不動産所有者が海外移住する際に必要な準備とは?不動産投資の課題と解決策
海外移住を予定していたり、海外赴任の可能性のある賃貸不動産のオーナーにとって、日本国内の賃貸経営や税務対応は大きな課題となります。入居者対応や家賃管理、家賃収入の確定申告などは現地から直接行うことができないため、管理会社への委託や納税管理人の選任が不可欠です。 本記事では、海外に移住・赴任するオーナーが直面するリスクや対応策を解説し、安心して賃貸経営を続けるためのポイントを紹介します。 ポイント ...
不動産投資家K
土地は放置しているだけでも何かと手間や費用がかかります。しかし、だからといって初期費用が大きい大規模な活用には面倒な手続きも多く、大きな収入が見込めるもののリスクを伴うため、判断は難しいところです。そのような土地所有者にとって資材置き場は、比較的ハードルの低い活用法といえるでしょう。
この記事では、所有している土地の活用法を検討している土地所有者へ向けて、資材置き場への活用のメリットとデメリット、注意点などを解説します。
資材置き場への活用方は比較的ハードルが低いといわれますが必要な手続きはあり、リスクもないわけではありません。
ここではまず資材置き場とはどのような活用法なのかを解説し、資材置き場を賃貸として貸し出すメリットとデメリットを詳しくみていきましょう。
資材置き場とは文字通り、さまざまな「資材」を「置く場所」です。建設会社や土木会社といった業種ではサイズの大きな資材を使うため、入手してから実際に使うまでの間、保管するスペースを必要とします。また資材の運び出しを考えると、場合によっては大型トラックを使うため、出入りや積み出しに必要な広さも必要です。
しかし、その他は基本的に更地のままでも貸し出せるため、建物を建てたりアスファルトを敷いたりしなくても問題ありません。初期費用をほとんどかけないで始められるため、収益の上がりやすい活用法ともいえるでしょう。
土地活用には、資材置き場のほかに賃貸経営だけでもアパートや一戸建て、マンション、駐車場なども考えられます。活用方法ごとに得られるメリットが異なるため、土地活用を検討するるときはまずそれぞれのメリットを正しく把握することが大切です。
ここでは土地を資材置き場賃貸に活用するときのメリットを5つ解説します。
資材置き場は通常、雨に濡れたり土や砂が付着しても構わないようなものを保管する場所として使われます。そのため建物や屋根、アスファルト加工やライン引きなどの準備はなくても更地のまま始められる、つまり初期費用がかからない、またはかなり少なくて済む活用法です。
極端な話、1時間後に「土地を現状のまま資材置き場として借りたい」という人が現れても、すぐにでも始められるでしょう。なかには整備や建物などの要望がある場合もありますが、これらは借り手負担で行われることが多いため、やはり初期費用の負担はありません。
資材置き場として賃貸していたが、うまくいかずに他の活用法に変えたくなったときも、資材置き場なら簡単に更地に戻せます。もしこれが賃貸アパートや一戸建てなら、借り手の退去だけでなく、建物の解体や廃棄物の撤去にも時間も費用もかかるため、簡単にはいきません。
事業用でも、建物が建っていれば、コンテナハウスのような簡易的なものであっても借地借家法を適用される恐れがあるため、更地に戻すには手間も費用もかかります。資材置き場への活用は、建物がない分、他の活用法に変更しやすい活用法といえます。
更地で貸し出した資材置き場賃貸は、契約が終了すればまた更地の状態で返却されます。そのため、また別の事業者に資材置き場として賃貸するもよし、アパートやマンションを建てて賃貸を始めるもよし、あるいは更地のまま売却するもよし、次の活用方法も自由に検討できます。
たとえば資材置き場として賃貸している間に、近隣エリアが再開発で人口が増えて高まる住宅需要に応えるため、アパートやマンションを建てて賃貸した方がより高い収益が見込める場合もあります。資材置き場への活用は、更地なだけに転用や売却もしやすい方法といえるでしょう。
