賃貸人の修繕義務範囲はどこまで?設備が故障したときの責任や対処法
賃貸人は賃借人に対し、物件を使用・収益させるべき義務を負っており(民法第601条)、物件に不具合や故障が発生した場合には、適切に使用・収益ができるように修繕しなければなりません。修繕義務の範囲には個別判断が必要なことも多々あり、ケースごとの把握が必要です。 本記事では、賃貸人の修繕義務の範囲や設備が故障した場合の対応、賃貸人が負うリスクとその予防策について解説します。 ポイント 賃貸人は、賃借人が...
不動産投資家K
不動産投資の中でも比較的規模が大きく、本格的な手法とされるのが、一棟アパート・マンション投資です。初期費用も必要ですが、不動産投資ローンを活用すれば大きな投資も可能です。
この記事では一棟アパート・マンション投資の特徴やメリット・デメリットを詳しく解説します。
一棟アパート投資および一棟マンション投資は、どちらも建物を一棟まるごと所有して行う不動産投資の中でも比較的ダイナミックな投資手法です。
ここでは一棟アパート投資と一棟マンション投資に分けて、それぞれの投資手法の概要と特徴についてわかりやすく解説しましょう。
一棟アパート投資とは、数戸から十数戸、場合によって20を超える戸数があるアパート一棟を購入し、各戸を賃貸運用する投資手法です。土地付きで所有するケースが一般的であり、資産としての安定性も備えています。木造(W造)が多いですが、近年では軽量鉄骨造(軽量S造)や鉄筋コンクリート造(RC造)の物件も増えています。
区分マンション投資と比較されることが多いですが、区分投資の場合は建物全体を所有するのではなく、1戸から数戸だけを所有するところが決定的に違います。一棟アパート投資はリスクも大きくなりますが、リターンも大きく、積極派の投資家に向いています。
一棟マンション投資も一棟アパート投資同様、一棟まるごと所有する投資手法であり、投資の回収スキームやメリットとデメリットも基本的には一棟アパート投資と大きな違いはありません。
そもそもアパートとマンションの定義に明確な基準はなく、実のところ曖昧な分類とされています。
あくまで大まかな分類としては、建物の構造で区別されるのが一般的です。アパートと呼ばれる共同住宅は主に木造(W造)や軽量鉄骨造(軽量S造)が多く、2~3階建てが多い傾向にあります。一方、鉄筋コンクリート造(RC造)、重量鉄骨造(重量S造)、鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)で、3階建て以上の共同住宅はマンションと呼ばれるケースが多いです。
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構造の違いによって税法上の扱いが異なるため節税効果に違いが出るほか、戸数規模の違いが投資効率に反映する点などが、投資における違いにあげられます。
全般的には同じ手法でくくっても問題ないので、ここからは「一棟アパート・マンション投資」として話を進めます。
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不動産投資の数ある手法の中で、一棟アパート・マンション投資はより本格的な投資手法であり、ビジネス感が強くなります。そんな一棟アパート・マンション投資には、主に以下のような5つのメリットがあります。
個々のメリットを詳しく見ていきましょう。
投資効率という観点からは、区分マンション投資や駐車場投資など小規模な投資手法と比べて、圧倒的に優れています。その理由はシンプルで、投資で動かす資金規模が大きくなればキャッシュフロー、つまり収入の入り方のスケールも大きくなるからです。
経済学的にいえば「規模の利益」または「スケールメリット」があります。つまり、大規模な資産形成を少ない手間でできるということです。
一棟アパート・マンション投資は多くの戸数から賃貸収入が入るため、毎月の収益が比較的高額になりやすいです収益がかなり高額になります。そのため、資金回収やローンの返済も区分マンション投資に比べて早く進んでいきます。
順調に収益が上がれば繰り上げ返済をして残債をどんどん減らし、一定の返済実績ができれば、復活した融資枠で次の投資物件の購入にも挑戦することができます。結果として、資産形成はスピーディに進んでいくのです。
区分マンション投資では、特に初期の段階に、空室率が高まると収入に対してのダメージが大きいので空室リスクは深刻な問題です。しかし、一棟アパート・マンション投資は初期段階から複数戸を同時に運用するため、基本的に空室リスクを分散・吸収しやすい特性があります。
