短期譲渡所得とは?長期譲渡所得との違いや計算方法、不動産売却時の注意点

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短期譲渡所得とは、所有期間が5年以下の土地や建物などの資産を譲渡して得た利益のことです。短期譲渡所得には税金がかかりますが、特別控除を利用すれば節税ができます。

この記事では、短期譲渡所得の基本情報をはじめ、短期譲渡所得が発生した際の税金の計算方法や節税方法などについて解説します。不動産を売却するときの注意点も紹介するのでぜひ最後までご覧ください。

ポイント

  1. 短期譲渡所得は、所有期間が5年以下の資産を売却して得る譲渡所得のこと
  2. 所有期間の判断基準は、譲渡した年月日ではなく、譲渡した年の1月1日が基準となる
  3. 短期譲渡所得にかかる税率は、長期譲渡所得にくらべておよそ2倍になる
目次

短期譲渡所得とは?

まず、譲渡所得とは何かを解説した上で、短期譲渡所得の意味やポイントについて、順を追って説明していきます。

そもそも譲渡所得とは

譲渡所得とは、資産の譲渡によって得た所得のことで、譲渡所得の対象となる資産は以下のとおりです。

  1. 借地権
  2. 建物
  3. 株式等
  4. 金地金
  5. 宝石
  6. 書画
  7. 骨とう
  8. 船舶
  9. 機械器具
  10. 漁業権
  11. 取引慣行のある借家権
  12. 配偶者居住権
  13. 配偶者敷地利用権
  14. ゴルフ会員権
  15. 特許権
  16. 著作権
  17. 鉱業権
  18. 土石(砂)

土地や建物などの不動産は譲渡所得の対象ですが、事業用の商品をはじめとする棚卸資産や山林、生活に必要な動産などは譲渡所得の対象外です。

なお、「譲渡」とは権利や財産などを他人に譲り渡すことを意味します。有償無償はとくに問われませんが、不動産が譲渡の対象である場合、基本的に有償で譲ることを指す言葉として使用されます。一方、無償で与える場合は贈与と呼ばれることが一般的です。

参考:国税庁 No.3105 譲渡所得の対象となる資産と課税方法

短期譲渡所得とは

譲渡所得には種類があり、その1つが短期譲渡所得です。短期譲渡所得とは、所有期間が5年以内の土地や建物などを譲渡したときに得た所得を指します。

短期譲渡所得か否か判断する基準となるのは、譲渡した年の1月1日における所有期間です。たとえば、取得日が2018年8月27日だった不動産の譲渡日が2023年11月9日の場合、年月日だけなら所有期間を超えているように見えます。

しかし、判断基準となる2023年1月1日時点の所有期間は、約4年3カ月で5年未満です。つまり、短期譲渡所得扱いになります。

所有期間の基準となる年月日を正しく把握していないと、判定を誤ってしまうケースもあるため、十分注意しましょう。

短期譲渡所得と長期譲渡所得の違い

短期譲渡所得は譲渡所得の種類の1つであり、譲渡所得にはほかにも長期譲渡所得と呼ばれるものもあります。

以下では、短期譲渡所得と長期譲渡所得の違いについて具体的に解説します。

長期譲渡所得とは

長期譲渡所得とは、不動産などの資産を5年を超えて所有したうえで譲渡した場合に発生する所得を指します。所有している期間が長い資産については、税制上の優遇措置が設けられており、短期譲渡所得と比べて税率が低く設定されています。

そのため、短期譲渡所得と比較すると納税額を抑えやすいのが特徴です。

所有期間による違い

譲渡所得が短期譲渡所得になるか、長期譲渡所得になるかは、所有期間によって決まります。両者の分類の基準は、以下のとおりです。

譲渡所得の種類 分類の基準
短期譲渡所得 譲渡した年の1月1日時点で、所有期間が5年以下の場合
長期譲渡所得 譲渡した年の1月1日時点で、所有期間が5年を超える場合

たとえば、2025年内にマンションを譲渡する場合、2025年1月1日時点で所有期間が5年を経過しているか否かが判断のポイントとなり、2019年12月31日までに取得したものであれば、長期譲渡所得として扱われます。

