アパート一棟買いの失敗を防ぐポイント!失敗しやすい人の特徴や対処法

カテゴリ
買う 
タグ
不動産投資  アパート経営  初心者 

不動産投資家K

B!

賃貸アパートを一棟購入もしくは新築するアパート一棟買いは、多額の初期費用がかかるために、失敗すると大きな損失を抱えてしまう恐れがあります。失敗を防ぐには、事前の需要調査や資金計画、そして賃貸経営を事業として主体的に取り組むマインドが必要です。

本記事では、アパート一棟買いの失敗理由や失敗しやすい人の特徴を押さえたうえで、失敗を防ぐためのポイントをご紹介します。

ポイント

  1. アパート一棟買いは、土地や間取りの選定が不適切であったり、長期的な資金計画を立てていなかったりすると失敗につながる
  2. アパート一棟買いで失敗しやすい人の特徴に、アパート経営についての知識不足、利回りだけを重視するといった点がある
  3. 失敗を避けるには、需要調査やリスクを踏まえた資金計画、管理会社選びなどが効果的
目次

アパート一等買いでよくある失敗

不動産投資のなかでも、アパート経営は「やめたほうがいい」「儲からない」といった意見があります。アパート経営は大きな収益を狙える反面、初期費用も高額になるため、投資に踏み出すのを躊躇する方も多いでしょう。

どのような不動産投資にもリスクはつきものであるため、まずはアパート経営にはどのような失敗が多いのかを理解しておくことが大切です。

空室が多い

アパート経営のよくある失敗事例として代表的なのは、空室率の上昇による収益ダウンです。

空室が増えて賃料収入が大きく減少すると、管理費やローンの返済といったアパートを維持するための費用の支払いが困難になってしまいます。

複数の戸数をもつ一棟アパートは、空室が出ても他部屋からの家賃収入でカバーしやすい点がメリットでもあります。

ただし、空室のタイミングが重なったり、築年数の経過により入居者が集まらない状況が続いたりすると、一棟アパートにかかる多額のコストが資金繰りを圧迫するでしょう。空室対策に回せる費用も捻出できなくなり、さらなる悪循環を招く恐れがあります。

あわせて読みたい

維持費が高い

アパート経営が失敗しやすいといわれる要因の1つには、維持費の高さもあげられます。

一棟アパートを経営する場合、建物全体の管理責任を負うため、区分マンションに投資するよりも管理する範囲が拡大し、維持するためのランニングコストは高額になります。

通常、建物の修繕や設備の更新といった維持費は、資金計画にあらかじめ組み込んで計画的に積み立てをしていくものです。しかし、資金繰りの悪化により資金を積み立てられなかったり、物価の高騰などで想定よりも維持費が高くついたりすることも多いでしょう。

たとえば、外壁塗装などの定期的なメンテナンスも、アパートの規模によって120〜300万円ほどの費用が必要です。1度の支出が高額になるため、オーナーにかかる負担も大きくなってしまいます。

あわせて読みたい

入居者トラブル

複数の入居者が住むことになるアパート経営では、入居者トラブルによって失敗へとつながってしまう事例もあります。

入居者トラブルが起こると、物件の評判が下がり退去が増えたり、新規入居者が集まりにくくなるだけでなく、オーナーがトラブルに対応するための手間やコストがかかってしまうでしょう。

アパートでは他人が隣りあって住むため、騒音や共用部分の使用方法などで入居者同士のトラブルが起きやすいものです。また、入居者が多い分家賃滞納リスクも高まり、法的措置をとることになると、さらに多額の費用がかかってしまいます。

アパート一棟買いに失敗する理由

アパート一棟買いの失敗理由は、さまざまな要因が複合的に重なっているといえます。なかでも大きな影響を与えるのは、「土地」「間取り・設備」「資金計画」「管理会社」の4つがあげられます。

