相続税率をかける
課税遺産総額を算出したら、まず相続人全員がそれぞれ法定相続分通りに取得したものとしてそれぞれの取得金額を計算します。
課税遺産総額×法定相続人1人当たりの法定相続分=法定相続人の1人当たりの取得金額
相続人の1人当たりの取得金額を算出したら、相続税率をかけて算出税額を計算します。
法定相続人の1人当たりの算出税額が相続税の総額です。
法定相続人の1人当たりの算出税額の合計=相続税の総額
相続人1人当たりの相続税を算出する場合は、以下の計算式で求められます。
相続税の総額×各相続人の課税価格÷課税価格の合計=相続人1人当たりの相続税
ただし、相続人が被相続人の配偶者や両親、子供以外の場合と相続時精算課税分の贈与税相当額がある場合は例外です。
相続人が被相続人の親族でない場合は、以下の計算式を用います。
各相続人の税額+相続税額の2割加算−各種税額控除=相続人1人当たりの相続税
また、相続時精算課税分の贈与税相当額がある場合は、以下の計算式で算出します。
各相続人の控除後の税額−相続時精算課税分の贈与税相当額=相続人1人当たりの税額
生前贈与を活用して段階的に承継する
土地の相続税評価額を抑える方法として、生前贈与の活用があげられます。生前贈与とは、存命中に財産を他者に贈与することです。相続税は相続時の課税遺産総額に対して課税されるため、相続時の財産を減らすことで税負担を軽減できる可能性があります。
相続発生前に暦年贈与(年間110万円まで非課税)や相続時精算課税制度(2,500万円まで非課税)を活用し、評価額の高い土地を複数回に分けて贈与しておくことで、相続時の税負担を抑えることが可能です。
ただし、被相続人が亡くなる7年以内に行った贈与は相続財産に持ち戻され課税対象となるため、早めの計画が必要です。
参考:国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
No.4103 相続時精算課税の選択
法人化して土地利用を最適化する
法人化して土地利用を最適化することで、土地の相続税評価額を抑えることも可能です。法人へ不動産を移転すると、相続時には土地そのものではなく法人株式の評価額が課税対象となり、評価方法の違いから結果的に税負担が抑えられるケースもあります。
ただし、株式評価にも法人が保有する資産や収益が反映されるため、必ずしも税負担が軽減されるとは限りません。不動産移転には登録免許税や不動産取得税などのコストも伴うため、専門家に相談し、長期的な資産管理の観点から総合的に検討することが必要です。
土地活用の専門家に相談する
土地の相続税評価額を抑えるには、土地活用の専門家に相談するのがおすすめです。以下のような相談先があげられます。
- ファイナンシャル・プランナー
- 不動産会社
- 金融機関
- 弁護士、司法書士
- 税理士
ファイナンシャルプランナーは、お金に関するプロです。さまざまな土地活用の初期費用や予想される利益について相談に乗ってくれるでしょう。ファイナンシャルプランナーは、金融機関やハウスメーカーにも在籍している可能性はありますが、中立的な立場からのアドバイスであるかを見極めることが必要です。
不動産会社は、土地や建物の専門家です。アパート経営など自分で思いつくような土地活用だけでなく、さまざまな土地活用の方法を知っています。また、相続トラブルについてコンサルティングをしてくれる不動産会社もあります。
一般的にアパートなどの建築費はローンで賄うことが多いため、金融機関に相談する必要があります。不動産会社から提携している金融機関を紹介された場合は、有利な金利でローンを組める可能性があるため、不動産会社に相談に行った際は提携の金融機関の紹介についても確認しましょう。
相続税の節税のための土地活用の法的な手続きが難しい場合は、トラブルに備えて弁護士や司法書士に相談するのがおすすめです。
税理士は、税金のプロです。土地活用は、毎年どれくらいの税金がかかるのかを考慮した上で行う必要があります。金融機関や不動産会社、ファイナンシャルプランナーは節税に関するアドバイスはできないので、税理士に専門的なアドバイスを依頼しましょう。
同じ内容で見積もりをしても、相談先によって提示する土地活用法や金額が異なるため、複数の相談先に見積もりを依頼するのがおすすめです。
土地の相続税を軽減する特例
土地の相続税は、小規模宅地等の特例を利用することで、負担を軽減することができます。
