不動産所有者が海外移住する際に必要な準備とは?不動産投資の課題と解決策
海外移住を予定していたり、海外赴任の可能性のある賃貸不動産のオーナーにとって、日本国内の賃貸経営や税務対応は大きな課題となります。入居者対応や家賃管理、家賃収入の確定申告などは現地から直接行うことができないため、管理会社への委託や納税管理人の選任が不可欠です。 本記事では、海外に移住・赴任するオーナーが直面するリスクや対応策を解説し、安心して賃貸経営を続けるためのポイントを紹介します。 ポイント ...
不動産投資家K
土地の売買は高額な取引なうえに、慣れていない方が多いためトラブルが起きることも珍しくありません。しかし、適切に対策することで、土地売買のトラブルは防げます。今回の記事では、よくある土地売買のトラブル事例と、対策について詳しく紹介していきます。
あわせてトラブルが起きた際の相談窓口も紹介しますので、これから土地売買を予定している方はぜひ参考にしてください。
土地売買でトラブルが起こりやすい理由は、大きく2つあります。1つ目は、取引金額が高額であることです。時には数千万円~数億もの取引になることもあり、トラブルに発展しやすいといえるでしょう。
一度トラブルが起こってしまうと取引金額が高額なだけに、解決までに時間を要することも多いです。もしトラブルに巻き込まれたら、被害額が高額になる可能性があることは土地売買のリスクといえるでしょう。
2つ目は、多くの方が土地売買に慣れていないことです。土地売買には多くの専門知識が必要になりますが、不慣れで知識不足のまま売買をしてしまい、トラブルとなるケースも少なくありません。
土地売買でのトラブルは可能な限り避けたいですが、そのためにはトラブルの事例や対処法を知っておく必要があります。
公益財団法人不動産流通推進センターの発表によると、令和3年度における不動産取引のトラブル要因の上位5件は下記のようになっています。
これらを大まかに分類すると、土地売買で起こりやすいトラブルは「土地自体の問題」「情報の伝達不備」「契約内容の確認不備」の3種類といえます。それぞれどのような内容が多いのかを紹介していきます。
参考:公益財団法人不動産流通推進センター 「2023 不動産業統計集」主要原因別紛争相談件数
隣地との境界トラブルは、土地売買では代表的な事例です。解決の方法としては、筆界特定制度や土地家屋調査士ADRの活用があります。
土地の境界は国や自治体によって管理されていますが、記録と実際の土地状況が違っていたり、建物が敷地をまたいでいたりすることがあります。境界が曖昧なままでは、土地の売買はできません。境界を確定するためには土地の所有者が立ち会って、確認をする必要があります。しかし、所有者同士の主張が食い違ったり、隣地の所有者が協力的でなかったりする場合もあるでしょう。
このように境界が決まらないときは筆界特定制度を活用すれば、スムーズに解決できます。
筆界特定制度は新しく境界を決めるのではなく、専門家である筆界調査委員がもともとあった境界を定めるという制度です。6カ月〜1年程度での解決を目指すため、2年程度かかる裁判に比べると早く境界を確定できるでしょう。
また、境界を越えて建物が建っていて揉めている場合は、土地家屋調査士ADRを利用するとよいでしょう。
土地家屋調査士会によって提供されている制度で、土地家屋調査士と弁護士が調停人となってトラブルを解決していきます。土地家屋調査士ADRでは、法的拘束力のある和解誓約書を交わすため、場合によっては半強制的にトラブルを収めることもできるでしょう。
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地下埋設物が残っており、トラブルとなるケースもあります。地下埋設物とは過去に建っていた建物を解体した際の地階や廃材などで、更地の状態を見ただけではわかりません。
地下埋設物があると、思うような建物が建てられない場合があるため、売買の際には撤去が必要です。
買主との交渉次第では撤去にかかる費用分を値引きすることで、納得してもらえる場合もあります。地下に埋設物があるときはあらかじめ買主に伝えておくことで、無用なトラブルを防げます。
土地のトラブルでは、借地権・底地権に関するケースも多いです。
どちらも土地に関する権利ですが、簡単にいうと借地権は土地を「借りている権利」で、底地権は「土地を所有している権利」です。正しく権利を理解しないまま売買してしまうと、トラブルの原因になるでしょう。
土地の借地権を持っている方(土地を借りている方)が売却するには、土地の底地権を買いとる必要があります。