アパート経営で収益を上げるには、アパート経営に失敗する理由を把握しておくことが大切です。4つの要因から見るアパート一棟買いの失敗理由と、失敗を防ぐ対策を詳しく見ていきましょう。

アパート経営に不向きな土地を選んだ

アパート一棟買いに失敗するのは、賃貸するのに不向きな土地を選んでしまったことが原因となっているケースが多いです。

立地条件が悪く、賃貸需要のない土地にアパートを建てても、入居者が集まらずに期待する収益を得られない可能性が高まります。

賃貸アパートに向かない土地としては、以下のような特徴があげられます。

  1. 近隣に生活に必要な施設がない
  2. 災害リスクが予測されている
  3. 日当たりが確保できない
  4. 人口減少が進むエリアにある

このような土地を選んでしまうのを防ぐには、候補地をさまざまな角度から丁寧に調査することが大切です。

  1. 賃貸需要があるのか
  2. 将来の開発計画はどうなっているか
  3. ハザードマップや地盤の状態から災害リスクは高くないか

物件の利回りや価格などの条件よりも、土地自体が賃貸アパートに向くものであるかどうかをしっかり見極めましょう。

あわせて読みたい

ターゲットにあわない間取り・設備を選んだ

入居者ターゲットにマッチしない間取りや設備を選択してしまうと、入居率が低下しアパート経営が困難になる可能性が高まります。

地域の特性や物件の入居者層を考慮していない間取りや設備の物件は、入居者が集まりにくくなるでしょう。

ターゲットと物件の間取りや設備があっていない例としては、以下のような事例があげられます。

  1. 学生需要が高い土地に、2LDKの物件を建てた
  2. ファミリー向けの物件なのに、お風呂の追い炊き機能がない

入居者ニーズにあった間取りや設備を選ぶには、ターゲットを正しく把握しなければなりません。

  1. エリア内で需要の高いターゲット層を調査する
  2. ターゲットが重視するポイントにコストをかける

的外れな設備にお金をかけても、ターゲットの心はつかめません。狙うターゲットが重視する部分に絞ってコストをかけると、効率的に入居率を高められるでしょう。

長期的な資金計画が立てられていなかった

アパート一棟買いに失敗する理由には、長期的な資金計画が立てられていない点もあげられます。

資金計画の見通しが甘く、実際のコストや収益から大きく乖離したものであれば、アパート経営を長期的に続けていくのは難しいでしょう。

賃貸経営を長期的に続けていくには、借入金の金利上昇リスクや家賃下落リスクなど、さまざまなリスクを考慮しておかなければなりません。シミュレーションしていなければ、リスクに対応するための資金が不足する恐れがあります。

より現実的で長期にわたる資金計画を立てるには、以下のポイントを計画に入れ込みましょう。

  1. 実際の諸経費を反映させた実質利回りで収支予測を立てる
  2. 突発的な修繕に備えて多めの修繕積立金を設定する
  3. 5%程度の空室率や年間1%程度の家賃下落率を見込んでおく

リスクを想定した余裕のある運用シミュレーションをすることが大切です。

管理会社の選定を誤った

アパートの賃貸管理を委託する管理会社の選定は、アパート経営の収益性に直結します。なぜなら、管理会社が提供する管理サービスや顧客対応、建物のメンテナンスは、入居者満足度や物件の評判に大きな影響を与えるためです。

たとえば、「入居者からの問い合わせへの対応が遅い」「建物の清掃が不十分」といった管理会社に任せていると、長期入居にはつながりにくいといえます。

安定したアパート経営を目指すには、以下の点に着目して質の高い管理会社に委託しましょう。

  1. サービス内容やコストが自分の希望にあっているか
  2. 豊富な実績があるか(管理戸数や入居率)
  3. 積極的な空室対策を行っているか

複数の管理会社を比較検討すると、自分の物件にあった管理会社を選びやすくなります。

あわせて読みたい

アパート一棟買いで失敗しやすい人の特徴

ここからは、アパート一棟買いで失敗しやすい人の特徴として以下の5点をご紹介します。

  1. アパート経営の知識やノウハウが不足している
  2. 利回りだけを重視している
  3. 税金対策のためだけに購入する
  4. 修繕やメンテナンスを想定していない
  5. 長期的な収支シミュレーションをしていない

