アパート経営の収支シミュレーション!利益を最大化するコツと計算方法
アパート経営者にとって、適切な収支計算は欠かせません。収支計画書を作成し、アパート購入時や物件の運用に役立てましょう。 この記事では、アパートの収支計算における利回りの計算方法や収支計画書の書き方と注意点のほか、利回りを高く維持するポイントも解説します。 ポイント アパート経営の収支計算には「実質利回り」を用いる 賃料・稼働率・空室率・修繕費の目標数値設定は特に重要 物件の立地選び・早期の空室対策...
不動産投資家K
市街化調整区域は、都市計画法によって定められた土地の区分の1つです。原則として「市街化を抑制すべき区域」とされ、建物の建築や改築が規制されています。そのため該当する区域は市街地から離れた農地や山林であることもあり、売却したり土地活用したりするときには慎重な検討が必要です。
本記事では、都市計画法に基づいた市街化調整区域の建物の規制と土地活用例、土地活用をする上での注意点を解説します。
不動産投資の1棟目が軌道に乗り、資金に余裕が出てくると、2棟目への投資が見えてきます。とはいえ1棟目の大変さを知っているだけに、2棟目への投資を躊躇することがあるかもしれません。ここでは、2棟目の不動産に投資するときの条件や、メリット・デメリット、物件購入のポイントを解説します。
都市計画法によって、都道府県知事や国土交通大臣は特定のエリアを都市計画区域に指定できます。また、都市計画区域には無秩序な市街化を防止し、計画的な市街化を図るため、次の区域区分と呼ばれる区分を定めることができます。そのうちの1つが市街化調整区域です。
市街化区域 | おおむね10年以内に市街化を図るエリアで、土地ごとに用途が設定されている。積極的に住宅や店舗などを建てられる |
市街化調整区域 | 自然環境を保全する地域になっているなど、住宅用地に不向きなエリアで、原則として土地に用途は定められていない |
非線引き区域 | 都市計画区域のうち市街化区域と市街化調整区域のいずれにも該当しないエリア |
市街化調整区域は、市街化区域のように土地ごとの用途設定はありませんが、もともとの特徴から活用の難しいエリアといえるでしょう。ここでは市街化調整区域の特徴と、それを定義する都市計画法について解説します。
市街化調整区域は、おおむね10年以内に市街化を図る市街化区域とは異なり、あまり積極的に建物が建てられることの少ないエリアといえます。市街化調整区域に共通する特徴は以下のとおりです。
市街化調整区域にある土地は積極的に建物を建てたり改築したりすることが制限されます。自由に幅広い活用法ができないため、買い手や借り手もあまり多くはありません。
そのため、より安い価格での売却、あるいは安い賃料での貸し出しをせざるを得なくなるかもしれません。
しかし、土地の評価額そのものが低い傾向にあるため固定資産税も少ないことはメリットといえます。
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市街化調整区域は基本的に「積極的に人口を増やしたくないエリア」であるといえます。
人口増加を抑制し、農地や山林といった自然環境の保全を優先しているため、住宅をはじめ生活に必要な上下水道や舗装された道路などのインフラが十分に整備されていないことも少なくありません。さらに、コンビニやスーパーマーケット、駅やバス停などの公共交通機関、病院や消防署、警察署など生活に必要な施設も十分ではありません。
近くに田畑があることも多いエリアである場合が多く、市街化区域とは環境の大きく異なるエリアだといえるでしょう。
インフラが整備されていない市街化調整区域は、生活自体の利便性が低いといえます。
一方でインフラが整備されていない分、人も少なく静かな環境で生活できるのはメリットといえます。活用法を検討するときは生活利便性の低さがメリットになるようなものを選ぶことが大切です。
市街化調整区域では、建物を建築あるいは改築するには原則として自治体に開発許可を受けなくてはなりません。許可が得られる場合でも、容積率や建ぺい率に上限が設けられたり、建て替えでも延べ床面積は最大で1.5倍までなど制限されるのが一般的です。
ただ、都市計画区域は都道府県知事や国土交通大臣が指定するため、市街化調整区域が市街化区域に変更される可能性もゼロではありません。そうなれば建物も積極的に建築できるようになりますが、いつ変更されるか、そもそも変更されるかどうかは不明です。まずは現状で効果的な活用法を模索する必要があるでしょう。
こうした市街化調整区域や市街化区域、非線引き区域を定めるのが都市計画法です。都市計画法は、都市の健全な発展や秩序ある整備を図り、国土の均衡ある発展と公共の福祉の増進に寄与するための法律です。
この法律は、都市計画の内容及びその決定手続、都市計画制限、都市計画事業その他都市計画に関し必要な事項を定めることにより、都市の健全な発展と秩序ある整備を図り、もつて国土の均衡ある発展と公共の福祉の増進に寄与することを目的とする。 都市計画法 第一条
たとえば市街化区域は、住宅地などが近くに集まることで公共交通機関やスーパーマーケット、病院などの生活インフラを効率的に配置しやすくなります。一方、市街化調整区域は都市計画法に基づいて、今ある豊かな自然を維持するよう定められた区域です。
人の暮らしに必要だからと自由に建物やインフラを整備すれば、自然は際限なく失われていく可能性があります。市街化調整区域を定める都市計画法は、土地が効果的に活用されるとともに自然を保全するための法律といえます。
参考:e-GOV 都市計画法
市街化調整区域は都市計画上、人口を増やさない方針であるため原則として建物を建てることはできません。なかでも住宅や商業施設は厳しく制限され、公共施設や医療施設、小規模な店舗についても建てるには基本的に都市計画法に基づいた許可が必要で、許可を得るためには手間がかかります。
