アパート経営における災害対策とは?災害リスクの調べ方や保険に入るべきか
アパート経営において、地震や火災、水害などの災害は入居者の安全と自身の資産を守るうえで無視できないリスクです。災害対策を軽視してアパートが大きな被害を受けた場合、オーナーは大きな損害を被ってしまいます。 この記事では、アパート経営における災害対策について解説します。災害リスクの調べ方や保険に入るべきかどうかも解説するため、ぜひ参考にしてください。 ポイント アパート経営ではさまざまな災害リスクを考...
不動産投資家K
入居率はアパート経営を行う際に押さえておきたい数値の1つです。重要な指標であることは知っているものの、具体的な数値の目安や計算方法について理解していない方もいるのではないでしょうか。
入居率の計算方法は複数あって、公表している不動産会社によって計算の仕方や条件が異なる場合があります。この記事では、アパート経営における入居率の種類や入居率を上げる方法についても紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
入居率はアパート経営において重要な要素の1つです。高い入居率をキープすることで、安定したアパート経営に繋がります。ここでは、入居率の概要や入居率の全国平均について解説します。
入居率とは、アパートやマンションなどの不動産の総戸数に対する入居者の割合のことです。 たとえば、1棟6部屋ある物件のうち3部屋に入居している場合、入居率は50%です。入居率が高いほど収益性に優れている物件といえます。
一方、所有している不動産の総戸数に対して未入居の割合が空室率です。入居率と空室率は常に相反する関係になり、入居率が50%の不動産の場合、空室率は50%です。
日本賃貸住宅管理協会の調査によると、2021年度のアパートの全国平均入居率は96.2%です。 また、地域別の入居率を見ると、首都圏が97.8%、関西圏で95.9%、その他の地域では92.7%となり、賃貸の需要がある首都圏や関西圏の方が、その他の地域よりも約3%以上高い数値になっています。 アパート経営では、入居率95%以上を目安にすることで堅実な経営状態であると判断できるでしょう。
入居率が70〜80%の場合は経営状態が厳しく、50%以下なら経営難であるといえます。
参考:日管協総合研究所 「第26回 賃貸住宅市場景況感調査 『日管協短観』 2021年4月~2022年3月」
基本的な入居率の計算方法は、以下の式で導き出せます。
入居率=((賃貸可能な戸数 − 空室の戸数) ÷ 賃貸できる戸数) × 100
たとえば、賃貸可能な物件の戸数が10部屋で空室の戸数が2部屋なら、
となり、入居率は80%です。 ただし、これがいつの時点・どの期間の数字かということには注意が必要です。アパート経営は長期的に取り組む事業です。ある特定のタイミングの入居率だけを追って経営判断をすることはできません。1カ月ごと、1年単位などの幅広い視点での入居率の確認が重要でしょう。
時点入居率とは、入居率を計算したある一定時点での割合のことです。管理会社側に都合のよい数値を出しやすいため、これからアパート経営を行う方は押さえておきましょう。 時点入居率は、シンプルな計算式で手軽に入居率を導きやすいのが特徴です。一定期間の平均値を算出したり年間でもっとも入居率が高い月を算出したりできます。
特に繁忙期を把握したい場合に重要な指標です。 ただし、不動産管理会社にとって都合のよい数値を出しやすい傾向にある点は注意しましょう。年間を通してもっとも高い割合の時点入居率を参考にアパート経営を行うと赤字になる可能性があります。
稼働入居率は、稼働日数に対して実際の入居日数が占める割合のことです。単に稼働率という言い方をする場合もあります。 ある期間中の入居日数(稼働実数)÷稼働日数×100で計算します。
たとえば、賃貸可能な戸数が14部屋で、1年間をとおして全部屋に全日入居している場合はで稼働入居率が100%となります。 1年間のうち4部屋で30日間空室になったと想定すると、空室の日数は「4部屋×30日=120日」になります。
計算すると、稼働入居率は約97.7%です。 1年間のうちに部屋をリフォームしている期間や未入居期間を空室として計算できるのがメリットです。稼働入居率が高いほど、家賃収入が安定していると判断できます。
賃料入居率とは、満室賃料に対する実質賃料の割合のことです。賃料入居率は「(満室賃料-空室賃料)÷満室賃料×100」で計算できます。
たとえば、全体戸数20部屋のうち10部屋が7万円、残りの10部屋が5万円の賃料で想定します。