アパート一棟買いが失敗するのは、事前準備や考え方に問題があることが多いため、アパート経営に取り組む前にしっかり理解しておきましょう。

アパート経営の知識やノウハウが不足している

アパート一棟買いが失敗に終わってしまう人の特徴としてまずあげられるのは、アパート経営についての知識やノウハウが足りていないことです。

不動産投資について勉強不足のまま賃貸経営を始めてしまうと、経営判断を求められる場面で適切な対応ができないでしょう。

アパート経営で利益を上げるためには、収益性の高い物件の見極めや、仲介業者や管理会社の選定、修繕の実施判断などにおいて適切なジャッジが必要です。知識不足によって判断を誤ると、不要なコストやトラブルが発生して、経営を圧迫することになりかねません。

またアパート経営は事業であるため、財務や会計、税金などの知識も身に付けておくべきです。セミナーや書籍で基礎知識を学んだり、経験豊富な投資家や専門家にアドバイスを求めたりといった方法で、知識やノウハウを身に付けていきましょう。

利回りだけを重視している

不動産投資において利回りは着目すべきポイントではありますが、利回りだけを重視して投資判断をする人は、思うような成果をあげられないかもしれません。

一般的に利回りは満室を想定した数字です。利回りが高く設定されていても、実際に常に満室経営ができる物件かどうかは判断が必要でしょう。

また、高利回りの物件のなかには、立地や建物の品質、エリアの賃貸需要などにおいて、将来的には不利になる問題点を抱えている可能性もあります。

たとえば、区分マンションや新築アパートと比較すると中古アパートのほうが、利回りが高く、とくに郊外にある中古アパートに高利回りの物件が多い傾向です。利回りの高さは魅力ではありますが、実際は買い手が見つからないために物件価格が下落し、その結果利回りが上がっている状態の物件もなかには含まれるでしょう。

そのような物件は、将来的にエリア全体の賃貸需要が減少していったり、すぐに大規模修繕が必要となったりと、想定どおりの収益が得られない可能性が高まります。

利回りの良さだけでアパートを一棟買いすると、購入後に後悔する恐れがあるため、慎重な検討が必要です。

税金対策のためだけに購入する

アパート経営で税金対策ができるのは事実ですが、税金対策だけを目的に一棟アパートを購入すると、不動産投資としては失敗に終わる可能性があります。

アパート経営での節税スキームは、アパート経営で会計上の赤字を出すことで、その他の所得にかかる税金を減らすものです。そのため、節税を目的に物件を選定すると、結果として収益性の低い物件を選んでしまう恐れがあります。

アパート経営を会計上赤字にするには、1年あたりの減価償却費が高い物件が適しています。しかし、減価償却費の高さだけにこだわって物件を選定すると、入居者が集まらなかったり修繕が必要となったりと、想定よりも収益が上がらない可能性も出てくるでしょう。

また、給与の課税所得額が900万円未満のサラリーマンの方にとっては節税効果が薄い点にも注意が必要です。

税金対策をするためにアパート経営を始めるのであっても、アパート自体に収益性がなければキャッシュフローはマイナスになってしまいます。投資の本質を見失わないように投資物件を選定しましょう。

修繕やメンテナンスを想定していない

一棟アパートに発生する修繕・メンテナンス費用の想定が甘い人は、アパート経営を続けるのが困難になるかもしれません。

アパートの経年劣化は避けられないため、定期的な修繕やメンテナンスが不可欠です。しかし、資金計画の甘さから修繕を先延ばしにしていると、発的な故障やトラブルを招き、さらに高額な出費が必要となる恐れもあります。

