不動産クラウドファンディングのデメリットって? メリット・デメリットどちらも理解しよう

カテゴリ
買う  お金のこと 
タグ
不動産投資  不動産クラウドファンディング 

不動産投資家K

B!

不動産クラウドファンディングのデメリットとしては、レバレッジ効果を期待できない点や原則として運用期間中に解約できない点があげられます。もちろんメリットもあり、双方を理解することが必要です。

不動産クラウドファンディングのメリット・デメリットを比較した上で、どのような人に向いているのかを解説します。

ポイント

  1. 不動産クラウドファンディングにはレバレッジ効果を期待できない、運用期間中に解約できないなどのデメリットがある
  2. 不動産クラウドファンディングには少額から始められる、不動産管理面で手間がかからないといったメリットもある
  3. メリットやデメリットを踏まえると、不動産クラウドファンディングは手間をかけたくない人や少額から始めたい人に向いている手法

不動産クラウドファンディングの6つのデメリット

不動産クラウドファンディングには、いくつかのデメリットが存在します。主なデメリットは以下の6つです。

  1. レバレッジ効果を期待できない
  2. 運用期間中に解約できない
  3. 元本割れや貸倒れの可能性がある
  4. 応募が殺到すると出資できない可能性がある
  5. 損益通算や繰越控除の制度は利用できない
  6. 広告だけで判断しがちになる

各デメリットを解説します。

レバレッジ効果を期待できない

不動産クラウドファンディングは全額自己資金から投資しなければならず、レバレッジ効果が期待できない点がデメリットです。不動産クラウドファンディングの出資額に対して、基本的に金融機関は融資しません。

ちなみに、レバレッジ効果とは少額の投資金額でその何倍ものリターンを期待できることを指します。現物不動産投資の場合、金融機関の不動産投資ローンを利用できることから、少ない自己資金でもレバレッジ効果が期待できます。

運用期間中に解約できない

運用を始めると、急な出費の必要が生じても出資金をあてにできない点が不動産クラウドファンディングのデメリットです。多くの不動産クラウドファンディングは、運用期間中の中途解約に対応していません。

事業会社によっては、中途解約を認めているケースもありますが、中途解約にあたって事務手数料がかかったり、条件次第で解約を留保されたりする点に注意が必要です。

証券取引所を通じて売買できるREIT商品と比べ、不動産クラウドファンディングは流動性の低い商品といえるでしょう。

元本割れや貸倒れの可能性がある

案件の進捗や業績次第で出資した金額が元本割れすることがある点も、デメリットのひとつでしょう。不動産クラウドファンディングは、預貯金とは異なり元本保証されるものではありません。

また、投資対象の不動産の所有権は事業者にあります。そのため、万が一事業者が倒産して債務不履行となった場合、元本がまったく戻ってこない場合もありえます。

応募が殺到すると出資できない可能性がある 

不動産クラウドファンディングでは、案件ごとに募集金額や口数が決まっています。せっかく興味を持ったプロジェクトでも、投資家の応募が殺到すると出資できない場合がある点がデメリットとしてあげられます。

募集枠を超える申し込みがあった場合は、抽選や先着順で出資者が決まります。特に、高利回りが期待できる物件には応募が殺到しやすいため注意しましょう。

損益通算や繰越控除の制度は利用できない

不動産クラウドファンディングで受け取る分配金は、雑所得として所得税や住民税が源泉徴収されます。基本的に、税制上の優遇制度を利用できない点がデメリットです。

それに対して現物不動産投資の場合、不動産で発生した損失を給与所得から差し引くことができます。また、上場株式や投資信託で運用する場合は、発生した損失を、翌年以降3年にわたり上場株式等の譲渡所得や配当所得からから控除することが可能です(繰越控除)。

参考:国税庁「損益通算」
国税庁「上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除」

広告だけで判断しがちになる

広告に記載されている魅力的な数字だけで判断しがちになる点がデメリットにあげられます。不動産クラウドファンディングは、インターネット上の宣伝活動が中心で、わかりやすいことや魅力的な数字などを全面に押し出す傾向があるからです。

魅力的に見える点だけでなく、エリア・周辺状況・築年数といった物件そのものの概況にも目を向けていかなければなりません

不動産クラウドファンディングの5つのメリット

もちろん、不動産クラウドファンディングには、いくつものメリットもあります。主なメリットは以下の5つです。

  1. 少額から投資を始められる
  2. 不動産管理や運用の手間がかからない
  3. 預貯金と比べると利回りが高い
  4. 分散投資でリスクを軽減しやすい
  5. 社会貢献にもつながる

