不動産投資はフルローンで組める?フルローンを利用するポイントや注意点などについて解説
フルローンとは、不動産を購入するにあたってかかる費用を、すべて金融機関の融資でまかなうことです。 フルローンを利用すると頭金がない人でも希望の物件を購入できる可能性が広がりますが、キャッシュフローが出にくくなる、金利の上昇の影響を受けやすくなるなどのリスクも存在する点に注意が必要です。また、利用には、一定以上の金融資産を有している、不動産投資ですでに成功していることなどがあげられます。 本記事では...
不動産投資家K
富裕層の資産運用スタンスは、この数年で大きく変わりつつあります。これまでの運用では株式と債券を中心に据え、景気が悪化すれば各国の中央銀行が金利を引き下げ、既存の債券価格が上昇することでポートフォリオを支える仕組みが機能していました。
しかし、世界的なインフレ圧力や金利上昇の影響が強まった局面では、株式と債券が同時に値下がりするケースもみられ、従来の逆相関によるリスク分散が十分に働かない状況が指摘されています。その結果、伝統的資産だけでは市場の変動に対応しきれないという課題が浮き彫りになっています。
こうした背景から、富裕層の間ではヘッジファンド、プライベート・エクイティ、金やプラチナ・銀といったコモディティなど、伝統的資産とは異なる値動きを持つオルタナティブ投資の活用が広がっています。
これらは短期的な収益を追求するためのものではなく、長期的に資産を守り、全体の安定性を高める役割を担うものです。
本記事では、富裕層がこうしたオルタナティブ資産をどのように組み合わせ、資産全体の安定性をどう高めているのか、その考え方と実践ポイントを解説します。
オルタナティブ資産とは、株式や債券といった伝統的資産ではない投資対象を総称したもので、従来の資産クラスだけでは補いきれないリスクに備える「もうひとつの投資先」として位置づけられています。
近年は第三の資産クラスとしての存在感が高まっており、主な対象にはヘッジファンド、プライベート・エクイティ、金・プラチナ・銀といったコモディティ、実物不動産、インフラ投資、アート作品など、多様な資産が含まれます。
これらが注目される背景には、株式や債券とは異なる値動きの特性があります。たとえば、株価が下落しても金が買われる局面があるように、収益源泉が伝統的資産とは異なることで、ポートフォリオ全体の安定化に寄与します。また、未上場企業や実物資産など、市場の短期的な変動を受けにくい対象が含まれている点も、長期志向の富裕層と相性が良い理由のひとつです。
一方で、オルタナティブ資産には流動性の低さや仕組みの複雑さといった特有のリスクもあります。ただし、市場ショックと連動しにくい資産が多いため、相場変動が大きい局面ではリスク分散の効果を発揮しやすく、多くの富裕層に支持されています。
こうした値動きの特性や分散効果の期待から、オルタナティブ資産は富裕層のポートフォリオにおいて、資産全体を下支えする存在として活用される場面が増えています。
代表的なオルタナティブ資産| 種類 | 投資対象 | 主な特徴 | メリット | 注意点 |
|---|---|---|---|---|
| ヘッジファンド | 多様な戦略で運用するファンド(ロング・ショート、マクロなど) | 市場環境に左右されにくい収益を狙う | 伝統的資産と異なる値動きによる分散効果 | 手数料が高く、戦略の理解が難しい |
| プライベート・エクイティ(PE) | 未上場企業への投資 | 企業価値向上後の売却益を狙う | 高いリターンが期待できる | 流動性が低く、長期運用が前提 |
| コモディティ(金・プラチナ・銀など) | 実物の資源・貴金属 | インフレや地政学リスクに強い | 資産価値の保存に寄与し、分散効果も期待できる | 利息や配当がなく、価格変動も大きい |
| 不動産 | オフィス・住宅・物流施設などの実物資産 | 賃料収入と資産価値で収益を得る | インフレ局面では資産価値が保たれやすい | 売却に時間がかかる場面がある |
| インフラ投資 | 電力、道路、空港、水道など | 長期安定キャッシュフローを生む | 景気変動の影響を受けにくい | 個人投資家が直接アクセスしにくい |
| アート・ワイン・時計など | 嗜好性資産 | 希少性や文化的価値が評価される | 金融資産とは異なる価値軸で保有できる | 市場が不透明で、売却しづらい |
ヘッジファンドは、市場全体の上げ下げに左右されにくい収益の獲得を目指す「絶対収益型」の運用を行う資産クラスです。
ロング・ショート、グローバルマクロ、裁定取引、クオンツなど多様な戦略を組み合わせることで、相場が不安定な局面でも収益機会を確保しようとする点が特徴です。株式や債券とは異なる値動きを示すことが多く、ポートフォリオ全体の変動を抑える効果が期待されることから、富裕層の間で関心が高まっています。
欧米のプライベートバンクでは、ヘッジファンドは富裕層向けアロケーションの中核として長く活用されてきました。日本でもメガバンクや大手証券がウェルスマネジメント部門を強化するなかで、マルチストラテジー型やロング・ショート型など、市場環境に応じて柔軟に運用できるタイプを組み入れるケースが増えています。
ただし、ヘッジファンドは万能ではありません。同じ戦略であっても、運用者の力量や市場環境との適合度によって成果には大きな差が生じます。戦略の陳腐化や運用体制の変更、資金流出などが重なることで、長期間安定したパフォーマンスを維持できるファンドは限られるのが実情です。
そのため富裕層は、「どの戦略を採用しているか」以上に「誰が運用しているのか」を重視し、運用哲学や組織体制の一貫性を慎重に見極めています。