しかし、借地権も権利の一つであるため、立地のよい場所では底地権がなくても借地権だけで売買されるケースもあります。土地の売買を行う際には、土地の権利関係を正しく整理しておくことも、トラブル防止になるでしょう。
情報の伝達不足による土地売買のトラブルとして多いのは、「重要事項説明」「物理的瑕疵」「環境的瑕疵」です。トラブルを防ぐには、正確に情報を伝えることと不明点は事前に確認しておくことが重要といえるでしょう。
重要事項説明に関するトラブルは、情報伝達におけるトラブルの代表といえるでしょう。重要事項説明とは、仲介会社が買主に対して売買の際に必ず行わなければならない説明で、物件の権利関係や災害区域・取引に関する取り決めなどを書面で説明します。
買主にとっては、特に売買の意思決定に関係するような大事な情報ばかりです。重要事項説明を正しく行われなければならないのはもちろんのこと、買主も不明点のないように理解をする必要があります。
不備や記載漏れがあると、後々トラブルに発展する場合があります。地下埋設物の存在や、水害が起きやすい地域など、買主にとって不利になるような内容もあらかじめ伝えることでトラブルを防げます。
物理的瑕疵も、よくあるトラブルです。瑕疵とは欠点や欠陥という意味で、土地の物理的瑕疵とは土壌汚染や地下埋設物、建物の場合は雨漏りやシロアリ被害などがあります。
物理的瑕疵も事前にしっかりと買い手に情報を伝えることで、トラブルを防げるでしょう。また建物の場合であれば、既存住宅瑕疵担保保険を活用するという対処法もあります。
建物に瑕疵があった場合に、最大1,000万円まで修繕費をカバーできる保険です。買主にとって安心する材料にもなるため、築年数の古い建物を売却する際には活用するとよいでしょう。
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環境的瑕疵とは、土地やその周辺の環境に関する瑕疵のことをいいます。たとえば、近くに空港や踏切などの騒音施設や墓地や刑務所などの嫌悪施設がある場合です。
物理的瑕疵と同じように、事前に伝えることが一番の対処法ですが、環境的瑕疵の場合は売主が瑕疵と感じていない場合もあるでしょう。
たとえば近くに工場があって異臭がしても、売主自身は慣れてしまい瑕疵と感じていない場合もあります。環境的瑕疵のトラブルを防ぐには、不動産会社など第三者のアドバイスを聞いたうえで、買主に情報を伝えましょう。
売買契約を結んだ後の解除に関するトラブルは、契約に関するトラブルの代表といえるでしょう。
土地売買において契約を解除することは、違法ではありません。ただし、契約を解除する際には手付金での調整が一般的で、買主側からの解除であれば手付金を放棄、売主側からの解除は手付金の2倍を返金します。
つまり手付金の金額がそのままキャンセル料となるため、手付金の金額は重要です。低すぎては相手がキャンセルしやすくなりますし、高すぎては自分がキャンセルする際の支払いに困ることになります。適切な金額を設定しておけば、無用なトラブルを防げるでしょう。
不動産を仲介してくれる不動産会社に支払う報酬も、トラブルが多い項目です。仲介会社への報酬として仲介手数料を支払いますが、金額は下記のように定められています。
これは「上限の金額」のため、必ずしも上記金額になるわけではありません。逆に、上記金額を超えた金額を請求された場合は要注意です。よくあるケースとしては出張費やコンサル料などの名目で、仲介手数料とは別に請求されるケースです。
仲介手数料に含まれるのは「通常の仲介業務で発生する費用」とされています。そのため遠方に出向いてもらった場合の交通費は、上記で計算する仲介手数料に加えて実費で支払いが発生します。
一方で、悪質な業者の場合は実費交通費とは別に「出張費」や実態のない「調査費用」、「コンサル料」などの名目で仲介手数料に上乗せして請求してくるケースもあります。費用の内容はよく確認して、不明な場合は説明してもらうなど、安易に払わないことでトラブルを防げます。
参考:全宅連 ハトマークサイト 「買うときに知っておきたいこと」
土地売買でトラブルが起こった場合の相談先としては、下記があります。
それぞれ、相談先の特徴を紹介していきます。
トラブルが起こった際の最初の窓口ともいえるのが、不動産会社です。不動産会社は不動産の売買においてはプロのため、多くのトラブルに関する対処法を熟知しています。
トラブルの際には当事者同士で話すのではなく、間に不動産会社に入ってもらうとよいでしょう。
