大家になるには何が必要? アパート経営の流れや注意点、成功のポイント
大家になるために、特別な資格は不要ですが、アパート経営を行う目的や理由を明確にしたり、不動産投資の基本知識を身につけたりする必要はあります。また、どのように資金を調達するかまで考えることも必要です。 この記事では、大家になるにあたってどのような準備が必要なのか、またどのような流れで大家になるかなどについて解説します。将来的に大家になりたい人は、ぜひ最後までご覧ください。 ポイント 大家になるための...
不動産投資家K
入居率を上げることで、賃貸経営の安定と収益確保に直結します。集客戦略の見直しや人気設備の導入、管理体制の見直しといった対策を総合的に行うことで、空室リスクを抑え、安定した入居率の実現が可能です。
本記事では、不動産経営で入居率を上げる12の方法を紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
不動産投資において、入居率は重要な指標の1つです。高い入居率を維持することで、空室による損失リスクを抑え、安定したアパート経営を行うことができます。
ここでは、入居率を上げる方法を考える前提として入居率について解説し、入居率が低い場合にするべきことを紹介します。
入居率とは、賃貸物件の総戸数に対して実際に入居している戸数の割合を示す指標であり、不動産投資における重要な指標の1つです。
以下の計算式で算出します。
入居率=入居戸数÷管理戸数×100
一般的に、95〜99%であれば良好とされています。入居率は、物件の人気や収益性の高さを示す指標となるものです。高い入居率を維持すれば、継続した家賃収入を見込め、物件の収益性も安定します。
一方、低い入居率が続いてしまった場合、収益が減少し、ローン返済や維持管理費の負担が増すため、投資全体の採算性に大きく影響します。入居率を管理し、向上させることは、長期的な不動産経営において不可欠です。
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入居率が95%を下回る場合、安定した収益を確保するために、具体的かつ計画的な対策を講じる必要があります。まず、入居が伸び悩む原因を分析し、物件の「強み」と「弱み」を客観的に把握することが大切です。弱みを改善し、強みを効果的に訴求する戦略を組み合わせることで、入居率向上につながります。
たとえば、立地条件が優れている場合は、交通アクセスの良さや周辺施設の利便性を広告や内見時の案内に反映させ、他物件との差別化を図ります。
また、設備や内装の改善、フリーレントやクレジットカード払い対応など、入居者にとって魅力的な条件を整えることで、入居希望者の関心を引き、空室期間を短縮しながら安定した収益確保が可能となります。
物件購入の際や管理会社選定にあたって入居率を参考にする際、各不動産会社が公表している「入居率」は、計算方法が会社によって異なっている場合があることは認識しておきましょう。
ここまで説明したとおり、一般的に入居率とは、ある「時点」の入居状況を表す指標を示す場合が多いです。ほかには、「期間」の入居率を示す稼動入居率(稼働率)、「賃料」を基準に算出する賃料入居率などがあります。
不動産会社の表示している入居率が、いつの時点・期間のものか、どんな計算式によるものか、注意して参考にするようにしてください。
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入居率アップに向けた対策は、大きく「集客戦略」「設備投資」「管理・運営体制の見直し」という3つに分けられます。
ここでは、入居率を上げる方法として、まず集客に向けた戦略を紹介します。
入居率を上げるためには、効果的に集客する戦略が必要です。その1つに、インターネットの活用があげられます。
部屋探しに実店舗を訪問する入居希望者は年々減少傾向にあり、株式会社リクルートが発表した「2023年度 賃貸契約者動向調査(首都圏)」では、訪問した不動産会社の店舗数は平均1.5店舗でした。
2005年度の2.7店舗、2010年度の2.0店舗と比較し、年々減少しており、実店舗を訪れる人が確実に少なくなっていることがわかります。
その背景には、事前にインターネットで物件情報を比較し、希望条件に合う物件を絞り込む人が増えていることがあげられます。オンライン内見や非対面契約の利用も広がり、実店舗に足を運ぶことなく効率的に物件を決める傾向が強まっています。
インターネットの普及に伴い、オンライン上での情報発信がより重要となっているといえるでしょう。
そのため、対策としては大手不動産ポータルサイトに物件情報を掲載する方法が効果的です。
そのほか、InstagramやXなどSNSを活用し、ターゲット層に合わせた広告を出稿するのも有効です。特にInstagramは、若年層の物件探しに大きな影響力があります。
参考:株式会社リクルート 「2023年度 賃貸契約者動向調査(首都圏)」
インターネット上に物件情報を掲載する際は、写真や間取り図を魅力的に見せる工夫が大切です。写真・間取り図・周辺環境の情報を充実させ、高画質の写真や360度パノラマ画像を導入することで、反響率が高まります。