全体戸数が満室の場合の月額賃料は120万円(10部屋×7万円+10部屋×5万円)になり、年間で1,440万円(月額120万円×12カ月)です。
月額5万円の部屋のうち3部屋が6カ月空室になると、賃料は90万円(月額5万円×3部屋×6カ月)減ります。
計算すると「(1,440万円-90万円)÷1,440万円×100=93.75」で、賃料入居率は約93.8%となります。
入居率には3種類あり、各不動産管理会社によって計算方法が異なります。入居率を物件購入する際の判断材料として参考にする場合は、どの計算方法で導き出したのか確認するのが重要です。なぜなら、計算方法や算出したタイミングによって入居率が大きく変化してしまうからです。
3つの入居率のうち、「時点入居率」で計算した場合を例に考えてみましょう。時点入居率は、2024年3月時点などある一定時点での入居率を表すものです。たとえば、時点入居率が98%だったとしても、あくまである月の入居率に過ぎず、年間を通して同じ数字なわけではありません。
繁忙期などもっとも数値が良いものを発表している可能性もあります。 安定したアパート経営を行うためにも、不動産管理会社が表示している入居率がどの種類に当てはまるのかをしっかりと把握しておきましょう。
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入居率を上げるには、管理会社の変更や物件のリフォーム・リノベーションをするなど、幅広い視点で施策を展開する必要があります。入居率を上げる方法を4つ解説しますので、所有している物件に適した施策を検討してみてください。
入居率の高い管理会社に変更することで、入居率の改善が期待できます。 高い入居率を実現している管理会社は、具体的な空室対策の知識を有しており、空室の原因を特定し、入居率向上に繋がる提案を期待できます。 ここでは、入居率の高い管理会社を見極めるためのポイントを解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
管理会社を変更する際は、管理戸数や客付け実績を確認しましょう。管理している物件や客付け実績が多いほど集客に関する知識を蓄積しやすいため、高い入居率を期待できます。
また、多数の物件を管理している会社は多くの従業員を抱えていたり、管理業務のノウハウを蓄積していたりする傾向にあります。なかには、24時間対応のコールセンターを設置している管理会社もあるため、緊急時の対応をスムーズに行えます。 入居者からのクレームに対して早急な対応ができない場合、退去の原因につながるため、トラブル対応の速度は重要です。
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入居者の募集方法もチェックしたいポイントです。チラシ・看板・インターネットなど、さまざまな募集方法を有している管理会社なら、より集客経路を広げられます。
たとえば、企業独自のネットワークや大学との連携、大手不動産ポータルサイトの活用など、募集経路から管理会社の集客力を推測できます。独自のネットワークや大学との連携は会社によって異なるため、営業担当者に直接聞いてみましょう。
現在はインターネットでの募集が主流といわれているため、インターネット集客に強い管理会社がおすすめです。 店舗や立地などによっても異なりますが、インターネット経由での来店が約80%といわれているため、より高い集客力を期待できます。
エリアネットワークを持っている管理会社は、ある特定の地域において高い仲介力があると推測できます。店舗は入居者を募集するための基盤であり、地域店舗数が多いほど高い集客力を期待できます。
また、特定の地域に精通していることで、入居希望者の対応などに活用できるのもメリットです。 治安の良さや買い物のしやすさなど、その地域の特性や情報を把握していることで、入居希望者のニーズと絡めて物件の良さを複数アピールすることができます。
入居者やオーナーの満足度も確認したい項目です。クレジットカード決済や連帯保証人不要制度、外国語対応など、各種サービスが充実している管理会社は入居者の満足度が高くなり、入居率も高くなる傾向にあります。
また、アパートの管理業務には入居者の募集や物件のメンテナンスなどがあります。オーナー満足度の高い管理会社は、アパートの管理業務を遂行する力が高く、オーナーの時間や労力を軽減できるでしょう。
ポータルサイト内の情報量が少ない場合、新規入居希望者に物件が選ばれない可能性があります。物件の写真量が少なかったり、設備の登録漏れがあったりすると物件の魅力が十分に伝わらないため、入居希望者に伝わりやすいようにより多くの情報を提供しましょう。
