大家になるには何が必要? アパート経営の流れや注意点、成功のポイント
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不動産投資家K
賃貸物件の管理方式の1つである自主管理は、管理委託費を抑えられるというメリットがある一方で、デメリットとして資産価値の低下の可能性があげられます。
自身の事業計画に合った管理方式を選択するためにも、自主管理方式の業務内容やメリット・デメリットを把握しておきましょう。
全31ページ!賃貸管理の種類から、賃貸管理会社の変更まで
マンションやアパートの賃貸経営の管理方法は、自主管理と管理委託の2タイプがあります。自主管理とは、外部の管理会社などに頼らず、入居者対応や業者の手配などのすべてを、オーナーや大家さんが自ら行う管理方法のことです。管理委託(一般管理)は文字どおり、賃貸経営に関わる業務を、管理会社などの専門業者に依頼する管理方法です。
マンションやアパートを購入した後、どのように物件を管理していくかが、不動産投資を成功させる上で大切なポイントの1つになります。自主管理にするか、管理委託にするかは、所有物件の数や種類、本業との兼ね合いなどの観点からオーナー自身で判断しなければなりません。
本記事を参考に、管理方法・方式による違いをしっかりと理解しておきましょう。
自主管理と管理委託の違いは、管理全般の作業を誰が担うかという点です。
自主管理は入居者対応・建物修繕・資金管理のすべてをオーナー自身で担います。一方で、管理業務を業者に任せる管理委託は、さらに「全部委託方式」か「一部委託方式」かによって、細かな管理業務の範囲が異なります。
また、自主管理や管理委託以外に、管理会社に物件を丸ごと借り上げてもらう「サブリース」も管理方法の1つです。
サブリースには、空室リスクを気にせず一定の賃料を得られるメリットがある一方で、サブリース会社に支払う手数料の発生などがデメリットとしてあげられます。
サブリースを除くと、マンションの管理方式は管理委託である「全部委託方式」と「一部委託方式」、自主管理である「自主管理方式」に分類できます。それぞれの特徴や、メリットとデメリットを確認していきましょう。
全部委託方式とは、賃貸管理に関する業務をすべて外部の管理会社に任せる方式です。2019年に、国土交通省が実施した調査によると、所有している賃貸住宅で「入居者募集から契約、それ以降の管理もすべて業者に委託している」と回答した賃貸住宅オーナーの割合が全体の28.2%を占めています。
出典:国土交通省「賃貸住宅管理業務に関するアンケート調査」
管理会社がすべての管理業務を担うため、オーナーに負担がかからない点が全部委託方式の大きなメリットです。マンションの場合であれば、区分所有者で構成される管理組合で決めなければならない事項も減らすことができます。
また、一般的に管理会社はこれまでにさまざまな管理業務を行っているため、ノウハウが蓄積されている点も魅力の1つです。全部委託方式にすることで、設備トラブル時の迅速な対応や、管理に関する最新情報の提供なども期待できます。
一方で、賃貸管理を管理会社に任せきりにする分、賃貸経営への意識が薄くなってしまいやすい点がデメリットです。オーナーが賃貸管理に無関心でいると、入居者の不満や周辺環境の変化などの賃貸経営のリスクとなりうる事象に気づきにくくおそれがあります。
また、管理費用が割高になる点も、全部委託方式のデメリットといえるでしょう。
一部委託方式とは、賃貸管理業務の一部だけを外部の管理会社に委託する方式です。
入居者募集や契約業務などの作業は自身で行い、清掃業務やメンテナンス業務を管理会社に委託するケースや、それとは反対に、入居者募集から契約業務までを管理会社に委託し、その他の管理は自身で行うケースなど、さまざまな方法があります。
国土交通省の調査による賃貸住宅オーナーの回答割合は、「入居者募集は自ら実施し、それ以外の管理も一部は業者に委託している」が0.4%、「入居者募集は自ら実施し、それ以外の管理は業者に委託している」が1.5%、「入居者募集から契約までを業者に委託し、それ以外の管理は自ら行っている」が25.5%、「入居者募集から契約までを業者に委託し、それ以外の管理も一部は業者に委託している」25.9%でした。
出典:国土交通省「賃貸住宅管理業務に関するアンケート調査」
一部委託方式を採用している賃貸住宅オーナーが、全体の過半数を占めています。