市街化調整区域だからといって建物を建てることが禁じられているわけではありません。正式に自治体へ申請し、建物が一定の条件を満たした上で建築許可が得られれば建てられます。
次のようなケースでは許可を得て建築できたり、許可が必要なかったりと比較的建てやすいといえるでしょう。
たとえば市街化調整区域内の本家から分家する場合、次のような条件を満たす必要があります。
上記からわかるように、市街化調整区域に建物を建てるにはさまざまな条件があります。建てられるかどうか判断がつかない場合は、自治体や不動産会社に相談してみましょう。
原則として建物を建てることの難しい市街化調整区域の土地は、活用方法の選択肢は少ないのが現状です。また、市街化調整区域に多い「農地」を活用するにはとくに注意が必要です。
ここでは市街化調整区域にある土地の代表的な活用方法と、農地を活用する場合の注意点を解説します。
土地の地目が「農地」の場合、活用するにはまず「農地転用」の許可を受けなくてはなりません。これは農地が、食料を安定的に生産・供給するために欠かせない重要な資源であると考えられ、売買や農地ではない用途への利用が農地法によって制限されているためです。
農地転用は、農地法第4条に基づいて農業委員会へ届け出て、許可を得ます。ただ農地転用できるのは原則として、市街地または市街地化の傾向の著しい区域にある第3種農地か、第3種農地に近接する区域にあり他の区分に該当しない第2種農地のみです。農地を活用する場合は、事前にどの区分に該当する土地かを確認しましょう。
土地活用としての資材置き場とは、土地を建築資材などの保管場所として貸し出し、賃料を得る手段です。更地のままで貸し出すことができ、賃料が得られるため、建物の建築が難しい市街化調整区域に適した活用法といえるでしょう。
ただ保管場所というメリット以外の価値を付加しづらいため大きな収益は期待できません。一方で新たにコストをかける必要もないため、一定の継続的な収入を得るために適した活用方です。資材置き場への土地活用については下記の記事で詳しく解説しています。選択肢の1つとして検討するときはぜひ参考にしてみてください。
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自家用車や社用車などを保管する駐車場という活用方法も、市街化調整区域には向いています。建物を建てなくても、土地に区分の目印をつけるなどの比較的低いコストでも活用が可能です。
低コストでの活用は駐車場のうち「月極駐車場」が向いています。「コインパーキング」にはさまざまな設備が必要なため、コストが高かったり得られる収益が少なくなったりする場合もあるため注意が必要です。
駐車場に活用するにはまず一定の「ニーズ」がなければ、収益を得るための活用法にはなりません。周辺人口が少なく、利便性の欠ける市街化調整区域での活用には、まず十分なニーズがあるかどうかを見極めることが重要です。
土地周辺のニーズに関係なく活用しやすいのが「太陽光発電」です。土地に太陽光発電設備を設置して発生した電力は、自家用に利用すれば電気料金の節約になり、売却すれば収入にもなります。大規模に展開すれば両方のメリットが得られるかもしれません。
土地の上に直接設置するタイプなら、建物に該当しないため市街化調整区域でも開発許可なしでの設置は可能ですが、設置に土地を造成する場合は開発許可が必要です。また設置だけでなくパネルの定期点検や破損した場合の修理費などに費用がかかることにも注意しましょう。
周辺に建物や住宅が少ない市街化調整区域の土地は、墓地や霊園に向いているといえます。
一般的に市街化調整区域の土地は比較的価値の低いことが多いため、活用で高収益を得るのは難しいのですが、この活用法では墓地・霊園の運営会社などに貸し出せることから、ある程度の賃料を安定的に得やすいのが特徴です。ある程度の広さがあればほかの活用法より大きな収入を得られる可能性があります。
ただし墓地や霊園として貸し出す場合、契約期間が数十年にわたるのが通例です。その間はほかの方法での活用ができないことには注意しましょう。
土地活用は始めるだけでもさまざまな手続きがあり、継続的にコストがかかるケースも少なくありません。このような手間を避けたいなら、持っている土地を売却する方法もあります。
売却すれば継続的な収入は得られませんが、かかる手間が少なくまとまった資金を得られるのはメリットです。ただし市街化調整区域にはさまざまな制限があるため、よりスムーズに売却するには信頼できる不動産業者に仲介してもらうことが大切です。周囲やネット上での評判や口コミなどを参考に慎重に選びましょう。
市街化調整区域にある土地には、都市計画法によって建物の建築や改築などさまざまな制限が課されています。そのためインフラの整備が行き届いておらず生活に不便なことも多く、選択できる活用法はあまり多くありません。
活用法としては資材置き場や駐車場、太陽光発電などの建物を必要としない手法が向いています。ただし土地の地目が農地である場合は事前に農地転用の許可を得る必要があるため注意しましょう。
また、適切な活用法がなければ、売却するという選択肢もあります。売却には市街化調整区域を把握し信頼できる不動産会社に仲介してもらいましょう。
監修者
宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、不動産コンサルティングマスター
不動産・建築業界歴20年。アパートの建築請負営業、それに係る土地仲介業務、仕入営業に携わっている。自身でも不動産経営を行っており顧客目線で業務に取り組んでいる。
不動産投資家Kとその仲間たちでは、「土地を相続する予定だけど、どうすれば良いか検討している」「管理が大変なので、土地を売却したいと思っている」など、土地・建物のさまざまなご相談を承っております。
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