仮に一部に空きが出てしまっても、一棟の全体としての賃貸経営が順調に回っている限り資金が枯渇することはありません。空室が出た時は、速やかに対応し次の入居者を早く確保することにさえ気をつければ、大きな影響を出さずに経営を続けられるでしょう。
一棟アパート・マンション投資では、物件全体を所有するため、オーナーの意志を反映した戦略を自由に実行しやすいといえるでしょう。オーナー自身が決定およびコントロールできる要素が多いため、経営の自由度は高くなります。
一方、区分マンション投資では、所有範囲が戸単位に限定され、建物全体の方針に関与することができないため、経営判断に制約があり自由度が下がります。
自由度が高い一棟投資は、空室率を下げる工夫や賃料アップの施策などを積極的に取り入れることができるので、柔軟な対応で経営のリスクを避けて進むことができます。
一棟アパート・マンション投資では購入費用や運用中の維持費用などを経費として計上できるため、節税効果が高いです。
また、木造(W造)のアパートの場合は鉄筋コンクリート造(RC造)、鉄骨造(S造)、鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)に比べて、減価償却費を大きく計上することができます。賃貸住宅用物件の場合、木造(W造)は耐用年数が22年と他よりも短く、同じ購入費であれば1年あたりに計上できる費用が大きくなるからです。それだけ、所得税・住民税の節税効果も高いといえるでしょう。
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一棟アパート・マンション投資には前述のようなさまざまなメリットがある一方で、以下のような主に5つのリスクが存在します。
個々のリスクに目を向けてみましょう。
一棟アパート・マンション投資は扱う戸数が多い分、周辺地域の環境が変わったことによる需要の変化の影響を受けやすく、対応がしにくいといわれています。
一般的に周辺地域の環境にマイナスの変化があると、それまで需要のあった物件の入居希望者が減少し、賃貸経営に影響するので注意が必要です。
区分所有であれば、複数エリアに物件を分散させることでリスク分散が図れますが、一棟投資ではどの部屋も同じような間取りと設備のことが多く、同じようなタイプの入居者をターゲットとして想定しています。エリア内で大きな変化が起きると、一棟全体の需要が落ち込んでしまうリスクは否めません。
不動産投資においては、物件があるエリアの賃貸料相場や入居需要を入念にリサーチすることが欠かせません。入居候補者はファミリーなのか単身者なのか、どういった間取りや設備の部屋を好むのか、どのようなライフスタイルなのかによって物件候補が大きく異なります。
候補エリアについて充分なリサーチをし、よく吟味しなければ、適切な間取りや設備を判断することはできません。
一棟投資は資金投入が大きくなるため、中途半端なリサーチでは入居者が集まらず苦しむ結果となってしまうでしょう。投資判断は難しいので、あらゆる情報を精査し、周到に調べて取り組むことが望まれます。個人でリサーチを行う自信がない場合はプロに相談すると良いでしょう。
不動産を所有する場合、地震保険や火災保険に入ることが一般的です。万が一被災した場合、保険に入っていても想定以上の自己弁済を強いられることもあるでしょう。一棟アパート・マンションの場合は、物件規模が大きいため支出規模も大きくなります。
特に地震に伴う液状化現象は厄介です。基礎工事の時点で万全な設計がなされていない限り、液状化による土地の劣化を防ぐことは難しいでしょう。いったん液状化現象が起きてしまうと、そのエリア全体の賃貸料相場に影響が出ることもあります。
相場が大きく下がってしまう場合、区分投資に比べて一棟投資のほうが、ダメージが大きくなりがちです。 リスクを抑えるためにも、購入前にはしっかりとハザードマップなどの確認を行い、適切な防災対策を施しましょう。
不動産投資を始める際は、おおむね物件価格の15~30%の自己資金を準備するのが妥当とされています。言い変えれば、自己資金の額によって、どのレベルの投資物件を取得できるかが絞られてきます。
一棟アパート・マンションを取得する場合に妥当な自己資金は500万〜2,000万円程度です。区分マンションなら100万円の自己資金でも開始できる場合もあるため、一棟アパート・マンション投資の資金的なハードルはかなり高めといえるでしょう。
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一棟アパート・マンション投資は投資額が高額なため買い手がつきにくく、市場での売買の流動性は低くなりがちです。そのため思い通りに売却できないリスクがあり、出口戦略が難しいといえるでしょう。
