資産価値とは?価値の高い不動産の条件や維持するポイント
資産価値とは、現金や不動産、株式などの資産が持つ経済的な価値を指し、不動産の場合は土地や建物の市場での取引価格や評価額で表されるのが一般的です。不動産の資産価値は立地条件や築年数、建物の状態など多くの要素で左右されるため、適切な管理や市場動向の把握によって維持・向上させることが可能です。 本記事では、資産価値の概要や価値の高い土地・建物の条件、維持するために必要なことを解説します。 ポイント 不動...
不動産投資家K
短期譲渡所得とは、所有期間が5年以下の土地や建物などの資産を譲渡して得た利益のことです。短期譲渡所得には税金がかかりますが、特別控除を利用すれば節税ができます。
この記事では、短期譲渡所得の基本情報をはじめ、短期譲渡所得が発生した際の税金の計算方法や節税方法などについて解説します。不動産を売却するときの注意点も紹介するのでぜひ最後までご覧ください。
譲渡所得とは、資産の譲渡によって得た所得のことで、譲渡所得の対象となる資産は以下のとおりです。
土地や建物などの不動産は譲渡所得の対象ですが、事業用の商品をはじめとする棚卸資産や山林、生活に必要な動産などは譲渡所得の対象外です。
なお、「譲渡」とは権利や財産などを他人に譲り渡すことを意味します。有償無償はとくに問われませんが、不動産が譲渡の対象である場合、基本的に有償で譲ることを指す言葉として使用されます。一方、無償で与える場合は贈与と呼ばれることが一般的です。
参考:国税庁 No.3105 譲渡所得の対象となる資産と課税方法
譲渡所得には種類があり、その1つが短期譲渡所得です。短期譲渡所得とは、所有期間が5年以内の土地や建物などを譲渡したときに得た所得を指します。
短期譲渡所得か否か判断する基準となるのは、譲渡した年の1月1日における所有期間です。たとえば、取得日が2018年8月27日だった不動産の譲渡日が2023年11月9日の場合、年月日だけなら所有期間を超えているように見えます。
しかし、判断基準となる2023年1月1日時点の所有期間は、約4年3カ月で5年未満です。つまり、短期譲渡所得扱いになります。
所有期間の基準となる年月日を正しく把握していないと、判定を誤ってしまうケースもあるため、十分注意しましょう。
短期譲渡所得は譲渡所得の種類の1つであり、譲渡所得にはほかにも長期譲渡所得と呼ばれるものもあります。
以下では、短期譲渡所得と長期譲渡所得の違いについて具体的に解説します。
長期譲渡所得とは、不動産などの資産を5年を超えて所有したうえで譲渡した場合に発生する所得を指します。所有している期間が長い資産については、税制上の優遇措置が設けられており、短期譲渡所得と比べて税率が低く設定されています。
そのため、短期譲渡所得と比較すると納税額を抑えやすいのが特徴です。
譲渡所得が短期譲渡所得になるか、長期譲渡所得になるかは、所有期間によって決まります。両者の分類の基準は、以下のとおりです。
譲渡所得の種類 | 分類の基準 |
---|---|
短期譲渡所得 | 譲渡した年の1月1日時点で、所有期間が5年以下の場合 |
長期譲渡所得 | 譲渡した年の1月1日時点で、所有期間が5年を超える場合 |
たとえば、2025年内にマンションを譲渡する場合、2025年1月1日時点で所有期間が5年を経過しているか否かが判断のポイントとなり、2019年12月31日までに取得したものであれば、長期譲渡所得として扱われます。
所有期間のカウントは譲渡年の1月1日時点で判断されるため、売却のタイミングによって所得区分や納税額に大きな違いが生じるケースも珍しくありません。
短期譲渡所得と長期譲渡所得は、譲渡所得にかかる税率が異なります。
譲渡所得の種類 | 所得税 | 住民税 |
---|---|---|
短期譲渡所得(5年以下) | 30% | 9% |
長期譲渡所得(5年超) | 15% | 5% |