土地家屋調査士ADRも、よい相談先の一つです。土地家屋調査士は不動産調査や測量のプロのため、豊富な専門知識があり適切なアドバイスを受けられるでしょう。
また、ADRは裁判外で紛争を解決する手段として定着しているため、裁判のように時間がかからない点も特徴です。
国民生活センターは不動産にこだわらず、消費者全般の相談を受け付けてくれます。誰でもアクセスしやすく、公正な立場でアドバイスをしてくれる窓口です。
法テラスは誰でも法的トラブルを相談・解決ができるように、国によって運営されている窓口です。無料で相談をしてくれるため、気軽に相談できるのも特徴といえるでしょう。
司法書士は不動産登記に関するプロのため、トラブルの際の相談先としてはおすすめです。売買や抵当権設定など、不動産の権利関係の移転は司法書士がいなくては成り立たないため、多くの経験を積んでいます。
そのため、さまざまなトラブルに対して、中立的な意見をもらえるでしょう。
トラブルの相談先は多くありますが、どこに相談すればよいかわからない場合もあります。それぞれの相談先の特徴については下記サイトで詳しく紹介しているため、相談先を選ぶ際の参考にしてください。
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土地売買に関するトラブルは、事前の対策で防げます。具体的には、下記のような対策があります。
それぞれの対策について、詳しく解説していきます。
トラブルを防ぐ対策の一つは、契約不適合責任について理解することです。契約不適合責任とは、売買した物件に契約内容に適合しない瑕疵があった際に、売主側で負担する制度です。
買主からすると購入した後に瑕疵を発見した場合に、契約の解除や損害賠償請求額ができるため、トラブルを防ぐ対策になるでしょう。
不動産会社に気になることを伝えるのも対策の一つです。トラブルの多くは、わからないことや難しく不明確なことを、解決しないまま契約してしまった場合に起こります。
とくに初めて売買する方であれば、わからないことや気になることは多いでしょう。不動産会社の担当には気になる点はしっかりと伝えて、きちんと理解したうえで売買することがトラブル防止になります。
土地を売買する際には、名義や境界を明確にしておくこともトラブル防止の対策です。曖昧なまま売却をすると、売主は買主から損害賠償責任を問われる可能性もあります。
相続などで名義が分散しているのであれば正確な名義に登記して、境界が未確定であれば確定させた後に売却するようにしましょう。
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不動産会社による土地の買取を利用するのも、トラブル防止の対策です。不動産会社が買主の場合、売主の契約不適合責任は免除されます。そのため、一般の消費者に売却した場合のように、後でトラブルになることはありません。
ほかにも、仲介手数料がかからない、素早く売却できるなどのメリットがありますが、売却価格は低めになります。
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信頼できる不動産会社を選ぶことも、トラブル防止になります。土地の売買において不動産会社が行う役割は多岐にわたるため、親身になって対応してくれるかどうかは重要です。
対応のよくない不動産会社を選んでしまうと、こちらの希望を聞いてもらえないなどトラブルが起きやすくなります。不動産会社を選ぶ際には、必ず複数の会社を比較して信頼できる会社や担当を選びましょう。
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土地の売買は高額な取引になるため、トラブルが起きやすいです。しかし、本記事で紹介している対策をとることで、不動産トラブルは未然に防げます。
また、トラブルが起こってしまった場合でも、裁判だけではなく、筆界特定制度や土地家屋調査士ADRを活用すれば早期に解決できます。土地を売買する際にはしっかりと対策して、トラブルを防ぐようにしましょう。
監修者
東京を中心に、20年以上アパート・マンション建築賃貸業界に従事。
現場に密着した営業経験と建築知識、不動産知識を活かして業務に携わっている。
不動産投資家Kとその仲間たちでは、「資産運用に不動産投資を検討したい」「管理が大変なので、土地・建物を売却したいと思っている」など、土地・建物のさまざまなご相談を承っております。
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