理由としては、効率よく管理業務をこなせるという一部委託方式のメリットがあげられるでしょう。自身では負担が大きい分野の業務のみを依頼したり、手数料の低さや実績に合わせて、分野ごとに異なる業者を指名したりと、オーナーの都合にあわせて管理業務をカスタマイズすることができます。
また、全部委託方式と比べると、管理費を抑えやすい点もメリットです。依頼している業務の中に必要ないと感じる分野があれば、省くことも可能です。
一方、一部委託方式のデメリットは、全部委託方式と比べると手間がかかる点です。すべてを業者に任せることはできないため、部分的に労力や時間を割かなければなりません。さらに、自主管理方式と比較した場合、一定のコストが発生する点がデメリットといえるでしょう。
自主管理方式は、賃貸物件の管理・運営に関することをすべてオーナー自身で行う方式です。
自主管理方式を選択すれば、管理委託費を抑えられます。また、不動産管理に必要な知識やノウハウがオーナー自身に身につく点もメリットです。そのほか、入居者との距離が近く、コミュニティが作りやすい点や、不動産仲介会社に直接客付けを依頼できる点もメリットとしてあげられます。
しかし、先ほどの国土交通省の調査によると、所有している賃貸物件を「業者に任せず、すべて自ら管理している」オーナーの割合は全体の2割程度にとどまります。
これは、安定的な物件管理が難しい点が、自主管理を避ける理由のひとつと考えられます。安定的な物件管理ができない場合、物件の資産価値が低下したり、入居者の不満につながったりする可能性があります。
自主管理に関するメリットやデメリットについては、のちほど詳しく解説します。
不動産投資で自主管理を選択する場合、多岐にわたる業務をオーナー自身で対応しなければなりません。自主管理方式による主な業務は以下のとおりです。
自主管理の場合、実際にオーナー自身がどのような業務を行わなければならないのか、各業務の内容を詳しく解説します。
入居者募集業務は、空室の状態が続き収入が不動産投資による収入を得られなくなることを避けるためにも、重要な業務です。
自主管理で入居者募集するには、該当物件に入居募集の張り紙や看板を設置する、知人経由で入居希望者を紹介してもらう、SNSを活用する、不動産会社(客付け業者)に営業をかけるなどのさまざまな方法があります。
また、近年は不動産情報サイト・ポータルサイトに登録して手軽に入居者募集を行うことも可能です。ただし、特定の不動産会社との専任媒介契約を条件にしているサイトもあるため、必ずサイト内の利用規約を確認するようにしましょう。
契約業務は、法的知識が問われるため、管理業務の中でも比較的難易度の高い業務です。特に、契約書を一から作成するには十分な知識と大変な労力がかかるため、国土交通省のサイト(https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000023/)に掲載されている賃貸契約書のひな形を参考にすると良いでしょう。
その他にも、契約更新業務も、自身で行わなければならない作業です。賃貸契約の更新時期が近づいた際、入居者に契約更新の意思確認をし、必要に応じて更新料の徴収や家賃交渉などを行います。
家賃の入金管理業務とは、各契約者からの家賃回収の際の入金の有無や過不足金額などを確認する業務のことです。なお、家賃の回収には、口座引き落としやクレジットカード払い、振込、現金での集金といった方法があります。
口座引き落としやクレジットカード払い、振込の場合、毎月の支払い手続きをするのは基本的に入居者で、オーナー側の手間が少ない点がメリットです。一方、現金での集金はオーナーと入居者の互いに手間が増える点がデメリットですが、支払いにかかる手数料などは発生しません。
家賃の入金管理は、事業計画に大きく関わってくるだけでなく、確定申告時に不動産収入を明確にする必要があることからも、重要な作業です。また、不動産投資に関する支出や収入を記録するために、基礎的な簿記の知識を問われることがあります。
このような計算や処理に自信がない方は、アプリ・ソフトを利用した家賃管理を検討しましょう。アプリやソフトを利用することでコストはかかってしまいますが、簿記や会計の知識がなくても手軽に操作ができるため、管理作業の負担を大幅に減らすことができます。
自主管理では、入居者からのトラブル相談やクレーム対応も業務の1つです。トラブルやクレームは、24時間365日いつでも発生するおそれがある上に、迅速な対応を求められるため、オーナー側に精神的にも身体的にも負担を与えるでしょう。
