アパート経営12のリスクと回避する方法│リスクへの考え方
アパートを経営する場合、空室リスクや家賃の下落リスクなど、さまざまなリスクがあることを知っておかなければなりません。アパート経営にはリスクがありますが、市場調査をはじめ適切な対策を実施すれば、これらのリスクを軽減できます。 本記事では、アパート経営の12のリスクと対策について解説します。また、アパート経営に失敗しやすい人の特徴もまとめています。ぜひ最後までご覧ください。 ポイント アパート経営には...
不動産投資家K
定期借家契約は、普通借家契約と異なり契約期間の制限が設けられており、契約期間が満了したときに必ず物件を返してもらえるため、運用の自由度が高いのが特徴です。
本記事では、定期借家契約の概要をはじめ、貸主と借主、それぞれどのようなメリットとデメリットがあるかについて解説します。
また、定期借家契約を結ぶにあたって押さえておきたい注意点も一緒に取り上げるため、賃貸物件の運用について知りたい方はぜひ参考にしてください。
定期借家契約とは、アパートやマンションなどの建物を借りる際に用いられる、契約の種類の1つです。定期建物賃貸借契約とも呼ばれ、主に建物の建て替えや大規模修繕を計画的に進めたいときや、転勤をはじめとする仕事の都合で一時的に物件を貸し出ししたいときに採用されます。定期借家契約には、貸主(オーナー)と借主(入居者)双方にメリットやデメリットがあるので貸主はそれぞれの特色を考慮し普通借家契約と使い分けをすると良いでしょう。
定期借家契約は、最初に貸主と結んだ契約期間が満了すると同時に、契約が終了するのが特徴です。そのため、契約の更新はありませんが、貸主と借主、双方が合意すれば再契約できます。
契約終了後は再契約を締結しない限り、入居者は契約を結んでいた物件から退去しなければなりません。
定期借家契約が満了したにもかかわらず、入居者が立ち退かない場合は不法占拠に該当するため、貸主は家族や連帯保証人への連絡、明渡訴訟などを行い退去させることができます。
普通借家契約の場合では、貸主より弱い立場である借主保護のため居住権が認められており、住み続けることが判例で認められています。
建物を借りる際に用いられる契約形態は、定期借家契約、そして普通借家契約の2種類です。両者には次の表に記載したように、いくつか明確な違いが存在しています。
定期借家契約 | 普通借家契約 | |
---|---|---|
契約方法 | 契約書とは別にあらかじめ書面(38条2項書面)の提示・説明義務 | 口頭による契約可能 (口頭の合意だけでも成立しますが契約書を作成することが望ましい) |
契約更新 | 更新は原則不可 当事者合意のもと再契約可能 | 更新可能 |
契約期間 | 1年未満の契約も有効 | 1年以上 |
賃料の増減額請求 | 特約を設けることで排除が可能 | 特約を設けても排除できない |
中途解約の可否 | ① 床面積200㎡未満の居住用の建物については、借主が転勤、療養、親族の介護等のやむを得ない事情により、建物を生活の本拠として使用することが困難となった場合には、借主が中途解約の申し入れをすることが可能 ② ①以外の場合は特約があれば、その定めに従う |
特約があれば、その定めに従うが貸主からの解約は自由に行うことができず、原則6カ月前且つ正当事由が必要 |
以下では、定期借家契約、そして普通借家契約の違いについてもう少し詳しい解説をするため、順番にチェックしていきましょう。
定期借家契約は期間が満了すると契約が終了し、原則更新はできず、双方の合意がなければ再契約を結べません。
定期借家契約は、貸主が契約手続き前に事前に更新がない旨を記載した書面を借主に交付して説明し、さらに書面による契約締結が必要でしたが、令和4年5月に借地借家法が改正され、「事前説明」「契約」については電磁的方法等でも可能なり、事前説明書の交付・説明から契約締結までオンラインで対応可能になりました。
普通借家契約は、借主が希望すれば契約を更新できます。貸主は、賃料の滞納をはじめとする正当な理由がなければ、契約更新を拒否できません。
さらに平成12年3月より前に普通借家契約を締結している場合、定期借家契約に切り替えることはできません。
定期借家契約は、契約期間について決まりはとくに設けられていません。そのため、1年未満の契約を結ぶことも可能です。
一方、普通借家契約は、1年以上の契約期間を設定しなければなりません。契約期間が1年未満の場合は、期間の定めのない賃貸借とみなされます。そのため、借主のライフサイクルを考え、契約期間を2年で設定しているケースが多いです。