所有期間のカウントは譲渡年の1月1日時点で判断されるため、売却のタイミングによって所得区分や納税額に大きな違いが生じるケースも珍しくありません。

税率の違い

短期譲渡所得と長期譲渡所得は、譲渡所得にかかる税率が異なります。

譲渡所得の種類 所得税 住民税
短期譲渡所得(5年以下) 30% 9%
長期譲渡所得(5年超) 15% 5%

長期譲渡所得の税率は所得税、住民税ともに短期譲渡所得の半分程度に抑えられています。所有期間の違いによって、支払う税金に大きな差が生まれるため、この違いを認識したうえで、売却のタイミングを検討する必要があるでしょう。

この仕組みは、不動産の短期的な売買による投機的取引、いわゆる「土地転がし」を抑制する目的で1977年に導入されました。

短期譲渡所得の税金計算方法

短期譲渡所得をはじめとする譲渡所得は、譲渡によって利益が1円でも発生した場合、課税対象となります。以下では、短期譲渡所得の税金の算出方法について解説します。

譲渡所得額を算出する

譲渡所得とは、資産を売却によって得た金額がそのまま所得として扱われるわけではありません。

譲渡所得を算出する計算式は、次のとおりです。

譲渡所得=売却代金−(取得費+譲渡費用)−特別控除

売却代金(収入金額)

売却代金(収入金額)とは、資産を売却した際に受け取った金額のことです。資産を年度の途中で売却した場合、買い手が支払った固定資産税と都市計画税の清算金も売却代金に含まれます。固定資産税は住宅や土地などの固定資産を有している人が納める税金、都市計画税は都市計画区域内にある住宅や土地に対して課税される税金です。

たとえば、売却額が5,000万円で、清算金として50万円を受け取った場合の売却代金は5,050万円です。一方、売り手側が負担した管理費、修繕費などの清算金については、売却代金に含めません。

また、金銭以外で受け取った場合でも売却代金が発生する点に注意が必要です。たとえば、金銭の代わりに宝石や骨とう品を受け取った場合、受け取った資産の時価を売却代金として扱います

取得費

取得費とは、譲渡する資産を取得した際にかかった費用を指します。以下は、国税庁が想定している取得費の一覧です。

  1. 売却した土地や建物を購入したときにかかった費用
  2. 建設費用
  3. 購入手数料
  4. 設備費
  5. 改良費
  6. 登録免許税
  7. 不動産取得税
  8. 特別土地保有税
  9. 印紙税
  10. 所有権を確保するために要した訴訟費用
  11. 土地の測量費
  12. 別の不動産の購入契約を解除し、対象となる不動産を取得した際にかかった違約金

取得費を証明するには、領収書や契約書などの書類が必要となります。しかし、取得してから長い時間が経過した土地や建物などは、取得費の証明が難しいケースも少なくありません。

その場合は、売却額の5% 相当額を取得費として計算することが認められています。たとえば、4000万円で売却した建物の取得費がわからない場合は、売却額の5%の200万円を取得費とします。

また、譲渡する資産が償却資産のときは、取得費から減価償却費を差し引くのも忘れないようにしましょう。

参考:国税庁 No.3252 取得費となるもの

譲渡費用

譲渡費用とは、資産を売却する際に生じる費用のうち、譲渡に直接関連する費用のことです。国税庁では、以下のような費用を譲渡費用として認められています。

  1. 土地や建物を売却するにあたって支払った仲介手数料
  2. 売り手が負担した印紙税
  3. 土地を売却するために建物を壊したときの取り壊し費用、および建物の損失額
  4. 借家人に対して支払った立退料
  5. すでに契約している資産をより有利な条件で売るために支払った違約金
  6. 借地権を売却するにあたって地主の承諾をもらうために支払った名義書換料

なお、所有期間中の資産の維持や管理を目的に支払った費用や、売却代金の回収のための費用などは譲渡費用に含まれません

参考:国税庁 No.3255 譲渡費用となるもの

特別控除

譲渡所得の特別控除とは、譲渡所得に対して税金の負担を軽減するために適用される控除です。たとえば、マイホームを売却して譲渡所得を得た場合は、マイホームの特別控除が適用されます。