長期譲渡所得の税率は所得税、住民税ともに短期譲渡所得の半分程度に抑えられています。所有期間の違いによって、支払う税金に大きな差が生まれるため、この違いを認識したうえで、売却のタイミングを検討する必要があるでしょう。
この仕組みは、不動産の短期的な売買による投機的取引、いわゆる「土地転がし」を抑制する目的で1977年に導入されました。
譲渡所得とは、資産を売却によって得た金額がそのまま所得として扱われるわけではありません。
譲渡所得を算出する計算式は、次のとおりです。
譲渡所得=売却代金−(取得費+譲渡費用)−特別控除
売却代金(収入金額)とは、資産を売却した際に受け取った金額のことです。資産を年度の途中で売却した場合、買い手が支払った固定資産税と都市計画税の清算金も売却代金に含まれます。固定資産税は住宅や土地などの固定資産を有している人が納める税金、都市計画税は都市計画区域内にある住宅や土地に対して課税される税金です。
たとえば、売却額が5,000万円で、清算金として50万円を受け取った場合の売却代金は5,050万円です。一方、売り手側が負担した管理費、修繕費などの清算金については、売却代金に含めません。
また、金銭以外で受け取った場合でも売却代金が発生する点に注意が必要です。たとえば、金銭の代わりに宝石や骨とう品を受け取った場合、受け取った資産の時価を売却代金として扱います。
取得費とは、譲渡する資産を取得した際にかかった費用を指します。以下は、国税庁が想定している取得費の一覧です。
取得費を証明するには、領収書や契約書などの書類が必要となります。しかし、取得してから長い時間が経過した土地や建物などは、取得費の証明が難しいケースも少なくありません。
その場合は、売却額の5% 相当額を取得費として計算することが認められています。たとえば、4000万円で売却した建物の取得費がわからない場合は、売却額の5%の200万円を取得費とします。
また、譲渡する資産が償却資産のときは、取得費から減価償却費を差し引くのも忘れないようにしましょう。
参考:国税庁 No.3252 取得費となるもの
譲渡費用とは、資産を売却する際に生じる費用のうち、譲渡に直接関連する費用のことです。国税庁では、以下のような費用を譲渡費用として認められています。
なお、所有期間中の資産の維持や管理を目的に支払った費用や、売却代金の回収のための費用などは譲渡費用に含まれません。
参考:国税庁 No.3255 譲渡費用となるもの
譲渡所得の特別控除とは、譲渡所得に対して税金の負担を軽減するために適用される控除です。たとえば、マイホームを売却して譲渡所得を得た場合は、マイホームの特別控除が適用されます。
特別控除にはいくつか種類があり、うまく活用することで、手元に残る資金を増やすことができます。
次に、税額を計算します。短期譲渡所得には、所得税・住民税・復興特別所得税が課されます。
たとえば、短期譲渡所得が700万円だった場合の計算式、および税額は以下のとおりです。
税金の種類 | 税額 |
---|---|
所得税 | 700万円×30%=210万円 |
住民税 | 700万円×9%=63万円 |
復興特別所得税 | 210万円(所得税額)×2.1%=4万4,100円 |
合計の税額 | 277万4,100円 |
参考:国税庁 土地や建物を売ったとき
譲渡所得は売却代金と取得費、譲渡費用、そして特別控除をもとに算出した譲渡所得額に、短期譲渡所得の税率をかけることで算出します。売却額によっては税負担が大きくなる場合もありますが、特別控除を利用すれば税額を抑えることが可能です。
以下では、短期譲渡所得に適用が可能な特別控除について解説します。
譲渡所得の特別控除は以下のとおりです。
種類 | 詳細 |
---|---|
5000万円の特別控除 | 土地収用法やその他の法律で収用権が認められている公共事業のために土地や建物を売却した場合に利用可能 |
3000万円の特別控除 | 居住用に利用していた住宅(マイホーム)を売却した場合に利用可能 |