また、ホームステージングも入居促進に効果的です。ホームステージングとは、物件に実際に家具や小物などを配置しモデルルームのように魅力的に演出することで、入居後の生活を具体的にイメージしてもらい、入居を促します。
さらに、YouTubeや物件サイトに「ルームツアー動画」を掲載する方法もあります。よりリアルに物件の状況を届けられ、また、遠方の入居希望者や忙しい社会人にもアピール可能です。
敷金や礼金の見直しも、入居率を高めるための有効な手段です。入居時には引越し費用などさまざまな出費が発生するため、多くの入居希望者は初期費用をできるだけ抑えたいと考えています。
そのため、周辺相場と比べて敷金・礼金が高い場合や競合物件が多い場合には、礼金の減額や廃止を検討することで、差別化を図ることが可能です。「礼金なし」とすることで、将来的に賃料を引き上げる際にもバランスがとれ、入居者にとっても魅力的な条件を維持しやすくなります。これにより、入居率向上と安定した収益確保が期待できます。
一方、敷金は家賃滞納や原状回復費用の担保として重要な役割を果たすため、入居時にクリーニング費用を受領することなどの対策をとることが望ましいでしょう。
賃料の設定は入居率に大きく影響するため、周辺相場と比較して適正かを確認し、必要に応じて見直すことが大切です。
ただし、一度賃料を下げると再び引き上げるのは難しいため、収益予測や周辺の類似物件との比較を十分に行い、慎重に判断する必要があります。
また、「ペット可」「保証人不要」など募集条件を柔軟に設定することも効果的です。条件を緩和することで入居希望者を集めやすくなりますが、オーナー側のリスクが高まる点は理解しておきましょう。
たとえば、ペット可の場合は敷金を増額するなど、リスクを補う対策をあわせて講じることが大切です。
フリーレントを導入することも、入居率を向上させる有効な方法です。フリーレントとは、入居開始から一定期間の家賃を無料にする制度で、一般的には1カ月程度が目安とされています。初期費用の負担を軽減できるため、入居希望者にとって大きな魅力となり、入居率改善に効果的です。
ただし、フリーレントを採用する際は注意点もあります。無料期間だけを利用して短期間で退去されるリスクを避けるため、違約金や条件をあらかじめ設定しておくことが必要です。
たとえば「契約期間内(例:2年)に退去した場合は免除した家賃相当額を違約金として支払う」といったルールを設けることで、リスクを軽減できます。
家賃の支払いをクレジットカード払いに対応させることも、入居率の向上につながります。入居者にとっては、毎月の家賃を振り込む手間が省けるうえ、カードのポイントも貯まるため、ニーズは高いといえるでしょう。
ただし、カード払いは手数料を差し引かれるため、実質的に家賃の減額と同じになるため注意が必要です。
一方で、クレジットカード払いは自動的に集金でき、家賃滞納のリスクを減らせるというメリットがあります。また、入居者がクレジットカードを保有しているということは、カード会社の審査に通っているということであり、入居者の信用力を測る1つの指標にもなります。
入居率の向上には、物件の魅力を高めることも必要です。特に築年数の経過した物件では、設備の導入や内装リフォームなど、設備投資で競合と差別化する方法が有効といえるでしょう。
ここでは、入居率を上げる方法として、設備投資による差別化を紹介します。
賃貸物件の設備は年々進化しており、時代のニーズに合った人気設備を導入することは、入居率向上に直結します。
一例として、次のような設備があげられます。
これらの設備は入居者の快適性や利便性を高め、競合物件との差別化にもつながります。
設備投資には一定のコストがかかりますが、空室を放置して収益が減少するリスクを考えると、適切な設備の導入や更新は長期的に見て有効な戦略です。
物件の規模やターゲット層に合わせて、優先度の高い設備から順に導入・改善を進めることで、入居者満足度を高め、安定した収益確保につながるでしょう。
築年数が経過した物件の場合、リフォームやリノベーションによって内装を刷新することで、物件の魅力を大きく高めることができます。たとえば、「和室を洋室に変更する」、「ユニットバスをセパレートタイプにする」など、入居希望者にとって「住みやすさ」を実感できる工事は特に効果的です。
ただし、これらの工事には高額な費用が発生するため、投資額に対してどの程度の効果が見込めるかを慎重に検討する必要があります。空室期間の短縮や賃料の増額、条件改善による競争力アップといった観点から収支シミュレーションを行い、投資回収の見通しを立てることが重要です。
コストはかかるものの、現代のライフスタイルや賃貸ニーズに合った空間へと変えることができれば、入居率向上だけでなく、家賃の引き上げや物件の資産価値向上にもつながります。
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共用階段や廊下、外壁、エントランスは築年数が経過するにつれて雨風にさらされ、汚れや劣化が目立ちやすくなります。そのため、定期的な外壁塗装や駐車場の整備、ゴミ置き場の清掃・改善などを行い、美観を維持することが大切です。