各メリットを解説します。

少額から投資を始められる

クラウドファンディングは、少額から気軽に不動産投資を始めやすい点がメリットです。サービスによっては、1万円から始められるものも存在します。

一方、現物不動産投資は最低でも数百万円から、物件によっては数千万円の資金を用意しなければなりません。商業施設などへの大規模な不動産投資であれば、億単位の資金が必要とされます。

不動産管理や運用の手間がかからない

不動産クラウドファンディングでは、事業者が管理・運用を行うため、投資家側の手間がかからない点がメリットです。一方、現物不動産投資の場合は、物件購入後、入居者募集や管理・修繕・メンテナンスなどの手間や費用がかかります。

不動産クラウドファンディングであれば、副業で不動産投資を考えている方にとって本業に支障をきたす可能性が低いでしょう。

預貯金と比べると利回りが高い

不動産クラウドファンディングは、預貯金と比べると利回りが高い点がメリットです。日本では長年低金利の状態が続いており、預貯金へのリターンはほとんど見込めません。

たとえば、ゆうちょ銀行の1年満期定額貯金利率が0.002%(2022年5月30日現在)であるのに対し、不動産クラウドファンディングでは、数%単位の利回りが期待できます。

参考:ゆうちょ銀行「金利一覧」

分散投資でリスクを軽減しやすい

ひとつの物件に集中せずに幅広い種類の物件に分散投資することで、リスクを軽減しやすい点も不動産クラウドファンディングのメリットにあげられます。すでに紹介した通り、不動産クラウドファンディングは少額から始められるからです。

不動産クラウドファンディングだけでなく、株式や債券など別の金融商品にもあわせて投資すれば、さらなる分散投資効果を期待できます。

社会貢献にもつながる

単に投資目的だけでなく、社会貢献を目的とした対象物件を探せる点も不動産クラウドファンディングのメリットです。保護犬・保護猫向け共生マンションや地方創生につながるような物件などを対象とする、社会貢献を目的としたファンドも存在します。

また、新興国の物件に投資することで、現地の発展につなげる不動産クラウドファンディングも存在します。

不動産クラウドファンディングに向いている人

メリットとデメリットを踏まえ、不動産クラウドファンディングに向いているのは、手間をかけずに少額から不動産投資を始めたいと考えている人です。また、投資する物件を自分で決めたいと考えている人にも向いています。

さらに、社会貢献につながる物件も多いため、社会を良くすることを目的のひとつに考えたいという人にもおすすめです。

まとめ

不動産クラウドファンディングのデメリットは、金融機関から借入ができずレバレッジ効果を期待できない点、運用期間中に解約できない点、元本割れや貸倒れの可能性がある点などです。一方で、少額から投資を始められる点や、不動産管理や運用は事業者が行う点、預貯金と比べると高利回りである点がメリットとしてあげられます。

できるだけ手間をかけずに少額から不動産投資を始めたいという方や、自分で投資物件を選択したいという方は、不動産クラウドファンディングを検討してみてはいかがでしょうか。

監修者

赤井 祐貴

略歴
大手通信会社にて経理、経営企画、事業会社投資を担当。2019年より不動産会社の経営企画部にて計数管理、アライアンス企画、事業開発、M&A等に携わっている。

関連記事

アパート経営の収支シミュレーション!利益を最大化するコツと計算方法

アパート経営者にとって、適切な収支計算は欠かせません。収支計画書を作成し、アパート購入時や物件の運用に役立てましょう。 この記事では、アパートの収支計算における利回りの計算方法や収支計画書の書き方と注意点のほか、利回りを高く維持するポイントも解説します。 ポイント アパート経営の収支計算には「実質利回り」を用いる 賃料・稼働率・空室率・修繕費の目標数値設定は特に重要 物件の立地選び・早期の空室対策...

家賃収入は副業になる?会社に知られる原因や対処法と4つのポイント

副業として不動産投資を検討している会社員の方も多いでしょう。しかし、会社が副業を禁止しており、不動産投資を始めるべきか悩んでいる方も少なくありません。 副業禁止の会社でも、不動産投資は認めてくれるケースが多いです。今回の記事では不動産投資のメリット・デメリットや会社に知られたくない時の対処法などについて紹介します。 \収益物件の購入を検討している方へ!「購入検討チェックリスト」配布中/ 無料ダウン...