2000万円の特別控除 | 特定土地区画整理事業などのために土地を売却した場合に利用可能 |
1500万円の特別控除 | 特定住宅地造成事業などのために土地を売却した場合に利用可能 |
1000万円の特別控除 | 2009年および2010年に取得した国内の土地を譲渡した場合に利用可能 |
800万円の特別控除 | 農地保有の合理化などを目的に土地を売却した場合に利用可能 |
100万円の特別控除 | 低未利用土地等を売却した場合に利用可能 |
参考:国税庁 No.3223 譲渡所得の特別控除の種類
特別控除を利用する際は、必ず自身が適用条件を満たしているか確認しましょう。また、控除の種類によっては併用ができないものがあるため注意が必要です。
不動産の売却を計画している場合、事前に押さえておきたい注意点がいくつかあります。注意点をあらかじめ把握しておけば、不動産の売買をスムーズに進められるだけでなく、思わぬトラブルの発生も防げるでしょう。
以下では、不動産の売却における注意すべきポイントについて解説します。
不動産を売却する際は、基準日に注意してください。繰り返しになりますが、不動産を売って手にした譲渡所得が短期譲渡所得になるか、長期譲渡所得になるかは、所有期間によって異なります。
不動産の所有期間を判断する基準日は、売却が行われた年の1月1日です。よくある誤解に、売買契約日や物件の引渡日をもとに所有期間を判断してしまうケースがあります。税務上の判断とは異なるため、注意が必要です。
不動産を売却する際は、長期譲渡所得となるか短期譲渡所得となるかによって課税額等に差が生じるため、両者を比較検討したうえで判断することが重要です。長期譲渡所得と短期譲渡所得には、それぞれ以下のようなメリットとデメリットが存在します。
所得の種類 | メリット | デメリット |
---|---|---|
長期譲渡所得 | ・税率が低く抑えられる ・適用できる特別控除の種類が多い |
・維持費がかかる ・築年数が経過しているため、売却価格が下がったり、買い手が見つからなかったりする可能性がある |
短期譲渡所得 | ・維持費の負担が少ない ・築浅のため売買が成立しやすい |
・税率が高い ・一部の特別控除が適用できない |
資産の譲渡によって発生した譲渡所得のうち、資産の所有期間が5年以内の場合は短期譲渡所得、5年超の場合は長期譲渡所得に分類されます。
短期譲渡所得は長期譲渡所得に比べて税率が高く設定されており、5年を超えて所有した場合の売却の方が、原則として税負担は軽くなります。ただし、特別控除の適用や所有期間中の維持費用、売却時点での資産価値なども含め、税制面に限らず多角的な視点から売却時期を判断することが重要です。
監修者
宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士
業界歴13年。これまでに関わった建築・売買物件は木造からRC造まで、延べ百数十件を超える。近年は自社開発案件の推進、投資物件の販売及びアジア圏への販路拡大、賃貸住宅の建築提案と、建築業界で活躍の場を広げている。
不動産投資家Kとその仲間たちでは、「土地を相続する予定だけど、どうすれば良いか検討している」「管理が大変なので、土地を売却したいと思っている」など、土地・建物のさまざまなご相談を承っております。
あなたやあなたの家族の大切な資産を有効に活用できるよう、お気軽にご相談ください!
資産価値とは、現金や不動産、株式などの資産が持つ経済的な価値を指し、不動産の場合は土地や建物の市場での取引価格や評価額で表されるのが一般的です。不動産の資産価値は立地条件や築年数、建物の状態など多くの要素で左右されるため、適切な管理や市場動向の把握によって維持・向上させることが可能です。 本記事では、資産価値の概要や価値の高い土地・建物の条件、維持するために必要なことを解説します。 ポイント 不動...