特別控除にはいくつか種類があり、うまく活用することで、手元に残る資金を増やすことができます。

税額を計算する

次に、税額を計算します。短期譲渡所得には、所得税・住民税・復興特別所得税が課されます。

たとえば、短期譲渡所得が700万円だった場合の計算式、および税額は以下のとおりです。

税金の種類 税額
所得税 700万円×30%=210万円
住民税 700万円×9%=63万円
復興特別所得税 210万円(所得税額)×2.1%=4万4,100円
合計の税額 277万4,100円

参考:国税庁 土地や建物を売ったとき

短期譲渡所得の節税方法

譲渡所得は売却代金と取得費、譲渡費用、そして特別控除をもとに算出した譲渡所得額に、短期譲渡所得の税率をかけることで算出します。売却額によっては税負担が大きくなる場合もありますが、特別控除を利用すれば税額を抑えることが可能です。

以下では、短期譲渡所得に適用が可能な特別控除について解説します。

適用される特別控除の例

譲渡所得の特別控除は以下のとおりです。

種類 詳細
5000万円の特別控除 土地収用法やその他の法律で収用権が認められている公共事業のために土地や建物を売却した場合に利用可能
3000万円の特別控除 居住用に利用していた住宅(マイホーム)を売却した場合に利用可能
2000万円の特別控除 特定土地区画整理事業などのために土地を売却した場合に利用可能
1500万円の特別控除 特定住宅地造成事業などのために土地を売却した場合に利用可能
1000万円の特別控除 2009年および2010年に取得した国内の土地を譲渡した場合に利用可能
800万円の特別控除 農地保有の合理化などを目的に土地を売却した場合に利用可能
100万円の特別控除 低未利用土地等を売却した場合に利用可能

参考:国税庁 No.3223 譲渡所得の特別控除の種類

特別控除を利用する際は、必ず自身が適用条件を満たしているか確認しましょう。また、控除の種類によっては併用ができないものがあるため注意が必要です。

不動産売却時の注意点

不動産の売却を計画している場合、事前に押さえておきたい注意点がいくつかあります。注意点をあらかじめ把握しておけば、不動産の売買をスムーズに進められるだけでなく、思わぬトラブルの発生も防げるでしょう。

以下では、不動産の売却における注意すべきポイントについて解説します。

基準日に注意する

不動産を売却する際は、基準日に注意してください。繰り返しになりますが、不動産を売って手にした譲渡所得が短期譲渡所得になるか、長期譲渡所得になるかは、所有期間によって異なります。

不動産の所有期間を判断する基準日は、売却が行われた年の1月1日です。よくある誤解に、売買契約日や物件の引渡日をもとに所有期間を判断してしまうケースがあります。税務上の判断とは異なるため、注意が必要です。

長期譲渡所得を利用する場合と比較する

不動産を売却する際は、長期譲渡所得となるか短期譲渡所得となるかによって課税額等に差が生じるため、両者を比較検討したうえで判断することが重要です。長期譲渡所得と短期譲渡所得には、それぞれ以下のようなメリットとデメリットが存在します。

所得の種類 メリット デメリット
長期譲渡所得 ・税率が低く抑えられる
・適用できる特別控除の種類が多い
・維持費がかかる
・築年数が経過しているため、売却価格が下がったり、買い手が見つからなかったりする可能性がある
短期譲渡所得 ・維持費の負担が少ない
・築浅のため売買が成立しやすい
・税率が高い
・一部の特別控除が適用できない

まとめ

資産の譲渡によって発生した譲渡所得のうち、資産の所有期間が5年以内の場合は短期譲渡所得、5年超の場合は長期譲渡所得に分類されます。

短期譲渡所得は長期譲渡所得に比べて税率が高く設定されており、5年を超えて所有した場合の売却の方が、原則として税負担は軽くなります。ただし、特別控除の適用や所有期間中の維持費用、売却時点での資産価値なども含め、税制面に限らず多角的な視点から売却時期を判断することが重要です。

監修者

宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士

石本 貴大

業界歴13年。これまでに関わった建築・売買物件は木造からRC造まで、延べ百数十件を超える。近年は自社開発案件の推進、投資物件の販売及びアジア圏への販路拡大、賃貸住宅の建築提案と、建築業界で活躍の場を広げている。

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