賃貸併用住宅はやめとけ?危険と言われる理由と後悔しないためのポイント
賃貸併用住宅は、同じ建物のなかにオーナーが居住する自宅部分と、人に貸し出す賃貸部分が存在する住宅のことです。相続税や固定資産税の節税効果が期待できる一方で、「プライバシーの問題が発生しやすい」「利回りが低くなりやすい」などがデメリットとしてあげられます。 この記事では、賃貸併用住宅に興味を持っている人向けに、賃貸併用住宅の概要をはじめ、メリットやデメリット、そして後悔しないためのポイントなどについ...
不動産投資家K
投資を始めようと考えたとき、多くの人が最初に直面するのが、「不動産にすべきか?それとも株式か?」という選択です。どちらも資産を増やすための代表的な手段として知られており、それぞれに根強い人気があります。
不動産投資と株式投資は、リスク特性、収益構造、必要な資金や流動性といった点で本質的な違いがあります。本コラムでは、両者の特徴やメリット・デメリットを比較しながら、あなたに合った投資スタイルを見極めるためのポイントについて解説します。
まず注目すべきは、投資を始める際のハードルの違いです。この点においては、株式投資が圧倒的に手軽と言えるでしょう。ネット証券で口座を開設すれば、数万円から数十万円程度の資金からでも、すぐに取引を始めることが可能です。さらに、ETF(上場投資信託)や投資信託を活用すれば、より少額から分散投資ができ、初心者にも取り組みやすい環境が整っています。
一方で、不動産投資を始めるには、ある程度まとまった初期資金が求められます。購入時は物件価格以外にも手付金や仲介手数料、登記費用、不動産取得税(所有権移転登記後、おおむね6カ月前後)など多くの諸費用が発生し、融資を活用する場合は金融機関による審査を受け、その承認を得る必要があります。不動産の引き渡しまでには、数週間から数カ月を要するのが一般的です。
株式投資における平均的な利回りは、一般的に年率3〜7%程度とされています。配当金に注目した株式投資なら、日々の値動きに一喜一憂することなく、安定的な利益を得られます。ただし、運用スタイルや銘柄の選定基準は、100人いれば100通りの考え方があると言っても過言ではありません。
そのため、必ずしも期待通りにリターンが得られるとは限らない一方で、企業の成長や業績改善を背景に短期間で株価が10倍以上に上昇する、いわゆる「テンバガー」と呼ばれる銘柄が一定数存在します。銘柄選定次第では、大きな成果につながることもあります。
不動産投資は、適切に運用すれば年率5~8%程度の利回りを見込め、収益の安定性では株式投資よりも優れています。ただし、実際の利回りは物件の種類や個別条件によって異なり、たとえば「一棟か区分か」「新築か中古か」といった違いでも収益性は変動します。
もちろん、空室リスクや突発的な修繕費といった不確定要素は存在しますが、入居者の確保や資金計画をしっかりと行いつつ、安定したキャッシュフローの仕組みを構築することで、長期的かつ継続的な収益源を確保できます。
投資では、リスクを適切に管理するのはもちろんのこと、“+α”の視点から収益性を高める工夫を取り入れるのも大切です。
株式投資の代表的な税制優遇制度に「少額投資非課税制度(NISA)」があります。NISA口座を通じて上場株式や投資信託などに投資した場合、本来20.315%課税される売却益や配当金が非課税となることで、税負担を大幅に軽減できます。
不動産投資においては、レバレッジの活用や節税効果が魅力的です。金融機関からの融資を利用することで、自己資金を抑えながら比較的大きな投資規模を実現でき、資金効率を高めることが可能です。加えて、建物の取得費に基づく減価償却費をはじめ、ローンの利息、管理費、修繕費、火災保険料などの支出は、不動産所得に係る必要経費として認められており、これにより所得税や住民税の負担を軽減する効果が期待できます。
さらに、不動産は相続対策の観点からも有効です。相続税評価額は一般的に市場価格(時価)よりも低く算出される傾向があり、現金や有価証券と比べて相続税の圧縮効果が見込まれます。そのため、不動産は次世代への資産承継手段としても優れた選択肢となり得ます。
