S造(鉄骨造)

S造(鉄骨造)とは、柱や梁など建物の骨組に鉄骨を使用する構造のことを言います。その中でも、鋼材の厚さが6mm未満は軽量鉄骨造、厚さが6mm以上は重量鉄骨造に小分類されます。

S造(鉄骨造)の特徴

構造概要

鋼材を溶接やボルトなどで接合して躯体をつくる、軽くて強い構造です。

鋼材を溶接やボルトなどで接合して躯体をつくる構造です。鉄とは言われていますが、近年では鋼材を使用していることが多い為ため、鋼構造とも言われています。

鋼材の厚みが6mm以上のものを「重量鉄骨構造」、6mm未満のものを「軽量鉄骨造」と呼び、前者はビルや高層マンションなどの大規模な建築物をつくる際に、後者は「軽量鉄骨造」は一般住宅や小規模の店舗などで多く用いられます。

軽くて強い構造のため、設計の自由度がとても高く、大きな窓など開口部が広くとれるのもS造の特徴です。

また、RC造やSRC造に比べて工期が比較的短く、建設コストも抑えられますが、一方で、鉄は軽い材料であるため振動が伝わりやすく遮音性が劣るデメリットがあります。

S造

01 基礎

軽量鉄骨造の場合、比較的建物が軽いため大規模な地盤改良や基礎工事は必要ないことも。

軽量鉄骨造の場合、単位面積あたりの比重がRC造やSRC造に比べて軽いため、大規模な地盤改良をせずに建設出来ることがあります。

一方重量鉄骨造の場合は、軽量鉄骨造よりも重くなってしまうため、強度を確保する必要があります。地盤が強くない場合にはラップルコンクリートなどの地盤改良を行います。

02 耐火性

準耐火構造とするのは容易だが、耐火構造とするには耐火被覆などが必要。

「鉄は火に強い」と思われがちですが、実は鉄骨自体は熱に弱く、高熱には強くありません。 耐火被覆のないままでは350~540度以上に達すると軟化してしまい、強度が落ちるという弱点があります。

そのため、耐火構造にするためには、骨組みを耐火性のある材料で覆う「耐火被覆」を施す必要があります。

03 耐久性

骨組みの耐久性能は高いが錆びに注意。

鉄骨造は骨組みだけであれば耐久性が高い構造ですが、一方で鉄や鋼は酸化による錆の発生が懸念される素材です。そのため、外装材の防錆処理や継ぎ目に止水材を施すなど定期的にメンテナンスをおこなう必要があります。

04 居住性

遮音性はやや劣るものの、耐震性に優れコストパフォーマンスが高い。

S造は剛性や粘りに優れた鉄や鋼を使用しているため、比較的耐震性が高い構造です。鉄骨が柔軟に変形することにより、地震の揺れを吸収し、倒壊しにくい特性を持ちます。

しかし、S造はW造と比べてつくりは頑丈であるものの、遮音性についてはあまり大きく違いがありません。重量鉄骨造は軽量鉄骨造と比べて、多少の遮音性は見込まれますが、RC造やSRC造ほどの遮音性能はありません。

05 施工性・工期

コストを抑え、短い工期で施工可能。

S造は工場で加工した鋼材を現場で組み立てるため、RC造やSRC造に比べて現場での作業負担が少なく、短い工期で完成することが可能です。

品質が安定しやすい構造と言えるでしょう。

06 用途の傾向

軽量鉄骨造は中規模のアパートやマンション、戸建て住宅に、重量鉄骨造は高層ビルや大規模建築などに用いられる。

軽量鉄骨造は比較的建設コストが抑えられるため、集合住宅や戸建て住宅に用いられる構造です。

また、重量鉄骨造はその強度と耐重性から、高層ビルやホームセンターなど大規模な建築に用いられます。