録するために使用します。相続人の住民票を取得する際は、注意しなければならない点が2つあります。
1つ目は、住民票に本籍地と続柄の記載があることです。住民票は本籍地や続柄の記載があるものとないものを選べますが、本籍地と続柄が載っているものを取得しましょう。
2つ目は、不動産を複数人で共有する場合は、相続人全員分の住民票が必要なことです。また、住民票は市区町村の役所で取得できますが、地域によってはコンビニで安価に取得可能です。
相続人全員の印鑑証明書
相続人全員の印鑑証明書は、本人確認や同意の確認のために使用します。実印の押印がされた書類と印鑑証明書を同時に提出することで、確実に本人が実印を使って押したことを証明できます。
印鑑証明書は郵送で手配することはできませんが、地域によってはコンビニで安価に取得可能です。もし印鑑登録をしていない場合は、まず最初に市区町村の役所で印鑑登録の手続きをしましょう。
被相続人の住民票の除票
被相続人の住民票の除票は、被相続人と登記簿上の登記名義人が同一人物であるか確認するために使用します。もし、住民票除票上の住所と不動産の登記簿上の被相続人の住所が一致しない場合は、戸籍の附票が必要です。
戸籍の附票には戸籍が作成されたときから除籍されるまでの住所の履歴が記載されているため、同一人物であるか判断できます。
被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍謄本
被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍謄本は、相続人を確定するために使用します。被相続人が過去に結婚していた場合など、被相続人が亡くなった際に、同居家族が知らない相続人がいる可能性もあります。
もし戸籍謄本の原本の返却を希望する場合は、原本とコピーを持参しましょう。
登記事項証明書
登記事項証明書は、不動産の最新情報を確認するために使用します。登記事項証明書はさまざま種類がありますが、情報がすべて記載されている登記事項全部事項証明書を取得しましょう。
登記事項証明書の申請書には、不動産が土地の場合は地番、不動産が建物の場合は家屋番号の記入が必要です。地番や家屋番号は被相続人宛の固定資産税納税通知書や登記済権利証、または電話にて法務局に住所を伝えると調べてもらえます。
固定資産評価証明書
固定資産評価証明書は、登録免許税を算出するために使用します。登録免許税とは、登記をする際にかかる税金です。登録免許税は、以下の計算式で求められます。
固定資産評価額×0.004(0.4%)=登録免許税
固定資産評価額を示すために、固定資産評価証明書が必要です。固定資産評価証明書を取得する際の注意点は2つあります。1つ目は、最新の固定資産評価証明書でなければならないことです。
2つ目は、取得しなければならない固定資産評価証明書は、1通ではない可能性があることです。たとえば、一戸建ての場合は土地と建物それぞれに登録免許税がかかるため、2通用意しなければなりません。
遺産分割協議書
遺産分割協議書とは、相続人全員の話し合いにより決まった相続内容を証明するために使用します。遺産分割協議の決まった書式はありませんが、誰がどの遺産を引き継ぐのかを漏れなく記入しなければなりません。相続人全員が署名と実印の押印をしましょう。
委任状
委任状は必ず必要なものではなく、以下のケースで使用します。
- 戸籍謄本などを本人以外が取得する場合
- 不動産を相続する際に、本人以外が登記手続きを行う場合
- 複数人で不動産を相続する際に、1人が登記手続きを行う場合
委任状を作成する際の注意点は、3つあります。1つ目は決まった書式はないものの、代理人の情報、依頼内容、日付、署名、押印が必要なことです。2つ目は、委任状が複数枚にわたる場合は、契印をすることです。
3つ目は、委任状の日付は相続人とその持ち分が確定した日よりも後の日付を記載することです。司法書士などに依頼する際も委任状が必要ですが、この場合は司法書士が用意してくれます。
遺相続関係説明図
相続関係説明図は、被相続人と相続人の続柄を示すために使用します。決まった書式はありませんが、法務局のホームページから雛形をダウンロード可能です。
また、必ずしも必要な書類ではありませんが、相続関係説明図を提出することで、後に戸籍謄本の原本を返却してもらえます。
返信用書留封筒