適切なタイミングで修繕やメンテナンスを実施するには、まずは将来必要となる費用を明確に想定することが大切です。そのうえで、必要な修繕費が貯まるように毎月の修繕積立金の金額を設定します。

修繕費は将来必ず発生するお金です。具体的なコストを想定して、計画的に予算を確保していきましょう。

あわせて読みたい

長期的な収支シミュレーションをしていない

アパート経営で成果を出せない人の特徴として、長期的な収支シミュレーションが不十分な点もあげられます。

アパート経営では短期的な収益だけでなく、将来の収支変動や投資の出口戦略までを含めた長期的な視点がなければ、物件選定や資金繰りにおいて適切な判断ができません。

たとえば、築浅のアパートを現状の利回りだけで購入を決めてしまうと、10数年後の大規模修繕費用が想定外の支出となり、大きな負担になってしまうでしょう。また、将来的に投資物件を売却するときのことも意識しておかなければ、売却したくても買い手が見つからない物件を購入してしまう恐れもあります。

一棟アパートを購入する前に、長期的な目線でのランニングコストや売却方法についてシミュレーションをしておくことが大切です。

失敗を避けるためのチェックポイント

アパート一棟買いには失敗のリスクがあるものの、以下のようなポイントを押さえて取り組めば安定的な賃貸経営に近づけるでしょう。

  1. エリアの賃貸需要を調査する
  2. リスクも含めた長期的な資金計画を立てる
  3. 実績のある管理会社に任せる
  4. アパート経営は事業であることを認識する
  5. 信頼できる不動産会社を選ぶ

アパート経営に踏み出す前のチェックポイントとして、頭に入れておきましょう。

エリアの賃貸需要を調査する

アパート一棟買いでの失敗を防ぐためには、物件のあるエリアの賃貸需要を正確に把握することが大切です。

エリア全体としての賃貸需要が低ければ、アパートの空室がなかなか埋まらず、安定した賃料収入が得られません。

賃貸需要を調査するには、以下のような方法があります。

  1. 不動産ポータルサイトを活用する
  2. 人口動態統計や再開発事業計画を確認する
  3. 不動産会社に聞き取りする

たとえば、不動産ポータルサイト「LIFULL HOME'S」では、エリアごとに賃貸物件の空室率が見られるマップが用意されています。そのほか、エリアで人気を集める間取りや広さも確認できます。

ポータルサイトで、エリアの家賃相場をチェックするのも賃貸需要の調査に効果的です。また、厚生労働省の「人口動態調査」や市区町村の「再開発事業計画」からも、エリアの人口の動きや今後の見通しを確認できるでしょう。対象エリアに強い不動産会社に、対面で相談するのもおすすめです。

一度物件を購入すると、立地は後から変えられるものではありません。アパート一棟買いをする前に、そのエリアにどのような賃貸需要があるのかを丁寧に調査しておきましょう。

リスクも含めた長期的な資金計画を立てる

アパート経営を成功させるには、リスクを想定したうえでの長期的な資金計画を立てておきましょう。

初期投資額が大きいアパート経営は、長期的な運用で投資資金の回収を狙うのが一般的であるため、その分状況が変動するリスクを考慮しなければなりません

たとえば、「築年数が経過するに伴い空室が埋まらなくなってきた」「ローンを組んだときよりも金利が上がった」といった変化により、収益は減少する可能性があります。そのほか、家賃下落リスクや災害リスクなど、アパート経営にはさまざまなリスクが潜んでいます。

リスクをできるだけ小さく抑えるには、リスクへの対応策を講じたうえで、以下のような方法で余裕のある自己資金を用意しておくことが大切です。

  1. 家賃収入に対するローン返済比率を40~50%に抑える
  2. できるだけ有利な条件で借り入れする

将来の修繕費やランニングコストの上昇なども見込んで、長期的で堅実な資金計画を立てておきましょう。

実績のある管理会社に任せる

アパート経営において頼れるパートナーとなるのが、賃貸管理会社です。管理会社の品質やスキルがアパート経営の成果に大きな影響を及ぼすため、「どの管理会社に委託するか」はしっかり検討すべき問題といえます。

