【アパート経営】利回りの最低ラインとは?不動産投資で失敗しないために

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投資効率の指標として利回りが重視されますが、利回りはどれくらいあれば良いのでしょうか。

不動産投資において利回りは重要ですが、ほかの指標も参考にする必要があります。今回の記事では利回りの種類や目安について、詳しく紹介します。

ポイント

  1. 利回りとは投下した資本に対するリターンを数値化したもの
  2. 不動産投資における利回りは条件によって変わる
  3. 利回りだけではわからないリスクもあるため、利回りだけで判断しないことが重要
目次

アパート経営の利回り最低ラインとは

アパート経営のために物件を購入する場合、投資に対するリターンの目安として利回りがあります。投資用不動産を購入する際は、利回りを基準にして物件を選定する不動産投資家も多いでしょう。

アパート経営を健全に行うためには、どれくらいの利回りがあればよいかを解説していきます。

利回りの最低ラインの目安

一般的にいわれている利回りの最低ラインは、次の通りです。

表面利回り:5%
実質利回り:3%

それぞれの利回りの特徴や計算方法は、後ほど詳しく紹介します。

利回りの最低ラインは条件によって異なる

利回りの最低ラインは前述の通りですが、あくまで目安であり、あまり気にしすぎないようにしましょう。投資用物件は立地や条件によって価格や収入もさまざまなため、利回りの最低ラインは条件によって変わります。条件ごとの利回りの違いを見ていきましょう。

エリア

投資用物件の利回りはエリアの影響を大きく受けます。東京や大阪などの都心の物件は需要が高く、価格も高いため利回りは低くなってしまいます。一方で地方都市や都心部から離れたようなエリアでは、利回りは高いです。

利回りだけを求めるのであれば地方の物件のほうがよいですが、東京などの都市部の物件は資産性の高さに注目して購入する方が多いです。

立地

エリアだけでなく、立地も利回りに大きく影響します。東京の物件が、すべて同じように利回りが低いわけではありません。同じ都心にある物件でも日当たりや、前面道路などの立地条件で利回りは変わります。

とくに都市部の物件の場合は、駅からの距離が重要です。駅からの距離が近ければ近いほど、利回りは低くなるでしょう。また購入時には人気のある立地であったとしても、ずっと人気が続くわけではなく、周辺の再開発や区画整理、大きな商業施設などができると人の流れは変わってしまいます。

また立地条件は、物件によって適している場所が違います。単身向けの物件であれば大学の近くの単身者の多いエリアで人気ですし、ファミリー向けであれば多少駅から遠くても閑静な住宅街を選ぶ入居者も多いでしょう。このようにエリアだけでなく、物件ごとの立地条件によっても利回りは違います。

築年数

立地条件が同じであっても、築年数によって利回りは違います。一般的には築年数の浅い物件のほうが人気は高く物件の資産価値も高いため、利回りは低くなります。築年数が経過するほど建物の価値や需要等の関係で、求められる利回りは高くなります。

構造

物件の構造によっても利回りは同じではありません。一般的に物件の構造には「木造」「鉄骨造」「RC造」があり、利回りは「RC造」<「鉄骨造」<「木造」の順に高くなります。

そのため利回りだけを求めるのではあれば木造物件への投資が魅力的に見えますが、一概にそうとはいえません。木造は室内の音が伝わりやすいなどの特徴もあり、アパートなど集合住宅の場合は木造を避けたいと思っている入居者もいます。

また、木造は耐用年数も短いため、将来売却する際には耐用年数の長いRC造などに比べると融資がつきにくいという点で買主に敬遠され、売りにくい場合もあります。単に利回りだけで比較するのではなく、長期目線で構造を比較するようにしましょう。

投資目的

投資する目的によっても目指すべき利回りは違います。不動産投資から得られるリターンには、インカムゲインとキャピタルゲインがあります。

インカムゲインとは保有し続けることで得られる利益のことで、不動産投資では家賃収入です。インカムゲインを目的として不動産投資を行うのであれば、利回りは高いほうがよいでしょう。