また、家賃保証会社に加入していない場合、家賃家賃の入金が遅れている方へ、オーナー自身で督促をしなければなりません。日本賃貸住宅管理協会の発表によると、2020年度下期(2020年10月~2021年3月)の月初全体の滞納率は5.0%、月末での1カ月滞納率は2.1%、2カ月以上滞納率は1.1%でした。
滞納が発生したら、まずは電話や口頭で未入金であることを伝えます。それでも入金がなければ、場合によっては内容証明書郵便で催告書を発送することもあらうでしょう。それでも入金がない場合は、最終的に訴訟や強制執行などの法的措置をとらざるを得ません。民法第166条により、原則として権利を行使できることを知った時から5年間家賃債権を行使しなければ、時効を迎える点に注意しましょう。
家賃滞納のリスクは上記のような業務的負担だけではなく、収支計画にも影響を与えてしまいます。そのため、自主管理の場合であれば家賃保証会社を活用することも視野にいれると良いでしょう。
参考:日本賃貸住宅管理協会 第25回 賃貸住宅市場景況感調査『日管協短観』
退去時の立ち会いは、物件状態を見て入居者の原状回復義務の範囲を確認するために大切な作業です。退去時の立ち合いを怠ってしまうと、後々トラブルにつながりかねないため、あらかじめ入居者とスケジュールを調整した上で、立ち会うようにしましょう。
立ち会い時に行うことは、鍵の授受や部屋の状態確認、入居者が転居した後の連絡先の確認などです。また、入居者に原状回復義務がある箇所が判明した場合、敷金精算で金額を調整することがあります。
敷金精算とは、賃貸契約時にオーナーが入居者から預かった金額(敷金)から、賃料未払いや原状回復費用などを引いた金額を控除して退去者へ返して精算することです。一般的に、精算した金額は後日退去者の口座へ振り込みます。
そのほか、退去後には室内クリーニングや経年劣化や通常損耗による修繕などを行うため、オーナー自身での清掃だけでなく業者の手配を行う作業も必要です。
自主管理では、建物の清掃や定期メンテナンス、修繕、消防設備の点検なども自身で行わなければなりません。修繕のタイミングは、物件の劣化状況などから総合的に修繕する必要があるかどうかをオーナー自身で判断します。
国土交通省発表の資料「マンションの改修・建替え等について」には、『1年目の大規模修繕規模(12年目程度)』との記載があることから、12年間を周期サイクルの目安とすることが一般的です。
ただし、経年劣化していく建物の保全について、修繕をいつ実施するかという判断は、オーナー1人での知識ではかなり難しく、専門家でなければ判断しにくいでしょう。
また、費用を節約して修繕をためらっていると、売却する際に物件の評価額が低下するおそれがあります。自主管理を選択する場合には、毎月修繕積立金を用意するなどの修繕を念頭においた事業計画を立てておくことが大切です。
参考:国土交通省「マンションの改修・建替え等について」

自主管理では、入居者募集や家賃管理、建物保全などさまざまな業務をオーナー単独で担わなければならないため、安定的な物件管理が難しい点がデメリットです。
特に、所有する物件数が多い場合や、自宅と所有物件の距離が遠い場合は、身体的・精神的疲労も伴うため、管理の安定性・継続性の確保が難しくなります。
また、トラブル相談やクレーム対応は年中通して発生しうるため、本業の傍らで不動産投資をしている場合も、自主管理であると安定的な物件管理が難しいでしょう。不動産管理業務に力を入れすぎると本業を疎かにしかねるため、元も子もなくなってしまいます。
なお、2021年に国土交通省が実施した「個人投資家への不動産投資に関するアンケート調査結果について」によると、アンケート回答者の約4割が会社員であることから、多くの人が副業として不動産投資を行っていることがわかります。
参考:国土交通省「個人投資家への不動産投資に関するアンケート調査結果について」
自主管理で定期清掃や定期点検を十分に実施できない場合、資産価値が低下したり、売却しようとしてもできなくなってしまったりする可能性がある点もデメリットの1つです。オーナー自身の清掃や建物管理に関するノウハウや経験が乏しく、物件や設備などの状態が悪化していると資産価値が低下する場合があります。さらに、こうした定期点検を怠たることや建物管理に関する知識がないことで、大きな事故に発展する可能性もあります。
資産価値の低下を防ぐためには、専門家に相談しながら物件状態を管理することがポイントです。また、自主管理を選択するからには、自分自身で建物管理に関する知識を深めていくことをおすすめします。