増減額請求とは、借地借家法32条で定められている、事情の変化に応じて賃料や地代の金額を増減する請求のことです。賃料の相場は、景気動向や需要のバランスによって変化します。
そのため、入居したときに定めた賃料が、数年後相場から大きく外れていることは、決して珍しくありません。そのときに貸主、そして借主が行使するのが増減額請求です。
賃料の増減額請求権は、定期借家、普通借家どちらの種類の賃貸借契約においても原則認められています。これは賃料減額請求を認めないことが、借主にとって不利になってしまうためです。
しかし、それぞれルールの詳細が異なっています。定期借家契約は、特約を設けることで増減額請求権の排除が可能です。
一方の普通借家契約は、特約を設けても増減額請求権は排除できません。ただし、家賃を増額しないことについての特約は認められます。
定期借家契約の場合、貸主と借主、どちらの立場であっても中途解約は原則認められていません。ただし、以下の条件を満たしていれば、定期借家契約を結んでいても中途解約を申し入れることが可能です。
なお、上記の条件に含まれている「やむを得ない事情」とは、病気の療養や単身赴任など、契約を結んだ時点では予測が困難だったと認められる理由を指します。また、特約があれば、特定の条件のもと中途解約が可能です。どうしても中途解約を成立させたいときは、残存期間の賃料相当の違約金や損害賠償を支払うことで解約できるケースもあります。
普通借家契約の場合、一般的に中途解約に関する条項が契約書に記載されています。借主からの中途解約は、契約書の条項の範囲内で可能です。ただし、貸主から中途解約を申し入れる場合は、正当事由がなければなりません。
定期借家契約は、契約を結ぶにあたって契約期間や契約の方法など、いくつか条件を満たさなければなりません。そのため、少し癖があると思われやすい契約形態ですが、定期借家契約には貸主と借主、それぞれに次のようなメリットが存在します。
貸主 | ・物件の運用の自由度が高い ・立ち退き料がいらない ・入居者の質が良好 |
借主 | ・費用を抑えやすい ・計画を立てやすい ・トラブルが発生しにくい |
以下では、貸主および借主が定期借家契約を結ぶメリットについて、もう少し詳しく解説します。
代表的なメリットの1つが、物件の運用の柔軟性です。定期借家契約は、契約の終了とともに必ず物件が自分のもとに戻ってくる契約です。
また、すでに説明しているように契約期間も自由に設定できます。そのため、以下のような場合でも柔軟に物件の運用が可能です。
普通借家契約の場合、先述のとおり借主に明らかな問題がなければ契約の継続を拒否できません。物件を自由に運用したい場合は、定期借家契約がおすすめです。
立ち退き料が必要ない点も、定期借家契約のメリットとして挙げられます。立ち退き料とは、貸主が借主に対して立ち退きを求める際に支払うお金のことです。
普通借家契約において、貸主の都合で借主に立ち退いてもらう場合、借主の同意がなければなりません。そのために支払うのが、立ち退き料です。
立ち退き料の相場は物件の種類や用途によってさまざまで、一般的な賃貸物件は賃料の6〜12カ月分程度、オフィス用物件は賃料の2〜4年分程度が相場です。立ち退き料を支払って穏便に済めば問題ありませんが、場合によっては訴訟に発展するケースもあります。
そうなると、時間もお金も浪費し、物件の運用に深刻な影響が出る可能性も否定できません。しかし、定期借家契約は期間満了で更新の義務がないため、契約期間が満了すれば立ち退き料を払わず物件が必ず手元に戻ってきます。
普通借家契約から定期借家契約に再締結しなおすことも考えられますが、平成12年5月以前の契約に関しては切り替えができませんのでご注意ください。
定期借家契約を採用している物件の入居者は、質が高いといわれています。
賃貸物件を運用するにあたって、貸主が抱えやすい悩みの1つが入居者関連のトラブルでしょう。入居者のなかには、ゴミ出しのルールを守らない、騒音を起こすなどして、ほかの入居者とトラブルになる方もいます。問題を起こす入居者が1人でもいると、ほかの入居者が退去したり、新しく入居者を募集しても敬遠されたりしかねません。その結果、賃料が入らず、深刻な経営不振に陥る可能性があります。
定期借家契約の場合、再契約するかどうかは貸主が選択できるため、万が一トラブルを起こすような入居者がいても、貸主側から再契約をしないことで対処できます。
借主(入居者)のメリットは、家賃や諸費用を相場より抑えられる点が挙げられます。定期借家契約の物件は契約期間が短い、更新ができないなど、借主にとって不利な条件が多いです。