土地を所有しているだけだと、土地の清掃や雑草の処理、不法投棄ゴミの処分などはすべて所有者の責任で行わなくてはなりません。所有者が土地の近所に住んでいればそれほどの手間はないかもしれませんが、遠方の場合はかなりの負担です。
しかし、資材置き場として賃貸すると、これらの管理を借り手に任せることもできます。土地の管理は管理会社などに委託もできますが、かかる費用は全額所有者の負担です。資材置き場への活用は、収入が得られる上、管理も借り手に任せれば費用が軽減できるメリットもあります。
狭小地や不整形地だと、住宅や店舗などへの活用は通常難しくなります。しかし、資材置き場であれば求められるのは資材を置くスペースと運搬に必要なスペースと、トラックなどの乗り入れのしやすさくらいでしょう。借り手の使い方に問題がなければ、賃貸活用は十分可能です。
土地に関する固定資産税や都市計画税は上に建物があるかどうかによって軽減措置制度が設けられています。原則として建物を必要としない資材置き場として活用すると、これらの軽減措置は受けられません。
たとえば土地をアパートやマンションといった住宅用地にすると、面積200平方メートルまでの土地なら固定資産税なら6分の1、都市計画税なら3分の1に、それ以上の面積でも固定資産税は3分の1、都市計画税なら3分の2にまで軽減されます。
資材置き場は今ある土地をほとんどそのまま賃貸する活用法のため、建物や施設としての利便性など付加価値を加えにくく、賃料をあまり高く設定できません。そのため他の土地活用法に比べると収益性が低くなってしまうのはデメリットです。
資材置き場の賃料は土地の価値に基づいた金額を設定するのが通常です。
より高い収益を求める場合は、あまりお勧めできない活用法といえるでしょう。
もしこれから資材置き場として活用しようとしている土地が農地の場合は、活用する期間に関わらず農地の転用許可が必要です。
転用許可は、必要書類を提出して各市町村の農業委員会へ申請します。土地が市街化区域にある場合の手続きはこれで終了です。市街化調整区域にある場合は各市町村の農業委員会での審議の後、さらに都道府県で審議されますが、審査基準は厳しく許可されにくいのが現状です。
土地が、まわりになにもない場所にあれば問題ないのですが、もし住宅や店舗、工場などがあれば近隣トラブルになる可能性があります。資材置き場には木材や鉄骨の他、砂利や砂などの建築資材を保管するのが一般的です。また運搬には大型トラックが出入りすることもあり、天候やトラックの往来によって空中に舞う砂やホコリが周辺地域にまでおよぶこともあります。
そのため該当する土地を活用する場合は、近隣住民の理解を求めることが大切です。また借り手にも、通学時間帯にはトラックを乗り入れない、警備員を配置する、運搬には必ずカバーをつけるなどの配慮を求める必要もあるでしょう。
資材置き場の賃料は、固定資産税のおよそ5倍から8倍程度が相場とされています。固定資産税は、毎年1月1日時点での所有者に課される税金で、土地の購入価格の約70%にあたる固定資産税評価額の1.4%です。固定資産税評価額は、毎年と土地所有者に届く固定資産税の納付書に記載があります。
たとえば固定資産税評価額が2,500万円であれば固定資産税は約34万円、賃料をこの5倍とすると年約170万、月あたりの賃料は約14万円です。土地が広く、周囲になにもない場所にあればもっと安く設定される場合もあります。なかには200平方メートルを超える広さで賃料月3万円という資材置き場もあるようです。
周囲に住宅やアパート、店舗などがない田舎の土地は、資材置き場として活用しやすいといえます。資材置き場で必要とされるのは、資材を置けるスペースの広さと、運搬のためのトラックなどの乗り入れのしやすさです。
このような土地には一般に住宅としてのニーズが少ないため、店舗やオフィスビル、駐車場として活用しても収益を得るのは難しいでしょう。田舎の土地は、これらの活用法に必要な要素とはかなり違う特徴があるからこそ向いているといえます。