実績のある管理会社であれば、効果的な空室対策や入居者募集によって、物件の入居率向上に期待ができます。オーナー自身が賃貸管理をする自主管理にくらべて、専門スタッフによる迅速で適切な入居者対応が提供できるため、入居者満足度のアップに繋がるでしょう。

管理会社の実績を判断するには、管理物件数や取引実績、入居率などを参考にします。複数の管理会社に相談して、信頼できる会社を見極めましょう。

アパート経営は事業であることを認識する

アパート経営は投資手法の1つではありますが、「事業」として捉えて取り組むマインドが、アパート一棟買いの失敗を回避する手助けになります。

アパート経営を「ただの投資」と捉えていると、株や投資信託のように「アパートを購入したら、想定した利回りで資産が増えていくのを見守るだけ」と考えてしまうかもしれません。しかしアパート経営は、継続的な管理業務や状況にあわせた経営戦略を取ってこそ、その物件の収益性をより有効に活用できます。

「自分自身が事業の経営者である」という自覚をもつと、物件選定の基礎知識や収益性を高めるノウハウ、リスク対策などを積極的に身に付けようという意識が高まります。その結果、事前準備が整った状態でアパート経営に取り組めるため、より良い成果を出せるようになるでしょう。

信頼できる不動産会社を選ぶ

アパート一棟買いの失敗を回避するには、アパート経営をサポートしてもらう信頼できる不動産会社の選び方が重要です。

アパート経営を行うには、物件の選定や購入後の賃貸管理、入居者付け、さらには物件の売却まで、さまざまなタイミングで不動産会社と関わる必要があります。

アパートを新築する場合は、土地選びや建築を依頼する業者も選ばなければなりません。建物の建築と賃貸管理をトータルでサポートしてくれるデベロッパー系の不動産会社を選ぶと、分譲時から管理が継続されるため適切な建物管理が受けられるメリットがあります。

中古アパートを購入するのであれば、物件を購入する仲介会社と管理会社をそれぞれ選択しなければなりません。「物件の購入は地元に強い仲介会社、賃貸管理はサービス内容とコストのバランスが良い管理会社」といったように、それぞれで自分にあった不動産会社を選定しましょう。

アパート一棟買いのメリット

失敗のリスクもあるアパート一棟買いですが、アパート経営にはさまざまなメリットもあります。

ひとつの物件で複数の部屋を運用できる一棟アパートは、空室リスクを分散しやすく、資産価値も高い傾向にあります。一棟丸ごと所有することで、投資規模の拡大も期待できます。アパート一棟買いの3つのメリットを詳しく見ていきましょう。

リスクの分散になる

アパート一棟買いは、空室リスクを分散しやすいメリットがあります。一棟アパートの経営は複数戸から賃料収入を確保できるため、一部に空室が発生しても他の部屋からの賃料でカバーすることが可能です。

たとえば、家賃7万円の部屋を8室所有しているとすると、満室時の家賃収入は月額56万円です。仮に1部屋が空室になったとしても、残り7部屋分の49万円、つまり約9割弱の家賃収入を確保できるため、全体としてのダメージは小さいといえるでしょう。

一方、戸建てや区分マンションでの賃貸経営の場合、一度空室が出てしまうとその物件での収入が一気にゼロとなってしまい、空室リスクへの対策が難しいといえるでしょう。

資産価値が高い

土地と建物をあわせた高い資産価値を手に入れられる点も、アパートを一棟買いするメリットです。

一棟アパートを購入すると、建物が建つ敷地全体の所有権も入手できます。経年とともに建物の価値は下落していっても、価値が目減りしにくい土地が手元に残るため、一棟アパート全体としての資産価値は減りにくいといえます。建物を取り壊して、別の使い道で土地を活用することも可能です。

