不動産投資はフルローンで組める?フルローンを利用するポイントや注意点などについて解説
フルローンとは、不動産を購入するにあたってかかる費用を、すべて金融機関の融資でまかなうことです。 フルローンを利用すると頭金がない人でも希望の物件を購入できる可能性が広がりますが、キャッシュフローが出にくくなる、金利の上昇の影響を受けやすくなるなどのリスクも存在する点に注意が必要です。また、利用には、一定以上の金融資産を有している、不動産投資ですでに成功していることなどがあげられます。 本記事では...
不動産投資家K
「富裕層の投資戦略」と聞くと、多くの人が「特別な金融商品」や「限られたネットワーク内での情報交換」を想像するかもしれません。しかし、実際に長年にわたって資産を守り増やしてきた富裕層を観察すると、その答えは意外とシンプルです。
『どのように資産を守りながら安定的に資産を伸ばすか』
この問いを軸に投資戦略を組み立てているのです。
ここで注目すべきは、日本の富裕層が一様ではないという点です。資産形成の経緯によって、次の二つの類型に大別できます。
■オールドリッチ(旧富裕層):先祖代々の資産を受け継ぎ、伝統的に資産を守る姿勢が強い層。投資に対する考え方は欧州の富裕層に近く、保守的で大きなリスクを取ることを避ける傾向にある。
■ニューリッチ(新富裕層):事業や投資によって一代で資産を築いた層。これまでの成功体験を背景に、積極的にリスクを取ってでもさらに資産の拡大を目指す傾向がある。
両者の投資スタンスには明確な違いがあります。ただし、根底の部分で共通しているのは「資産を減らさず、安定的に成長させる」姿勢です。そこで今回のコラムでは、株式と債券を中心に、富裕層が実践している投資戦略のエッセンスを整理します。
富裕層の投資戦略は、一見すると高度な投資手法や専門的な金融商品が中心のように思われがちです。しかし実際には、驚くほどシンプルな原則を徹底的に実行しているにすぎません。その姿勢こそが億単位の資産を減らさないための秘訣となっています。
欠かせないのは長期的な視点です。相場の短期的な上下変動に惑わされず、10年、20年先を見据えて資産を守り育てます。オールドリッチはリターンよりもリスクを重視し、ニューリッチは積極的にリターンを狙いますが、「大きく減らさない」という投資スタンスは共通しています。
また、富裕層が共通して実践するのが分散です。株式や債券、不動産、オルタナティブといった複数の資産クラスを組み合わせ、市場環境が変わっても資産全体が揺らがないようにしています。オールドリッチは守りを厚くするため債券や不動産の比率を高めにする傾向が強く、ニューリッチは成長分野や株式の比率を相対的に大きくすることもあります。それでも、集中投資を避け、バランスを整えるという点は変わりません。
さらに、資産をどのように残すかという視点も重要です。富裕層にとって投資の成果は「運用益」ではなく「手元に残る資産」で判断されるため、節税や相続を見据えた投資戦略が不可欠です。オールドリッチは運用当初から承継や相続を前提に資産設計を行い、ニューリッチは拡大志向を持ちながらも、やがて税務・承継の重要性に直面し、戦略を調整する必要に迫られます。
オールドリッチとニューリッチで手法は違っても、「資産を守り、少しずつでも積み上げる」という点は同じです。
株式は、富裕層の投資戦略において「成長のエンジン」として欠かせない存在です。資産全体の安定性を債券や不動産が支える一方で、株式は資産を増やす力を担っています。
オールドリッチは、資産を守りながらも世界経済の成長を取り込むために株式を活用します。米国株や欧州株など先進国の市場を中心に、幅広く分散されたインデックスファンドやETFを利用するのが特徴です。これにより、大きなリスクを負わずに安定的なリターンを狙うことができます。
一方、ニューリッチは株式をより積極的に位置づけます。これまでの成功体験を背景に、成長産業や新興市場といったリスクの高い領域にも果敢に挑戦する傾向があります。特に注目が集まるのは、次のようなテーマ株です。
こうした分野の成長株(グロース株)に資産の一部を大胆に投じるケースも少なくありません。ただし、富裕層は派手なテーマ株ばかりに集中投資するのではなく、市場で過小評価されている割安株(バリュー株)や安定配当・増配を継続する銘柄に着目することもあります。高配当銘柄は株式投資の中で安定的なインカムゲインを生み出し、全体の資産管理に安心感を与える点で重視されます。
もっとも、成長株投資と割安株投資を同時に深く追求するケースは多くありません。多くの投資家は資産を増やす原動力として株式を位置づけ、どちらかのスタイルを選び、そこに高配当銘柄を組み合わせて全体のバランスをとる傾向があります。
富裕層の投資戦略において、債券は「守りの資産」として欠かせない存在です。なかでも注目されるのが米ドル建て債券、特に「米国債」です。米国債は信用度が極めて高く、安全性と流動性を兼ね備えた代表的な債券として、国際金融市場で大きな存在感を放っています。
また、日米の政策金利差の影響もあり、円建て国債と比べると米ドル建て国債の利回りは高水準で推移する傾向があります。さらに、米ドルという基軸通貨建てであるため、通貨分散の効果も期待できます。円安局面では資産価値を押し上げる効果を発揮する点も見逃せません。