物件近くのスーパーやコンビニなどの情報を追加するのも重要です。十分な情報を提供することで内見数の向上が期待できます。また、ポータルサイトの情報が古い場合は、最新の状態に更新するのもおすすめです。 特に大手不動産ポータルサイトは高い集客力が期待できるため、優先的に情報量を増やしてみてください。
広告料は、空室物件の紹介頻度を増やすためにかかる費用のことです。広告料は家賃の0.5~1カ月分が目安といわれており、シーズンや管理会社などによって異なります。管理会社に広告費を支払うことで、空室物件を優先的に新規入居希望者へ紹介できるのがメリットです。部屋を探している方の目に触れる機会が増え、結果として空室対策に繋がります。
ただし、事前に資金計画を作成しておくのが大切です。また、広告費を支払っても空室が埋まらない場合は、管理会社の変更も検討してみましょう。
更新料・敷金・礼金を見直すという方法があります。近年では更新料を支払う前に引っ越しする方が多く、更新料を減らしたり廃止したりするオーナーが増加しています。更新料を廃止することで入居者の長期的な居住が期待できるため、空室発生の確率を下げたい方は更新料の見直しが有効です。
敷金や礼金の値下げや廃止も、費用負担が減ることによる新規入居者の増加が見込めます。また、フリーレントをつけることも選択肢の1つです。
もちろん、条件の見直しを行うことで収入が減るリスクを考慮しておくことも大切です。家賃収入が減ると広告宣伝費や修繕費といった経費に使える資金が少なくなる可能性もあります。更新料・敷金・礼金を見直すことによる利益の減少と空室発生による損失のバランスを考慮して判断することが重要です。
更新料・敷金・礼金を見直しても入居率が上がらない場合は、家賃見直しの検討も選択肢の1つです。家賃を下げることで、入居率が上がる可能性があります。
家賃を下げる際は見込み利益や周辺の物件の家賃相場を参考に判断しましょう。見込み利益を考慮せずに家賃を引き下げてしまった場合、アパート経営が赤字になってしまうリスクがあります。 また、周辺の物件をしっかりとリサーチするのも重要です。
事前に相場を把握することで、適正な価格設定を行えます。一度家賃を下げてしまうと、引き上げることは難しいため、入念な準備をしたうえで判断するのがおすすめです。
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高額な費用を準備できるならリフォームやリノベーションを行うのも選択肢の1つです。リフォームとは、老朽化した物件を新築に近い状態に戻す工事のことです。一方でリノベーションは、建物を改修して新しい価値を加える工事になります。 どちらも物件を修繕することを目的としており、入居率を上げる方法として有効です。
ただし、修繕を行っている期間は家賃収入が発生しないうえ、高額な費用がかかりやすい点は注意したいポイントです。 修繕費用を無駄にしないためにも入居者のニーズに合ったリフォーム・リノベーションを行いましょう。
まとまった費用が用意できない場合は、クロス・床・水回りなど、部分的なリフォームやリノベーションも検討してみてください。
リノベーションにより賃料アップした事例を紹介しています
入居率は堅実なアパート経営を行う際に欠かせないポイントです。中古アパートを購入する場合は、入居率95%以上の物件を目安に購入するのがおすすめです。すでにアパート経営を行っている方であれば、入居率を上げる4つのポイントのなかから、所有している物件に適した施策を検討してみましょう。 ただし、入居率の種類によって数値は大幅に異なるため、管理会社がどのように計算しているのか確認する必要があります。正しく入居率を把握したうえで、自分に合った物件を見つけてみてください。
監修者
宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士
現在の会社に入社以来10年以上リーシング業務に従事し、入居率10年連続99%達成に貢献。現在はリーシング業務の経験を活かし、管理受託業務を中心に担い、若手育成などにも力を注いでいる。
不動産投資家Kとその仲間たちでは、「アパートに空室が増えてきた」「管理会社の対応に不満がある」「建物が老朽化してきた」など、アパート管理に関するお悩みをお持ちのオーナー様のさまざまなご相談を承っております。
あなたやあなたの家族の大切な資産を有効に活用できるよう、お気軽にご相談ください!
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