一方、区分マンションの場合は、敷地の一部を敷地権として保有するため、自分の土地として自由に使ったり売却したりすることはできません。

また人口が多い都市部のほうがアパートの需要が高いため、アパートの資産価値は下がりにくいといわれています。

規模が拡大できる

アパート一棟買いは、ほかの賃貸経営とくらべて規模を拡大しやすい点もメリットの1つです。

アパート経営は運用戸数が複数になるため、その分大きな額の賃料収入を得られます。区分マンションや戸建てを複数運用するよりも、効率的に規模の大きい投資を行えます。

また、1棟目のアパート経営で順調に収益を上げられるようになれば、次の物件購入の融資が組みやすくなり、さらに大きな規模へと拡大することも可能です。一棟アパートは前述のとおり資産価値が高いため、融資の担保として金融機関の審査に有利に働きます。

あわせて読みたい

まとめ

アパート一棟買いは、想定よりも空室や維持費が増えたり、入居者トラブルが発生したりして失敗する事例が見られます。立地や間取り・設備、管理会社の選定が不適切、資金計画が甘いといったことがアパート一棟買いの失敗理由です。

しかし、しっかりとポイントを押さえておけば、1つの物件で複数戸から賃料収入を得られるアパート一棟買いは、空室リスクを軽減し、資産価値や投資規模を高めやすいメリットがあります。アパート一棟買いの失敗を防ぐには、エリアの需要調査や、管理会社・不動産会社の選別をしっかり行い、リスクも踏まえた長期的な資金計画を立てましょう。

監修者

宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士

石本 貴大

業界歴13年。これまでに関わった建築・売買物件は木造からRC造まで、延べ百数十件を超える。近年は自社開発案件の推進、投資物件の販売及びアジア圏への販路拡大、賃貸住宅の建築提案と、建築業界で活躍の場を広げている。

不動産投資家Kでは無料相談を承っております!

不動産投資家Kとその仲間たちでは、「土地を相続する予定だけど、どうすれば良いか検討している」「管理が大変なので、土地を売却したいと思っている」など、土地・建物のさまざまなご相談を承っております。

あなたやあなたの家族の大切な資産を有効に活用できるよう、お気軽にご相談ください!

関連記事

賃貸併用住宅はやめとけ?危険と言われる理由と後悔しないためのポイント

賃貸併用住宅は、同じ建物のなかにオーナーが居住する自宅部分と、人に貸し出す賃貸部分が存在する住宅のことです。相続税や固定資産税の節税効果が期待できる一方で、「プライバシーの問題が発生しやすい」「利回りが低くなりやすい」などがデメリットとしてあげられます。 この記事では、賃貸併用住宅に興味を持っている人向けに、賃貸併用住宅の概要をはじめ、メリットやデメリット、そして後悔しないためのポイントなどについ...

アパート売却のタイミングは?売却方法や手続きの流れ、費用・税金もチェック

アパートを高く売却するには、収益性が高いときや築年数が浅いときなど適切なタイミングを見極めることが大切です。売却の方法には、賃貸借契約をそのまま引き継ぐオーナーチェンジのほか、入居者のいない状態で売却する方法もあります。 本記事では、アパート売却のタイミングや事前に確認すること、売却の手順について解説します。 ポイント アパートを売却する際はタイミングを見極めることが大事 売却前にはローン残高や相...

一括借り上げとは?仕組みやサブリースとの違い、メリット・デメリット

不動産経営の手法の1つに「一括借り上げ」があります。一括借り上げはオーナーにとって多くのメリットがある一方で、一括借り上げの仕組みや他の手法との違いについて正確に理解されていないケースも少なくありません。 この記事では、不動産経営における一括借り上げの仕組みやメリット、さらにサブリース・管理委託との違いについて解説します。 ポイント 一括借り上げとは、転貸を前提にアパートなどの物件一棟丸ごと借り上...