不動産投資ローンの借り換えのコツは?メリットやデメリットと注意点

ローンの借り換えとは、現状の借り入れ(ローンの残高)をすべて返済するために、別の金融機関から借り入れる(ローンを組む)ことをいいます。不動産投資において、上手に借り換えを利用すると返済金額を減らせる場合があります。ただし、かえって不利になることもあるので十分な注意が必要です。 ここでは、不動産投資ローンにおける借り換えのしくみや、借り換えが必要となるケース、メリット・デメリットとコツ、手順を解説し...

【2025年最新】建築資材高騰はいつまで続く? 8つの要因と建築費の動向

近年、不動産投資家の頭を悩ませてきた建築資材の高騰。一部資材の価格の高騰は落ち着いてきているものの高止まりの状態、そして円安やエネルギー価格の高騰は依然として続いています。さらに、建設業や物流業をめぐる2024年問題・2025年問題はより深刻な状況となっています。 この記事では、建築資材・建築費高騰の現状や今後の動向について解説します。 ポイント 建築資材の高騰は、円安やウッドショックなど主に8つ...

アパート一棟買いの失敗を防ぐポイント!失敗しやすい人の特徴や対処法

賃貸アパートを一棟購入もしくは新築するアパート一棟買いは、多額の初期費用がかかるために、失敗すると大きな損失を抱えてしまう恐れがあります。失敗を防ぐには、事前の需要調査や資金計画、そして賃貸経営を事業として主体的に取り組むマインドが必要です。 本記事では、アパート一棟買いの失敗理由や失敗しやすい人の特徴を押さえたうえで、失敗を防ぐためのポイントをご紹介します。 ポイント アパート一棟買いは、土地や...

木造アパートの耐用年数が過ぎたら?対処法や寿命を延ばすポイント

木造アパートの耐用年数は、法令では22年と定められています。これを「法定耐用年数」と言い、法定耐用年数が過ぎてしまうと、融資を受けづらくなる、売却が困難になるなど、さまざまなリスクの原因となります。 本記事では、木造アパートの法定耐用年数について解説します。 ポイント 木造アパートの法定耐用年数は22年 法定耐用年数が過ぎた木造アパートは税金が高くなる、売却の難易度が高くなるなど、さまざまなリスク...

アパート経営の利回りの計算方法や目安は?理想の利回りを把握しよう

アパート経営において、利回りは重要な指標のひとつです。ただし、指標として正しく活用するためには、利回りの意味や計算方法を把握しておく必要があるでしょう。 この記事ではアパート経営の利回りの種類や計算方法、理想の利回りや最低ラインなどについて解説します。 ポイント 利回りは、計算方法によって表面利回り・実質利回り・想定利回りなど複数ある アパート経営において利回りは重要だが、単純な利回りの高さではな...

【アパート経営】利回りの最低ラインとは?不動産投資で失敗しないために

投資効率の指標として利回りが重視されますが、利回りはどれくらいあれば良いのでしょうか。 不動産投資において利回りは重要ですが、ほかの指標も参考にする必要があります。今回の記事では利回りの種類や目安について、詳しく紹介します。 ポイント 利回りとは投下した資本に対するリターンを数値化したもの 不動産投資における利回りは条件によって変わる 利回りだけではわからないリスクもあるため、利回りだけで判断しな...

相続税対策に不動産を活用するメリットとは?具体的な節税方法と注意点

相続対策の一環で不動産の購入を考えている方も多いでしょう。しかし、不動産を買うといっても多くの物件があり、どのような物件を買えばよいか悩んでしまいます。 相続対策での不動産は、賃貸用の物件が効果的です。今回の記事では相続税対策で不動産を活用する意味や、具体的な活用方法について詳しく紹介していきます。 ポイント 相続税対策には、賃貸用不動産の購入が効果的 賃貸用不動産を購入する際には、節税効果だけで...

不動産投資が相続税対策になる?節税方法と不動産投資のポイント

不動産投資は、相続税評価額を下げることにつながるため相続税対策になります。また、自分に万が一のことがあった際に、家族が引き続き家賃収入を得られる点もメリットです。本記事では、不動産投資と相続税対策の関係や、相続税評価額の計算方法について解説します。 ポイント 現金を不動産に変えることで相続税評価額を下げられるため、不動産投資は相続税対策として有効 相続税対策として不動産投資をはじめると、インフレに...