オールドリッチは資産を減らさず次世代へ残すことを重視するため、米国債を中心にポートフォリオを構築し、安定した利息収入と通貨分散による安心感を確保します。一方でニューリッチは、米国債を基盤としながらも、より高い利回りを求めて米ドル建て社債や劣後債に投資することがあります。積極的なスタンスを見せつつも、債券はあくまでポートフォリオ全体を安定させるための資産として位置づけられている点に変わりはありません。
2025年10月現在、米国はさらに追加利下げを行うとの見方が強まっており、市場では今後も利下げが継続されるシナリオが想定されています。こうした環境下では、中長期的に残存期間が長い米ドル建て債券の投資妙味が増していると考えられます。長期債は金利低下局面で価格が上昇しやすいため、利息収入に加えてキャピタルゲインを狙える可能性があるからです。もっとも、利下げが思惑通り進まなかった場合やインフレ圧力が再燃した場合には長期債の価格が下落するリスクもあるため、残存期間を分けて投資するなど、リスクを抑える工夫が必要です。
このように、富裕層にとって債券投資の中心は米ドル建て債券であり、そのなかでも米国債は「守りの資産」の代表格です。
ここまでお伝えしたように、富裕層の投資戦略は、資産を増やすことよりも「資産を減らさないことを優先する」という姿勢にあります。そのうえで、富裕層は投資リテラシーや情報感度が高いからこそ、あえて手を出さない投資対象を明確にしています。
まず代表的なのは、過度に高利回りをうたう商品です。表面的な数字に魅力を感じやすい新興国通貨建て債券や、複雑な仕組債などは、元本割れや大きな損失につながるリスクをはらんでいます。富裕層は長期的な安定を重んじるため、短期的な高利回りに惑わされることはありません。
また、レバレッジの使い方にも慎重です。不動産投資のように堅実なキャッシュフローが見込める分野では有効に活用されますが、株式やデリバティブ取引で過度なレバレッジをかけることは避けられます。
さらに、信用力の低い発行体や透明性の乏しい投資案件にも慎重です。未公開株やベンチャー投資に魅力を感じる富裕層もいますが、それはあくまで全体資産のごく一部に限定されます。全体の安定を損なわない範囲での取り組みにとどめるのが一般的です。
特に相場が下落局面に入ったとき、富裕層は資産防衛を強く意識します。大幅な下落リスクを避けるため、守りの資産を組み込むことはもちろんですが、市場が下げ局面に入っても収益を狙えるヘッジファンドに期待を寄せる富裕層も少なくありません。ヘッジファンドは株価指数先物の売りやロング・ショート戦略、裁定取引などを駆使して、相場下落時でもプラスのリターンを狙える点が特徴であり、下落局面のリスクを和らげる一手として組み込まれることがあります。
このように、富裕層は投資の幅広い選択肢を理解していながらも、「大きなリターンが狙える」とされる商品や、相場急落時に損失が拡大しやすい投資には慎重に距離を置きます。その一方で、相場環境に応じて資産を守り切る仕組みを重視し、ときにヘッジファンドのような高度な戦略を取り入れることもあるのです。
富裕層の投資戦略は一見華やかなものに見えますが、その本質は驚くほどシンプルです。株式や債券、不動産といった基本的な資産クラスを適切に組み合わせ、リスクを分散しながら「資産を大きく減らさないこと」を最優先に据えています。オールドリッチは守りを重視し、ニューリッチは拡大志向を持ちながらも、どちらも長期的な安定を土台に資産を管理している点は共通しています。
また、富裕層は「避ける投資対象」を明確にしており、過度に高利回りをうたう商品や過大なリスクを伴う取引には慎重です。その一方で、相場下落局面に備えヘッジファンドなどを活用して防衛策を講じるなど、状況に応じた柔軟な戦略も採用しています。
こうした姿勢から見えてくるのは、富裕層の投資戦略が短期的な利益追求ではなく、長期的な安定を維持するための仕組みであるということです。
次回は、オルタナティブ投資手法に焦点を当てます。ヘッジファンド、プライベート・エクイティ、コモディティといった分野をどのように組み込み、富裕層がポートフォリオを多様化させているのかを解説します。相場環境が不透明さを増すなかで、富裕層が「伝統的資産にプラスして何を選ぶのか」を次回ご紹介します。
執筆者
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®認定者、宅地建物取引士
水野総合FP事務所代表。東京理科大学理学部卒業。相談、執筆・監修、講演・講師、取材協力、メディア出演など多方面で活躍する独立系ファイナンシャルプランナー。テレビ朝日「グッド!モーニング」、BSテレ東「マネーのまなび」などに出演。NHK土曜ドラマ「3000万」の家計監修を担当。学校法人専門学校東京ビジネス・アカデミー非常勤講師。一般社団法人相続・事業承継コンサルティング協会会員。
<保有資格>1級ファイナンシャル・プランニング技能士|CFP認定者|宅地建物取引士|日本証券アナリスト協会検定会員補|証券外務員1種 ほか
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