アパート・マンションの法定点検とは?種類や注意すべきポイント
アパート・マンションのオーナーは、法律により、物件の法定点検が義務づけられています。実施を怠った場合、罰金が科される恐れがあるため、注意が必要です。 この記事では、アパート・マンションの法定点検の具体的な内容・実施すべき頻度や依頼方法、注意点などを解説します。ぜひ参考にしてください。 ポイント 法定点検とは、建物や付帯設備に関する法律で義務付けられている点検のこと 管理会社に専門業者の手配を委託す...
不動産投資家K
条件を満たせば、不動産投資にノンリコースローンを利用できます。返済が困難になっても、責任範囲が対象物件に限定される点がノンリコースローンの特徴です。本記事では、不動産投資におけるノンリコースローンの仕組みだけでなく、利用時に注意しておく点についても解説します。
ノンリコースローン(Non Recourse Loan)とは、特定の不動産価値を責任の上限とするローンのことです。返済が困難になっても、ローンを利用した不動産以外に債権の取り立てが及ばない(非遡及)ため、非遡及型融資と呼ばれることもあります。
ここでは、ノンリコースローンの仕組みや、日本の住宅ローンとの違いなどについて説明します。
ノンリコースローンの仕組みを理解するためには、まず利用される場面の多い不動産証券化について把握しておかなければなりません。不動産証券化とは、土地や建物などの不動産から生じる賃料や売却益を原資に証券を発行し、不動産に流動性や換金性を持たせる仕組みを意味します。
不動産証券化では、まず不動産に投資する企業(オリジネーター)が100%子会社の特定目的会社(SPC:Special Purpose Company)に対して不動産を売却します。SPCとは、不動産保有・管理など限定された目的のために設立する法人のことです。
ノンリコースローンを利用する場合、金融機関は不動産に投資する企業(オリジネーター)ではなく設立されたSPCに対して融資を行いします。そのため、SPCが倒産したとしても、金融機関はオリジネーターに対して責任を追求することができません。
SPCが倒産した場合、株主であるオリジネーターが責任を負う範囲は出資金に対してのみです。金融機関は、対象不動産からの収益や売却代金から滞った返済を回収することになります。
続いて、個人がアパート経営でノンリコースローンを利用するケースを考えてみましょう。
まず、金融機関のノンリコースローンを利用し、アパートを購入します。アパート経営開始後、ノンリコースローンの返済原資となるのが家賃です。
万が一家賃収入が毎月の返済額を下回るようになり、不動産を売却せざるをえなくなったとしても、借主はローン残高と売却額の差額についての責任は問われません。
日本で居住目的の不動産を購入する際に利用する住宅ローンは、リコースローンであることが一般的です。リコースローンを利用して返済が滞った場合、借主は対象不動産だけでなく、他の財産に対してまで責任を追求されるおそれがあります。
つまり、ノンリコースローンは責任が限定されるのに対しリコースローンは限定されない点が主な違いです。ノンリコースが「不動産」に対する融資で、リコースローンが「人」に対する融資ととらえることもできるでしょう。
こちらの記事もおすすめです
米国に比べ、日本ではまだノンリコースローンが普及していません。融資審査において、個人の年収や勤務先といった「個人属性」に重点を置いている点が普及を妨げる理由として考えられます。
融資する際、不動産を適正に評価する能力やリスク回避の判断能力がなければ資金を回収できなくなるおそれがある点も、金融機関がノンリコースローン導入に積極的ではない理由のひとつでしょう。
ノンリコースローンは、三菱UFJ銀行やみずほ銀行、三井住友信託銀行などで取り扱いがあります。ただし、ノンリコースローンの取り扱いがあっても、その多くが法人向けである点に注意が必要です。
「ノンリコース」との表記はありませんが、責任財産限定特約を締結するとの記載がある三井住友銀行の「直担アパートローン(責任財産限定特約型)」は、国内で数少ない個人向けノンリコースローンといえるでしょう。
参考:三菱UFJ銀行 不動産ファイナンス
みずほ銀行 不動産ファイナンス
三井住友信託銀行 不動産ファイナンス業務
不動産投資にあたり、ノンリコースローンを利用すべきか判断できない場合は、メリットとデメリットを比較してみましょう。
借り手はノンリコースローンを利用することで、以下のメリットがあります。
リコースローンの場合は、金融機関が個人の返済能力を中心に審査可否を判断する一方、ノンリコースローンでは物件の収益性に焦点を当てて判断します。審査基準が異なるため、収入が低くリコースローンの審査に通らなかった方でもノンリコースローンでは承認となる可能性がある点がメリットです。
ただし、ノンリコースローンでも個人の属性は勘案されるため、必ずしも審査が通るわけではありません。
ノンリコースローンでは、返済の責任の範囲が限定されます。そのため、万が一返済が困難な状況になったとしても、担保としている不動産以外の財産に対しては、責任を問われない点がメリットです。
