賃貸物件の入居率と稼働率の違いは?計算方法や活用場面
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不動産投資家K
不動産の賃貸借に関して、いよいよ契約の電子化が可能になりました。不動産業者のみならず、不動産投資家にとっても影響が大きい改正です。今回の記事では法改正の背景、不動産賃貸借契約の電子化のポイントやメリットをわかりやすく解説します。
2020年4月、民法第522条において、「契約の成立」については書面である必要はないことが明記されました。また、デジタル改革関連法が2021年9月1日に施行され、そこには宅建業法改正の法改正も含まれています。
そして2022年5月18日から、不動産に関する賃貸および売買の取引において電子契約が認められました。
長い間、書面形式かつ当事者の押印を必要とした賃貸借契約が、いよいよデジタルで行えるようになりました。
この賃貸借契約電子化が実現した背景には、主に以下の3つの事情があります。
デジタル改革関連法の施行を受けて、行政も不動産契約のデジタル化を具体的に実現してゆくための政策を推進してきました。
国土交通省は2017年以降、一部の不動産契約におけるデジタル手法を活用した書面交付に関する社会実験を、継続して実施してきました。
デジタル改革関連法の成立は、不動産ビジネスに携わる事業者のみならず、エンドユーザーである投資家からの期待にも応えるものとなりました。
コロナ禍が長期化していることも手伝って、少しでも不要な接触を避けたい投資家の望みがかなえられることになったのです。
国際競争力を身につけるために、各産業界がDXを推進しています。
デジタル化の機運が到来している中、不動産業界全体としてもDXが進んでおり、電子契約の導入準備が整ってきたわけです。
宅建業法改正によって「重要事項説明書」「契約締結時書面」「媒介契約締結時書面」等をデジタル文書で交付することが可能になりました。
これまでもオンライン手続きは導入されていたものの、重要事項説明書などの各種書類は前もって取引相手に郵送する必要がありました。つまり、双方が手元にある紙の書類を確認しながら重要事項説明を行っていたのです。
今回の法改正で、電子ファイルをメールで送信すればよくなりました
不動産賃貸借契約の電子化によってもららされるメリットとしては、次の5つがあげられます。
メリットのひとつめは、書類作成がしやすくなり、郵送の手間も不要となるなど、契約手続きがスムーズになることです。
一般的な商取引とは大きく異なり、不動産取引の場合は複数の当事者(オーナー・借主・買主・仲介会社・管理会社・連帯保証人など)が契約名義人となります。
これだけの当事者が一同に集まることは困難なので、新たな書面が発生するたびに、不在者への書面郵送手続きが発生します。書面の郵送でのやりとりは、往復の時間だけでなくプラスアルファの手間もかかります。
デジタル契約を導入することで、この時間と手間が節約できます。
ビデオチャットなどオンラインコミュニケーションツールを用いたリモートでの契約であれば、非接触・非対面で行えます。契約書類の取り交わしはデータの送受信で可能です。
コロナ禍が長期化するなか、感染症対策の意味においても、リモート形式で契約ができることは大きなメリットとなります。
2つ目のメリットは、書類の閲覧や確認が容易になることです。デジタルデバイスを使える環境であれば、いつでもどこでも契約の内容を閲覧することができます。
不動産所有者や投資家には、高齢の方も少なくありません。デジタルの書類なら、PDFリーダーの機能で文字の拡大や音声による読み上げも可能なので、紙の書面よりも確認がしやすいともいえます。
PC画面だけでなく、タブレット端末などでの閲覧にも適しています。
3つ目のメリットは、データとしてペーパーレスに保管できるので、物理的な保管場所が不要になることです。
これまでの不動産取引では、大量の書面が発生していました。大量の書類すべてを、いつでもすぐに取り出せるようにしておくことは困難です。しかしデジタル契約なら、いつでもどこでも必要に応じて検索することができます。
4つ目のメリットは、さまざまな事務費用や印紙税などが不要になることです。
どのような新技術であっても、従来と比べて確実にコストが削減できるメリットがなければ、ユーザーを増やすことはできません。デジタル契約に関しては、このコスト削減効果が大変優れているといえるでしょう。
紙ベースでの契約では1件の契約をまとめるだけでも、郵送費や用紙代、印刷代、収入印紙代など大量のコストが発生します。また、そのための人件費や保管スペースにもコストがかかります。
デジタル契約の場合、これらのコストを大幅に削減することができます。1件の契約だけで考えれば小さな金額でも、件数が増えていけば無視できない額になるでしょう。
デジタルの書類は、閲覧制限をかけたり、アクセスログのデータが残るようにしておくことも可能なため、紙の書類のように勝手に持ち出したり、盗み出したり、改ざんしたりすることは難しくなるでしょう。
またパソコンに保管することで、書類の紛失なども起こりません。一方で、サーバーやストレージ上で管理するには、外部からの不正アクセスに注意するなど、セキュリティ対策の強化も重要になります。
2001年4月に「電子署名法」が施行され、本人による一定の要件を満たす電子署名は有効であると認められるようになりました。電子署名とは、デジタルデータ上での、紙の書類における捺印や署名に該当するものです。
ただし、本人が署名捺印したものであるという証明(本人性)と電子署名について改ざんが行われていないという証明(非改ざん性)の、2つを満たすことが求められます。これを証明するためには、認証局という第三者機関が発行する電子証明書が必要です。 これは印鑑証明のような役割をもっています。
また、締結した契約内容の電子データは、電子帳簿保存法により保管することが義務づけられています。その際、真実性、検索性、見読性の確保が求められます。
参考:国税庁「電子帳簿保存時の要件」
デジタル契約を導入するにあたっては、少なくとも以下の2点が必要です。
これらが整っていなければ、いくら利便性の高いデジタル契約でも、簡単には導入できません。導入前には最低限の下準備が必要です。
不動産賃貸借契約の電子化に必要なもののひとつ目は、最低限のデジタルリテラシーです。
デジタルリテラシーとはデジタルデバイスであるPCやスマートフォン、タブレット端末などを使いこなす能力や、コンピューター上のアプリケーションを使用して作業ができる能力を意味します。
つまり、不動産投資を行う当事者に、デジタル機器を使いこなす最低限の能力がなければ、そのメリットを享受することはできません。
最近ではタブレット端末やスマートフォンを問題なく使いこなせる高齢者の方も増えていますが、一方でデジタルが苦手な方々がいることも事実です。デジタル契約を進めるためには、苦手であっても、デバイスやアプリケーションの使い方を学ぶ必要があります。
不動産賃貸借契約の電子化に必要なものの2つ目は、ネット環境の整備です。
いくらデジタル契約を望んでいても、自宅や事務所が問題なくインターネットに接続できる環境でなければ、オンラインコミュニケーションツールでのやり取りや書類の取り交わし、閲覧などができません。
もしインターネットへの接続が不安定な環境であれば、安定した接続を継続できるネット環境を作っておく必要があります。
不動産関係の契約には、これまで長い間、紙の書類かつ押印が必要でしたが、時代の流れと共に電子契約が認められるようになりました。
コストや手間の削減、保管、閲覧の利便性などの多くのメリットがあり、ほとんどデメリットはありません。最低限のデジタルリテラシーとネット環境さえあれば、誰でもメリットを享受できます。
ここで紹介した情報を参考に、不動産投資を行う際にも、ぜひ電子契約を取り入れてください。
監修者
長谷川 憲一
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