返信用書留封筒は、登記完了書類を郵送で受け取りたい場合に使用します。法務局で直接受け取る場合は、返信用書留封筒は必要ありません。また、通常の封筒であれば、必要な切手を計算して同封する必要があるため、レターパックプラスを使用すると手軽です。
収入印紙
収入印紙は、登記免許税を納入するために使用します。貼り付ける台紙に特に決まりはなく、A4用紙に「収入印紙貼り付け台紙」と記載してあれば問題ありません。登記申請書と一緒にホチキスで留めて契印を押して提出しましょう。
収入印紙を提出する際の注意点は、2つあります。1つ目は、大きい金額から順に縦に貼ることです。2つ目は契印を押す際は収入印紙にかぶらないようにすることです。
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窓口での取得
相続登記に必要な書類は、役所の窓口で取得できます。役所の窓口で取得すれば、質問や不明点を聞けるため、自分で作業するのに不安を感じる方におすすめです。
訪問する際は、印鑑、運転免許証やマイナンバーカードなどの本人確認書類、発行手数料を持参して行きましょう。
郵送での取得
相続登記に必要な書類は、郵送でも取得可能です。役所が遠方にある方や忙しくて役所を訪問する時間が確保できない方におすすめな方法です。
郵送で取得する場合は、以下のものを準備しましょう。
- 交付請求書または申請書
- 所定の手数料分の郵便小為替
- 本人確認書類の写し
- 返信用封筒
交付請求を行う書類によって手数料や必要なものが異なります。まず、役所のホームページまたは電話にて調べてから、郵送するようにしましょう。
コンビニでの取得
マイナンバーカードを持っている場合、コンビニのマルチコピー機でも取得できる書類があります。
コンビニで取得できる必要書類は、以下の4点です。
- 戸籍謄本
- 住民票
- 印鑑証明書
- 戸籍の附票
コンビニを利用することで、役所を直接訪問する手間や時間が省けます。ただし、取得できる戸籍謄本は限られており、取得したい書類がコンビニで取得可能かあらかじめ確認が必要です。
また、必要な書類が全て揃うわけではないため、窓口や郵送などの他の方法と併用しなければなりません。
郵便局での取得
一部の郵便局では、相続登記に必要な書類を取得できます。ただし、特定の市区町村のみで行われているサービスであるため、お住まいの市区町村で対応しているかどうかあらかじめ確認が必要です。
また、取得可能な戸籍謄本が限られているため、取得したい書類の提供が可能かどうかも事前に調べておく必要があります。
相続登記の必要書類が取得できない時
相続登記には被相続人の書類が必要ですが、時間とともに必要な書類が取得できなくなることがあります。一定の期間が過ぎると、取得できない可能性のある書類は、「除籍謄本」「住民票の除票」「戸籍の附票」です。
除籍謄本の保管期間は、戸籍内の全員が除籍になってから150年ですが、以前は80年でした。そのため、すでに廃棄されてしまっている可能性もあります。住民票の除票は、転出や死亡により住民でなくなった場合に除票となりますが、5年経過すると取得できない恐れがあります。
戸籍の附票は、除籍になってから5年経過すると、破棄される可能性が高いです。上記の3つの書類は一定の期間が経過すると破棄される可能性が高いですが、必ずしも破棄されているとは限らないため、役所に確認すると良いでしょう。
もし相続登記に必要な書類が破棄されて取得できない場合には、以下の書類が必要です。
- 廃棄証明書・滅失証明書
- 被相続人名義の登記済権利証
- 不在籍証明書・不在住証明書
- 相続人全員の印鑑証明書付き上申書
ケースによって必要となる書類は法務局によって異なるため、迷う場合はあらかじめ法務局に確認しましょう。
廃棄証明書・滅失証明書
除籍謄本が廃棄または滅失されてしまった場合には、取得できない除籍謄本の代わりに、廃棄証明書または滅失証明書が使用できます。
時間の経過とともに除籍謄本が廃棄されてしまった場合には廃棄証明書、戦争、震災、津波により滅失証明書を役所で申請し、発行してもらいましょう。
被相続人名義の登記済権利証
住民票の除票や戸籍の附票が取得できない場合、代わりに被相続人名義の登記済権利証が使用可能です。被相続人しか持っていない登記済権利証の提出により、被相続人と登記簿上の所有者が同じであることを証明できます。
不在籍証明書・不在住証明
廃棄証明書や滅失証明書を発行してもらえない場合、代わりに不在籍証明書または不在住証明書を使用できることがあります。