他の事業を営んでいる場合も、ノンリコースローンで返済不能になったことの影響が及ぶことはありません。リコースローンと比べると、申込までの心理的ハードルも低くなるでしょう。
ノンリコースローンは、特に貸し手側にとってリスクを伴う融資です。金融機関はノンリコースローンのリスクを軽減しようとしますから、借り手側にとってのデメリットも存在します。
ノンリコースローンはリコースローンと比べて返済の責任範囲が狭いため、確実に債務を回収できるよう、金融機関は審査基準や条件を厳しくする傾向にあります。例えば、リコースローンよりも借入できる期間が短くなりやすい点はデメリットのひとつと言えます。
また、物件購入時に2〜3割程度の自己資金の拠出を求められることもあります。
金融機関はリスクを考慮するため、ノンリコースローンにはプレミアム分の金利が上乗せされています。リコースローンよりも利息支払い負担が大きい点は、借り手側にとってデメリットです。
なお、実際の金利は各金融機関や借入金額、借入期間によって異なるため、気になる方は取引金融機関に直接お問合せください。
住宅ローンは全国さまざまな金融機関が取り扱っているのに対し、ノンリコースローンの取扱金融機関は大手メガバンクや信託銀行が主で、大部分の地方銀行や信用金庫は仕組みを有していません。また、取引金融機関で取り扱いがあったとしても、投資予定の物件がノンリコースローンの利用条件を満たすとは限りません。
さらに、ノンリコースローンは基本的に法人向けが中心で、個人向けのノンリコースローンが少ない点もデメリットです。
ノンリコースローンには、特有の決まりや制約があります。借入後に返済面で困ることがないように、契約の際には契約書を十分にチェックしておかなければなりません。
契約書をチェックする際、特に重要となるのが責任財産限定特約と制約条項です。
ノンリコース条項とも呼ばれる責任財産限定特約には、返済における責任の範囲について記載されています。具体的には、債務の元金・利息の支払原資が特定の資産に限定されることを示した特約です。
ノンリコースローンかそうでないかは、この特約の有無が肝となるため、契約書に記載のあることを必ず確認するようにしましょう。
制約条項(特約条項)とは、融資を実行する際に債権者と債務者の間で守るべき義務を定めた約束事のことです。コベナンツ条項と呼ばれることもあります。
制約条項に記載される可能性がある具体例のひとつが、担保にした物件を別の抵当権に設定しないという条件です。制約条件は自分が守れる内容なのか、必ず確認するようにしましょう。
ノンリコースローンを取り扱う金融機関は決して多くありません。しかし、2020年に国土交通省が実施した調査によると、金融機関の11.8%が今後ノンリコースローンの商品化を検討中と答えていします。
今後ノンリコースローンを利用できる機会が増える可能性があるため、ここでノンリコース向きの人とノンリコース向きではない人を整理しておきましょう。
リコースローンである日本の住宅ローンの場合、借主の年収や勤務先、社会的な信用度などが審査に多大な影響を与えます。一方、主に対象物件の収益性が重視されるノンリコースローンでは、大企業社員や医師・弁護士、公務員でなくとも物件次第で大きな融資を受けられるため、さまざまな人に向いている融資といえるでしょう。
また、責任範囲を限定できるため、返済できなくなった際のリスクを減らしたいという方にも向いています。
ノンリコースローンは、アパートやマンション、商業施設など投資目的の不動産購入に向けた融資商品です。そのため、自分が住むための物件を購入するためにローンを利用しようと考えている方には向きません。
また、デメリットを考慮すると低金利での融資を希望している方にも向いていないでしょう。利息負担を減らしたい場合は、リコースローンがおすすめです。
ノンリコースローンは、特定の不動産価値を責任の上限とするローンを指します。不動産投資にノンリコースローンを利用すれば、収入が低くても審査に通る可能性がある点や、責任の範囲を限定することで返済不能に陥った場合のリスクを軽減できる点がメリットです。
一方で、取り扱い金融機関が少ない点や、金利が高い傾向にある点がデメリットとして挙げられます。また、今後ノンリコースローンを利用する予定がある方は、責任財産限定特約や制約条項に気をつけて契約するようにしましょう。
監修者
行政書士、損害保険募集人一般資格
リース会社、損保会社を経て、現在は不動産会社のローン管理部に所属。行政書士の資格も有しており、知識と資格を活かし、ファイナンスや行政手続きに関する業務を担っている。趣味は旅行、ドライブ。好きな食べ物は牛刺し。
不動産投資家Kとその仲間たちでは、「土地を相続する予定だけど、どうすれば良いか検討している」「管理が大変なので、土地を売却したいと思っている」「アパートの管理が大変なので、管理委託を検討したい」など、土地・建物のさまざまなご相談を承っております。
大切なあなたやあなたの家族の資産を有効に活用出来るよう、お気軽にご相談ください!