一定の条件を満たしていれば、最大80%が減額される特例です。
ここでは、特例の内容について解説します。
小規模宅地等の特例
小規模宅地等の特例とは、被相続人または被相続人と生活をともにする親族の事業用または居住用の土地に対し、区分ごとに50〜80%まで評価額を減額できる制度です。
ただし、農地や採草牧草地は対象外です。
土地は大きく分けると、以下の4種類に区分されます。
- 特定居住用宅地等
- 特定事業用宅地等
- 特定同族会社事業用宅地等
- 貸付事業用宅地等
それぞれの特例について解説します。
参考:国税庁 No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)
特定居住用宅地等
特定居住用宅地等の特例とは、小規模宅地等の特例の中でもよくされている制度で、被相続人が住んでいた土地を相続する場合に利用されます。
特定居住用宅地等の特例の限度面積や減額される割合は、以下のとおりです。
| 土地の区分 |
限度面積 |
減額される割合 |
| 特定居住用宅地等 |
330㎡ |
80% |
たとえば、価額が5000万円の300㎡の土地を1人で相続する場合は、以下の計算式で減額できる金額が求められます。
また、5000万円の330㎡を超える400㎡の土地を1人で相続する場合は、以下の計算式で減額できる金額が求められます。
5,000万円×330㎡/400㎡×80%=3,300万円
参考:国税庁 No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)
特定事業用宅地等
特定事業用宅地等の特例とは、貸付事業以外の事業用の宅地を相続する場合に使用する制度です。
特定事業用宅地等の特例の限度面積や減額される割合は、以下のとおりです。
| 土地の区分 |
限度面積 |
減額される割合 |
| 特定事業用宅地等 |
400㎡ |
80% |
特定事業用宅地等の特例を使用するには、以下の条件があります。
被相続人が事業に使用していた宅地を相続する場合は、以下の要件を満たさなければなりません。
- その宅地で被相続人が営んでいた事業を相続税の申告期限までに引き継ぎ、申告期限までにその事業を営むこと
- その宅地を相続税の申告期限まで所持していること
被相続人と生計をともにしていた被相続人の親族が事業に使用していた宅地を相続する場合は、以下の要件を満たす必要があります。
- 相続開始の超前から相続税の申告期限までその宅地で事業を営むこと
- その宅地の相続税の申告期限まで所持していること
どちらか一方の要件ではなく、それぞれに掲げる要件をどちらも満たしていなければなりません。
要件を満たしていれば、たとえば、被相続人が事業を営んでいた価額が5,000万円の300㎡の土地を1人で相続する場合は、以下の計算式で減額できる金額が求められます。
参考:国税庁 No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)
特定同族会社事業用宅地等
特定同族会社事業用宅地等の特例は、相続する宅地が一定の法人に貸し付けられ、その法人の事業用に使われていた場合に使用します。
特定同族会社事業用宅地等の特例の限度面積や減額される割合は、以下のとおりです。
| 土地の区分 |
限度面積 |
減額される割合 |
| 特定同族会社事業用宅地等 |
400㎡ |
80% |
特定同族会社事業用宅地等の特例を使用するには、以下の条件があります。
- 相続税の申告期限にその法人の役員であること
- その宅地を相続税の期限まで所持していること
たとえば、一定の法人に貸し付けされており、申告期限時点で相続人が法人となる価額が5,000万円の300㎡の土地を1人で相続する場合は、以下の計算式で減額できる金額が求められます。
参考:国税庁 No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)
貸付事業用宅地等
貸付事業用宅地等の特例とは、一定の法人に貸し付けられ、その法人の事業用または貸付事業用宅地、被相続人等の貸付事業用の宅地に使用する制度です。
貸付事業用宅地等の特例の限度面積や減額される割合は、以下のとおりです。
| 土地の区分 |
限度面積 |
減額される割合 |
| 貸付事業用宅地等 |
200㎡ |
50% |
貸付事業用宅地等の特例を使用するには、以下の条件があります。