これにより、入居希望者に安心感を与え、物件の印象が良くなるでしょう。また、エントランスやファサードの改装によってデザイン性や清潔感を演出すれば、物件全体の魅力が高まり、競合物件との差別化にもつながります。
共用部分の環境を整えることは、入居者満足度の向上や長期入居の促進にも寄与するため、経営戦略としても優先度の高い取り組みです。
管理や運営体制も、入居率に大きく影響します。入居率が低い場合は、管理会社の見直しや内見の工夫などを検討しましょう。
ここでは、入居率を上げるための管理・運営体制の見直しについて詳しく解説します。
入居率を高めるためには、管理会社の見直しも必要です。管理会社の対応が遅い、入居者からの苦情対応が不十分といった問題があると、入居者の満足度が下がり、退去率の上昇につながります。
また、募集活動が消極的といった状況があれば、空室が長引く原因となります。現在の管理会社の客付け力が弱い、客付けできない理由の調査や改善提案がないなどの問題が見られる場合は、自社内で囲い込みをしているケースや、募集に力を入れていないといったこともあり得るでしょう。
囲い込みとは、管理会社がオーナーから賃貸募集の依頼を受けた際に、ほかの不動産会社に情報を流さず、自社だけで入居者を決めようとする行為を指します。これにより入居希望者は選択肢が狭まり、物件の早期成約が難しくなる可能性があるため、2025年から業務停止など処分対象となっています。
このような事情がみられる場合は、賃貸仲介に強みをもつ管理会社に切り替えることも検討するとよいでしょう。
以下の記事でも管理会社の選び方や囲い込みについて詳しく紹介していますので、参考にしてください。
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内見は入居希望者が実際に暮らすイメージを持つ重要な機会であり、第一印象が契約に直結します。そのため、まずは室内の徹底した清掃と整理整頓を行い、清潔感と整った印象を与えることが重要です。
加えて、スリッパやウェルカムボードを用意して歓迎の気持ちを演出すれば、物件への好感度が高まります。
エアコンや収納スペースなど、入居者が関心を持つ設備にはPOPを設置して利便性や特徴をわかりやすく伝える工夫も効果的です。
さらに、前述したホームステージングを活用し、家具やインテリアで生活シーンを演出することで、具体的な暮らしのイメージを抱きやすくなり、入居意欲を高めることができます。
これらの工夫を組み合わせることで、内見の印象を最大化し、入居率の向上につなげることが可能です。
入居者満足度を高める取り組みは、結果的に入居率の向上にもつながります。トラブルやクレームへの迅速な対応、定期的な点検やメンテナンスはその代表例です。
定期点検を行うことで建物や設備の劣化を早期に発見・修繕でき、常に快適な住環境を維持できます。また、点検やメンテナンスは入居者とのコミュニケーションの機会ともなり、信頼関係の構築にもつながるでしょう。
さらに、入居者アンケートやヒアリングを通じてニーズや改善点を把握し、設備更新やサービス向上に反映させることで、満足度の向上と長期入居の促進が期待できます。こうした総合的な取り組みが、結果的に物件の魅力を高め、安定した入居率維持につながるでしょう。
入居率を高めるためには、集客戦略の見直しや設備投資、管理・運営体制の改善が欠かせません。
まず、物件の課題を分析し、改善すべき点を明確にします。集客面では、インターネット広告やSNSの活用が有効です。また、人気設備の導入は競合物件との差別化にもつながります。
さらに、管理会社の対応が不十分な場合は、信頼できる会社への変更も検討が必要です。
これらの施策を総合的に実施することで、入居率の向上と安定した収益の確保が期待でき、不動産経営の効率化にもつながるでしょう。
監修者
宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士
不動産業界に20年以上従事。賃貸管理を中心に管理受託業務・売買仲介・民泊運営を担った幅広い知識と経験をベースに、現在はプロパティマネジメント・アセットマネジメントを担っている。
監修者
宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士
新卒で不動産会社に入社後、一貫して賃貸管理業務に従事。オーナーが所有する物件の価値向上に取り組み、実務経験を積んできた。現在は、セミナーやキャンペーンの企画・立案など、マーケティング業務にも携わっている。
不動産投資家Kとその仲間たちでは、「アパートに空室が増えてきた」「管理会社の対応に不満がある」「建物が老朽化してきた」など、アパート管理に関するお悩みをお持ちのオーナー様のさまざまなご相談を承っております。
あなたやあなたの家族の大切な資産を有効に活用できるよう、お気軽にご相談ください!
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