一方キャピタルゲインとは売却によって得る利益です。キャピタルゲインを目的として不動産投資を行うのであれば、利回りよりも物件の資産性に着目したほうがよいでしょう。

投資用不動産の利回り傾向

一口に不動産投資といっても対象となる不動産は幅広く、物件の種類によって利回りに違いがあります。物件の種類ごとの、利回りの違いを紹介していきます。

新築一棟アパート

新築の一棟アパートは、中古に比べると建物の価格が高くなるため利回りは低い傾向にあります。新築物件は同じ立地の中古物件と比較した場合家賃を高めに設定できますが、それ以上に購入価格が高くなってしまいます。

しかし、新築に住みたい入居者は多く、中古に比べると空室が出にくい点がメリットです。そのため空室の多い中古アパートと比べると、結果として新築のほうが、収益が多くなるケースもあるでしょう。また、新築の場合は建物の資産価値が高いため、売却する際にも売りやすいこともメリットです。

中古一棟アパート

中古のアパートは、新築に比べると利回りが高い場合が多いです。築年数が経過するほど利回りは高くなるためインカムゲインを狙う場合は中古物件はおすすめですが、中古は修繕費などのメンテナンス費用がかかります。

表面上の利回りがいくら高くても、修繕費が高ければ想定していた収益を得ることはできません。とくに築15年を超えてくると大規模修繕が必要な時期になるため、高額な修繕費用がかかる場合があります。中古物件を選ぶ際には、目先の利回りだけでなく総合的に検討するようにしましょう。

新築区分マンション

新築区分マンションは都市部の物件は利回りが低く、地方にいくほど利回りが高い傾向にあります。都心の立地のよいマンションは投資用としてだけでなく、居住用としてもニーズが高いです。そのため資産価値が高く、不動産価格が上昇する局面ではキャピタルゲインも狙えます。

一方で、地方ではマンションよりも戸建てのほうがニーズが高い場合が多く、資産価値が低く利回りは高くなります。また、区分マンションは一棟アパートと違って空室になってしまうと収入がゼロになってしまう点が注意点です。

中古区分マンション

中古のマンションは新築に比べると利回りが高い傾向にあります。しかし、中古の場合は一棟アパートと同様に修繕などの費用が高くなってしまう可能性があります。また、マンションの場合は管理費や修繕積立金を負担しなければなりません。中古マンションを検討する際は、ランニングコストにも注意しましょう。

投資用不動産の利回り動向

不動産投資の利回りは不動産価格の市況によっても変化します。不動産価格が上昇している局面では利回りは低下しますし、不動産価格が下落するタイミングでは利回りは上昇します

足元では不動産価格の上昇が続いており、利回りは低下傾向にあります。とくに都市部ほど利回りの低下傾向は顕著にあるため、都市部の物件を購入する際は利回りだけでなく資産価値の高さにも注目しましょう。

不動産投資利回りの基本

不動産投資では利回りが大きな指標になりますが、そもそも利回りとはどのような指標でしょうか。ここでは利回りの種類と、計算方法を紹介します。

そもそも利回りとは

利回りとは投資において、投下した資本に対してどれくらい収益が得られるかを数値化した指標です。不動産投資においては物件の購入価格に対して、家賃収入がどれくらいあるかを測るための指標として使われています。

利回りの種類と計算方法

利回りには4つの種類があり、それぞれ内容や計算方法が違います。

表面利回り

表面利回りとは維持管理費用などの諸経費を考慮しない数値で、下記の計算式で算出できます。

■表面利回り計算方法

表面利回り(%) = 年間の家賃収入÷物件価格×100

投資用不動産などの販売図面に記載されている利回りは、表面利回りの場合が多いです。計算も簡単でわかりやすいため不動産投資の指標としてよく利用されますが、諸経費は考慮していません。そのため実際に運用する場合との差も大きいです。