賃貸経営において入居率と稼働率は、どちらも空室状況や収益性を測るために重要な指標です。入居率はある時点にどれだけ部屋が埋まっているかを示すのに対し、稼働率は一定期間のうち実際に稼働していた割合を表すといった違いがあります。 本記事では、入居率と稼働率の違いやそれぞれが果たす役割、活用場面などをわかりやすく解説します。 ポイント 入居率とはある時点の入居状況、稼働率は一定期間の入居状況を示す指標であ...
土地を相続した場合、相続税がいくら課せられるのか分からない方もいるでしょう。土地の相続税率は相続する土地の価値によって大きく異なりますが、かなり高額になるケースもあります。しかし、土地活用や特例、控除を使用して節税できることもあります。 本記事では、土地の相続税の計算方法、節税・特例の活用、申告方法をご紹介いたします。 ポイント 土地の相続税率は10〜55% 土地の相続税は土地活用や特例・控除を使...
賃貸併用住宅は、同じ建物のなかにオーナーが居住する自宅部分と、人に貸し出す賃貸部分が存在する住宅のことです。相続税や固定資産税の節税効果が期待できる一方で、「プライバシーの問題が発生しやすい」「利回りが低くなりやすい」などがデメリットとしてあげられます。 この記事では、賃貸併用住宅に興味を持っている人向けに、賃貸併用住宅の概要をはじめ、メリットやデメリット、そして後悔しないためのポイントなどについ...
アパートを高く売却するには、収益性が高いときや築年数が浅いときなど適切なタイミングを見極めることが大切です。売却の方法には、賃貸借契約をそのまま引き継ぐオーナーチェンジのほか、入居者のいない状態で売却する方法もあります。 本記事では、アパート売却のタイミングや事前に確認すること、売却の手順について解説します。 ポイント アパートを売却する際はタイミングを見極めることが大事 売却前にはローン残高や相...
不動産経営の手法の1つに「一括借り上げ」があります。一括借り上げはオーナーにとって多くのメリットがある一方で、一括借り上げの仕組みや他の手法との違いについて正確に理解されていないケースも少なくありません。 この記事では、不動産経営における一括借り上げの仕組みやメリット、さらにサブリース・管理委託との違いについて解説します。 ポイント 一括借り上げとは、転貸を前提にアパートなどの物件一棟丸ごと借り上...
不動産の減価償却とは、建物など資産の価値が時間とともに減少していくという考えに基づき、その価値の目減り分を一定期間にわたって費用として計上していく会計上の仕組みのことです。 この記事では、不動産の減価償却の基礎知識から計算方法、節税に役立つポイントまでわかりやすく解説します。 ポイント 時間とともに減少する建物の価値を費用計上する手続きが減価償却 減価償却は、賃貸収入がある場合や不動産を売却した場...
アパートには木造や鉄骨造・RC造などさまざまな構造があります。今回の記事では、そのなかでも木造アパートのメリットやデメリット、入居者目線での特徴などを詳しく紹介します。 ポイント 木造アパートは、土地の特性を最大限に活用できる 木造アパートは、初期費用が安く利回りを確保しやすい 賃料が下がりやすいが、メンテナンス次第では下落を防げる 近年の木造物件の性能は向上しており、耐震性能も上がっている 目次...
土地投資とは、活用目的にあわせて土地を新たに購入し、投資を行うことを指します。 今回の記事では土地投資と土地活用の違いや、土地投資のメリット・デメリットなどについて詳しく紹介していきます。 ポイント 土地投資は新たに土地を購入し、その土地を活用して事業を行うこと 土地投資と土地活用は不可分であり、活用目的にあった土地の見極めが重要 目次 土地投資とは 土地投資と土地活用の違い 土地投資のメリット ...
アパート・マンションのオーナーは、法律により、物件の法定点検が義務づけられています。実施を怠った場合、罰金が科される恐れがあるため、注意が必要です。 この記事では、アパート・マンションの法定点検の具体的な内容・実施すべき頻度や依頼方法、注意点などを解説します。ぜひ参考にしてください。 ポイント 法定点検とは、建物や付帯設備に関する法律で義務付けられている点検のこと 管理会社に専門業者の手配を委託す...