アパート・マンションのオーナーは、法律により、物件の法定点検が義務づけられています。実施を怠った場合、罰金が科される恐れがあるため、注意が必要です。 この記事では、アパート・マンションの法定点検の具体的な内容・実施すべき頻度や依頼方法、注意点などを解説します。ぜひ参考にしてください。 ポイント 法定点検とは、建物や付帯設備に関する法律で義務付けられている点検のこと 管理会社に専門業者の手配を委託す...
民泊事業には多くのメリットがある一方で、注意すべきデメリットもあります。開業を検討する際は、事業のプラス面・マイナス面の両方を理解しておくことが大切です。 この記事では、民泊事業のメリット・デメリットに加え、開業までの流れや押さえておきたいポイントを解説します。 ポイント 民泊とは、戸建てやアパート・マンションなど居住用物件を活用した宿泊サービスのこと 空き家を活用して収益を得られ、地域貢献や資産...
投資を始めようと考えたとき、多くの人が最初に直面するのが、「不動産にすべきか?それとも株式か?」という選択です。どちらも資産を増やすための代表的な手段として知られており、それぞれに根強い人気があります。 不動産投資と株式投資は、リスク特性、収益構造、必要な資金や流動性といった点で本質的な違いがあります。本コラムでは、両者の特徴やメリット・デメリットを比較しながら、あなたに合った投資スタイルを見極め...
プロパーローンは、金融機関が保証会社を介さずに独自の基準で審査し、直接融資を行うローンのことです。アパート経営など不動産投資を行う際の資金調達の方法のひとつとして知られています。 保証会社を通さない分、融資額や金利、期間などをオーダーメイドで設計できることが魅力ですが、その反面、金融機関の審査は慎重になる傾向があります。 本記事では、プロパーローンの基本的な仕組みから、保証会社付きアパートローンと...
不動産投資では、高額な物件を購入するため多くの場合金融機関からの融資が不可欠です。しかし、「購入したい物件の担保価値だけでは、希望する融資額に届かない」といった事態に直面することも少なくありません。 そんな時に選択肢となるのが共同担保です。 共同担保は、複数の不動産を担保とすることで、より大きな融資を引き出すことができる有効な手段です。しかし、安易に活用するのではなく、知っておくべきリスクも存在し...
土地活用を検討する中で「100坪はどのくらいの広さ?」「どのように活用できる?」と、お悩みではありませんか?所有する土地を有効活用して収益化するためには、活用方法や注意点をあらかじめ把握しておくことが重要です。 この記事では具体例を用いて100坪の広さを解説するほか、100坪の土地活用の方法10選も紹介します。建築に関する制限や土地活用を成功させるポイントなどもあわせて解説するので、ぜひ参考にして...
不動産を「夫婦で力を合わせて持つものだから」または「遺産分割になかなか折り合いがつかないから」と共有名義にすることは、リスクがあることを知っておく必要があります。 とはいえ、すでに共有名義となっている不動産が売却できないわけではありません。この記事では、共有名義の不動産を売却する手続きや流れ、必要な書類、注意点を解説します。 ポイント 共有名義の不動産売却には、共有している名義人全員の同意や書類が...
不動産投資により、年間の所得が一定額を超えたら、法人化を検討するタイミングといえます。ただし、税制面のメリットが期待できる一方で、コストがかかる点も注意が必要です。 本記事では、不動産投資を法人化するメリットやデメリットを紹介した上で、法人化すべき具体的なタイミングや手続きの流れ、あえて法人化する必要のないケースについて解説します。 ポイント 節税による所得面への効果や相続税対策になりうる点が不動...
「不動産投資家Kとその仲間たち」を運営するarchitect developer, Inc.(ADI)の賃貸管理に関するデータをお伝えしていきます。この記事では、2025年1月から6月のデータをご覧いただけます。 ◎PDFをダウンロードする ADI賃貸管理データ(2025年1月-6月)◎過去のデータはこちら 目次 2025年1月-6月賃貸管理状況 2025年6月サマリー 管理戸数の推移 入居率の推...
東京23区内で複数の物件を運営している不動産オーナーにとって、適切な賃料設定は収益向上に直結する重要な要素です。地域ごとの賃料相場を正確に把握すれば、空室リスクの低減や収益の安定化につながります。 本記事では、最新の統計データに基づいた「東京23区の賃貸物件・家賃相場ランキング」を紹介します。賃貸オーナーが賃料を上げる場合のポイントも解説しているため、賃料設定を行う際の参考としてご活用ください。 ...