不動産の減価償却とは?計算方法や節税方法までわかりやすく解説

不動産の減価償却とは、建物など資産の価値が時間とともに減少していくという考えに基づき、その価値の目減り分を一定期間にわたって費用として計上していく会計上の仕組みのことです。 この記事では、不動産の減価償却の基礎知識から計算方法、節税に役立つポイントまでわかりやすく解説します。 ポイント 時間とともに減少する建物の価値を費用計上する手続きが減価償却 減価償却は、賃貸収入がある場合や不動産を売却した場...

木造アパートのメリットとは? 経営のポイントや性能・特徴

アパートには木造や鉄骨造・RC造などさまざまな構造があります。今回の記事では、そのなかでも木造アパートのメリットやデメリット、入居者目線での特徴などを詳しく紹介します。 ポイント 木造アパートは、土地の特性を最大限に活用できる 木造アパートは、初期費用が安く利回りを確保しやすい 賃料が下がりやすいが、メンテナンス次第では下落を防げる 近年の木造物件の性能は向上しており、耐震性能も上がっている 目次...

土地投資とは?土地活用との違いや主な運用方法の種類

土地投資とは、活用目的にあわせて土地を新たに購入し、投資を行うことを指します。 今回の記事では土地投資と土地活用の違いや、土地投資のメリット・デメリットなどについて詳しく紹介していきます。 ポイント 土地投資は新たに土地を購入し、その土地を活用して事業を行うこと 土地投資と土地活用は不可分であり、活用目的にあった土地の見極めが重要 目次 土地投資とは 土地投資と土地活用の違い 土地投資のメリット ...

賃貸人の修繕義務範囲はどこまで?設備が故障したときの責任や対処法

賃貸人は賃借人に対し、物件を使用・収益させるべき義務を負っており(民法第601条)、物件に不具合や故障が発生した場合には、適切に使用・収益ができるように修繕しなければなりません。修繕義務の範囲には個別判断が必要なことも多々あり、ケースごとの把握が必要です。 本記事では、賃貸人の修繕義務の範囲や設備が故障した場合の対応、賃貸人が負うリスクとその予防策について解説します。 ポイント 賃貸人は、賃借人が...

設備不良・設備故障による家賃減額はどうすればいい?減額割合の目安

賃貸物件の設備不良が生じた場合、入居者の生活に支障が出てしまいます。賃貸物件の設備不良についてはオーナーが責任をとらなければならず、家賃減額の要因の1つです。 今回の記事では設備不良時に家賃減額になる条件や相場、対処法などを紹介します。 ポイント 民法改正により、設備の故障によるオーナーの責任が明確になった 入居者の生活に支障を与える程度によって、家賃の減額の割合が変わる 家賃の減額を避けるために...

短期譲渡所得とは?長期譲渡所得との違いや計算方法、不動産売却時の注意点

短期譲渡所得とは、所有期間が5年以下の土地や建物などの資産を譲渡して得た利益のことです。短期譲渡所得には税金がかかりますが、特別控除を利用すれば節税ができます。 この記事では、短期譲渡所得の基本情報をはじめ、短期譲渡所得が発生した際の税金の計算方法や節税方法などについて解説します。不動産を売却するときの注意点も紹介するのでぜひ最後までご覧ください。 ポイント 短期譲渡所得は、所有期間が5年以下の資...

アパート・マンションの法定点検とは?種類や注意すべきポイント

アパート・マンションのオーナーは、法律により、物件の法定点検が義務づけられています。実施を怠った場合、罰金が科される恐れがあるため、注意が必要です。 この記事では、アパート・マンションの法定点検の具体的な内容・実施すべき頻度や依頼方法、注意点などを解説します。ぜひ参考にしてください。 ポイント 法定点検とは、建物や付帯設備に関する法律で義務付けられている点検のこと 管理会社に専門業者の手配を委託す...