被相続人の貸付事業用に使用されていた宅地は、以下の条件を満たしていなければなりません。
- その宅地等に係る被相続人の貸付事業を相続税の申告期限までに引き継ぎ、申告期限まで貸付事業を営むこと
- その宅地を相続税の期限まで所持していること
被相続人と生計をともにしていた相続人の親族の貸付事業用に使用されていた宅地は、以下の条件を満たす必要があります。
- 相続開始前から相続税の申告期限までその宅地等に係る貸付事業を営むこと
- その宅地を相続税の期限まで所持していること
どちらか一方の要件ではなく、それぞれに掲げる要件をどちらも満たしていなければなりません。
たとえば、被相続人が貸付事業を行っていた価額が5,000万円の200㎡の土地を1人で相続する場合は、以下の計算式で減額できる金額が求められます。
参考:国税庁 No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)
土地の相続税を軽減する控除
土地の相続では、税額控除により負担を減らすことも可能です。土地相続に適用できる控除として、代表的なものに以下があげられます。
- 贈与税額控除
- 障害者の税額控除
- 未成年者の税額控除
- 相次相続控除
それぞれの内容を詳しく解説します。
贈与税額控除
相続人が被相続人から生前に贈与された財産のうち、亡くなった日から3年以内に贈与された財産は控除が受けられます。
3年以内に贈与された財産は相続税の課税対象となるため、贈与税と相続税の二重課税を防ぐことを目的としています。
ただし、令和6年1月1日以降は、税制改定により3年以内ではなく7年以内に贈与された財産へと、範囲が延長されるためご注意ください。
控除される税額は、贈与を受けた際に支払った贈与税から加算税や延滞税、利子税を除外した金額です。
また、以下の場合は被相続人から贈与された財産であっても相続税の対象に加算する必要はありません。
- 贈与税の配偶者控除の特例を受けているまたは受ける予定の金額
- 直系尊属から贈与された住宅取得等資金のうち、非課税の適用を受けた贈与額
- 直系尊属から一括贈与された教育資金のうち、非課税の適用を受けた贈与額
- 直系尊属から一括贈与された結婚・子育て資金のうち、非課税の適用を受けた贈与額
ただし、上記の場合でも贈与者が亡くなった際の管理残額については課税される場合があります。
参考:国税庁 No.4161 贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)
配偶者の税額控除
被相続人の配偶者は、最大1億6,000万円または配偶者の法定相続分の相続税の多い方の金額まで相続税を軽減できます。
配偶者にはなるべく相続税がかからないようにしようという目的で作られた制度です。ただし、内縁の配偶者は対象ではありません。
また、配偶者が最大限の財産を相続した場合、子供に課せられる相続税が多くなる恐れがあるため、気をつけましょう。
参考:国税庁 No.4158 配偶者の税額の軽減
障害者の税額控除
相続人が満85歳未満で障害がある場合は、障害者の税額控除を受けられます。
控除を受けられる金額は、一般障害者であるか、特別障害者であるかにより異なり、一般障害者は1年につき10万円、特別障害者は1年につき20万円です。
たとえば、81歳の一般障害者の場合は、以下の計算式で控除額が求められます。
控除額が障害者本人の相続税額を上回る場合は、上回った金額を障害者の扶養義務者の相続税額から差し引きます。
参考:国税庁 No.4167 障害者の税額控除
未成年者の税額控除
相続人が満18歳未満の場合は、未成年者の税額控除を受けられます。控除を受けられる金額は、1年につき10万円です。
たとえば、相続人が14歳9ヶ月の場合は、以下の計算式で控除額が求められます。
なお、令和4年3月31日以前の相続または遺贈については満20歳未満が対象です。
未成年者控除額が未成年者本人の相続税額を上回る場合は、上回った金額を未成年者の扶養義務者の相続税額から差し引きます。
参考:国税庁 No.4164 未成年者の税額控除
相次相続控除
10年以内に相次いで相続が発生した方は、相次相続控除が受けられます。
短期間に相続が重なると、一つの財産に二重課税が課せられるため、前回の相続で納めていた相続税のうち1年につき10%割合で減額した金額を今回の相続で課せられる相続税額から控除します。