廃棄したのか、震災によりなくなったのかなど、どういった理由で除籍謄本がなくなってしまったのか分からない場合に、役所に申請し、不在籍証明書または不在住証明書を発行してもらいましょう。
ただし、法務局によっては不在籍証明書や不在住証明書では受理してくれないこともあります。必要な書類が全て揃わない理由を法務局に相談し、不在籍証明書や不在住証明書で代用可能か確認しましょう。
相続人全員の印鑑証明書付き上申書
除籍謄本や戸籍の附票が取得できない場合に、代わりに相続人全員が署名し、実印を押印した上申書が使用できました。しかし、申請人に過度な負担がかかることから、平成28年3月11日付けで取り扱いが変更され、相続人全員の印鑑証明書付き上申書は不要となりました。
相続登記の書類について知っておきたいポイント
相続登記の書類について知っておきたいポイントは、以下の3点です。
- 相続登記の書類に有効期限はなし
- 相続登記の提出はすべて原本
- 相続登記の必要書類の綴じ方
それぞれのポイントを解説します。
相続登記の書類に有効期限はなし
相続登記の書類には、有効期限がありません。印鑑証明などを提出する際によく◯カ月以内のものでなければならないなどの有効期限が設けられていることがあります。しかし、相続登記の書類には有効期限がないため、古い印鑑証明なども使用できます。
ただし、相続人の戸籍謄本と固定資産評価証明書は例外です。相続人の戸籍謄本は、被相続人が亡くなった際に生存していることを証明しなければならないため、被相続人が亡くなってから取得しましょう。
また、固定資産評価証明書も最新のものでなければ正しい税額が分からないため、最新のものを用意する必要があります。
相続登記の提出はすべて原本
相続登記の提出はコピーではなく、すべて原本でしましょう。原本の返却を希望する際は、原本のコピーも同封します。コピーの余白欄に「原本と相違ない」旨を記載し、署名と押印をしたうえで同封しましょう。
また、相続関係説明図を同封すれば、戸籍謄本のコピーを取らなくとも、原本の返却が可能です。
相続登記の必要書類の綴じ方
相続登記の必要書類の綴じ方には、一般的な規則があります。必ずしもこの綴じ方でなければならないわけではありませんが、一般的な規則に従えば、法務局の方がスムーズに手続きができるでしょう。
1. 相続登記申請書
2. 収入印紙貼付台紙
3. 相続関係説明図
4. 遺産分割協議書
5. 印鑑証明書
6. 固定資産評価証明書
7. 被相続人の住民票の除票
8. 不動産を取得した相続人の住民票
9. 相続登記の委任状(代理人が申請する場合のみ)
原本の返却を希望する場合は4〜8の原本のコピーも同封します。1と2をホッチキスで綴じ、書類の見開き部分に申請書と同じ印鑑で契印をしましょう。
相続登記の申請先と申請方法
相続登記の申請先は、不動産の管轄法務局です。どこの法務局でもいいわけではなく、不動産の所在地によって管轄の法務局が決まっているため、確認してから申請しましょう。
申請方法は、法務局の不動産登記の窓口で登記申請書と添付書類一式を提出します。書類の審査があり、登記が完了するのは1週間〜2週間程度かかります。
ただし、書類に不備があった場合は、完了までの日にちが長くなります。登記が完了したら、登記識別情報の通知を受け取れるため、登記事項証明書で名義が変わっていれば、相続登記は完了です。
まとめ
相続登記はケースによって必要な書類が異なりますが、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本・住民票の除票または戸籍の附票・相続人の戸籍謄本・住民票または戸籍の附票・収入印紙・登記申請書・固定資産評価証明書・登記事項証明書の8点は必ず必要です。
書類は窓口・郵送・コンビニ・郵便局から取得できますが、取得先や方法によって値段が異なるため、自分に合った方法で取得してください。すべての書類が揃ったら、不動産の管轄の法務局に申請しましょう。
監修者
宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士
中川 祐一
現在、不動産会社で建築請負営業と土地・収益物件の仕入れを中心に担当している。これまで約20年間培ってきた、現場に密着した営業経験と建築知識、不動産知識を活かして業務に携わっている。
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