資材置き場は資材の運搬に必要なトラックの乗り入れが頻繁に発生します。そのため周囲に住宅が多いほど、事故や生活環境への影響のリスクが高く、活用にもさまざまな配慮が必要です。その点、市街化調整区域は、住宅や商業施設の建設が抑制されており、周囲に住宅が少ないため資材置き場としての活用が向いています。
さらに幹線道路に近く、接道の間口や幅員が広ければ、多少狭くても形が不規則でも十分活用は可能です。
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資材置き場として必ず満たしておきたい条件が、大型トラックが出入りしやすいことです。たとえ土地がどれほど広く、賃料が安くても、接道が狭くトラックの出入りが難しいなら、借り手は現れないかもしれません。
一般に大型トラックやトレーラーが出入りするには、接道の幅員6メートル以上が必要といわれます。幹線道路にごく近かったり、高速道路のインターチェンジまでの距離が短いとより便利です。
市街化調整区域にある土地の多くは、地目が「農地」とされています。地目とは、登記簿謄本に記載されている土地の種類をいい、農地をその他の種類に変更するには、市町村の農業委員会に対して「農地転用許可」を受けなくてはなりません。これは農地が、国として成り立つための基礎となる食糧生産の確保を目的とした「農地法」によって、土地としての用途が制限されているためです。
農地転用の許可申請では、書類に転用先の目的を添えて審査されます。とくに市街化調整区域にある土地は、さらに都道府県によっても審査され、許可されない場合もあるようです。
市街化調整区域にある土地には、市街化を抑えるため原則として建物を建てることはできません。そのため資材置き場として賃貸する場合も、簡単な建物でさえ建てられず、従業員なども常駐できないことを、借り手にも守ってもらう必要があります。
しかし、場所によってはトレーラーハウスなど建築確認を必要としない建物であれば許可される場合もあるようです。要望があったら市区町村などに問い合わせ確認しましょう。
土地には所有しているだけで管理責任が伴うため、土地に生える雑草を刈ったり、不法投棄されたゴミを整理・処分したりといった手間や費用がかかります。また、所有しているだけで固定資産税を納めなくてはなりません。土地が荒れた状態だと、近隣住人とのトラブルが起きる可能性もあるでしょう。
資材置き場として賃貸すれば、収入で固定資産税をまかない、管理の手間も借り手に任せられるため、手間暇がかなり削減できます。土地にとっても、ただ放置されるより誰かの役に立つ方がより有意義といえるでしょう。
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さまざまな土地活用法のうち、資材置き場による賃貸は、比較的ハードルに低い活用法といえます。これは資材置き場賃貸が、更地のままでも始められ、原則として建物などの整備が必要ないため、初期費用が抑えられるためです。
一方で活用法としての節税効果は乏しく、高い収益が見込めないのはデメリットといえるでしょう。とくに土地の地目が農地の場合は、市町村へ転用について申請し許可を受けなくてはならないなどの手間がかかる場合もあります。
しかし、そのまま放置していては、管理にかかる手間や費用、固定資産税もすべて自腹です。少しでも世の中の役に立つよう活用し、手間や費用を上手に抑えることは、土地の所有者にとって二重のメリットとなるでしょう。
監修者
宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士
現在、不動産会社で建築請負営業と土地・収益物件の仕入れを中心に担当している。これまで約20年間培ってきた、現場に密着した営業経験と建築知識、不動産知識を活かして業務に携わっている。
不動産投資家Kとその仲間たちでは、「土地を相続する予定だけど、どうすれば良いか検討している」「管理が大変なので、土地を売却したいと思っている」など、土地・建物のさまざまなご相談を承っております。
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