ヘッジファンドは、伝統的資産と組み合わせることでポートフォリオ全体の安定性を高める役割を担いますが、ファンド選定には専門的な判断が欠かせません。適切な運用者との出会いが成果に大きく影響するため、富裕層は専門家の助言を得ながら、実績・手法・運用姿勢を丁寧に評価しているのです。
オルタナティブ資産の中でも、貴金属を中心としたコモディティは、株式や債券とは異なる要因で価格が動くため、資産全体の変動を抑える役割を担います。
なかでも代表格の金(ゴールド)は、インフレ率、実質金利、通貨価値、地政学リスクといったマクロ環境に敏感に反応し、世界の投資家から価値保存の資産として長く支持されています。
国内金価格は、ドル建ての国際金相場と為替(ドル円)が掛け合わさる形で決まるため、米国の金利動向や金融政策に加えて、円安・円高といった為替要因も大きく影響します。米国の長期金利が低下し実質金利が下がる局面では、ドル建て金相場が上昇しやすく、そこに円安が重なると国内金価格は一段と押し上げられます。また、金融不安や国際情勢の緊張が高まる場面では、安全資産への需要が強まり、他の資産とは独立した値動きを示すことも少なくありません。
金の長期的な強さは、国内価格の推移にも表れています。2000年代に1グラム1,000円台だった金価格は、世界的な不安心理の高まりや主要国の金融緩和、各国中銀の保有増、そして近年の円安進行を背景に上昇が続き、2025年には1グラム23,000円台に達しました。国際金相場の上昇と円安が同時に起こったことで、国内では史上最高値圏での取引が続いています。
コモディティ全般は、金のように金融環境に反応しやすいものから、工業需要やエネルギー需給によって動くものまで幅広く、価格を左右する要因は伝統的資産とは大きく異なります。そのため、株式や債券だけでは補いきれない市場変動リスクに備えるうえで有効な選択肢となります。
金を中心に、必要に応じてコモディティを組み入れることで資産全体の変動を抑えようとする動きもみられます。
ヘッジファンドや金といった主要なオルタナティブ資産に加え、富裕層の間ではプライベートエクイティ(PE)も重要な選択肢として存在感を高めています。
PEは未上場企業の成長支援や事業再編を通じて企業価値の向上を図る手法で、上場株式とは異なる収益機会にアクセスできる点が特徴です。一方で、投資期間が長く資金が拘束されるため、十分な資産規模とリスク許容度を前提に、慎重に活用されています。
また、アート、ワイン、高級時計などの嗜好性資産も、富裕層特有のオルタナティブ投資として一定の位置づけがあります。金融資産とは異なる価値軸を持ち、所有する喜びや文化的満足度といった非金融的リターンが得られる点が魅力です。
ただし、市場規模が限定的で流動性も高くないため、ポートフォリオ全体の一部にとどめるケースが一般的です。
さらに、生活基盤を支える事業から安定収益を得ることを目的としたインフラ関連投資は、欧米の富裕層やファミリーオフィスで一定の関心を集めていますが、日本では個人がアクセスできる手段が限られており、活用はごく一部にとどまっています。
このほか、近年は暗号資産やNFTといったデジタル資産を試験的に組み入れる富裕層もいます。とはいえ、価格変動が大きく長期的な価値評価も難しいため、あくまでポートフォリオのごく一部に抑え、リスク管理を重視する姿勢が一般的です。
このように、富裕層が活用するオルタナティブ投資は多岐にわたり、それぞれに異なる役割とリスク特性があります。重要なのは、資産を単体で評価するのではなく、伝統的資産と組み合わせることで全体の安定性を高め、長期的な資産保全につなげていくという視点です。
今回取り上げたオルタナティブ投資は、富裕層が伝統的資産だけでは対応しきれなくなったリスクを補い、資産全体の安定性を高めるための重要な選択肢です。近年は株式と債券が同じ方向に動く局面も指摘されるなど、従来型の分散が十分に機能しない場面もみられます。こうした背景から、ヘッジファンド、プライベートエクイティ、金を中心としたコモディティ、アートや嗜好性資産など、多様なオルタナティブ資産を組み合わせ、収益源泉の異なるアセットを取り入れる動きが広がっています。
もちろん、オルタナティブ投資には流動性の制約や専門的な知識が求められるなど固有のリスクもあります。それでも、長期的なインフレへの備えや資産承継を見据えるうえでは、富裕層にとって取り入れる価値が大きい資産クラスといえます。一つの資産に依存するのではなく、多様な資産を組み合わせて変動を抑え、長期にわたり資産を守り育てる姿勢こそが、富裕層に共通する資産管理の基本スタンスです。
次回は、多くの投資家が関心を寄せるテーマである「新NISAか、不動産投資か」を取り上げます。制度の仕組みや投資対象の特徴、資産形成にかけられる時間軸を整理し、どちらを優先すべきか判断するための視点をわかりやすく解説します。変動の大きい市場環境の中で、「まず何から資産形成を始めるべきか」を考える際に役立つヒントをお届けします。
執筆者
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®認定者、宅地建物取引士
水野総合FP事務所代表。東京理科大学理学部卒業。相談、執筆・監修、講演・講師、取材協力、メディア出演など多方面で活躍する独立系ファイナンシャルプランナー。テレビ朝日「グッド!モーニング」、BSテレ東「マネーのまなび」などに出演。NHK土曜ドラマ「3000万」の家計監修を担当。学校法人専門学校東京ビジネス・アカデミー非常勤講師。一般社団法人相続・事業承継コンサルティング協会会員。
<保有資格>1級ファイナンシャル・プランニング技能士|CFP認定者|宅地建物取引士|日本証券アナリスト協会検定会員補|証券外務員1種 ほか
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