株式投資は「複利効果」を最大限活かすことで、運用益を再投資に回し、雪だるま式に資産を増やすことも目指せます。時間を味方につけた複利の力が、資産形成において大きな効果を発揮します。
また、配当金や株主優待を目的としたインカム重視の投資スタイルも、安定収益を求める投資家にとって有効な戦略と言えるでしょう。加えて、株式は売買が容易で流動性が高く、投資資金を短期間で現金化できる点もメリットです。
一方で、株式投資にはいくつかの注意点もあります。株価は日々変動しており、短期的な価格の上下(ボラティリティ)は避けられません。地政学的リスクや企業業績の影響を受けやすく、株式市場全体の相場地合いが不安定な局面では感情的な判断に陥りやすいため、冷静さと継続的なメンタル管理が求められます。
不動産投資の最大の魅力は、インフレ耐性と安定した家賃収入にあります。日々価格が変動する金融資産とは異なり、不動産は価格が比較的安定して推移する傾向があります。物価が上昇する局面においても、現物資産である不動産は実質的価値の目減りが起きにくく、インフレ耐性のある資産として機能します。
さらに、立地条件が良い不動産ほど資産価値は上昇しやすく、売却益(キャピタルゲイン)が期待できるケースもあります。法人化すれば所得分散や節税効果を狙うことも可能となり、金融機関からの融資を活用して自己資金以上の規模で投資を行えるのは、不動産ならではの強みです。
不動産投資のデメリットも明確です。最大の課題は流動性の低さが挙げられます。急に資金が必要になった場合でも、現金化には一定の期間を要します。また、変動金利で融資を受けている場合は、将来的な金利上昇によって返済額が増加し、キャッシュフローを圧迫するリスクも想定されます。物件選定で判断を誤ると、空室リスクが高まることも予想され、家賃の維持が難しくなれば収益の不安定化につながる可能性もあります。
それぞれの投資に向いているのは、どのような人なのでしょうか。
株式投資は少額から始めたい人や、日々のマーケット情報・企業業績をチェックするのが苦にならない人に適しています。株価は短期的には国内外のさまざまな要因で上下を繰り返しますが、長期的には企業業績に収束していく傾向があります。投資の時間軸は短期から長期までスタイルや運用目標によって異なり、投資家次第で自由度の高い運用が可能です。その一方で、投資を判断する際の情報過多による迷いや焦りもつきものです。価格変動に惑わされない精神力と、冷静な判断力の両方が求められるでしょう。
不動産投資は価格変動の少ない資産を好む人や、経営的視点をもって長期的に資産形成をしたい人に、適していると言えるでしょう。不動産選びにおいては、立地や利回りといった定量的な指標と、将来の資産価値という定性的な指標から、冷静に見極める力が求められます。金融機関の融資審査では、信用力が問われるほか、物件の収益性や資産性の高さが重視されます。購入後も物件管理を外部に委託することで、ほとんど手間をかけることなく、安定した収入の柱の一つとして機能します。
投資を始めようかと悩んでいる時間は、実際には機会損失を生んでいることに他なりません。資産規模、性格、ライフプラン、リスク許容度といった視点から、自分らしさを叶えられる最適な選択こそが、安定した資産形成への第一歩です。今日からでも、小さな一歩を踏み出してみましょう。
次回は、富裕層の投資戦略について、詳しくお伝えします。
執筆者
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP認定者、宅地建物取引士
水野総合FP事務所代表。東京理科大学理学部卒業。相談、執筆・監修、講演・講師、取材協力、メディア出演など多方面で活躍する独立系ファイナンシャルプランナー。テレビ朝日「グッド!モーニング」、BSテレ東「マネーのまなび」などに出演。NHK土曜ドラマ「3000万」の家計監修を担当。学校法人専門学校東京ビジネス・アカデミー非常勤講師。一般社団法人相続・事業承継コンサルティング協会会員。
<保有資格>1級ファイナンシャル・プランニング技能士|CFP認定者|宅地建物取引士|日本証券アナリスト協会検定会員補|証券外務員1種 ほか
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