また、売り出してから売却までの期間が長くかかるので、資金回収までの期間も長くなるおそれがあります。売却で得られる資金を別の投資に向けたいと考えていても、思う通りに売却できなければ投資機会を逃すことになる可能性もあります。
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一棟アパート・マンション投資は、安定した家賃収入を見込める一方で、先ほど紹介したようなリスクもあります。ここからは、一棟アパート・マンション投資に向いている人の特徴について解説します。
高い節税効果が期待できる人は、一棟アパート・マンション投資に向いています。一棟アパート・マンション投資を活用して、高い節税効果を得るには、ある程度の年収が必要です。具体的には、年収1200万円以上が基準になります。
年収が1200万円の人の課税所得は900万円程度ですが、以下の表からわかるように給与所得にかけられる税率は900万円をボーダーに大きく変化します。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1000円〜194万9000円 | 5% | 0円 |
195万〜329万9000円 | 10% | 9万7500円 |
330万〜694万9000円 | 20% | 42万7500円 |
695万〜899万9000円 | 23% | 63万6000円 |
900万〜1799万9000円 | 33% | 153万6000円 |
1800万〜3999万9000円 | 40% | 279万6000円 |
4000万円以上 | 45% | 479万6000円 |
課税所得が900万円以上の人は、一棟アパート・マンション投資を行い、課税所得を減らすことで、大きな節税効果が得られます。
たとえば、アパート経営をしていない課税所得が900万円の人の税額は、以下のとおりです。
900万円 × 33% − 153万6000円 = 143万4000円
一棟アパート・マンションを購入し、減価償却を活用すれば、実際のキャッシュフローを維持しながら税負担を軽減できます。もし減価償却や修繕費などで赤字が100万円発生した場合、税額は以下のようになります。
(900万円 − 100万円)× 23% − 63万6000円 = 120万4000円
上記のように、アパート経営の有無によって20万以上の節税が可能です。
不動産投資にあまり時間をかけたくない人も、一棟アパート・マンション投資に向いています。区分所有で複数の部屋を持っている場合、物件ごとに管理会社が異なり、やりとりも複雑になりやすい傾向にあります。
しかし、一棟所有であれば建物全体を1つの管理会社にまとめて委託できるため、時間効率もよく、オーナー自身の業務負担を減らすことが可能です。
一棟アパート・マンション投資は、年収が1200万円以上の人や、不動産投資にだけ時間をかけたくない人には向いています。しかし、いざ投資を始めようと思っても、何から手をつければよいのかわからない人もいるでしょう。
一棟アパート投資を始める流れと、それぞれのステップのポイントについて解説します。
アパート投資に限らず、投資において重要なのは、投資を行う目的を明確化することです。目的が曖昧なまま投資を始める方も少なくありませんが、株式をはじめとする金融商品と異なり、不動産は簡単に売却できません。
そのため、長期的な投資戦略を考える必要があります。しかし、目的が不明瞭だと、適切な投資戦略を立てることができません。
その結果、一貫性のない投資を繰り返し、何の成果も得られず資金だけが流出する事態になる可能性もあります。目的が明確になれば、投資戦略がより具体的に描けるようになり、エリアや物件種別、規模感の選定を適切に行えるようになるでしょう。
また、堅実でリスクの少ない投資を目指すのであれば、現在の資産状況や収支バランスを把握することも重要です。特にアパートローンを利用する場合、収支バランスが悪いと審査に影響が出るため、注意してください。
投資の目的の明確化、そして現状の把握ができたら、次は物件や周辺エリアに関する情報収集を行いましょう。家賃水準や空室率はエリアによって大きく異なるため、最新の賃料相場や競合物件の動向を調査する必要があります。
物件や周辺エリアの情報を収集する場合は、不動産ポータルサイトや不動産会社、業界新聞、物件資料などを活用するとよいでしょう。ただし、ポータルサイトに掲載されている不動産のなかには、投資商品としての価値が低いものもあります。そのため、すべての情報を鵜呑みにせず、あくまで参考情報として利用しましょう。