そのため、賃料を安く設定して普通借家契約の物件との競争に負けないようにしています。運がよければ、駅から近い、敷地面積が広い、設備が整っているなど、好条件の物件を予算の都合で妥協せず見つけられるでしょう。
また、入居者の質が比較的高いため、近隣トラブルが発生しにくい、入居期間が決まっているため今後の動きについて計画を立てやすい、なども借主が定期借家契約の物件を利用するメリットです。
定期借家契約は、契約の自由度の高さをはじめ、さまざまなメリットが存在する契約形態です。メリットだけを聞くと魅力的な契約形態と思われがちですが、定期借家契約にはあらかじめ知っておきたいデメリットもあります。
以下では、定期借家契約を結ぶデメリットを貸主、そして借主双方の視点から解説します。
賃主のデメリットとして、条件によっては家賃が相場よりも安くなりやすい点があげられます。定期借家契約は普通借家契約と比べて貸主にとって有利な契約のため、メリットがなければ借主は好んで借りたがりません。
借主が現れなければ、いつまで経っても賃料は入ってこないため、維持費だけがかかります。その結果、物件の経営が立ち行かなくなる可能性も高まるでしょう。
そのため、貸主は賃料を低く設定し、物件に魅力を感じてもらえるようにしています。ただし、需要の高いエリアや条件設定次第では、相場より値段を下げずにすむこともあります。
借主のデメリットは、再契約ができない可能性がある点です。定期借家契約は、双方の合意のもと再契約が結べます。
しかし、貸主が拒否した場合、再契約できません。そのときは、貸主は改めて物件を探さなければならず、時間もお金もかけなければなりません。
また、基本的に中途解約できない点もデメリットです。賃貸の契約期間中にもかかわらず、自己都合で中途解約しなければならないケースは少なくありません。
定期借家契約の場合、条件次第ではありますが、中途解約をすると違約金として残存期間の家賃を支払う必要があります。
定期借家契約には、契約を結ぶ前に知っておきたい注意点がいくつか存在します。注意点を知らずに定期借家契約を結んでしまうと、貸主と借主、双方にとってよくない結果を招きかねません。
以下では、定期借家契約の具体的な注意点について解説します。思わぬトラブルの発生を防ぐためにも、実際に定期借家契約を結ぶ前に必ず目を通してください。
先述の通り、定期借家契約において、契約の更新はできません。借主が再契約を希望する場合は、貸主と話し合い、新しい条件で契約を締結する必要があります。
また、再契約の際は、賃料をはじめとする条件を再設定することになります。新規契約となるため、借主は保証会社や保険も入り直しが必要になります。
法改正前は定期借家契約を締結しようとする場合、「事前説明書面」と「契約書」は書面に限定されており、遠隔地からでは契約がしづらいこともありました。
和4年5月の借地借家法第38条の改正により、
となり、事前説明書の交付から契約締結までオンラインによる対応が可能になりました。
貸主にとっての注意点は、定期借家契約であっても、期間が満了時に借主が退去しない可能性がある点です。この場合、不法占拠が成立し、通常の借家契約と同じように明渡訴訟や強制執行などの法的手続きを踏めます。
退去にまつわるトラブルを避けるためにも、貸主は借主に対して契約満了の1年前から6ヵ月前に終了通知を行うことが必要なります。
定期借家契約は、貸主にとっては物件の柔軟な運用が可能になり、借主にとっては相場より安く借りやすくなるなど、メリットがあります。
大切なのは、定期借家契約と普通借家契約の違いを認識したうえで、貸主と借主、双方が納得できる円満な契約を結ぶことです。たとえば、借主の中途解約の留保をすれば借主のデメリットなく募集が可能となり、賃料も上昇トレンドに合致した動きができます。
将来的な経営を踏まえて、物件の状態やトレンドにあわせた対策を目指しましょう。
監修者
宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士
不動産業界に20年以上従事。賃貸管理を中心に管理受託業務・売買仲介・民泊運営を担った幅広い知識と経験をベースに、現在はプロパティマネジメント・アセットマネジメントを担っている。
監修者
宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士
20年以上にわたり不動産業界に従事。中古物件の仕入れ販売、賃貸管理業務、マンスリーマンション事業の立ち上げ、リーシング事業の立ち上げなどに携わる。現在は、幅広い経験と知識を生かし、プロパティマネジメント・アセットマネジメントを担っている。
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