実質利回り

実質利回りは維持管理費など諸経費を考慮した数値で、下記の計算式で算出します。

■実質利回り算出方法

実質利回り(%)=(年間の家賃収入-年間経費)÷(物件の購入価格+購入時の諸経費)×100

購入時の諸費用や運営に必要な費用を差し引いて算出します。そのため実際の運用に近い利回りといえますが、費用をどこまで算入するかで利回りは変わってきます

想定利回り

想定利回りは満室稼働した状態の年間家賃収入を前提として、算出する方法です。

■想定利回り計算方法

想定利回り(%)=年間の満室時の家賃収入÷物件の購入価格×100

空室も諸経費も算入しないため、もっとも高い利回りになります。

現行利回り

現行利回りは、空室も加味した利回りで、下記の計算式で算出します。

■現行利回り計算方法

現行利回り(%)=実際の年間の家賃収入÷物件の購入価格×100

現行利回りは想定利回りと計算方法は同じですが、空室を加味し現在の入居状況を反映しているため想定利回りに対して実際はどうなっているかという意味で使われる利回りです。

不動産投資で活用する利回り以外の指標

不動産投資では利回りだけではなく、イールドギャップやCF(キャッシュフロー)利回りなども意識することが重要です。

イールドギャップは利回りから借入金利を引いたもので、3%が最低ラインとされています。金融機関の金利条件を加味して、投資判断ができます。

CF利回りは毎月の家賃収入からローンの返済を差し引いた指標で、実際の手残りの金額がわかります。CF利回りは手残りの金額のため、ゼロを下回らなければ赤字ではありません。利回りと呼ばれる指標のなかではもっとも低いものになりますが、純粋な手残り額として参考になる指標です。

このように、不動産投資で経営判断に使用する指標は利回りのほかにもあり、それらも比較することが重要です。

利回りのリスクと注意点

不動産投資において利回りの検証は欠かせませんが、リスクや注意点もあります。

見落としがちな費用

利回りを検証する際は、必ず費用も考慮するようにしましょう。不動産会社などから紹介される物件の利回りは、一般的には表面利回りで表示されています。そのため高収益に見えても費用がかかる場合も多いため、どのような費用や修繕費が必要になるかを確認したうえで検討するようにしましょう

空室リスクと収入減少

アパート経営における一番のリスクは空室リスクです。しかし、利回りだけの比較では、将来の空室リスクを正確に把握できません。築年数が経過するほど空室リスクは高まるため、周辺の競合物件を調査するなどして空室リスクは必ず確認しておきましょう。

金利変動のリスク

不動産投資では金利上昇リスクにも備えておく必要があります。長らく低金利が続いていましたが、現在金利は上昇傾向にあります。将来金利が上昇しても耐えられるように、余裕を持った借入金額にしましょう。

利回りが低い物件とは

利回りで比較するとどうしても利回りの高い物件に目がいってしまいがちですが、利回りが低い物件が悪いわけではありません。利回りが低い物件とはどのような物件でしょうか。

利回りが低くなりやすい物件の特徴

一般的に利回りの低い物件は、下記のような特徴があります。

  1. 築年数が浅い
  2. 駅から近い
  3. 都市部にある
  4. 設備が揃っている
  5. 空室リスクが低い

利回りの低い物件は、資産価値の高い物件ともいえます。そのため利回りは低くても、価格上昇によるキャピタルゲインも期待できます。利回りが低い=投資効果が期待できない、というわけではありません。

利回りだけで判断しない

不動産投資において利回りは重要な指標ではありますが、利回りがすべてではありません。利回りだけでは判断できないリスクもあるため、物件検討は総合的に判断することが重要です。とくに都心部の資産価値の高い物件は総じて利回りが低い傾向にあります。インカムゲインだけでなく、キャピタルゲインも含めて検討するようにしましょう。

まとめ

不動産投資を行う際には利回りの指標を参考にすることが多いです。利回りとは投資した資本に対してどれくらいリターンがあるかを検証するための指標で、不動産投資では物件価格に対する家賃収入を指します。

不動産投資にはさまざまなリスクがあるため、利回りだけではなく総合的に判断する必要がります。また利回りにもいくつか種類があるため、種類ごとの適正な利回りを知ることも重要です。

監修者

宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士

中川 祐一

現在、不動産会社で建築請負営業と土地・収益物件の仕入れを中心に担当している。これまで約20年間培ってきた、現場に密着した営業経験と建築知識、不動産知識を活かして業務に携わっている。

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