また、調査の際には、消費者物価指数や地域差指数などのデータを参考にすることで、より適切な賃料設定が可能になります。
さらに、現地調査も欠かせません。インターネットや紙の資料だけではわからない、リアルな地域の雰囲気や住環境などに関する情報を多く得られます。入居者が住居選びで重視するポイントである地域の治安、交通の利便性、騒音の有無などはしっかりチェックしておきましょう。
情報収集が終わり、購入したい物件が決まったら、速やかに買付申込書を提出しましょう。買付申込書とは、不動産の購入を希望している人が作成し、売主や売主側の不動産会社に対して提出する書類です。
人気エリアや好条件物件は競争が激しいため、意思決定のスピードが遅いとほかの購入希望者に買われてしまう可能性も否定できません。買付申込書を提出すれば、明確に購入の意思を伝えられるため、優先的に交渉しやすくなります。
なお、買付申込書に法的効力はなく、事情が変わった場合はあとから取り下げることも可能です。しかし、損害賠償請求をされたり、売主や不動産会社の信用を失ったりするリスクがあるため、慎重に判断しましょう。
買付申込書の提出が済んだら、次は金融機関へ融資の事前相談、および申込を行いましょう。融資の申し込みをする際は、以下のような書類を用意する必要があります。
上記書類の一覧はあくまで一例であり、利用する金融機関によって必要な書類は異なる点に注意してください。正確な情報を知りたい場合は、金融機関の公式サイトやパンフレットをチェックしたり、担当者に直接確認したりしましょう。
条件交渉や重要事項説明を経て、無事に売買契約を締結できたら、速やかに運用を開始しましょう。特に初期段階では、賃料設定や入居者募集、管理体制の構築などが運用のポイントとなります。
なお、管理体制については、不動産経営の経験が浅い人や本業が忙しく時間がとれない方は、管理会社に委託する方法もあります。円滑な対応が期待できるのはもちろん、精神的なプレッシャーからも解放される点もメリットです。
ただし、管理費の負担が発生するほか、管理会社との相性が悪いと思わぬトラブルを招く可能性がある点に注意してください。
一棟アパート・マンション投資は、不動産投資の初心者であっても、基本的な手順を押さえることでスタートしやすい手法の一つです。ただし、手順を誤ったり、重要なポイントを見落とすと失敗するケースもあるため、注意が必要です。
以下では、初心者が陥りやすい一棟アパート・マンション投資の失敗例について解説します。
一棟アパート・マンション投資でありがちな失敗として、利回りの数字を過度に重視することがあげられます。投資において利回りは重要な指標ですが、利回りだけで判断すると、投資の失敗につながりかねません。
たとえば、土地値の安い地方や郊外の物件は、物件価格が安いため利回りが高くなります。しかし、利回りが高くても、肝心の物件の立地や使い勝手が悪く、入居希望者が現れなければ、いつまで経っても収入は得られません。
一方、東京都23区をはじめとする首都圏は、土地値が高いため利回りは低くなります。しかし、利便性が高いエリアのため入居者が集まりやすく、安定した家賃収入を得やすい傾向にあります。
このように、物件を選ぶ際は利回りだけでなく、あらゆる要素を精査しましょう。
営業担当者の説明だけを信じ、安易に物件を購入するのも、投資の失敗につながりやすいパターンです。営業担当者は不動産に関する専門知識や経験を持っており、頼りになる存在です。
しかし、なかには、営業成績を上げることを優先するあまり、物件のリスクや将来性について十分に説明しないケースもあります。
投資判断を他人任せにせず、自分自身でも物件の相場を調べたり、収支のシミュレーションを行ったりすることが大切です。また、複数の不動産会社や情報源から比較検討し、多面的・客観的に判断する姿勢をもつことが失敗を避けるポイントです。
一棟アパート・マンション投資において、物件は複数所有している方が望ましいとされています。複数の物件を所有することでリスクを分散できたり、効率的な不動産経営ができたりするためです。
複数の物件を所有するには、一棟目の物件選びが重要です。一棟目で安定した家賃収入を得ることができ、良好なキャッシュフローを維持できれば、金融機関からの評価も高まり、二棟目以降の融資を受けやすくなります。
しかし、一棟目の投資で失敗すると金融機関の信用が下がり、追加融資が難しくなる可能性があります。物件を購入する際は、収益性や立地を十分に吟味し、追加投資が困難にならないようにしましょう。
物件を購入して、すぐに多額の修繕費用が必要になる場合もあります。修繕が必要なケースとして、以下のような状況が考えられます。