たとえば、10年以内に2回相続が発生した場合の2回目の相続における控除額は、以下の計算式で求められます。
A×C÷(B-A)×D÷C×(10-E)÷10=相次相続控除額
A〜Eの内容は以下のとおりです。
- A:1回目の相続で納めた相続税
- B:1回目の相続で得た純資産価額
- C:2回目の相続で得たすべての相続人の純資産価額の合計
- D:2回目の相続で得た純資産価額
- E:1回目の相続から2回目の相続までの期間(1年未満は切り捨て)
前回の相続から期間が短ければ短いほど、控除額は大きくなります。
参考:国税庁 No.4168 相次相続控除
相続税の申告方法
相続税は期限内に申告する必要があります。相続税の申告手順や申告期限について解説します。
相続税の申告手順
相続税の申告書は、被相続人が亡くなったときの住所地を所轄する税務署長に提出します。相続人の住所地を所轄する税務署長ではないため、注意しましょう。
相続税の申告書は、自身で作成することも可能ですが、手続きが複雑である上に、申告内容が間違っていると、税負担が重くなるペナルティを課せられることがあります。
そのため、相続税の申告は知識や経験が豊富な税理士に依頼し、サポートしてもらうのがおすすめです。
相続税の申告期限
相続税の申告は、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10カ月目の日までにしなければなりません。
被相続人の亡くなった日でなく、亡くなったことを知った日であることに注意しましょう。
申告期限の日が土曜日や日曜日、祝日などの休日に当たる場合は、本来の申告期限日の翌日に申告期限が変更されます。
申告期限に遅れて納税した場合は、延滞税や無申告加算税がかかるため、期限は必ず守りましょう。
参考:国税庁 相続税の申告のしかた(令和5年分用)
土地を相続する際の注意点
相続税以外にも、相続登記の申請義務など、相続において注意すべきポイントがいくつかあります。ここでは、土地を相続する際にチェックしておきたい注意点を詳しくみていきましょう。
登記の名義変更が義務化されている
令和6年4月1日から、相続登記が義務化されています。相続で不動産を取得した場合、相続人は「所有権を取得したことを知った日」から3年以内に相続登記を申請しなければなりません。そのため、早めに名義変更を行い、手続きを済ませておくことが大切です。
なお、正当な理由なく期限内に相続登記を行わない場合、10万円以下の過料が科される可能性があるため、注意が必要です。
利用や売却に制限が生じる可能性がある
相続する土地によっては、利用や売却に制限がかかる場合があるため注意してください。たとえば、農地は転用許可が必要であり、市街化調整区域は建築制限があるため、相続後の活用方法が限られることがあります。さらに、売却の際、行政の許可が必要になることもあるでしょう。
これらの制限を把握せずに手続きを進めると、計画通りの利用や売却が難しくなる可能性があるため、事前に確認しておくことが大切です。
まとめ
土地の相続税率は10〜55%で、土地の価値が高ければ高いほど税率も高くなります。そのため、土地によっては非常に高額な相続税が課せられるでしょう。
相続税を少しでも抑えるためには、アパートを経営するなどの土地活用をしたり、小規模宅地等の特特、贈与税額控除、障害者の税額控除、未成年者の税額控除、相次相続控除などの特例や控除を用いたりして工夫しましょう。
また、相続税には被相続人が亡くなった日から10ヶ月以内という申告期限が設けられています。期限を過ぎると、ペナルティが課せられる場合があるため、早めに対応しましょう。
監修者
宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士
中川 祐一
現在、不動産会社で建築請負営業と土地・収益物件の仕入れを中心に担当している。これまで約20年間培ってきた、現場に密着した営業経験と建築知識、不動産知識を活かして業務に携わっている。
不動産投資家Kでは無料相談を承っております!
不動産投資家Kとその仲間たちでは、「土地を相続する予定だけど、どうすれば良いか検討している」「管理が大変なので、土地を売却したいと思っている」など、土地・建物のさまざまなご相談を承っております。
あなたやあなたの家族の大切な資産を有効に活用できるよう、お気軽にご相談ください!