専門知識がないことや時間がとれないことを理由に、トラブル相談やクレームを放置してしまうと、入居者の不満が募ってしまう可能性がある点も、自主管理のデメリットです。入居者の不満が募ってしまうと、短期退去の原因となり得ます。物件が空室になることで、入居者募集業務の負担が新たに発生する上に、入居が決まるまでの間、不動産投資で得られる収入が減少します。
また、住まいに関する法律は年々改正されており、そういった法律の知識も管理者には求められます。
住まいの問題は入居者自身の生活に関わることです。オーナーが不動産管理の初心者だからという言い訳は通用しません。入居者が不満を募らせないように、迅速かつこまめで丁寧な対応を心がけましょう。
本業との兼ね合いから入居者対応の時間をとれないと判断したら、深刻なトラブルになる前に自主管理から管理委託へ切り替える決断も必要です。ここまで紹介したデメリットは、管理委託に切り替えることで解消できます。
自主管理を選択することで、管理委託費を抑えられる点が一番大きなメリットです。一般的に管理委託の場合は、入居者対応業務や建物に関する業務で「管理手数料」が発生します。
委託する業務内容によって異なりますが、管理委託費の相場は家賃収入の3〜7%と言われています。たとえば、管理委託費が家賃収入の5%に設定されており、家賃が12万円のケースであれば、自主管理を選択することによって6,000円の節約ができることになります。
オーナー自身で管理作業を進めていくにつれて、どの作業にどれくらいの時間を割き、どれほどの労力やコストをかけなければならないかが分かるようになるため、不動産管理に必要な知識やノウハウが経験として蓄積されていく点も自主管理のメリットです。
ノウハウを身につければ、不動産管理会社が日ごろどのような仕事をしているのかイメージできるようになります。
そのため、事業規模拡大に伴って自主管理では対応しきれなくなった際に、管理委託に移行する場合でも、業者選びからカバーできる業務の細かなチェックまで、身につけた知識が役立つでしょう。
ただし、不動産投資を始めた直後は、経験が浅く知識不足のため何をすればよいか分からないことが多々あります。不動産管理の知識不足で悩んだら、不動産投資に関する書籍を読む、セミナーに参加する、インターネットで調べる、先輩大家さんに聞いてみるなどの、積極的な情報収集を心がけましょう。
オーナー自身が対応窓口となる自主管理では、入居者との距離が近づき、コミュニティをつくりやすくなる点がメリットです。入居者との関係性が深まれば、トラブルや不満、建物の不具合などの情報をより早く手に入れることができます。
また、入居者にオーナーの「顔」が見えるようになることで、心理的に物件をきれいに使おうという気持ちが生まれる可能性も高いです。物件が快適であれば、退去率も減り好循環が生まれます。
さらに、入居者から率直な意見を聞くことで、より入居者に寄り添った魅力的な物件にできるでしょう。その結果、物件の空室率改善も期待できます。
あらかじめ指定された業者がいないため、直接さまざまな不動産仲介会社に客付けを依頼できる点も自主管理のメリットです。客付けとは、不動産売買や賃貸を希望する顧客を見つけてくる仲介業者や行為を指します。
管理委託の場合、管理会社経由で不動産会社に客付けを依頼するという流れが一般的です。一方、自主管理であれば状況に応じて近隣の不動産仲介会社や大手の仲介会社などに依頼ができるため、自身で客付けの範囲を広げられます。
客付けを行う不動産仲介会社を選ぶ際には、取扱物件数が多い・WEB戦略に長けている・実績がある・対象物件から近いなどの観点がポイントとなります。
不動産投資家Kとその仲間たちでは、「アパートに空室が増えてきた」「管理会社の対応に不満がある」「建物が老朽化してきた」など、アパート管理に関するお悩みをお持ちのオーナー様のさまざまなご相談を承っております。
あなたやあなたの家族の大切な資産を有効に活用できるよう、お気軽にご相談ください!

監修者
宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士
不動産業界に20年以上従事。賃貸管理を中心に管理受託業務・売買仲介・民泊運営を担った幅広い知識と経験をベースに、現在はプロパティマネジメント・アセットマネジメントを担っている。

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