これらのトラブルによって予想外の出費が発生した結果、資金繰りが苦しくなり、不動産経営に影響が出る可能性もあります。
そのため、物件の購入前に、修繕が必要になる部分がないかしっかり調べておきましょう。具体的な方法として、不動産会社の営業担当者に物件に問題点がないか尋ねる、専門家に依頼して検査をしてもらう、直接足を運んで自分の目で確かめるなどがあげられます。
また、購入した物件に問題がなくても、長期的な維持管理計画を立て、必要な積立やリスクヘッジを行ってください。一般的な対策として、火災保険や地震保険への加入、修繕積立金の設定などがあげられます。
一棟アパート・マンション投資を始めるにあたって、適切な物件を選ぶのは簡単ではありません。投資経験が浅い初心者であれば、なおさらでしょう。
一棟投資用物件を選ぶ際の具体的なポイントとそれぞれのポイントの重要性について解説します。
一棟投資用物件を選ぶにあたっては、想定するターゲット層のニーズに合致した立地や設備であるかどうかを確認することが大切です。ターゲット層によって物件に求める条件は異なります。
ファミリー向け | ・家事用の充分な設備や広いスペース ・収納の多さ ・周辺地域の治安のよさ |
一人暮らし向け | ・生活圏内にコンビニやスーパーがある ・初期費用の安さ(敷金や礼金がない) ・都心へのアクセス ・周辺地域の治安のよさ |
一人暮らしの女性向け | ・セキュリティ対策の充実度 |
ペットを飼いたい人向け | ・ペット用足洗い場やグルーミングスペースなどのペット関連設備 |
高齢者向け | ・バリアフリー設計 ・静かな周辺環境 |
駅近や生活利便性の高いエリアは、特に人気で賃料も高くなる傾向があります。
一棟投資用物件を選ぶ際は、交通の利便性をチェックしましょう。アパートやマンションを探す人の多くは、交通の利便性を重視しています。
もし同じ間取り、同じ家賃の物件があったとして、片方が駅まで徒歩5分、もう一方が駅まで徒歩20分の場所にあれば、ほとんどの人は駅まで徒歩5分の物件を選択するでしょう。駅徒歩10分以内の物件は競争力が高く、空室リスクを軽減できます。
また、主要な駅へのアクセスや周辺インフラも、賃料設定に直結する要素です。実際に物件を購入する前に、周辺を散策してみて、生活のしやすさを確認しておくのをおすすめします。
中古物件の場合は、適切な手入れ、およびメンテナンスが実施されているかもしっかり確認してください。一見問題がなさそうな建物でも、内部構造が老朽化しており、危険な状態になっているケースもあります。
もし手入れやメンテナンスが行われていない物件を購入してしまった場合、余計な修繕費がかかってしまいます。そのため、維持管理費の見積もりや過去の修繕履歴を必ず確認しましょう。
また、購入後も定期的な修繕、リフォームは必要です。適切なメンテナンスを実施すれば、中古物件であっても入居者満足度や賃料水準を維持できるでしょう。
耐震性の有無は、物件選定の重要な判断基準です。特に1981年以降の新耐震基準を満たす物件は、震度6〜7の地震が発生しても簡単に倒れない強度を有しているため、金融機関の融資審査や入居者の安心感にも大きく影響します。
そのため、必ず購入を検討している物件の築年数をチェックし、新耐震基準を満たしているか調べるようにしましょう。なお、旧耐震基準の物件であっても、耐震補強工事を実施しているか、耐震基準適合証明書を取得していれば、現行の耐震基準を満たしていると考えて問題ないでしょう。
一棟アパート・マンション投資は、不動産投資の中でも事業性の高い手法で、戦略次第では大きな収益を見込める魅力があります。その一方で、物件選びや資金計画を誤るとリスクも大きく、慎重な判断が求められます。だからこそ、正しい知識を身につけ、自ら検証・判断する姿勢が重要です。
不動産投資を検討している皆さんはここで紹介した情報も参考にしながら、一棟アパート・マンション投資を選択肢のひとつとして、前向きに検討してみてはいかがでしょうか。
監修者
宅地建物取引士
大手ハウスメーカーにて従事した後、不動産会社で土地の仕入れに携わる。建築知識と経験を活かした不動産売買にまつわる問題解決を得意としている。
不動産投資家Kとその仲間たちでは、「土地を相続する予定だけど、どうすれば良いか検討している」「管理が大変なので、土地を売却したいと思っている」など、土地・建物のさまざまなご相談を承っております。
あなたやあなたの家族の大切な資産を有効に活用できるよう、お気軽にご相談ください!
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